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魔法つかいプリキュア!第46話『魔法のクリスマス!みらい、サンタになる!?』 [魔法つかいプリキュア!]

 ハピネスチャージのクリスマス回冒頭でも触れた事ですが、
 プリキュアにおけるクリスマスはシリーズ最終盤にあたるため、重めの話が多いです。
 そんな中、例外はプリキュア5GoGo!でしょうか。
 サンタになってプレゼントを配りまわるという、ありそうでない展開が、8年ぶりに巡って来ました。
  
 魔法界にもクリスマスがありました。
 ・・・キリスト教がどこで伝わったのかはさておき、魔法商店街はクリスマスムード一色です。
 そして魔法界でもサンタさんがプレゼントをくれるようです。
 サンタに会いたいと言い出すことはに、リコはあっさりと会いに行こうと言いました。
 魔法界におけるサンタとは、例によって魔法使いです。
 というよりも、魔法商店街の店主達が手分けしてプレゼントを詰め、慌ただしく作業していました。
 その中にはグスタフさんやアイザック先生の姿も見受けられます。
 魔法界だけでなく、ナシマホウ界の子ども達にもプレゼントを届けるため、
 文字通り目の回るような忙しさ。とてもナシマホウ界のフィンランドに実在するサンタだけでは
 回り切る事などできなそうです。
『もちろん大変ですが、全ては子ども達の笑顔のため』
 笑顔で答えながらアイザック先生が荷物を持ち上げたその時、
「グキッ」
 鈍い音が響きました。案の定、アイザック先生はあえなくぎっくり腰に。
 年もそうですが、そんな持ち方したら誰でも腰やっちゃいますって(笑)。
 現実の物流危機のように、一人でも欠けたら配り切れないという状況を前にして、
 みらいがアイザック先生の代わりを志願しました。
『それなら、私たちが代わりにサンタさんやります!』

 みらいもリコも、子どもの頃サンタさんが来るのを楽しみに待っていた思い出があります。
『サンタさんになってみんなに夢を届けられるなんて、ワクワクもんだぁ!』
 だからこそ、今度は子ども達に夢を届けられる事が嬉しそうです。
 ことはも負けじと、張り切って袋にプレゼントを詰め込みました。
『はーちゃんが元気だから嬉しいんだよ』(久々の親心)
『みんなが一緒なら私はいつも元気だよ!』

 こちらは魔法界。クリスマスパーティへ向かう途中のまゆみと勝木さんが並んで歩いています。
 勝木さんは年甲斐も無く?「魔法使いに会わせてください」と、
 サンタさんにお願いの手紙を書いていました。無論、彼女は本気です。
『今まで魔法使いを見たとはいっても、遠くから小さく見えてただけでしょ?
 だからそれが魔法使いだと思い込んでただけで・・・』
 今まで見たのは宇宙人かもしれませんし、作りものかもしれません。
 まあ、宇宙人なら宇宙人で凄いものですが(笑)
『だから実際に本人に遭って確かめれば間違いないでしょ?』
 なぜそこまでこだわるのか、まゆみに問われた勝木さんは真剣に答えます。
『自分を信じるため』
 勝木さんは小さい頃からUFOや幽霊を目撃していたようですが、誰も本気で信じてくれませんでした。
 気付いたら、一人ぼっち。本にも、殆ど見間違えか嘘だと書いてあり、自信を失くす事もありました。 
『ということは、私はただの嘘つきなのかな?ううん、違う!私は確かにそれを見たはず!
 私は自分の見たものを証明するために前に進むの!例え誰も信じてくれなくても』
 そんな勝木さんに、まゆみはきちんと耳を傾けてくれます。
『今の話、きっとサンタさんにも聞こえたよ』
 彼女はもう、一人ではありません。

