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ハピネスチャージプリキュア!第46話『愛と憎しみのバトル!誠司VSプリキュア』 [ハピネスチャージプリキュア!]

 母親を消したり、友人と先輩を操ったり、幼い兄弟姉妹を狙い撃ちにしたり。
 これまでも友人家族を狙った敵の作戦はありましたが、
 プリキュアシリーズ史上、ここまで卑劣な作戦は類を見ません。
 常日頃、支えてくれた幼馴染の少年が、憎しみと共に襲いかかってくる。
 その絶望は計り知れないものがあります。
 しかし絶望と希望は表裏一体。真に大切なものは、失って初めてその重さに気付くもの。
 世界だけでなく、大切な人のため、いよいよプリキュア達は敵本陣へと乗り込みます。
  
『その少年に憎しみの結晶を与えた』
 レッドが言う通り、虚ろな目を浮かべる誠司の胸元に、赤く輝く結晶が埋め込まれています。
『お前達には今から、愛する者と戦い傷つけ合ってもらう』
 よりによってプリキュアにバトルロワイヤルをさせようとは・・・・
 この男、どこまで性根がねじ曲がっているのでしょう。
 あまつさえそれが「真理」だと言い切り、愛は憎しみの前に無力だとうそぶきます。
 レッドの煽りを受け、誠司の瞳が赤く輝きました。
『誠司!私よ!お願い!しっかりして!』
 ラブリーの呼びかけも空しく、殺気を纏った誠司が襲ってきます。
『お前の愛を・・・消す!』
 プリキュアと誠司の戦いを高みの見物としけこむレッドの高笑いが響き渡りました。
『プリキュア。そしてブルーよ。私はお前達が憎いのだ。
 よって彼に与えた我が憎しみの力でお前達の心の中にある愛など、一つ残らず消し去ってやる!』

 胸の結晶を砕けば、誠司を助けることができる―
 ブルーの助言を受け、四人がかりで誠司に挑むも、彼はもともと空手の達人。
 そこに憎しみの力が加わった今、プリキュア達は圧倒的な強さでねじ伏せられました。
『プリキュアを・・・倒す』
 抑揚なくおうむ返しのように繰り返す様は、さながら戦闘機械です。
『わからないようだな。お前達の信じている愛など、所詮我が憎しみの力には敵わない』
『そんな事無い!私たちの力で必ず誠司を助け出して見せる!』
『そうよ!相楽君は私たちの大切な仲間なんだから』
『大切な人を想う力が憎しみなんかに負けるはずがない!』
『私たちの想いを誠司の心に届けて見せるんだから!』
 皆がそれぞれ誠司との日々を背景に、誠司に挑みかかります。
 ピンクの、黄色の、紫の、青の影が、誠司を象徴する赤い影と舞うように交錯し、
 ラブリーが上空からありったけの想いを込めて結晶を殴りつけました。
 呻く誠司、懸命の力をこめるラブリー。結晶間に迸るエネルギー。ところが・・・
『もっと憎しみの力を呼び覚ませ!』
 レッドが煽り立てると、誠司の力が増しました。
 ラブリーを吹き飛ばした余波が、全員を吹き飛ばします。

 倒れ伏すプリキュア達。それでも諦めず、懸命に呼びかけます。
『誠司・・・誠司!元の誠司に戻って!』
 しかし、虚ろな瞳にラブリーの声は届きません。
 レッドはそもそも憎しみの結晶に取り込まれたのは、お前達と一緒にいたからだと指摘します。
『お前達の心を常に支えてきた存在。しかし、彼の本当の気持ちをお前達は掬い取って来たのか?』
 失恋の涙を流すめぐみに寄り添ってくれた誠司。
 誕生日パーティでブルーに抱きついためぐみを遠巻きに眺めていた誠司。
 彼がどんな想いでいたのか、めぐみは知り得ませんでした。
『誰にも言えない気持ち。憎しみの結晶はそんな彼の心の影に反応したのだ。
 たった一人を救えないとは、お前達の言う愛など所詮その程度』
 目を覚ましてと訴えるラブリーの呼び声も空しく、
 誠司は冷たい瞳を湛えたまま、倒れた四人を見下ろします。
 そしてレッドの命じるがまま、渾身の一撃が振り下ろされました。

