キングジコチューの魔手を逃れ、無事ソリティアへともどって来たマナ達。
しかしアン王女は未だ厚い氷に覆われたまま、未だ目覚めません。
『お姫様の眠りを目覚めさせるのは、王子様のキスで決まりでしょ』六花の発案にマナも乗っかってジョー岡田をけしかけました。
どこか複雑そうな真琴、セバスチャンに目を塞がれたありす、
言いだしっぺながら照れている六花と、興味津々そうなマナの前で、
ジョー岡田はアン王女と氷越しの口づけを交わしました。
それでもアン王女自らが身を守るために纏った氷の鎧は解けません。
ひとまずジコチュー達の追撃を避けるべく、ジョー岡田はアン王女と共に身を隠す事にしました。
行く先はマナ達にも伏せますが、かえってその方が安全だと理解して
ジョー岡田、アン王女、そしてアイちゃんを送り出しました。
王女様はひとまず安心として、レジーナをどうするかがまだ片付いていません。
あんな目に遭わされても父である事には変わらず、レジーナは複雑な想いを抱いています。
『レジーナが私を助けてくれた時、レジーナの優しい想いが伝わって、とっても嬉しかったよ』あの時のレジーナの気持ちは頑なだった真琴も動かし、
無論六花とありすにもレジーナの気持ちは伝わっていました。
マナは大好きな気持ちが伝わるならば、父を想う気持ちもきっと伝わるとレジーナを励まし、
そして帰る場所が無いと言いかけたレジーナの手を取って、ぶたのしっぽ亭へ駆け出しました。
マナは両親と宗吉さんに頭を下げて、しばらく一緒に住まわせてほしいと頼みました。
レジーナも一緒に頭を下げる姿を見て、また人助けかと少々呆れ気味ながらも、
相田家ではレジーナを暖かく迎え入れます。
健太郎パパはレジーナに少し元気が無いと見て取って、
そういう時は食べるに限ると、腕を振るった夕飯を用意しました。
レジーナが健太郎パパの料理を口にすると、本当に元気が沸いて来たようです。
もっとも、宗吉さんは相変わらず婿の料理に厳しいものの、
相田家の団欒は和やかに進んで行きました。
『不思議・・・みんなを見てると胸がポカポカする。でも何で?ポカポカしてるのに、胸が苦しい』
楽しい夕食の筈なのに、レジーナの内心には何か微妙なものが浮かんでいます。
食後、マナはレジーナに幼い頃の写真を見せて盛り上がりますが、
レジーナはマナのように父との思い出どころか、
昔の記憶そのものが靄がかかったようにあいまいだと気づきました。
それでもマナは父との思い出をこれから作れば良いと前向きにとらえ、
父を怒らせてしまったと気にしているレジーナを慰めます。
『さっきも言ったでしょ。好きって気持ちは絶対伝わるんだよ』キングジコチューもきっと分かってくれると、
気持ちを伝えるために一緒に会いに行ってもいいと切り出すマナに、
レジーナは驚きを隠せないながらも頷き返しました。
その夜ふたりは別々に寝ようとしたところ、マナのベッドにレジーナが降りて来ます。
『一緒に寝てあげる』
本当はレジーナの方が一緒に寝たかったのでしょう。
ともかく、マナとレジーナは手を繋いで安らかな寝息を上げました。
二人が安眠している頃にも、ジコチュートリオはレジーナの行方を追って暗躍しています。
命令とは言え面倒そうなイーラとマーモに反し、ベールは面白そうだと考えていました。
プリキュア達がレジーナに友情を抱いた矢先、そのレジーナが再び悪に染まれば・・・
煌々と照る月を、暗雲が覆い隠して行きます。
良く晴れた次の日、みんなで健太郎パパと共に海へとピクニックに出発します。
ピクニックが初めてのレジーナは胸を弾ませました。
砂浜でかけっこして、波打ち際で戯れたり、砂の城を作ったり、それに水をかけようとしたり?
