生徒会室に向かっていた六花は、生徒達にお願いされているマナを見るや、
抱えていた資料の山をもう一人の生徒会員十条君に押し付けて割り込みました。
『ちょっと待ったー!!!』話を聞く前からマナに代わって断る六花。現に目の前にいるソフト部キャプテン千葉さんは
右腕を負傷しており、助っ人依頼だろうという事は明白です。
『マナは生徒会とプリキュアの活動で手一杯でしょ?助っ人なんて軽々しく受けちゃ駄目』そう耳打ちする六花ですが、マナは困っている人を放っておけるタイプではありません。
次の試合が予選突破をかけた大事な試合だと聞くと、助っ人を引き受けました。
早速打ち合わせに引っ張られて行く幸せの王子を、ツバメはただ見送るしか出来ません。
スピードも球威もあるピッチングを見せるマナの実力に、千葉部長も目を見張ります。
これだけの逸材、もちろん入部勧誘したのですが、
当時のマナには部活より人助けが好きだと固辞されていました。
実際、練習中に靴紐が切れた選手を気遣ったりと、相変わらずぶれない姿を見て納得です。
優しくカッコ良く、頼りになるマナは一年生部員達にも大人気。
キャッチボールをする一年生のうち、将来のエース候補京田さんは、
手ほどきしてもらえばと言われて謙遜した際、ボールを後逸しました。
そのボールを拾って投げ返した真琴は、続けてマウンド上のマナに目を移しました。
マナが練習を終えて帰宅すると、ぶたのしっぽには六花、ありす、真琴が来ています。
助っ人の事を聞いたありすは絶対に応援に行くと乗り気ですが
『助っ人に先発を任せるようなヘナチョコ部ですけどね』などと、六花の物言いには妙にトゲがあります。マナがソフト部に駆り出されたために、
その分仕事が増えてしまった事を皮肉っぽく返す六花。
『さすがは六花様、愛してるぅ~♥』キマシタワー六花は王女様探しが進んでいないために真琴も怒っていると言いますが、
真琴本人は怒ってなどいません。しかし、マナの行いに何か不思議なものを抱いてました。
『お手伝いで呼ばれただけなのに、どうしてそこまで真剣に打ち込めるのかなって』マナの答えは明白です。
『私はいつも全力主義だし、何より誰かの役に立てるって嬉しくない?』帰り道の車中で、真琴はマナの言葉が気になっています。
『誰かの役に立つのって、そんなに嬉しいのかな・・・』トランプ王国でみんなのために歌を捧げる事に喜びを感じていた筈なのですが、
真琴には良くわかりません。
一年生達が部室にやってくると、マナがユニフォームを干していました。
先輩で生徒会長かつ助っ人のマナが洗濯までしていた事にひたすら恐縮する一年生達。
『私一人が頑張ってもチームは強くならないよ。
レギュラーの座を勝ち取るために、互いに励まし合い、技を磨き合う。
その熱意こそがチーム全体を強くする。一年生だからって、遠慮してちゃ駄目。
わかったら、さっさと着替えて。ランニングに行くよ』マナに引っ張られて行く一年生達を見て、千葉キャプテン達も意識変化を感じて満足そうです。
試合の日は、いよいよ明日です。
さて、今日のボウリング担当はイーラではなくベール。
苛立つとガーターを連発するイーラとは裏腹に
怒りを叩きつけるようにストライク連発、さらにピンを粉砕する勢いの投球を見せるなど、
先日してやられた事を相当根に持っている様子です。
練習を終えたマナの前に、アイちゃんを連れたジョー岡田が現れました。
粉ミルクを買いに行くというジョー岡田にジャージで下校している事を指摘され、