 粉雪が舞い始めました。本来ならばホワイトクリスマスのはずが、
 吹きすさぶ寒風に舞う粉雪はどこまでも冷たく、
『私たちにはもう、誠司を助ける事が出来ないの?』
 冷たい瞳で見下ろす誠司との間に流れるのは、寒風が風を切る音のみ。
 その静寂を、勝ち誇るレッドの声が打ち破ります。
『お前達の愛の力が、我が憎しみの力の前に敗れたぞ』
 先程の一撃の余波で傷を負ったブルーに、これでもかと罵詈雑言を畳み掛けます。
 ブルーが悠久の時をかけて育んできた愛そのものの星を壊し、絶望を与えに来た。
 愛など下らぬ幻想に過ぎない。
 愛の輝きは尊く美しく、人々の想いは幻では無いと反論するブルーを、レッドは鼻で笑います。
『力も無いくせにまだそんなきれいごとを。
 ならば俺は破壊と絶望によってお前の信じる全ての愛を消し去ってくれる』
『どうして私たちをそこまで憎むの!?』
『・・・もはや語る必要もあるまい』
 ラブリーの問いに答えず、レッドは天の彼方から赤い星を呼び出しました。
 それは地球へ向けて徐々に近づいて来ます。これが衝突した時、すべては無に帰す―
『絶望の産声がいま世界中に響き始めるぞ!』

 さらに赤い星から世界各地に無数のサイアークが降り注ぎました。
 パリ、ロンドン、カイロ、ニューヨーク・・・
 逃げ惑う人々の悲鳴と怒号が混じり、親から逸れた子の泣き声が響く、まさに絶望的な光景です。
『俺はあの赤い星で全ての終わりを見届けさせてもらう
 このまま素直に絶望を受け入れるか、それとも最後まで抗うか、お前達で決めるがいい』
 めぐみに冷たい瞳を向けたままの誠司と共に、レッドは高笑いを残して消えました。

 壊れたツリーの残骸。荒れた広場。
 めぐみの嗚咽だけが空しく響き、涙が滴り落ちる、
 これ以上ない敗北感に打ちのめされる少女達に、さらなる追い打ちがやって来ました。
 目の前にサイアークが現れ、無力なめぐみに向けて拳が振り落されようとしています。
 目に涙を溜めためぐみには、もはや避ける気力もありません。
 負傷したブルーやひめ達にも止めに入る力が無く、
 めぐみはただ自分を悔いながら涙を流す、無力の少女でしかありません。
『全部私のせい・・・私がもっと誠司の事を考えていれば、きっとこんな事にはならなかった・・・
 ごめんね、誠司』


 その時、空から一筋の光が降り注ぎます。
 顔を上げためぐみは、サイアークの攻撃をキュアテンダーが受け止めているのを認め、息を呑みました。
『お姉ちゃん!!』
 サイアークの拳に拳を叩き付け、テンダーはめぐみ達を一喝します。
『なぜ、諦めるの?なぜ、顔を背けるの!?あなた達が助けたい人って、その程度の人なの?
 誰かの事を思う力の強さ。それを私に教えてくれたのはあなた達のはずよ!』
 キュアテンダーが自分を取り戻したのは、フォーチュンだけでなくラブリー達の力もあればこそ。
 あの戦いの時を思い返しながら、テンダーは打ちのめされたプリキュア達に喝を入れます。
『奇跡は待っているだけじゃ生まれない。
 誰かを助けたい。その思いがあるならば、その奇跡はあなた達自身の手で起こすのよ!』
 赤い結晶に閉ざされてしまった、助けたい人の事を想い、めぐみはようやく立ち上がりました。
『そうだよね。やっぱり、私は元の誠司に会いたい。沢山言わなくちゃいけないこともある。
 だから、このまま諦める事なんてできない!誠司も、そしてこの世界も』

