突如飛び去ったクリスタルを茫然と見送る両陣営。
我に返ったレジーナはイーラ達に追跡を指示して飛び発ちました。
マナも負けじと飛び出すものの、肝心のクリスタルの行方がわかりません。
その時、
近くで待機してたんじゃないかと疑わしいタイミングで、セバスチャンが登場しました。
いつもの車になぜか搭載されている超高性能な衛星追跡システムを駆使し、
クリスタルが北西の方角へマッハ3で移動していると突き止めます。
セバスチャンのあり得ない有能っぷりに、改めて舌を巻くマナ達。
しかし氷河地帯に差し掛かったところでクリスタルの反応が消えました。
・・・あの、ここ一応日本ですよね(笑)確かに剱岳にはあったりしますけど。
そんな雪山へどうやって行くのかとの懸念も、セバスチャンにかかれば心配ご無用。
今度はヘリを駆り、冬山装備に身を固めたみんなを乗せて雪山へと繰り出します。
機内では、真琴はレジーナより先にクリスタルを見つけようと、思い詰めたような硬い表情です。
そして妖精達がレジーナを糾弾しますが、
マナはレジーナの様子がおかしかった事が気にかかっていました。
『本性を現したのかもしれないわ』『マナがレジーナを信じたい気持ちはわかる。でもあの子はマナを裏切った。それは事実よ』『次はこの前のようにゲームでは済まされないかもしれません』レジーナを信じたいマナに対し、みんなの反応は手厳しいものでした。
そしてヘリは山頂近くの山小屋へと降り立ちます。これ以上はヘリでは進めません。
あの山は昔から霊峰とされて立ち入り禁止だと、山小屋の主人は制止します。
座標が示した位置は立ち入り禁止区域外だとしても、
女子中学生に雪山登山は危険すぎると、首を縦に振りません。
しかし思い詰めたような真琴の様子を見て、訳ありだと察した主人は
昔から信じ合う仲間を奇跡の光が救うという、山に伝わる光の伝説を語り、送り出しました。
岩陰で変身し、いざ出発するマナ達。
その光を山小屋の主人は不思議なものを見るように見つめました。
ところで、山小屋にはもう一人、初登頂を狙う孤高のアルピニストがいました。
『何が立ち入り禁止だ。俺が頂上に上った一番目の男になってやるぜ』
軽々と山を登って行くプリキュア達。
一方、その後ろからついて行くジョナサンはいっぱいいっぱいです。
どう見ても重い甲冑が邪魔しているとしか思えません(笑)
既にかなりの標高に達し、空気は薄く気温も低くなりました。
クリスタルが消えたと思しき場所に到達したものの、その気配は感じられません。
雪に埋もれているかもしれないと言っても、これだけの雪を掘るのは無茶な話です。
ソードはクリスタルに呼びかけますが、無論呼んで出てくるのであれば苦労はありません(笑)
そこにレジーナ達もやって来ました。
おそらくクリスタルの行方を探らせるためにマナ達を泳がせておいたのでしょう。
『キュアハートに言う事は無いんですの?』『あるよ・・・』
ロゼッタに指摘され、謝るのかと思いきや、レジーナの瞳は一層異様な光を帯びました。
『クリスタルは渡さない』
面と向かってそう言われたハートは、思わず悲しげな目を浮かべました。
クリスタルが欲しいの一点張りのレジーナに、いくらハートが呼びかけても暖簾に腕押しです。
『これ以上話しても無駄よ、キュアハート。あの子はもう、友達じゃない』かつての美希のように厳しいダイヤモンドの言葉に、ハートは衝撃を隠せません。
ダイヤモンドの言う通り、レジーナも既に友達とは思っていないのか、
プリキュア達目がけて容赦なく大きな雪玉を転がして来ます。
雪玉をかわし、スパークルソードを放つソード。
その衝撃によって生じたクレバスにレジーナが落ちてしまうと見るや、
ハートは真っ先に飛び出しました。
辛うじてレジーナの手を掴みますが、ハートの周りの氷も崩れてしまい、
共にクレバスの底へと落ちて行きました。
深いクレバスを覗き込む両陣営。この状況に、ベールは一時休戦を申し出ました。
油断させて不意打ちを仕掛ける腹かもしれませんが、
お互いに争っている場合ではないと言うベールの言い分も一理あります。
