真琴が映画に出演、それも白雪姫で主演という大抜擢にマナ達は浮足立ちました。
白雪姫が真琴なら、意地悪な女王役はダビィ?などと茶々が入りますが、
相手役は飛ぶ鳥を落とす勢いの若きクイーンこと、おおとり環。
まあ、確かにちょっとDBに似てるんですが(笑)
ともかく「クイーン」と称される環に期待を抱いていた真琴ですが、
実際本人に会ってみると、挨拶もそこそこに「足を引っ張るな」などと冷たくあしらわれ、
まさに意地悪な女王みたいな人だったと、ダビィはその時の事を思い出して憤慨しています。
その傍らで、真琴は机に突っ伏して寝ていました。
撮影で忙しいだけでなく、深夜まで王女様を探していると聞いて、
マナと六花は、知らないところで真琴が一人頑張っていた事を知りました。
マナ達は真琴が頑張りすぎているのではと案じ、
何か手伝えるかもしれないと撮影所に同行します。
ところでありすは妙に撮影所の雰囲気になじんでいますが、それもその筈。
ここは「四葉撮影所」でした。
さてマナはといえば、廊下で俳優の高倉裕次郎とすれ違いざまに挨拶を交わし、
大俳優から挨拶を返されてキュンキュンしまくり、早くも暴走気味です。
それでもその元気は真琴にも伝わり、良い方向へ作用しそうです。
『よし!仕事も王女様探しも頑張る!』意気込み新たにスタジオ入りする真琴。しかし・・・
リハーサルが始まり、意地悪な女王役のおおとり環は流石の貫録です。
しかし真琴はリハーサル中にもかかわらず、王女の消息に気を取られていました。
次のシーンの打ち合わせ時にもスタッフの指示を聞き逃し、
我に返って頭を下げる真琴を、DBも心配そうに見守ります。
マジョリーナ老婆に扮した環が毒りんごを差し出す場面に差し掛かりますが、
白雪姫の真琴は演技に集中できていません。
言うべき台詞を流してしまった真琴に、環の辛辣な言葉が突き刺さります。
『前々から思ってたんだけど、あなた演技に集中してる?
何か別の事考えてるんじゃない?正直あなたにはがっかりだわ』
袖で見守るマナと六花は真琴を心配していますが、ありすだけは違いました。
『それでは女優さんは務まらないですわ。
舞台に立った瞬間から、あそこにいるのは真琴さんでは無くて白雪姫なのですから』厳しくも的を得たありすの指摘に、マナと六花も納得。再びリハーサルが始まります。
『しっかりしなきゃ。演技に集中しないと』台本を握りしめ、決意を新たにする真琴。
しかし残念ながら意気込みとは裏腹に、実力がついてきていません。
王子への想いを独白する場面を演じる真琴に、
それが心から会いたいという顔なのかと舞台袖の環が注文を付け、再び中断しました。
『あなた練習不足なんじゃない?台本きれいすぎだもの』
事実、環の台本は読み込まれてボロボロで、付箋がびっしりと貼られています。
『大勢のお客さんがこの映画の完成を楽しみにしてくれているの。やる気がないなら帰って頂戴』
楽屋で打ちひしがれている真琴とは逆に、
DBは途中でダビィになりながら環への不満をブチまけました。
『何なの!おおとり環ったら!!白雪姫の女王より意地悪ビィ!』
マナ、六花、ありすそれぞれ頑張りすぎる真琴を心配しています。
事実、その夜も真琴は王女探しに繰り出して、翌朝早くから撮影に臨み、
学校で疲れ切って寝ています。
マナ達も真琴が一人で頑張っているのに、じっとなんかしてられません。
楽屋でDBも真琴を気遣い、本当に辛いなら辞めてもいいと切り出しますが、
真琴は環の言っている事が正しいと認識していました。
事実、映画の完成を待ち望んでいるファン(というか親衛隊ですが)が、真琴を応援しています。
そして自分の台本を環のそれと比較して、自分がまだ至らないと感じていました。
DBは真琴を、王女だけでなく応援してくれる人もちゃんと見られるように変わったと評します。
『だったら、王女様探しは私たちに任せて!』『私達まこぴーの力になりたいの』『仲間ですもの』マナ達の申し出を受けて、真琴はロイヤルクリスタルを託しました。
安心してお仕事頑張ってと言われ、笑顔で頷き、スタジオ入りする真琴。
『よし、今はお芝居に集中しよう。環さんに負けていられない。
陰で支えてくれているスタッフさんのためにも、一緒に頑張ってくれている仲間達のためにも』環が見つめる前で、先日の王子を想うシーンがスタートしました。
この前とは打って変わった出来栄えに、監督も満足そうですが、
『まだよ。もっと、あなたならもっとやれるはずよ』
その環の心の声に応えるように、真琴はやり直しを申し出ました。
真琴の意気込みに満足げな表情を浮かべる環。
そして真琴はアン王女を想う気持ちをそのまま叩きつけたような芝居を披露します。
その頃、ジコチュートリオはレジーナに手を焼いていました。
