亜久里の先導で、早朝からランニングに励むマナ達。
規格外の体力を誇るマナ、文武両道のありす、日ごろから鍛錬している真琴はともかく、
ランニング10㎞とは六花でなくとも音を上げてしまいそうです。
強化特訓は本日で10日目の最終日。
亜久里は様子をそっと伺う女の子に気が付いていました。
ようやくゴールが見え、ほっと一息朝食にしようという申し出を、
夜までみっちり組まれたトレーニングメニューを持ち出して、亜久里は却下します。
あの・・・水泳があるならばもうちょっと頑張っていただけませんか・・・?トレーニング終了後、夏祭りに行こうと考えていたマナだけでなく、
ありすや真琴も少し厳しすぎると難色を示しました。むろん六花は言うまでもありません。
しかし、一人気を吐く亜久里自身の視界がかすんで行き・・・
亜久里が倒れたのを見て、先程の女の子、森本エルちゃんが飛び出して来ました。
エルちゃんは亜久里の同級生。しかし、まだ友達というクラスメイト以上の関係ではありません。
それでもマナ達は、今まで知らなかった亜久里の学校での様子に興味津々です。
エルちゃんから見れば、亜久里は普段から大人びており、
上級生が相手でも筋を通して堂々と意見出来る、某女番長のようにかっこいい存在でした。
ただ、同年代の子達とはどこか距離を置いているようで、
誰とでも分け隔てなく接し、授業にも積極的に参加するものの、
それ以上は深入りしようとしないようです。
『エルちゃんは亜久里ちゃんと仲良くなりたいんだね?
そういう事ならお姉さんに任せなさい!』『出た、幸せの王子・・・』エルちゃんのために一肌脱ごうとするマナと、呆れ気味の六花という久々のやり取りのうち、
亜久里が目を覚ましました。特訓を再開しようと主張する亜久里を、
これ以上無理してはダメだと、六花だけでなく真琴やありすも笑顔で押し留めました。
マナも特訓終了だけでなく、亜久里にエルちゃんと一緒に夏祭りに行く事を提案します。
当初は乗り気でなかった亜久里も「スーパースペシャルにおいしいスイーツ」に釣られ、
エルちゃんもまた亜久里が来るならば、と控えめながら参加を表明しました。
そうと決まれば今夜7時、お祭り広場の階段前で待ち合わせと決まります。
『何故ですか?私もお友達と遊ぶことを否定したりはしませんわ。
でも、今はそれより優先すべきことがある筈です。』亜久里がクラスで距離を置いていた理由はそれでした。
しかし、かつて同じような態度を取っていた真琴は、トランプ王国の事は忘れずとも、
今はみんなと付き合う事で多くの事を学び、彼女自身も成長を遂げています。
『亜久里ちゃん。友達って、いいもんだよ』所変わってジコチューのアジト。
ナルシストのリーヴァはエースの存在を忌々しく思っていたところ、
グーラが食べているトルコ名物のびるアイスに目を留めました。
そしてエースの変身制限時間が5分だという事を思い出し、
戦いを長引かせて変身を解除させる、名付けて「のびーる作戦」を立案します。
やがお祭りの時間がやって来ました。
マナ達は色とりどりの浴衣に身を包み、
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!約束どおりエルちゃんと落ち合います。しかし亜久里はまだ来ていません。
それもその筈、亜久里はりんご飴や綿菓子、チョコバナナの屋台に目を奪われていました。
ともかく無事に亜久里と合流し、その浴衣を褒めるマナ達。
おばあ様が用意して下さったと照れる亜久里
かわいいよ亜久里『亜久里ちゃん、浴衣可愛い・・・』
『ありがとう、森本さん』そう返されたエルちゃんの微妙な反応を見て、マナはその気持ちを鋭敏に察しました。
『エルちゃんのも、かわいよね?』亜久里もまた、マナの意図とエルちゃんの気持ちに気付き、
『ええ、可愛いですわ。エルちゃん・・・』「苗字」ではなく「名前」で呼び返しました。エルちゃんの表情が綻びます。
ところで亜久里はスーパースペシャルにおいしいスイーツが気になるようですが、
その前にエルちゃんは金魚すくいへと誘いました。
エルちゃんが欲しがっている黒い出目金は手強く、
金魚すくい荒らしの異名を持つマナがリベンジに乗り出します。
気合たっぷりにポイを構える様のカッコいい事!これは期待できそう!