 みらい達の準備も整い、いざ出発!
 そりを牽くのがトナカイではなく、初心者向けのエスカーゴというのが拍子抜けですが、
 意外とちゃんと走ってくれました。三人の担当地区は魔法商店街。
 配る時は煙突に入るのではなく、魔法のアイテム「おとどけソックス」での配達です。
 配達は順調に進み、予定より早く終わりそうだと思ったところに、子供の泣き声が聞こえてきました。
 せっかくのクリスマスなのに、部屋の片づけを巡ってお母さんとケンカしてしまった女の子に、
 みらいは「サンタとして」話しかけ、優しく諭します。
『ママにごめんなさいはしたのかな?』
 女の子からサンタに宛てた手紙には「ママとクッキーを焼くためのエプロンをください」
 と書いてありました。本当はお母さんのことが大好きな女の子の頭を撫で、片づけて謝ろうと促します。
 勇気を出してお母さんに謝りに行った女の子に、
 メリー・クリスマスの言葉を添えて、みらい達はプレゼントのエプロンをあげました。

 魔法商店街の配達を終えたみらい達は、続けてナシマホウ界の追加配送を受けました。
 しかも行先は津成木町。
 さらに速度を増したカタツムリニアでナシマホウ界に到着し、いざ配ろうとした時、
 エスカーゴがカタツムリだけに肩が凝った、などという理由でサボタージュ。
 殻に入ってしまいました。これでは配達が間に合いません。
 みらい達はそりではなく、ほうきに乗って配りに行くことにしました。

 その姿は、パーティ帰りの勝木さんとまゆみに目撃されました。
『ほうきで飛んでる・・・魔法使いだ!』
 鳥でも飛行機でもタケチャンマン(古)でもありません。それはまぎれもなく魔法使いです。
『かな!早く追いかけなきゃ』
 まゆみに促され、勝木さんは力強く頷き、走り出しました。

 ナシマホウ界ではお届けソックスが使えず、今の日本の標準家屋には煙突や暖炉などありません。
 どうするのかと思いきや、普通にインターホンを鳴らして玄関から入るという、斜め上の方式です。
 しかも親御さんもサンタが訪ねてくる事をしっかり理解しているという想定外っぷり。
 あの、ここナシマホウ界ですよね(笑)
 ともあれ、世界は違えど子ども達がプレゼントに胸躍らせるのは変わりません。
『サンタさんのプレゼントを待ってワクワクする気持ちは、
 魔法界もナシマホウカイも同じなんだなって、なんか嬉しい』


 魔法使いを見失ってしまった勝木さん達の前に、ベニーギョ様が来襲します。
『今、魔法使いって言った?』
 みらいの口癖を引用して?登場したベニーギョ様の、赤基調の姿を見て、勝木さん達はサンタと誤認。
 二人の想像上では、ベニーギョ様が可愛らしくメリクリ~♪などと言っていますが、
 その本性は冷酷!残忍!
 業を煮やし、魔法使いの居場所を教えろと襲いかかってきます。
 勝木さんとまゆみが襲われている事に気付いたみらい達は、ルビースタイルに変身。
 ほうきに乗って駆けつけました。

 プリキュア登場と見るや、ベニーギョ様もクリスマスツリーとゴミバケツでドンヨクバールを生成。
 フェリーチェは勝木さん達に逃げるよう促しますが、まゆみは足がすくんで動けません。
 そこに襲い来るドンヨクバールのゴミ袋乱射をピンクトルマリンの力で受け止め、
 その間に勝木さん達を逃がしました。
『こんなことしてる場合じゃないのよ。今日の私たちは』
『みんなにワクワクを届けるサンタさんなの!クリスマスを最高に楽しい日にするんだから!』
『クリスマスはサンタさんが子供たちにプレゼントをくれるんです。そしてみんなが笑顔になるんです』
 プリキュア達の熱意を鼻で笑うベニーギョ様。
 ところが「プレゼント」にドンヨクバールが反応しています(笑)。
『おあいにく様!プレゼントをもらえるのは良い子なのよ』
『物を散らかしっぱなしにするような人はプレゼントをもらえません!』
 周囲に散乱するゴミ袋を指すと、今度は泣きだすドンヨクバール。
 ベニーギョ様も突っ込まざるを得ません(笑)。
『良い子はちゃんと片付けます!』
 戦いの途中に、ほうきでゴミ袋をまとめるフェリーチェ、というシュールな図の後
 そのゴミ袋をドンヨクバールへ叩き付け、エクストリームレインボーをプレゼントしました。