妖精達も浜辺でくつろいで、
(あの、ダビィさんどうせならDBの姿で・・・)ビーチバレーではありすの高スペックが存分に発揮され、
皆でお弁当&ティータイムと、楽しい一日が過ぎて行きました。
大海原に沈む夕陽が、空を茜色に染め上げます。
その光景はレジーナの気持ちを落ち着くかせ、
健太郎パパも迷った時に海へ来る事を打ち明けます。
『どこまでも続く空と海を見てこう思うんだ。
この海は世界と繋がっている。この空は果てしない宇宙と繋がっている。
だったらちっぽけな事で迷ってないで、ちょっとずつでいいから前に進んでみようって』
カッコつけちゃったと照れる健太郎パパを囲んで笑いあうマナ達。
その光景を前に、レジーナは胸が暖かくなるのを感じながらも、
同時に少しの苦しさも抱いていました。
その後みんなで記念撮影の折、セルフタイマーをセットしたマナが
駆け寄る途中に転びそうになるのを、間一髪ナイスキャッチする健太郎パパ。
おかげで微妙な集合写真が出来上がりましたが、
その相田父娘の姿はレジーナにとって羨ましいものでした。
『私もこんな風にパパと仲良く出来たらいいのに・・・』
その矢先、レジーナを追ってジコチュートリオがやって来ました。
キングジコチューが待っていると聞いて躊躇うものの、
レジーナはまだ帰りたくない気持ちの方が強いです。
強引に連れ帰ろうとする彼らを止めに入った健太郎パパでしたが、
残念ながら普通の人間です。イーラに跳ね飛ばされて気を失ってしまいました。
変身するマナ達。
しかしジコチュートリオはいつもと違って妙に強く、
苦戦を余儀なくされる四人の姿は、見守るレジーナの胸を痛めました。
イーラの攻撃をロゼッタリフレクションで弾いたと思いきや、
卑怯にも背後からのベールの攻撃が四人を襲います。
駆け寄ろうとしたレジーナも、胸の痛みに襲われてうずくまりました。
昨日からのマナたちと過ごした時間がフラッシュバックする度に、胸を突き上げる痛み。
『それはお前が愛を知ったからだ』
空が暗くなり、レジーナの痛みの理由に応えるように、キングジコチューの姿が浮かびました。
それは本物では無く幻とはいえ、圧倒的な威圧感を持って立ちはだかり、
レジーナを黒い竜巻で包み込んで、プリキュア達を寄せ付けません。
竜巻の中で、親子が対面を果たしました。
『レジーナ。お前の心には愛が芽生えてしまった。プリキュアと心を通わせたばかりにな。
だから心が痛み苦しくなる。そんな下らぬ感情などすてて、帰っておいで』
妙に優しい語り口のキングジコチューに戸惑うものの、
娘じゃないと言い放ったパパなんか嫌いだと、レジーナはその誘いを拒みます。
『すまなかった。許しておくれ。私はお前が必要なのだ。私の可愛い娘、私だけのレジーナ』
ところが、キングジコチューの神妙な態度はレジーナを迷わせました。
痛む胸を抑えながら、マナ達の事も好きで、どうすれば良いかわからないと言うレジーナに
キングジコチューはジャネジーを受け入れれば苦しみが消えると、
レジーナのプシュケーを染めました。
『本当だ。苦しみが消えてく。でも・・・』
マナと過ごした時間が、マナの笑顔が、脳裏に浮かぶたびにレジーナの胸が痛みますが・・・
キングジコチューの力によって、一気にレジーナのプシュケーが塗り潰されました。
『ああ、やっぱり私はパパが好き。そのパパと私を引き裂いたのは・・・プリキュア』
目を開いた時、レジーナの瞳は再び赤く染まっています。
黒い竜巻が消え、レジーナが無事と見て取って安堵するハート達。
しかし、レジーナは先程までと打って変わって冷たい笑みを浮かべています。
無邪気さは変わらぬまま、プリキュアに向けて光線を放つレジーナ。
これまではマナへの想いは消えていなかったのに、今ではまるで容赦ありません。
『レジーナはパパの事が大好きなのに、絶対にキングジコチューの思い通りにはさせない!』レジーナの豹変に驚き、キングジコチューが邪悪な心を植え付けたと察して
声を大にするハートですが、当のレジーナの心は全く揺るぎません。
『この世界は私とパパしか必要じゃないの。あなた達こそ消えちゃいなさい』
いくらレジーナに対して友達だと訴えても、ちょっと怪訝そうな顔を浮かべるだけで、
まるで動じずにプリキュアを攻撃し続けるレジーナには全く届きません。
『友達とかそういう下らないもので、私を苦しめようとしてるんでしょう?
ざんねーん!もうその手には乗りません♪』
無邪気な本質は変わらぬまま、レジーナは容赦なく攻撃を畳み掛けます。
この状況に、ラブリーフォースアローなら悪の心を浄化できるかもしれないと試みますが、
ハートには弓でレジーナを射る事がどうしてもできませんでした。
続くレジーナの攻撃によって変身が解かれた四人に、レジーナのとどめの一撃が迫ります。
『そろそろ終わりにしてあげようかな?さよなら。偽りの愛の戦士、プリキュア』
もはやマナの叫びも届かず、打つ手がないと思われたその時・・・
何処からともなく現れた
おもちゃ赤い光が、レジーナの攻撃を打ち砕きました。
『愛の切り札。キュアエース!』突如として現れた新たなプリキュア。果たして、その正体は・・・?
まず、アン王女でもレジーナでもない
全くの第三勢力と言うべき釘宮さんというキュアエースの「声」には驚きました。
ラストのワンシーンのみの登場、今回では素性が明らかにならない、
とは予想していましたが、エースの素性、ジョー岡田の隠棲先、アイちゃんとの関係など、
より一層深まる謎にこれから先も目が離せません。
それにしても
ダークドリーム→
キュアビューティに続いて、
ダークレモネード→キュアエースとは・・・今後この流れが再びあるのでしょうか?