とうもろこしが食べたいという彼女のために用意した焼きもろこしを拒まれ、
こってり香ばしいバターコーンが食べたいと言われても、そんなの言われなきゃわかりません。
レジーナは私好みのバターコーンみたいな子を求めて出て行きました。
ついに、彼女が動き始めます。
マナ達の方も、王女様は見つかりません。
そこにシャルルを通じ、明日のクランクアップを見に来て欲しいと
真琴からのメッセージが届きました。
鏡に向き合い、白雪姫への嫉妬を燃やす環の演技は、リハより一層磨きがかかっています。
さながら
フローラへの嫉妬を燃やすアナコンディさんのような迫真の演技に、
真琴も改めて圧倒されますが、その撮影はレジーナの突然の闖入によって中断されました。
ワガママな香りを辿ってきたらここに着いたと環を指さし、
あなたのご主人様になってあげると芝居がかった物言いのレジーナを前に、
無論環は平然となどしていません。
環を庇うように割って入る真琴に出て行くよう言われたレジーナは
環のプシュケーを強制的に黒く染め上げ、鏡のジコチューを産み出しました。
『どうして?環さんは自己中でもなんでもないのに』愕然とする真琴に、自己中じゃない人間などいないとうそぶくレジーナ。
もっとも、彼女の魔力をもってすれば誰でもジコチューに出来るようです。
鏡ジコチューは反射光で衣装や台本を燃やし、スタジオを荒らし始めました。
環とスタッフ達はセバスチャンが安全なところへと誘導し(流石です!)
駆け付けたマナ達と共に真琴も変身します。
鏡の反射光攻撃をかわし、スパークルソードの速攻で決めようとしますが、
『カーット!』
ソードはレジーナの声に条件反射のように攻撃を止めてしまい、
そこに反射光攻撃が襲いかかります。その攻撃はロゼッタリフレクションが弾き、
続いてダイヤモンドシャワーで動きを封じました。
ソードは一人で戦っているのではありません。
続けてハートシュートで一気に仕留める!
と思いきや、レジーナの生み出したジコチューには、ハートシュートが効きません。
一転、窮地に立たされる四人。それでもソードは負けていません。
『四人で一緒にやってみよう!一人じゃできない事も、四人の力を合わせればきっと・・・
みんなが私に教えてくれた事だよ』ソードが差し出す手を取って、ハートが立ち上がり、
ダイヤモンド、ロゼッタも続いて四人手を繋いで立ち上がります。
丁度
とってつけたように登場したアイちゃんによって新たなラビーズがもたらされました。
それをアローにつけての四人同時の弓矢の攻撃、
ラブリーフォースアローによってジコチューは撃退され、
無事に環のプシュケーも戻り、荒された撮影所も元通りになりました。
不意に拍手が鳴り響きます。拍手の主はレジーナ。
『私のジコチュを倒すなんてすごーい!』
前にも会った事があると訝るハート達に、レジーナは改めて名乗りました。
『私はレジーナ。キングジコチューの娘よ』
衝撃を受ける四人。特にソードの受けた衝撃は大きいです。
それをはぐらかすように、レジーナは軽いノリで引き上げて行きました。
撮影はあの後無事に終わり、真琴は環とともに試写会の舞台挨拶に立ちました。
応援してくれた皆様やスタッフだけでなく
「頑張り屋さんでひたむきな、かけがえのないパートナー」への感謝を述べる環の舞台挨拶に、
そして一生の思い出に互いの台本を交換しようと申し出てくれた事に、真琴は感極まりました。
その時ロイヤルクリスタルが光を発し、
台本から紫色の新たなロイヤルクリスタルが、まるで呼び合ったように姿を現します。
「アイドルな日々」というより「女優な日々」じゃないかと思いましたが(笑)
それはさておき、今回はプロ意識というものについて考えさせられました。
似た立場で真っ先に挙げられるであろう、うららと比較すると、
真琴のいわゆる「脇の甘さ」が目に留まりました。
女優志望だったのにもかかわらず、歌手デビューをしなければならなかったうらら、
対して既にアイドル歌手としての立場を築きながら、女優の仕事をしなければならなかった真琴。
もちろんうららも、
人知れず悩み、迷い、苦しみながら少しずつ成長を遂げて来ました。
しかし、
オーディションの途中で飛び出した事を除き、
仕事に対して上の空だったことは無かったと記憶しています。
そもそも、女優が夢の到達点だったうららと、
アン王女を探すための手段として芸能活動を行っている真琴とは目的意識が異なります。
真琴にとってはいささか酷な言い方になりますが、
今回の仕事のオファーを受けたのも「クイーン」と称られる環に近づくが為でした。
もちろん真琴も中途半端でいい加減な気持ちだった訳ではありませんが、
本気で女優を務めている環から見れば、プロ意識の欠如を指摘されても仕方ありません。