ソフト部の試合に出る事を告げるマナ。ジョー岡田もアイちゃんと応援に行くと乗り気で、
さらに勝利の女神がほほ笑むようにと新たなラビーズをマナに差し出します。
もっともそのラビーズはアイちゃんに気に入られてしまい、
ジョー岡田はアイちゃんにつけてあげました。
いつの間にか、あたりは宵闇に包まれています。そしてベールが姿を現しました。
『お取込み中の所失礼、相田マナさん。いや、キュアハート』
しかし勝負を挑まれたマナには、戦う理由などありません。
トランプ王国の惨状を目の当たりにしても、ベールを倒せば元に戻るという訳ではありません。
先日同様、
倒せる前提での発言はベールの気に障り、電撃を放って襲って来ます。
変身しようにも、ジョー岡田の前では躊躇せざるを得ません。
続く電撃は、マナを庇ったジョー岡田に直撃しました。
『誰かの命を守りたい、誰かのために尽くしたいって気持ち、あなたにはわからないの?』ジョー岡田の行動を余計な事だと切り捨てるベールに、反論をぶつけるマナ。
当然ベールは耳を貸さず、今度はアイちゃんを奪い去ります。
返して欲しくば明朝8時に、マナ一人で四葉ターミナルへ来る事。
もし仲間を呼んだら・・・アイちゃんに手をかけて脅しながら、ベールは闇夜に消えて行きました。
アイちゃんの名を呼ぶマナの叫びが、夜空の下にこだまします。
翌日午前八時。
試合開始の時刻になってもマナは来ず、ソフト部員達に戸惑いと不安が広がります。
その頃マナはベールの指示通り、コンテナが積まれた人気の無い場所に一人で来ていました。
俺に勝てたらアイちゃんを返すというベールを前に、変身するマナ。
『自己中極まりないそこのオジサン!
このキュアハートが、あなたからアイちゃんを取り戻して見せる!』・・・大真面目なシーンなのですが、はからずもこの口上で大ウケしてしまいました(笑)
六花とありすもラケル、ランスを通じてマナとコンタクトを取ろうと試みますが、繋がりません。
試合開始の時刻からだいぶ経ち、このままでは不戦敗になってしまいます。
マナ不在では勝てないと、負け犬ムードに包まれるソフト部員達。
『浮足立つのも無理ないわ。一番頼りにしていたものが、急に消えてしまったんですもの』真琴も彼女達の心境に理解を示していたところ、京田さん以下一年生達が立ち上がりました。
『私達、会長に教えてもらいました。みんなで力を合わせればどんな困難も突破できるって』
会長の分まで戦おうと訴える後輩達に、先輩達も動かされました。
『わかった。精一杯やろう』
京田さんはマナに代わってマウンドに立ち、初球ストライクを取ります。
その頃、セバスチャンがありすに耳打ちしました。
ハートの素早い攻撃を軽々とかわすベール。
息が上がったハートの頭上から、コンテナが次々と降って来ます。
追いつめられたハートに、続いて暴走トラックが迫り危機一髪のその時、
トゥインクルダイヤモンドがトラックを凍りつけて止めました。
『どんなに優秀な選手がいても、一人では勝てませんわ』『私たちはチームなんだから、もう少し頼りなさい』『ソフトボール部のみんなもあなたの分まで頑張ってる。だから私達も頑張ろう』セバスチャンが場所を突き止めたお蔭で駆けつける事ができた三人と合流し、
ハートも再び立ち上がります。
それでもベールは余裕の態度を崩しません。
闇に染まったプシュケーを取り出して飲み込むと、何ということでしょう。
携帯のジコチューと一体化しました。名付けてベールビースト!
