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Go!プリンセスプリキュア 第47話『花のように・・・!つよくやさしく美しく!』 [Go!プリンセスプリキュア]

 スマイルプリキュアには「怠け玉」というトラウマ級のエピソードがありました。
 生気のない目、かつ笑顔のままという表情の不気味さもさることながら、
 目標を失った人間はこうも緩んでしまうのかと戦慄したものです。
 今回のはるかもそのように骨抜きにされてもおかしくない状況ですが・・・
 なぜ、彼女達は戦うだけでなく「レッスン」を受けて来たのか。その答えが、ここにあります。
  
『今年もプリンセスに向けて前進あるのみ!』
 シャットさんではありません(笑)。
 はるかは本棚から彼女にバイブル「花のプリンセス」を取り出して、年頭所感を述べました。
 紅茶のレッスンに合格してからも練習に励んだ成果をみんなに振舞ったり、
 寒風吹きすさぶ中、花壇の様子を見に行ったりと、実際に行動が伴っています。
 花壇には、雪と寒風に耐えながら、健気に芽を出した花が咲いていました。
 花の名前はスノードロップ。花言葉は「希望」です。

 炎、星、海の城が甦り、あとは花の城を残すのみ。
 ディスピアもさぞ苦々しく思っているだろうと思いきや、思わせぶりな笑みを浮かべています。

 時同じくして、カナタから花の城へ来てほしいとの連絡が入りました。
 ゆいちゃんに見送られて出発するはるか達。
 花の城はまだ開放されていないのに、茨が無くなっています。しかし目覚めた気配もありません。
 怪訝に思っていると、青い小鳥が、プリンセスと呼びかけながらはるかの周りを飛び回りました。
 その鳥は「花のプリンセス」に登場する小鳥そのものです。
 鳥ははるかにしか見えていないようで、みなみ達は怪訝そうにしています。
 皆の目の前ではるかは鳥の後を追って、花の城の扉へ飛び込んで行きました。
 扉の先には、花が咲き乱れる美しい庭園が広がっています。そして・・・
 背後で茨の扉が閉ざされる音がした事に、はるかは気づいていません。

 気付いていないどころか、はるかはいつの間にか花のプリンセスの衣装に身を包んでいました。
 さらに白馬に乗った王子様が迎えに来るという、ベタベタな展開が待っています。
 青い鳥にようやく王子様のもとへ辿りついたと言われたはるかは、微かな違和感を抱くものの、
 王子の笑顔と「プリンセスとして扱われる事」に、次第に酔い始めました。
 宮廷舞踏会に豪華な晩餐。町に出れば民に祝福され、寝床は天蓋付きのいわゆる「お姫様ベッド」。
 まるで絵に描いたようなプリンセスの暮らしぶりです。

 気持ちの良い朝、テラスに出たはるかに、メイドが紅茶を淹れてくれました。
 それを見て自分でお茶を淹れようとしたところ、やけどでもしたら大変だと王子に引き留められます。
 レッスンをしたから大丈夫と言っても、王子はレッスンそのものを否定します。
『レッスンが必要ない・・・?あれ?私レッスンなんていつやったんだっけ?』
『あなたはただ笑顔でいてくれれば、それでいいのです』
 王子が差し出した焼き菓子の美味しさに、微かな疑念も飛んでしまいました。

 その頃花の城の外側では、残されたみなみ達の前にディスピアが現れました。
『キュアフローラはこの城で夢を叶えた。お前達の事など忘れ、自ら望んだ幸せの中に落ちたのだ。
 もうその夢からは出て来まい。永遠にな』
 ディスピアが作り出したメツボーグ、そしてストップとフリーズが、皆に襲いかかります。

 そうとも知らず、はるかは未だ夢の中。王子の駆る白馬で森を抜け、美しい花畑にやってきました。
『どんなに花が美しくとも、あなたの美しさには敵いません』なにこの歯の浮く台詞w
 照れて目を逸らしたはるかは、足元が少し寂しいことに気付きました。
 青い鳥が持って来た花の種を受け取ると、種はひとりでにはるかの手を離れて地に落ち、
 瞬時に花を咲かせます。その光景に、はるかは不審感を抱きました。
『どうしてすぐに花が咲くの?』
『なぜそんなことを。花が咲いたのだからそれでいいでしょう?
 種はすぐに花を咲かせ、永遠に枯れない。ここは幸せ溢れる国なのだから』
 美しい城に素敵なパーティ。おいしいお茶に枯れる事の無い花畑。
 これ以上何を望むのかと、青い鳥はこの夢の世界の素晴らしさをアピールします。
 しかし、果たして自分で望んだものなのか。
 再び花畑へ目を向けると、確かに花は美しく咲いていますが・・・はるかは疑念を抱きました。
『花は、こんなふうに咲いた?』
 寒風に耐え、懸命に芽を出したスノードロップの姿が、思い浮かんできます。
『違う。これは花なんかじゃない。綺麗に咲くから美しいんじゃない。
 花が美しいのは、土に根を張り、太陽の光へ芽を伸ばし、寒さに耐え、葉を広げ、
 そうやっていつか美しく花を咲かせようと頑張るから。自分の力で精一杯努力して!』