今回は
フレッシュプリキュアの第24話のような展開になるかと思いきや、
レジーナを取り巻く状況は未だ安定しないという現実に向き合わされました。
暖かな家族の団欒、みんなと過ごす時間など、共通する点はあるものの、
レジーナを迷わせる胸の痛みと、父への想いが複雑に絡み合い、
問題の解決にはまだまだ時間がかかる事が伺えます。
しかし私はなるべく良いところを吸い上げて語るよう心掛けているのですが、
前回との整合性を考えると、正直申しまして今回は首を捻るところが多く、
なんとなく釈然としないものを抱いてしまいました。
マナだけでなく、最も頑なだった真琴とも心を通わせつつあったレジーナを
あっさりと手の平返させるキングジコチューの恐ろしさを演出する意味では、
確かに効果があったかもしれません。
ただ、それでは前回のレジーナの決意・覚悟はなんだったのか、
今回マナや相田一家と過ごした時間はなんだったのか。
キングジコチューの「ジャネジーを受け入れろ」に対してであったり、
プリキュアに容赦なく攻撃を畳み掛ける際にも、
もう少しレジーナに抗って欲しかったと思います。
せっかく積み重ねて来たものが、一気に覆ってしまうのは、
ちょっと唐突すぎる気がして残念に思いました。
例えば再びキングジコチュー側になびくとしても、もう少しマナ達との交流を経てからの、
33話前後の山場での豹変ならば一層深みが増したように思います。
また、間一髪のタイミングでキュアエースを登場させるためだけに
再び悪堕ちさせられたように感じられてしまい、この点も残念な気がしました。
随所に描かれる胸の痛みに関しても、夕食時や海でのひと時でのものは
何となく輪に入り辛い疎外感であったり、
かつてせつなが抱いたように、この幸せを壊して来たという罪悪感だと考えられますが、
プリキュア達が苦戦している折の胸の痛みをどう解釈するか、
私には思いつきませんでした。
一度目覚めかけた者が再び悪に転じてしまうという展開では
スイートプリキュアの第13話を連想させます。
この時はハミィの呼びかけによって目を覚ましかけたセイレーンが
再び強力な洗脳によって元に戻ってしまう展開が描かれました。
そこから再びセイレーンが自分を取り戻すまでに10話程度を擁した事を考えると、
レジーナが再びマナ達の下に戻ってくるのもやはり10話程後の33話前後になるのでしょうか。
この時セイレーンを再び闇に落としたディーバを演じていたのが
レジーナ役の渡辺さんという事実が、偶然とはいえ因果が感じられて興味深いです。
キングジコチューは今回、レジーナに対して愛を否定しています。
一方で偽りの言葉かもしれませんが、娘に詫びる言葉には愛が伺えなくもありません。
単に利用するための詭弁だったとしても、レジーナという存在を生み出した愛があるとすれば、
この矛盾をどう解釈すべきか、難しいです。
キングジコチューとマナ達の間に架け橋がかかるとすれば、
その矛盾を突いていくのか、それとも・・・?。
レジーナの記憶があいまいだという事実も
果たして本当にキングジコチューの娘なのかという疑問を浮かび上がらせます。
意図的に消されているのか、それともキングジコチューが扱いやすいように
レジーナの記憶を操作して娘だと思わせているのか・・・?
そしてレジーナにとって未だ慕うべき存在である以上、
キングジコチューを倒すという選択肢も難しくなりそうで、こちらも先が読めません。
そのため今回はストーリー全体の作りよりも、
細かいところでの楽しげな描写の方に目が行きました。
まず冒頭の「王子様のキス」でのみんなの反応が楽しめました。
もっとも六花の想定した「王子様」とは「幸せの王子」マナの事だったりして(笑)
四人それぞれの反応もさることながら、
乙女チックなシャルル、ジョー岡田に妬いてるっぽいラケル、
幼い故に感心が薄そうなランス、逆に大人ゆえに平然としているダビィ等、
妖精達の反応もそれぞれ個性が出ていて良かったです。
レジーナと一緒にアルバムを眺める場面での、写真に写った幼いマナの可愛い事!
そして海でのひと時も、前回の重い展開の後だけに和やかな空気が感じられて楽しめました。
願わくば、再びこの輪の中にレジーナが加わる日常を望みたいものです。
また今回は、そのうちレジーナに影響を及ぼすかもしれませんが、
現時点では直接的な影響が少なかった健太郎パパの台詞が一番感銘を受けました。
私も旅行に行く旅に、新たな発見やいろいろな刺激を受けます。
現に大自然や偉大な遺産などを前にすると、
健太郎パパのような気持ちになる事もありますが、
いざ家に帰るとすぐにいつものちっぽけな自分に戻ってしまい、
そんな自分の小ささに苛立つ事もしばしばあります。
それでも、そんな自分を小さく見るのではなく、
旅先で得た経験は少しずつでも前に進ませているのではないかと、
前向きに捉えて行けるように思いました。
次回予告も、エースの謎というよりはレジーナの行く末の方が心配になりました。
あのマナの様子を見ると、何か一筋縄ではいかない重い事態が待ち受けていそうで・・・