・・・しかし、その見た目はとっても微妙で、ハート達が思わず脱力するのも無理はありません。
とはいえ見た目で判断すると痛い目を見ると言う通り、その強さは本物でした。
フラッシュで目をくらませてダイヤモンドとロゼッタを跳ね飛ばし、
ソードを挟んで締め付け、マナーモードバイブレーション攻撃で追い打ちを掛けます。
なんとエロい、もとい恐ろしい攻撃でしょう。
助けに飛び出したハートに、メール送信と称してソードを打ち付ける等、
戦いっぷりも脱力モノながら、強いです。
さらにマイスイートハートも蓋を閉じて防ぎ、打つ手がありません。
蓋を閉じた状態で回転しながら襲いかかってプリキュア達を弾き飛ばした後、
ベールビーストは一人で来いと言った約束を破った罰だと、
アンテナを槍にしてアイちゃんに向けました。このままではアイちゃんが・・・
その時、ハートのラビーズとアイちゃんのラビーズが反応し、光を発しました。
槍はアイちゃんに命中する前で消え失せ、
更に光は四つに分かれて四人の手元で弓の形になりました。
ラブハートアロー
4,935円也。新たな
おもちゃ武器の登場です。
再びベールビーストが放つ槍を、今まで以上に堅固なロゼッタリフレクションで弾き、
続けてダイヤモンドシャワーはベールビーストの全身を一気に凍らせ、
さらにスパークルソードの攻撃が追い打ちを掛けます。
仕上げは弓を引き絞って撃ち出すプリキュア・ハートシュート。
流石にベールを倒しきるまでは行きませんが、
先程の黒いプシュケーは浄化され、持ち主の下へと戻って行きました。
アイちゃんも無事救出。ダメージを負ったベールは撤退し、
コンテナの影で一部始終を見守っていたジョー岡田もそっとその場を立ち去ります。
マナ達が駆けつけた頃、試合は最終回を迎えていました。
大貝一中が1点リード。しかしツーアウト満塁スリーボール。
次にボールが出れば押し出し同点、さらに一打逆転のピンチでもあります。
『頑張って!京田さん!あなたなら絶対できる!』息が上がっていた京田さんでしたが、マナの声援に頷き返し、最後の一球を投げました。
固唾を飲んで見守る中、ボールはバットの上を掠めてミットに収まり、試合終了。
大貝一中の白星です。
『みんな、謝って済む事じゃないけど本当にごめんなさい』試合終了後、頭を下げるマナ。
『でも今度の事で気づく事ができました。
誰かに頼ってばかりじゃなく、私たち一人ひとりが自分を信じて力を合わせれば、
どんな困難も乗り越えられるんだって。それは会長が教えてくれたんです』
京田さん達ソフト部員には、マナの気持ちはしっかり伝わっていました。
その姿は、真琴にも影響を及ぼしています。
『私も一緒に戦おう。王女様が見つかるその日まで・・・』みんなは一人のために、一人はみんなのために。
今回を観終えて反射的にこの言葉が浮かんできました。
マナはソフトボール部のために、六花たちはマナのために、
そして結果としてソフトボール部員達もマナのために行動を示す事が出来ています。
この時期でのパワーアップ&販促回は毎年恒例ですが、
昨年のレインボーヒーリング、
一昨年のベルティエなど、
テーマをしっかりと絡めてくるために期待を裏切られないプリキュアシリーズには感服します。
ソフトボールといえばスプラッシュスターの夕凪中が思い浮かびますが、
夕凪中は決して咲のワンマンチームではありませんでした。
それはベローネ学院ラクロス部も同様で、なぎさは確かにエースプレイヤーですが、
志穂、莉奈をはじめとしたチームメイト達はなぎさに頼りっきりではありません。
助っ人であるマナのワンマンチームになってしまっては、
大貝一中ソフト部にとっても決して良い結果にはならなかったでしょう。
同様に助っ人だったりんちゃんと響も、
響の柔道がやや例外ですが、
球技ではチームの明暗を分けるような活躍は明確に描かれていないと記憶しています。
例え負けてしまったとしても、ソフト部自体が戦う姿勢を見せなければ意味がありません。
マナが来ないと知った時の千葉キャプテンの狼狽ぶりを見ると、
厳しいようですが、六花の言う通り「ヘナチョコ部」と言われても仕方が無さそうです。
その点、最初はマナに憧れの目を向けるだけだった京田さん以下、
