開始早々、CAが素体となったらしき飛行機ジコチューが
華やかな仕事の裏に隠されたうっぷんをブチまけながら空港で暴れ回っています。
颯爽登場するプリキュア達に、お客様の中に王女様はいらっしゃいませんか?など
一応職業意識を掲げて問いますが、ハート達が答えないとみるや
両翼のエンジンから逆噴射攻撃を打ち出して来ました。
機長!やめて下さい!ロゼッタリフレクションは第一波を防いだものの、
続く強力な逆噴射攻撃は防ぎきれませんでした。
結果的にエースの助力によってジコチューを撃退して事無きを得ますが、
ロゼッタは守り切れなかった事に責任を感じ、謝ります。
『申し訳ございません。私の守りが弱いばかりに、危険な目に遭わせてしまい・・・』ロゼッタが悪いわけじゃないと慰めるみんな。
一方エースは、叱責でも助言でもない言葉をロゼッタにかけました。
『私から特に言う事はありません。あなたは自分で気づく子です。頑張って成長なさい』いつになくため息を付き、セバスチャンの淹れたお茶を飲んでもありすの表情は優れません。
マナと真琴がエースの導きによって成長したように、
ありすも自分を高めなければならないと自己を律しています。
彼女の日々の努力を知るセバスチャンに慰められても、まだまだ頑張りが足りないと、
ありすは一人道場で鍛錬に励みます。
どうみてもオーバーテクノロジーなトレーニングマシン(笑)と渡り合うものの、
拳の曇りを機械に指摘され、北斗百烈拳のようなマシンの一撃に壁際まで跳ね飛ばされました。
『こんな事では、皆様をお守りできませんわ!』敵はトレーニングマシンでは無く自分自身だと言うように、
再び立ち上がって構えを取るありす。
その一部始終を、扉の陰からセバスチャンがまるで星明子のように見守っています。
科学の粋を集めた人工コミューン。
セバスチャンが密かに作り上げた四葉グループの技術の結晶が、世に放たれる時が来ました。
『今こそお嬢様の右腕となる時。プリキュア!ラブリンク!』
説明しよう。人工コミューンは所持者の「プリキュアラブリンク」の言葉に反応し、
持ち主を究極戦士へと変身させるのだ!!
独自の専用バンクまで経て、温和な老執事がバットマンさながらの戦士へと変身します。
『お嬢様のためならば、このセバスチャン鬼にも悪魔にもなる覚悟。いざ、実戦テスト開始!』
その脚力は人間の限界を超えたスピードを持ち、その拳は地面を穿つパワーを発揮。
これならお嬢様の役に立てると、満足そうですが、
プリキュアセバスチャンアタックは生身の人間に負荷をかけるのか、
それともセバスチャンの老体には厳しいのか、さすがの完璧執事も息が上がっています。
続けてセバスチャンは滝行で精神を鍛えていました。
そこに王女探しを途中ですっぽかしたマーモが、マイナスイオンを浴びにやって来ます。
その際マーモが落とした荷物は奇しくもセバスチャンのトランクと同型だったため、
互いの荷物が入れ替わった事に両者気づいていません。
滝行を終え、マーモの荷物を持っていくセバスチャン。
一方マーモはセバスチャンのトランクを落とした荷物と勘違いし、
そのまま滝の傍で涼み始めました。
『四葉家筆頭執事の名にかけて、お嬢様をお支えする!』
セバスチャンが不退転の覚悟でトランクを開くと、
そこには化粧品や美容道具一式が入っています。
マーモもまた、日焼け止めを取ろうとトランクを開けると、中には機械がひとつだけ。
その形状に見覚えがあると思いながら、マナ達の変身を思い出し、
何気なく「プリキュア・ラブリンク?」とつぶやくと、その言葉に人工コミューンが反応。
呆気に取られたままマーモもキュアパッションのような姿に変身して行きます。
セバスチャンは荷物が入れ替わってしまったと気づいて滝へ戻りますが、