 すると花畑は塵と化して行きます。広がる灰色の世界。ただはるかと青い鳥だけが、色づいています。
『何が不満なのです?あなたの夢はプリンセスになる事でしょう?』
 青い鳥は歪んだ笑顔で語りかけ、あとずさりするはるかに続けます。
『プリンセスになって幸せに暮らす。それがあなたの夢。夢が叶ったのですよ?』
『違う!私の夢はこんなプリンセスじゃない!
 何の努力もしないで叶う夢なんて、夢じゃない!』

 花畑は完全に消失し、王子の姿も消えました。辺りは暗闇に包まれ、灰色の花弁が舞い散ります。
『ディスピア様の作戦は失敗か・・・』
 青い鳥の正体はクローズでした。
『だがこんな予感はしていた。お前の夢は俺が潰してやる!』

 変身すると同時に、フローラは花の城から飛び出し、クローズが後を追います。
 マーメイド達が驚き見上げる前で、クローズと一対一の戦いを繰り広げるフローラ。
 ところがそちらに気を取られたマーメイド達は隙を突かれ、メツボーグに全員絡め取られました。
 あのまま幸せに暮らしていればよかったというクローズに、フローラは拳を突き合わせて反論します。
『あんな世界ちっとも幸せじゃない!やれることは自分でやりたい!
 そのためにレッスンだってやって来た。それがきっと私の夢に!
 本当のプリンセスに繋がっているから!』

 妖精達とシャムール先生が見守る前で、互いに譲らぬ戦いが繰り広げられています。
『お前の夢って何だ!?本当のプリンセスって何だ!?キーが全部揃ってるのに
 未だにグランプリンセスにもなれてねえ。どうすればなれるッ!?いつなれるッ!?』
 言葉に詰まるフローラに、クローズは追い打ちをかけます。
『お前の夢なんて本当はどこにもない。終わりの無い夢をお前は追い続けてるんだ!』

『終わりが、無い?』
 目を見開くフローラを茨に叩き付けて、クローズは追い打ちの光弾を放ちました。
 しかし煙が晴れると、フローラはそれを受け止め、掻き消しています。
『終わりがない。そう、私の夢に終わりなんてないんだ。
 私の夢は大地に咲く花のように、強く優しく美しくある事。
 たとえどんな苦しみや悲しみの中にあっても、ずっとずっといつまでも、
 強く優しく美しくあり続ける存在。それが私がなりたいプリンセス!』

 いまさらクローズに何を言われても、フローラの夢は揺るぎません。
 サクラトルビュランスでマーメイド達を縛る茨を消し去り、メツボーグを丸裸にしました。
 そして解き放たれたみんなと一緒に、グランプランタンでメツボーグを撃退します。

 花の城が目覚めると、ホープキングダムを覆っていた茨は消え失せ、美しい国土が甦りました。
『強く優しく美しくあり続ける、ね』
『何事も自分の力で成し遂げていく。それがプリンセスへの道』
『私たちがやって来たレッスンもそのためだったのかも』
 その答えを出したプリキュア達を、シャムール先生はもう教えることは無いと称えます。
『ユー達、とっても素敵なプリンセスになったわね』
 あとは絶望の扉の向こうへ封じられた民の夢を解放すれば、万事解決。
 しかし扉を開ける事が出来るのは、グランプリンセスだけ。未だ彼女達にその資格はありません。
 
 突如、轟く雷鳴と共にディスピアの声が響きました。
『見事だプリキュア。いいだろう、ホープキングダムはお前達に返そう。だが絶望は止められぬ』
 言葉通り、確かにホープキングダムからディスピアの気配が消えています。
 そして、ディスピアがやって来たのは・・・ノーブル学園。
 みんなの学び舎を舞台に、最終決戦が始まろうとしています。


 このエピソードが中盤、あるいは38・39話の前にあったとすれば、
 冒頭で触れた「怠け玉」のように、はるかが立ち直るのは困難だったことでしょう。
 それだけ観ている側にとっても、はるかにとっても、あの38・39話の試練が大きかったと思います。
 あの難局を乗り越えたのですから、これしきの事で折れるような子ではないと
 はるかの歩みを見届けて来た者なら安心して観られた事でしょう。
 トワに始まり、きらら、みなみと、間にゆいちゃんとシャットさんの話を交えて続いた終盤の展開は、
 いずれもそれぞれの夢と、これから先の人生を考えさせられるものでした。
 その間はるかは一歩引いたように描かれ、改めて見返してみると、
 39話以降はるかが表だって活躍したエピソードが見受けられません。
 それは、これから夢についての話をまとめていく他のみんなとは異なり、
 自分の夢を見つめ直し、原点に向き合う事が出来たはるかは
 みんなを後ろから支えて見守る役目を務められる立場になったという事だと思います。