 プリキュアの戦いぶりを初めて見届けた勝木さんに、
『あ、あの!魔法使いですか!?』
 去り際に聞かれて蒼白になるミラクル達。
『魔法使いですよね?私、ずっと魔法使いを探してたんです。だから・・・』
 勝木さんの質問攻めに、答えに窮していると、困っていると察したまゆみが勝木さんを制しました。
『えっと・・・魔法使いには決まりがあって』
『正体は秘密にしなくちゃいけないの』
『わかりました!誰にも言いません!約束します!』
 勝木さんはあっさり引き下がりました。
『私は魔法使いさんが本当にいたってわかっただけで十分なんです!』

『良かったね、かな』
『最高のクリスマスプレゼントになったよ』
 念願の魔法使いに出会えたこと。それ以外にもわかった事がありました。
 まゆみの手を握り、勝木さんは小声でささやきます。
『やっぱり信じてくれる人がいた方がいいなって』
 
 翌朝、嬉しそうにプレゼントを手にする子ども達の姿を見て、
 サンタを務めた甲斐があったと微笑むみらい達。
 家に帰ると、みらい達にもプレゼントが届いていました。
 それはアイザック先生からのお礼で、中身はクリスマスケーキです。
 プレゼントをもらって喜ぶ子ども達と同じく、みらい達も笑顔を浮かべました。


 終盤にこういうエピソードも悪くないです。いや、むしろほっとします。
 冒頭で触れた通り、クリスマスは終盤の山場にかかる時期のため、
 その代わりに近年ハロウィンをプッシュしたのかと思いますが、
 やはりオジサンにはハロウィンはなじみ辛く、こちらの方が安心感があります。

 みらい達のサンタ服の可愛らしさや、魔法界とナシマホウ界での配り方の違い等
 このシリーズならではの見どころも楽しめます。
 かわいいと言えば、サンタ服に身を包んだみらい達の後ろで
 がんばって袋を背負おうとしているモフルンの動きが、
 なんだか柔道の練習してるみたいで楽しめました。
 あとは想像上とは言え、ベニーギョ様のサンタ姿!!!!
 メリクリ~♪とか言っちゃったりして、さすが(中の人が)17歳です。
 少なくともシタターレ姐さんのサンタよりは若く見えました(笑)。
 それにしても魔法界の生き物って、相変わらず気色悪いですねぇ・・・
 おとどけソックスの原料である、幻獣オトド。
 あんなのが向かってきたら、私なら逃げます(笑)。

 さて、そんな楽しげな話にも、しっかりと教訓を盛り込んでいるのは流石です。
 まずはお部屋の片づけをきちんとすることと、
 叱られたらその理由をきちんと省みて、悪い事は謝るということ。
 クリスマスだからといって、何でも許されるというものではありません。
 叱られた事は素直に受け入れて、お母さんにごめんなさいを言わせる勇気を
 みらいは目線を合わせて諭すことが出来ています。
 普段は子供っぽく見える彼女も、この女の子から見ればお姉さんです。
 そしてテレビの前でプリキュアの活躍に胸躍らせる大きなお友達
 子ども達にとっても、みんなは頼れるお姉さんです。
 そうした「子ども達の憧れの姿」が、端的に描かれていたと思います。
 エスカーゴがヘバると見るや、ほうきで配りに行く発想がすぐに出てくる柔軟性も
 初期からぶれない「考えるより、動かなきゃ」が現れていました。

 片付けの大切さについては、コミカルな戦闘シーンでも活かされていました。
 まさかドンヨクバールが散らかしたゴミ袋をほうきでせっせとかき集めるとは(笑)。
 泣きだしてしまうドンヨクバールと、それに突っ込むベニーギョ様、
 という光景も、特に後半の敵達は無機的な印象だったため
 意表を突いていて楽しめました。