・・・と思いきや、その二つ名はどうやら自称だったようで、あっさり惨敗。
続いてありすが参戦。屋台のおじさんが只者では無いオーラを感じた通り、
圧倒的な実力をもって金魚をすくって行きました。
某「道」の先輩といい、どうやらプリキュアにおいてお嬢様は金魚すくいが得意のようです。
ところがありすの頭上のランスが金魚池に落ちてしまい、あえなく中断となりました。
今度は亜久里が名乗りを上げます。
『水面に対して斜め四十五度の角度で、えぐり込むように打つべし!打つべし!』(台詞は一部実際のものと異なります)
六花のアドバイス通りに気合一閃、ポイを構える亜久里ですが、
勢い余って思いっきり水を巻あげ、エルちゃんと二人ずぶ濡れになりました。
これでは円えぐりです。ともあれ、屋台の間に亜久里とエルちゃんの笑い声が、響きました。
お次は射的。景品を獲得できなかったエルちゃんのために真琴がリベンジに乗り出します。
まこぴートランプを、しかも横撃ちで狙うという気合の入りようでしたが、
狙いがずれて隣の微妙な景品ゲット。むくれる真琴もまた可愛いです。
『ただ狙うだけじゃダメよ。弾道を計算しないとね』さすがは六花、理詰めで弾道計算など持ち出しそうな雰囲気で
やっぱりカエルの景品を狙うものの、マナに急かされて狙いが外れ、
真琴に続けて微妙な景品をゲットする事になりました。
今度は亜久里の番。エースショット、ばきゅーんの要領で、
狙いどおりエルちゃんが欲していた景品を獲得しました。
階段でかき氷を食べるマナ達。ただこれは美味しいものの普通のカキ氷で、
美味しいもののスーパースペシャルでは無いと感じていた亜久里は、
ふとエルちゃんのかき氷に目を移しました。
エルちゃんから一口貰って、亜久里のグルメ漫画風賛辞が飛び出します。
『甘いあずきを苦味の効いた抹茶が包み込んで、シャッキリポンと舌の上で踊るわ!』(台詞は一部加筆してあります)
そして亜久里もまた自分のかき氷をエルちゃんに提供し、みんなで食べ合いっこがスタート。
マナが真琴の背後からごっそり持っていけば、真琴もお返しとばかりにマナを追いまわしたり、
ブルーハワイで青くなった舌を見せ合いっこしたりと、楽しい時が流れます。
『不思議ですわ。最初の一口より皆さんから貰ったカキ氷の方が美味しいですわ』『それはね、みんなで食べてるからだよ。私の友達も、そう言ってたんだ』そう言ったマナの脳裏に、ふと
あの時のレジーナの姿が浮かび上がり、
亜久里もまた、「スーパースペシャルに美味しいスイーツ」とは何かを理解しました。
楽しいお祭り会場にも自己中な心は浮かびます。
ふと、花火の見物席を独り占めしようと考えた少年のプシュケーを
リーヴァとグーラがムサいパッショナートハーモニーもどきで染め上げてジコチューを生成。
『夏祭りだよ。全員解散!』『宿題やったか~
歯ァ磨いたか~』
なんとも私世代直撃な台詞を吐きながら暴れ回るジコチューの存在に気付いたマナ達は
エルちゃんを亜久里に任せて変身します。
・・・それにしても毎度のことながら「悲しい夏祭りさんっ」て(笑)
リーヴァとグーラは変身したプリキュア達の中にターゲットのエースが居ないと知って憤慨、
ジコチューをけしかけます。
水ヨーヨーの体は
違うハート様のようにハートとダイヤモンドのパンチを柔らかく吸収し、
ロゼッタとソードは射的の弾に撃ち飛ばされ、苦戦を余儀なくされます。
そしてエルちゃんを連れて石段を登っていた亜久里は、リーヴァ達に見つかりました。
ジコチューによって亜久里の足元は大きくえぐられ、