 ひめが、いおなが、ゆうゆうが、めぐみに続き再び立ち上がります。 
『まだ終わったわけじゃないよね!』
『僅かでも希望がある限り戦い抜かないと』
『みんなの幸せを守るため、そして元の相楽君を取り戻すために』

 再びサイアークの拳が振るわれようとした時、
 今度はキュアサンセット・キュアウェーブ姉妹をはじめとした
 各国のプリキュア達が救援に駆けつけました。
 そして今この時、世界各地でも、ニューヨークではボンバーガールズプリキュアが、
 パリではキュアアールが、エジプトではキュアナイルが、この星の人々を守ろうと戦っています。
 ハピネスチャージプリキュアにもらった勇気を、今度はお返しするために。
『誰かを守りたいと言う思いがある限り、プリキュアの魂はこんなところで負けられない!』
 世界中のプリキュア達の熱い想いを受けて、ハピネスチャージプリキュアが復活します。

 サイアークの拳に拳を叩きつけるラブリーの一撃を皮切りに
 ハニーとウェーブが、プリンセスとサンセットが連携し、
 フォーチュンとテンダーの姉妹が手を取り合って、サイアークを追い込みます。
 そしてイノセントプフィケーションの歌声が荒廃した町に響き渡り、サイアークを退けました。

 赤い星へと飛び去る四つの光。
 彼女達なら必ずやってくれると確信して、ブルーとプリキュア達が見送ります。
 そのためにも、地球に残ったサイアークを食い止めるのが、
 テンダーをはじめ各国のプリキュア達の使命です。
『信じてるわよ、みんな。あなた達が再び思いを合わせた時、必ず強大な力を打ち破るはずよ。
 それは私たちの想像をはるかに超えた、奇跡の力となって』
 妹たちが飛び去った空を振り返り、テンダーは胸の中でエールを怒りました。

『誠司、今ならあなたに言える。誠司がいたからここまで頑張って来られた。
 誰よりも私が守らなければならない存在だって気づかされた。
 私の一番大切な人はあなただって。だから必ず助け出すから、待っていてね、誠司』

 誠司と過ごした日々を胸に、ラブリーは決意を抱いて赤い星へと赴きます。


 人は知らずに人を傷つけるもの。
 それに気づくのは難しく、また傷つけられた方の責任感が強く、抱え込むタイプだと
 傷は一層深く重くなるものです。
 私などは些細なことで傷つきやすく、溜めこみやすい性格だと自認しており、
 過去にも色々と溜めこんで鬱を発症して休職した経験があります。
 それだけに誠司の気持ちが他人事とは思えませんでした。
 もちろんめぐみには一切悪気はなく、それを気づいたら素直に過ちを認められる子だと思います。
 しかしブルーとの一連の件の間、めぐみは少なからず熱に浮かされていました。
 思春期の少年少女なら一度は通るこの状態で、
 誠司の気持ちに気付けなかった事を責めるのは酷でしょう

 加えて誠司には「めぐみの幸せのためなら自分は身を引く事もいとわない」という
 言い方は悪いですが自己犠牲的な感情があり、
 さらにめぐみが望むなら自分はいなくてもいいと、一時期まで思い詰めていたようにも伺えます。
 自分がいなければ万事解決する、という感情は私も経験がありますが、
 そのような負の感情は内に内に向かい、自分を責めてしまうもの。
 それを発散する手段をレッドに与えられた後は、
 一転して外へ向かってしまった事が誠司の悲劇と言えそうです。
 空手のエピソードの時も取り上げられた事ですが、
 誠司は他人を攻撃したり、責めたりすることを良しとするような人間ではありません。
 そんな事ならばむしろ自分の存在を抹消した方が、というような危うさが時折見て取れます。
 だからこそ、望まずに得たとはいえ、
 感情と力を外へ向けられた時の憎悪と破壊力は凄まじいものがありました。
 守るため、支えるために求めた力であっても、
「力」は傷つけたり破壊したりするものになり得てしまいます。
 その危険性が、今回の誠司には現れていました。