 そして「花のプリンセス」がどういう物語なのか、
 そこに描かれているプリンセスや青い鳥がどんな性格だったのか、
 はるかだけでなく視聴者も既に共有しています。 
 青い鳥は花のプリンセスを妬み、策にはめて茨に閉じ込めるという悪行を犯しました。
 しかしプリンセスの優しさに触れて己の行いを悔やみ、謝罪したと語られています。
 実は初見時、今回登場する青い鳥の正体がクローズだったというのを観て、
 策にはめて閉じ込めるというところは共通していたので、
 まさかクローズとの決着がこうなるのではないかと考えた事がありました。
 さすがにそれはありませんでしたが、倒したり封じたりするのとは異なる結末は、
 新たな「花のプリンセス」の物語を描き出しているようにも思えます。

 クローズは自分で自覚していないかもしれませんが、
 はるかの事を良く観察し、彼女のことを良く理解しています。
 例えば今回、はるかが花畑の幻影を見破った際にも「こんな予感はしていた」と言っています。
 まるではるかがこの程度の策にひっかかる相手ではないと認めているようです。
 終わりがない夢を追い求めていると糾弾しながら戦う場面でも、
 安楽な世界に浸らせることで、ゴールの見えない戦いを諦めさせ、無用の苦労をさせないというような
 妙な優しさを感じ取ってしまいました。
 それにしてもあの青い鳥の口調や猫なで声をクローズが演じていたと思うと、ちょっと笑えます。

 ともあれ、夢にはもともと終わりはありません。
 夢は叶えるよりも叶えた後にその道を歩み続けていく事のほうが難しいものです。
 例えばきららはトップモデルの夢に、現実的に手が届く距離まで来ていますが、
 その後は常にトップに立ち続けなければなりません。
 みなみの能力からすれば、海の獣医という夢を叶えることも可能ですが、
 その後どんな研究をして、それをどう役立てていくのかを考える必要があります。
 トワも王家の一員としての責任を引き受けていくことになります。
 はるかは今回、私の夢に終わりなんてないと断言しています。
 誰に言われるまでもなく、彼女は既にその事に気付いていたからこそ、
 空虚な幻に取り込まれる事無く立ち直れたのでしょう。
 夢を追う事だけでなく、ただ日常を生きる事だけでも大変なものです。
 寒風に耐えて芽を出した花もそうだったように、容赦ない痛みが常に押し寄せてきて、
 そんな時には安易な現実逃避をしてしまいがちです。
 現に最近の私もその傾向があり、今後の人生や会社での生き方など、いろいろと考え込んでいました。
 近いうちに人生の決断をするかもしれませんが、かつて39話の感想で触れたように、
 今回や39話を観かえした時に、はるかに恥じない選択をして決断したいと思います。

 さて、ディスピアがノーブル学園にやってくるという事態で
 このシリーズもいよいよ最終決戦に差しかかります。
 日常回が見やすく書きやすいというものでもないのですが、
 やはり終盤のエピソードは見応えがあって気楽に流し観できず、
 更に更新ペースが落ちるかもしれません。
 それでも「終わりの無い夢」を追う少女達の物語の「終わり」に向けて
 少しずつでも書き進めていく予定です。気長にお待ちいただければ幸いです。
 
 それにしても予告のシリアスで緊迫感あふれる雰囲気を一瞬でブッ壊すらんこパイセン、流石です(笑)
 そして兵庫県のさゆきちゃんが描いたトゥインクルが上手すぎました(笑)
 本編終了後に思わぬところで目を惹いてしまいました。
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MP

年が明けラストに次作「まほプリ」予告が出る中の放送。残るは「花の城」となった話。

はるかがカナタに導かれて城へ行きプリンセスへ。でもその直後で、これはディスピアの企みである事はもうバレバレでした。そうとは知らずにはるかはすっかり上機嫌、はてどんな事でバレるのかと見れば、花が急激に咲くという意外な事でした。

でもこの後のクローズとの戦闘、クローズの「終わりが無い」の台詞を聞き、これが最終回のあの結末(つまり第2のベール)になろうとは。

「ゴープリ」も残り3回、「ハピチャ」は2回、そして「まほプリ」もあと4回です。随分進みました。
by MP (2017-10-24 11:23) 

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