落ちそうになる亜久里の手を、エルちゃんは懸命に掴みます。
亜久里に逃げるよう言われても、エルちゃんは逃げません。
『手を放してエルちゃん・・・』『離さない!私、亜久里ちゃんと友達になりたいもん』
以前エルちゃんは、気にしていた癖毛をからかわれていたところを
亜久里に庇ってもらった事が忘れられません。
『人の外見をからかうのは最低の行為です。恥を知りなさい!』そして亜久里はエルちゃんに少し厳しく接した後、その髪を褒めました。
『あなたも他の人に言われたくらいで悩むなんて時間の無駄ですわ。
だって、あなたの髪はとても可愛いですもの』だから今度は私が助ける。そう決めて懸命に亜久里を支えるエルちゃんを前に、
亜久里の目に涙が滲みます。
『私の一言を、そんなにも大切に・・・愛が、溢れて来ます』エルちゃんの頑張りで、亜久里は無事穴から脱出しました。
その頃、ハート達は輪投げの輪に拘束されて動きが取れません。
亜久里はエルちゃんに、自分はある秘密を隠しており、それが何かは言えないけれども
それでも信じてくれますかと問いました。
エルちゃんも亜久里を信じ、言われた通り目を閉じて事が済むのを待ちます。
そして駆けつけたアイちゃんとともに、亜久里も変身しました。
リーヴァは狙いの相手が登場して意気込み、砂時計を返します。
月夜をバックに美しい戦いを繰り広げるエースを、輪投げの輪が襲いました。
ハート達同様に動きを封じられ、変身から一分経過。
それでも信じて待っているエルちゃんがいる限り、エースは負けません。
否、守るべきはエルちゃんだけではありません。
『エルちゃんだけではありません。私の大切なお友達に手を出したら、ただではおきません』渾身の力を込めて輪を砕き、ジコチューを殴り飛ばします。
そしてエースは自分を祭りに誘ったマナの意図に気付きました。
『これまでの私は、自分の想いで一杯でした。
でも、私の事を大切に思ってくれる人がすぐそばにいる事に気付かされました。
そして、その事が私に愛と力を与えてくれる事も』それをマナ達に教えたのは、他ならぬキュアエースです。
ハートにその事を指摘され、エースもちょっと苦笑いを浮かべました。
結局ジコチューなエースショットで仕留められ、
三分も粘れずに当てが外れたリーヴァ達も引き上げて行きました。
目を閉じて、祈るように待つエルちゃんの下に、亜久里が無事戻って来ます。
安堵するエルちゃんを、優しく抱く亜久里の胸にも、キュンキュンするものが沸いて来ました。
そして、夜空に咲く大輪の花火を見上げる亜久里とエルちゃん。
その手はしっかりと繋がれています。
まずは恒例の浴衣回がしっかりと描かれて安心した私がいます(笑)
なにしろ
レジーナを失うという極めてシリアスなエピソードで夏祭りが描かれていたので・・・
あの時とは異なり、純粋に楽しめる構成と、みんなの浴衣姿の可愛さ、
祭りを楽しむ様の微笑ましさ、さらに亜久里とエルちゃんの物語を絡める等、
夏休みに楽しむエンターテイメントとして最適な一編に昇華していたと思います。
丁度先日桐生のお祭りに少し足を踏み入れた後だけに、
祭りの持つある種の高揚感が感じられました。
随所に織り交ぜられていた「八時だヨ」等のおっさんホイホイ的なネタの数々も
一緒に視聴しているであろう親世代も楽しめる作りにした結果でしょうか。
もっとも、私が一番ノスタルジーを感じたのはグラウンドの朝礼台だったりするのですが・・・(笑)
ただ、あえて言おう!せっかくの特訓メニューに水泳がありながら
あれだけの扱いだった事は残念至極!