レジーナはクレバスの底で意識を取り戻しました。
傍らには変身が解けたマナが、レジーナの手をしっかり握って倒れています。
ここは深い深い氷の中。そこに5つのクリスタルが光を発しながらこちらへ向かって来ます。
クリスタルに手を伸ばすレジーナの瞳は、未だ紅いものの異様な光を帯びていません。
5つのクリスタルをレジーナが手にすると、突如眩い輝きを発しました。
その衝撃は氷の壁にひびを入れて崩れさせ、
意識を取り戻したマナはとっさにレジーナを助け出します。
そして、崩れた氷の向こうには、氷漬けの美しい女性が眠りについていました。
『王女だ・・・』
『この人が?』これもクリスタルの導きなのでしょうか。レジーナの瞳が、青く戻ります。
『約束破ってごめん・・・』
マナにクリスタルを差し出すレジーナの顔は、これまでの何かに憑かれたものとは違っています。
『レジーナだ。私の知ってるレジーナに戻った』レジーナはクリスタルを見ると目つきが変わっていたという自覚が無く、怪訝そうです。
ともかく、この事をずっと王女を探していた真琴に知らせようとしたマナは、
何のためにとレジーナに聞かれて、とっさに答えを遠回しにしました。
『滅びてしまったトランプ王国を元に戻して、人々を救うためだよ』キングジコチューを完全に封印するなどとは、その娘に対して言えません。
しかしレジーナも薄々それに気づいているようです。
現にアン王女はレジーナにとっては父を石にした相手です。
『私にも何が真実なのかわからない。でもレジーナのパパがトランプ王国を元に戻してくれたら、
王女様もこれ以上闘ったりしないんじゃないかな?
きっと分かり合えるよ。私とレジーナだって友達に成れたんだから』それでも父の怖さを知り懸念を隠せないレジーナを、マナはそっと抱きしめました。
『大丈夫。私達が王女様とレジーナのパパの架け橋になろう』その頃ソード達とジョナサンは氷を滑りながらクレバスの底を目指しています。
途中マナと逸れてしまったと泣きつくシャルルと合流し、
ダイヤモンドシャワーで足場を作りながら、下を目指す四人。
ダイヤモンドシャワーの光は、底にいるマナにも見えました。
そこまで連れて行ってあげるとレジーナは指を弾きますが、どうした事か何も起きません。
ピラミッドの地下のように、なぜかレジーナの魔力が封じられています。
レジーナはみんなに酷い事をしたと認めているだけに、みんなに会う事を渋っています。
『じゃあ一緒に謝ろう。許してもらえるまで何度でも。私も一緒に謝るから』レジーナも、みんなも友達だから、みんなにレジーナの事を分かってもらえるまで
一緒に謝ると、マナはこともなげに言ってのけました。
『・・・バッカみたい』
目を開いたレジーナの瞳には、涙が浮かんでいます。
『ほんとにマナみたバカ、見た事無い。
でもマナを裏切った私はもっとバカ・・・バカバカバカバカ・・・ッ!』
自分を責めて泣きじゃくるレジーナ。そこにみんなが合流しました。
『二人とも無事でよかった』最もレジーナに対して厳しい筈のソードが、
真っ先に気遣ってくれた事にレジーナは息をのみます。
『私はやっぱりあなたを信じる事は出来ない。でもあなたがいなくなるとマナが悲しむから』みんなが来てくれると信じて待っていたマナにとって、
ダイヤモンドシャワーの光こそが奇跡の光の伝説に思えました。
そして、もう一つの奇跡の存在を婚約者と従者が目の当たりにします。
長い事追い求めたマリー・アンジュ王女が、手の届くところまで来ている事に・・・
その行く手を突如雪だるまジコチューが阻みました。
先程の登山家のプシュケーをイーラとマーモがジコチュー化したもので、
雪玉を飛ばして襲って来ます。
その攻撃をロゼッタリフレクションが弾く隙に、マナは再び変身しました。
スパークルソードがジコチューを牽制し、
四人揃ってのラブリーフォースアローでジコチュー撃退。
登山家も意識を取り戻し、王女もすぐそこに、レジーナも元に戻り、一件落着。と思いきや・・・
そうは問屋がおろしませんでした。
王女はベールの手の内に奪われ、レジーナもイーラとマーモによって連れ去られます。