 一方で、「力なき正義もまた無力なのですよ」という
 やや古い引用ですが、ダイの大冒険でのアバン先生の台詞も思い出されました。
 己の暗部を見せつけられても、失恋しても、戦う力を失う事までは無かっためぐみが
 誠司を失った後は完全に心折れ、諦観に囚われています。
 この時のめぐみは、ただの無力な少女でしかありませんでした。
 プリキュアの強さは物理的な攻撃力などではなく、どんな逆境に置かれても
 心折れても、そこから立ち上がる事が出来る「絶対に諦めない」という心の強さです。
 それを容易に取り戻せなかった事からも、
 めぐみの中で誠司が占めていたウェイトの重さ、それに彼女自身が気づけなかった事が伺えます。

 もっとも誰かを知らずに傷つける、誰かの存在が知らずに大きくなるということは
 反例として「誰かを知らずに助けている」「誰かを知らずに支えている」ということもあります。
 テンダーをはじめとした各国のプリキュア達(アロ~ハ以外はあまり関連性がありませんが(笑))
 にとっては、ハピネスチャージの4人が思っている以上に
「助けられた」事への恩が大きかったと思います。
 救援に駆け付けたプリキュア達には、当然打算などありません。純粋な善意と恩返しによるものです。
 めぐみがずっと「大好き」だった人助けにも、もちろん打算はありませんでした。
 この気持ちが巡り巡って、本当に苦しく辛い時に自分を支える力になってくれる。
 情けは人のためならず、を地で行く展開になったと思います。
 誠司が真に大切な人である事を悟り、戦う気力を取り戻して赤い星へ赴くラブリーの瞳は、
 己を責めていた無力な少女の目とは対照的に、力強さに満ちています。
 自分を責めても何も解決しません。
 己の過ちを受け入れ、物事を肯定的に、解決へ向けて動き出してこそ、
 人の行動には自信が生まれ、ひいては結果に繋がるものです。

 それにしても、レッド・・・
 この物語の結末と、彼にも辛い過去がある事を知った身で観返しても、
 やっぱりこの人(神?)、救いがたいド外道に見えてきます(苦笑)。
 ディスピア様の方が怖そうでやっている事もえげつない筈なのに、
 なぜかレッドを見ていると妙に殴りたくなる不思議(笑)。
 この後の再視聴で、彼の印象が再び好転するかもしれませんが・・・

 と言いながら、私も今回、妙なシーンに目を留めてしまいまして・・・
 不謹慎ながら、CM明け直後、誠司の攻撃を受けて変身解除されて倒れ伏すみんなの場面で
 半裸で仰向けに倒れているいおなが妙にセクシーでした。
 あれ・・・初めて見た時・・・ なんていうか・・・その・・・下品なんですが・・・フフ
 (何度目の吉良だ)
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MP

ダーク誠司との対決、当時は見ていても辛かったです。あんだけ仲良かっためぐみ・誠司がああなるとは。家族を狙ったり、「映画MH2」や「映画SS」みたいにプリキュア同士での戦いもありますが、こうなるとは。前半は大変でした。これに追い打ちをかける様に、大量のサイアークです!!

だが後半、テンダーが久し振りに登場、更にアローハを始めとする海外チームが励ましにやってきました。これで元気を出したハピチャ、本格的な決戦へ…というところで「つづく」の文字が出ました。そう。この回は年内最後の回。この後年末年始のため1週休止、「誠司との決着が着かないまま年越しかよ」と辛かったのを思い出します。
(それから比べりゃ、これから配信される「ゴープリ」はな)
by MP (2017-10-09 00:33) 

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