(もっとも私としてはスタッフの皆様の意志を尊重しておりますので、あくまでネタです)
道着を着ている場面では、ありすだけが黒帯装備など、芸の細かさも目を惹きました。
金魚すくいや射的など、昨年のれいかやなおが張り切る姿が重なり
こちらでも既視感のような懐かしさを覚えました。
もう一つ既視感を覚えたのは、エルちゃんを庇う亜久里の姿が、
第4話で観られたかつてのマナに重なった事です。
今のマナでは決して言わないであろう「恥を知りなさい」という言い回し。
おそらくあの頃のマナも小学四年程度で、今の亜久里と同い年くらいだったのでしょう。
亜久里はしっかりしているように見えて、細やかな人間関係の機知に関しては
まだ発展途上なものがあるように思えました。
亜久里やかつてのマナは武市半平太や久坂玄瑞、清河八郎のように、
優れた知性を持ち、確固たる信念を貫いているものの、周囲との軋轢というものを考えられず、
それ故に敵を作りやすいという危険性が感じられます。
対する今のマナは坂本龍馬や西郷隆盛のような、
正義だけでなく人を魅了せずにはいられない人徳が伺えます。
グウの音が出ない程言い負かし、やっつけてしまっては、言われた側に禍根を残しかねません。
マナは中学二年まで成長する間にそれを知り、自然と身に着けたように思いました。
そしてそれを支えたのはおそらく六花とありすの存在だった筈です。
基本同学年かプラスマイナス1年程度のプリキュアに於いて、
数少ない例外がゆりとアコ、そして亜久里です。
ゆりにはもも姉、アコには奏太という同年代の近しい存在がいましたが、
今までの亜久里にはそれが見受けられず、
現にクラスでも距離を置いている事が明言されていました。
今後、エルちゃんは亜久里にとっての六花やありすのように、
良き支えとなって行くだろうと期待します。
また友人を作らなかった事について、それを諭すのが真琴という点に於いても、
この半年の真琴の成長ぶりが伺えます。
特訓に厳しく臨む亜久里の姿は、かつての真琴そのものです。
キュアエースとして皆を一段高く導きながら、
その張本人がかつてのマナや真琴が持っていた足りない一面を持っている事が興味深く、
だからこそプリキュアシリーズとしての面白みが感じられました。
完璧に近かったムーンライトであっても悩み、迷いながら成長する姿が描かれ、
無論他のプリキュア達も皆、作中で大きく成長を遂げています。
私がプリキュアに惹かれるのは、常に成長し続ける姿を観る事によって
実生活での励みを得たいと思うからです。
これまでの四人だけでなく、亜久里=エースでさえも更なる高みに向けて歩む姿を通じて
最終的に私自身も何を得るのか、楽しみにしています。
また今回はレジーナについて、ほんのわずかながら持ち出された事を評価したいです。
マナにとっては少し辛い記憶を掘り起こした事だと思いますが、
さほど湿っぽくしなかった事で、逆にマナの芯の強さと
必ずレジーナと再会して見せると言う信念が伺えたように思えました。
彼女が再び表舞台に現れるのはいつの事か・・・
それまでの間、こうした積み重ねが蓄積されて行く事により、
再登場で大きなカタルシスが得られる事を期待しています。
プリキュア以外の第三者が絡んだ話は掘り下げやすく、見応えがあります。
エルちゃんは容姿も魅力的で、今回だけのゲストにするには惜しいキャラクターでしたが
おそらく今回限りの登場だからこその存在感を発揮しそうです。
MH21話における、ひかりと大輝君、
5GoGo33話での、うららとよしみちゃん等、
いずれも「同世代の友達」の目は、これまで観られなかった一面を気づかせられ、
対象を多面的に観る事に繋がります。
亜久里の一面を別の角度から見る事に貢献したエルちゃんもまた、
忘れ得ぬサブキャラクターとなりそうです。
侮れない展開が続く中、またまた予告がやってくれるとは・・・(笑)
私としてはシャルルとランスの可愛さにときめいただけでなく、
意外にイケメン少年だったラケルと六花の、姉弟のような絡みに期待しています。