 そして今回は勝木さんが主役とも言える掘り下げられ方をしています。
 彼女が超常現象を追い求める理由は、人になんと言われようとも、思われようとも
「自分を信じる」
 という強い信念に基づいています。
 傍から見れば痛い子かも知れません。下手すればキバヤシになりかねませんし(笑)。
 いや、現に痛い子と認識されていたことが、「気が付いたら一人になっていた」
 というモノローグに現れています。
 この場面、勝木さんの性格ゆえにさほど重く感じられませんが、
 夕陽が差し込む教室に、黒板に大きく描かれたUFOと幽霊、
 それに大きな×が書かれている、という描写は、
 プリキュアシリーズでは非常に珍しいものです。
 制作側も、「いじめ」という表現を使いたくなかったと思いますし、
 相当オブラートにくるんだ描写ですが、これが何を意味しているのかは明白です。
 これに近い描写は、スマイルプリキュアの体育祭での、
 やよいに向けた陰口くらいでしょうか。
 しかし勝木さんの凄いところは、それで折れることなく
 一層自己を肯定し、信じる道を行こうとする強さです。
 それはこれから過酷な最終決戦に挑もうとするプリキュア達の背後で、
 クラスのみんなも身近なところで、
 それぞれの戦いをしているという事を描いたのかもしれません。

 もっとも、勝木さんは生まれた時代が遅かったかもしれませんね(笑)。
 80年代に多感な時期を過ごしていれば、矢追純一とか川口浩とかに胸躍らせ、
「ムー」を読みふける子になったかもしれませんが(笑)。
 子供の頃の回想シーンで、宇宙人グレイのTシャツを着ているセンスが素晴らしいです。

 そんな勝木さんに寄り添うまゆみの存在も効いています。
 以前、まゆみの恋愛エピソードでは勝木さんがまゆみを支えました。
 そのお返しと言えるように、まゆみは勝木さんを「信じて」います。
 そしてラストシーン。ずっと追い求めていた魔法使いに間近で接したことを
 まゆみは「クリスマスプレゼント」だと言っています。
 勝木さんは『最高のクリスマスプレゼントになった』と答えていますが、
 これは魔法使いに出会えた事ではなく、信じてくれる友達の存在に気付いた事が
 本当のクリスマスプレゼントだという意味での答えだと思います。
 それでもちょっと照れて小声で囁くという、
 素直じゃないところが勝木さんの可愛さが出て良かったです。
 
「全ては子ども達の笑顔のため」
 アイザック先生は開始早々ぎっくり腰で退場する直前にこう言っていました。
 プリキュアシリーズも毎年キャラクターや設定、世界観を変えながら長く続いて来ました。
「女の子だって暴れたい」という当時の常識では考えられない発想から生まれた企画も、
 突き詰めれば「子ども達の笑顔のため」だったことでしょう。
 過酷な戦いが待ち受ける展開前のクリスマスプレゼントのような、
 楽しく優しいエピソードでした。
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悩める父メフィスト

順調なご視聴・ご投稿 なによりです。
そうなんですよね、楽しい「だけの」クリスマス回、珍しいですよね。 まあ、魔法つかいらしいといえばらしいですが^^。 リアタイのときは 11月頃は「??」な感もありましたが、12月くらいに「ああ、今作はこうなのね」という感じで 微笑ましく観ていた記憶があります。

勝木さん いいキャラしてますね~。

by 悩める父メフィスト (2017-10-18 23:19) 

スティクス

>悩める父メフィストさん
いえいえ、最近はいろいろ忙しいのと
終盤のエピソードは重量級ぞろいで更新に手間取っておりまして・・・
10月には終わると思っていたのですが、
この分だと11月いっぱいはかかりそうでs。

>魔法つかいらしい
なにせ最終回が型破りでしたからね(笑)
私もシリーズ前半や、後半に入ってからの子供化など
リアルタイム時には戸惑ったものですが、
45話と49話を観て考えが変わりました。
そしてこの再視聴を経て、このシリーズならではの楽しみ方を
改めて掴んだ気がします。

>勝木さん
まさかこのクリスマス回の主役級扱いになろうとは(笑)
矢追純一が活躍していた時代の空気を教えてあげたいものです。
by スティクス (2017-10-20 22:48) 

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