一年生部員達の発想転換が良かったです。
マナが全てを解決するのではなく、きっかけを与えて動かすというつくりには好感が持てました。
初代~MHにかけてのラクロスでは、
なぎさが戦いに巻き込まれて不在になるという展開が何度か見受けられました。
大概、皆善戦するものの最終的な決め手は遅れて駆けつけたなぎさに委ねられるという点に、
若干の違和感を抱いていたため、駆けつけたマナが抑えに入って守り切るという構成をとらずに、
最後まで京田さんに任せたのも良かったと思います。
(弓子先輩という前世時代の反省、だったりして・・・)
それは今後のトランプ王国の在り方も示唆しているように思えます。
荒廃したトランプ王国を見せつけられたマナは、
今回ベールを倒したところで元に戻らないとはっきり言い放ちました。
これは普段の戦闘後、壊れたものが自然に修復される描写と対照的で、
確かにベールどころかキングジコチューを倒しても元に戻る補償はありません。
同様に滅ぼされた国といえば、プリキュア5のパルミエ王国が思い浮かびます。
現にこの国もデスパライアを倒す事で元通りになったのではなく、
ココとナッツ以下、国民達が汗を流した結果復興しました。
助けられる側が「助けてもらって当然」という意識ではいつまで経っても何も変わらないと、
途中までのソフト部を通して見せつけられているような気がします。
とまあ、堅苦しい話はこのくらいにして・・・京田さん、可愛いですねぇ。
素直な下級生キャラとして、再登場を期待したいですが、今後出番はあるでしょうか・・・?
マナと六花の正妻っぷりにも悶々とさせられました。
今回は逆にマナの方から愛の告白をしようとは!本当、ご馳走様です。
ツンツンしている六花の怖い事といったら(笑)
初っ端からマナに「お願いします!」と頭を下げるソフト部員に対して
六花が「ちょっと待った!」と割り込むところも、
若い方には少々古いネタで恐縮ですが、「ねるとん紅鯨団」を連想してしまいました。
ノーザ「さん」のなれの果てを思わせる手法で立ちはだかるベールビーストも、
実際見た目が微妙でしたが、作中でも本当に微妙認定されていようとは(笑)
確かに強い事には変わりないのですが、
あえてダサく描いているのではと思う程のカッコ悪い戦いっぷりも楽めました。
(ガメラみたいにぐるぐる回る姿のカッコ悪さといったらww)
ベールを「そこのオジサン」呼ばわりする変身後の口上と共に、
ジョー岡田を病院送りにしてアイちゃんを人質に取り、
マナを脅迫するという深刻な事態を上手く調和していたと思います。
それにしてもソードは
第1話といい、よくよく挟まれる事に縁がありますね。
バイブレーション攻撃によからぬことを思い浮かべた私は、水でもかぶって反省する事にします。
そしてラブハートアローについて、四人とも同じ武器というところに
商品戦略上の意図が見えなくもないですが(苦笑)
使い方が皆異なる点で差別化されているのが目を惹きました。
ダイヤモンドシャワーを放つ際、弓なのにタンバリンのように鳴らす様がお気に入りですが、
なんといっても弓を引き絞った際の、ハートのウインクのカッコ可愛さと来たら!!!!
サファイヤアローや
ビューティブリザードアローのカッコ良さも好きですが、
ハートを射抜く愛のキューピッドのような使い方に思いっきり魅せられた私がいます。
そしてアイちゃんの「きゅぴ」という声は、キューピッドの事だったのかと今頃気づかされました。
控えめながらしっかりと仕事していたセバスチャン、
真琴をしっかりと導くDBといった大人キャラの活躍ぶりも光る中、
真琴の心境という側面も描いており、
中盤へと移るタイミングでの序盤の締めくくりとして良くまとめられた一編だと感じました。
王女様が見つかる「その日まで」ではなく、「その後も」一緒に居たいとなるような、
真琴とマナ達との交流・思い出づくりにも期待しています。
ただ、残念ながら来週は日曜の朝から火曜日まで出張が・・・orz
予告で登場していた金髪の少女からは、満と薫、イース様、エレン「様」のような
私好みのオーラが感じられただけに、とっても残念です。
というわけで、次回感想はおそらく24日くらいに掲載する事になりそうです。