『行きましょう。お父様がお待ちですよ』
氷の空間に、レジーナの名を呼ぶハートの叫びが、響き渡りました。
まず開始早々からの超万能なセバスチャンのインパクトが抜群でした。
ドラゴンレーダーのような装置を開発している四葉財閥の科学力は、
きっと世界一ィイイイイ!なのでしょう。
それを使いこなし、さらにヘリの操縦までやってのける等、
単なる執事の枠を超えた活躍ぶりは今後にも期待したいです。
そのうち戦車や潜水艦や戦闘機とかを持ち出しても違和感無さそうで(笑)
かつてフランス外人部隊に居たとか言い出しても妙に説得力があります。
自己主張を押さえて主への奉仕に努める一方、
必要とあれば諫言するセバスチャン。
対して主の機嫌を伺うためにレジーナにへつらうベール達。
クレバスに落ちたレジーナを救出する動機も、彼女を案じての事ではなく
キングジコチューの娘に何かあればお仕置きされると恐れてのものでした。
同じく主に仕える者としてのジコチュートリオと比較すると、セバスチャンと対照的です。
ここ数回のレジーナの豹変は、クリスタルのせいだと思っていましたが、
ひょっとしてレジーナの意志にキングジコチューが干渉しているのかもしれないと思いました。
綺麗なものへの憧れからクリスタルが欲しい、と思ったレジーナの気持ちを
野望のためにクリスタル入手を企てたキングジコチューが利用したとすれば・・・
そうすると些細な自己中を増幅されたこれまでの被害者と同様、
レジーナもまた僅かな欲望を利用された者なのかもしれません。
果たしてキングジコチューの娘という、この親子関係がどんなものなのか
詳しい事はまだわかりませんが、予告を見る限り一筋縄で行くものでは無さそうです。
ただ、マナとレジーナの「架け橋」という言葉は強く希望を感じさせるものでした。
マナが言う通り、何が真実なのかは未だわかりません。
単にキングジコチューを倒してハッピーエンド!というような展開にはならないと予感されます。
果たして相互理解があるのか、どんな結末が待ち受けているのか、
その前に次回以降の中盤の山場が気になります。
第一話からマナの姿勢は、基本的に性善説で人に接するという事がブレていません。
真っ先にクレバスへ飛び込むのもさる事ながら、
六花、ありす、真琴だけでなく妖精に反してでもレジーナの弁護に努める様は
仮にこの世の全てを敵に回してでも最後の味方でいようという心が伺えます。
『もしも世界中の人が私の敵になったとしても、
ママだけは私の味方でいてくれるって思わない?』
ふと、
スイートの母娘回で用いられた言葉が思い出されました。
本当はソードもレジーナを傷つける事は望んでいないと思います。
二人が落ちたクレバスを覗き込む際の表情からは、
自分の攻撃でマナを巻き込んだ後悔だけでなく、
レジーナを傷つけた事を悔やんでいるようにも見受けられました。
だからこそ、レジーナが無事と知った際の言葉は一見素っ気ないようでも
私もマナを信じる事を通してレジーナを信じたい、というニュアンスにも取れました。
日本にまだ未踏峰があったりするのは、そこはフィクションという事で良しとしましょう。
新田次郎の著作を通じて、雪山の怖さ、恐ろしさを知っているつもりなので、
女子中学生の雪山登山は無理があるのではと思っていましたが、
プリキュアに変身して乗り切るという発想も楽しめました。
一見薄着に見えるプリキュアの姿は防寒耐性があるという事実も初めてで、
今後さらに辺境の地での戦いがあるとしても期待が出来そうです。
明らかに登山には邪魔な甲冑を着て挑むジョナサンの律義さ?と、
いともたやすくプリキュアに頼ると言う発言で彼の微妙さも良く伝わって来ます(笑)
また、四人で一糸乱れず氷を滑る場面は真面目な筈なのにシュールでインパクトがありました。
ただ、今回ジコチューにされた登山家に関しては、未踏峰に挑むアルピニストは
ある程度彼のような心構えが無いと登れないと思うので、少々不憫な気がしました。
次回、果たしてどうやってトランプ王国へ向かうのかがまず第一に気になります。
ひょっとしてセバスチャンが連れて行ってくれたりして(笑)