それでも初期の頃と比べて、真琴が変わりつつあると見て取れるのが感慨深いです。
今回も途中までそうだったように、なんでも自分で背負いこもうとするのは
全てが悪いとは言いませんが、もう少し周囲に任せても良いとは常々感じます。
今回のように、マナ達に託せるものを任せた上で、
自分一人で向き合っていかなければならない女優業に的を絞ったのは賢明でした。
目的はどうあれ、芸能界で生きて行くと決めた以上、
真琴には「人間としての剣崎真琴」ではなく、「アイドルとしての剣崎真琴」を
求めているファンに見せ続けて行く義務があります。
少し先輩女優にキツく言われたくらいで立ち直れないようでは、
この先生き残っていく事は出来ないでしょう。
今回の出来事は、真琴にとって厳しい現実と向き合わされた反面、
厳しいからこそ得られる幸福、満足感を得られたと思います。
何より一番彼女の変化を感じ取れたのは、
戦いの途中でソードの方からハートへ手を差し伸べた場面です。
これまで、ハート=マナから手を差し出した事は何度もありますが、
逆のパターンはおそらくこれが初ではないでしょうか。
(私の記憶も怪しいですが・・・)
この事からも、今まで自分の事でいっぱいいっぱい気味だった真琴が
周囲にも気を配れるだけの余裕が出て来たと伺えました。
真琴を引き上げるための「大人」として、環のキャラクターも良かったです。
元来プリキュアシリーズに登場する大人は両親や先生など、
少女達を導く存在としての存在感が光ります。
真琴に期待しているからこそ、愛の鞭とも言うべき厳しい態度で接し、
突き放す発言からも、這い上がってくる事を期待しているフシが伺えました。
何より環自身が今の立場に満足することなく向上心を持ち、
努力を怠らない姿勢を保っている事に好感が持てました。
真琴もそれを感じ取ったからこそ、ダビィ達の不満に乗じなかったと思います。
役柄のためなら老け役もこなし、リハーサルよりも凄みを増している演技力など、
そのプロ意識には、私自身、自分の仕事にここまで本気に向き合えているのかと、
改めて見につまされ、同じ大人として敬意を表したいです。
それにしても山像さんが再びご出演されるとは・・・
白雪姫の女王はアナコンディさんと被るところがあり、ファンサービスかと勘繰りたくなりました。
環が大人としての存在感を発揮する一方で、DBが少し割を食った感がありました。
いつものダビィ=DBならば環の意図が読めそうな気もしますが、
前回の六花がグレたという早とちり等、時折抜けた一面が見られはじめた事で、
逆に人間?味が出て来たと思います。
怒りのあまり途中でダビィに戻ってしまうというところも、
彼女ならではの演出が楽しめました。
真琴の心配をするマナと六花とは少し異なる反応を見せたありすにも、
大人っぽい一面が感じ取れました。
これは四葉財閥の令嬢としての振る舞いが
「人間としての四葉ありす」より優先せざるを得ないという立場を
真琴に重ね合わせて自分に言い聞かせているようにも観られます。
また、業界のあいさつが「おはようございます」である理由の説明など、
私も初めて知った事で為になりました。
遂に動き出したレジーナにも興味を惹かれます。
あくまで無邪気な子供っぽい態度を崩さず、
人にワガママだと言いながらそれ以上にワガママな彼女。
その無邪気さ故の振る舞いの数々の中には、「自己中でない人間などいない」という
今後の展開を左右しかねない発言が紛れている事も気になります。
現に環自身は自己中を生み出すように見えずとも、
強制的であれ自己中を生み出す可能性があるという事は、マナ達4人だけでなく、
例えばセバスチャンなど、完全無欠に見える大人も安全では無いという事になりそうです。
まさか、セバスチャンに限ってそのような事は無いと思いたいですが・・・
それはさておき、レジーナがプシュケーを染めようとする際の
一連の小悪魔っぽい動き、可愛いっすねえ♥
もちろん可愛いが故の無邪気かつ残酷な恐ろしさも秘めているのですが・・・
可愛いといえば、ラブリーフォースアロー発動時の、四人そろってのウィンク!
初めてハートシュートを見た時の衝撃が、再び蘇りました。
これから毎週技が出るたびに骨抜きになりそうな私がいます。
とはいえ、四人合体技が出るペースがちょっと早いかなと気になったのもまた事実。
アイちゃんの登場が唐突だったりと、気になる点が無くもないですが、
真琴の成長&レジーナ初出撃&パワーアップを上手くまとめた一編だったと思います。
ちょっと渋い人選ながら、高倉裕次郎という小ネタも楽しめました。
どうせならマナの挨拶にボソっと答えて、廊下の向こうで「不器用ですから」
などと言っても良かったかもしれませんが・・・(笑)