そこに落ちているトランクの中身は空っぽです。
いつになく焦りの色を見せるセバスチャンを案じるありすとランス。
そこにマナ達から四葉デパートにジコチューが現れたと通信が入りました。
デパートの食品売り場では、楊枝のジコチューが
生み出したグーラの意志を反映したかのように試食品を食い荒らしています。
試食品で腹一杯になれば金払わずに済むというセコさに、ダイヤモンドの突っ込みが飛びます。
『何て器の小さいジコチューなの?』それに輪をかけて攻撃まで紙コップをただ投げるだけとセコいジコチューですが、
グーラに煽られて大きくなりました。
『成長、早ッ!』久々にダイヤモンドのツッコミが冴え渡る中、予期せぬ第三勢力の高笑いが響きました。
見ると階段の上に、謎の女性戦士が立っています。
『問われたからには名乗らぬわけにはいかないわね。
我が名は
イース。ラビリンス総統メビウス様がしもべ・・・えーと』
肝心の名前を考えていなかったのか、ここで一度詰まりますが、
ハートの名乗りを参考に、口上とポーズを決めました。
『みなぎる美しさ!キュ・・・ティーマダムよ!!』
『ティーマダム?』『どちらの奥様でしょう?』『いやいやマダムじゃなっくてマーモだし』さすがダイヤモンド、このボケ倒しの空気の中で、正体を見抜き冷静なツッコミを入れます(笑)
『お前、何かおかしなもの拾って食ったのか?』
身内のグーラまでマーモ、いやキューティーマダムに突っ込むという
脱力気味の空気の中、人工コミューンが敵の手に渡ってしまったと察して
一人セバスチャンだけが冷や汗をかいている事を、この時は皆知る由もありません
『・・・どうする?』『突っ込みどころが多すぎて、どこから突っ込んでいいかわからない』『どういうつもりかしら?』呆れ気味のみんなと裏腹に、
マーモいやキューティーマダムは注目を浴びる快感に酔いしれています。
その高笑いに苛立ったジコチューがキューティマダムに襲いかかりますが、
髪が乱れを気にした彼女の反撃に遭いました。
その隙を突き、ラブリーフォースアローでジコチュー撃退。内容はともかく結果オーライです(笑)
『お前味方じゃないのかよ!』
もっともグーラは文字通り開いた口がふさがりません。そのお気持ち、ごもっともです。
マーモが心を入れ替えたのかと、その行動に首を捻るハート達。
その時セバスチャンが一人思い詰めている事に、ロゼッタがようやく気付いたようです。
亜久里が持って来た新聞は、黒い貴婦人ことキューティーマダムの記事でもちきりです。
記事によれば人助けもしているようですが、その実態はといえば・・・
ビルの建設現場で足場を崩して作業員を宙吊りにし、
野次馬や警察、消防、マスコミが集まって来るのを待って、
絶体絶命のタイミングを狙い作業員を救助するという、
単にマーモが注目を集めるためだけのものでした。
無論その事は暴かれておらず、マスコミは強く美しきヒーローとして持ち上げています。
その記事しかソースが無い今、
本当に心を入れ替えたのかもしれないとの期待がマナ達にも生まれますが、
亜久里はマーモが何を考え、なぜ変身したのか調べる必要があると釘を差しました。
そして、ありすはこの場においても一人考え事をしているようです。
その頃必死にマーモの行方を追っていたセバスチャンは、
彼女が美容院にいる事を突き止めました。
キューティーマダムの人気を利用してタダにしてもらいご機嫌のマーモを、
フルプレートアーマーで身を固めたセバスチャンが待ち受けます。
『鋼鉄の執事とでも読んで頂こう』
あの、この暑い時期にその恰好は・・・(笑)
人工コミューンを返すよう迫るセバスチャンですが、当然マーモは応じません。
やむなく力づくでも取り返すと挑むセバスチャンを、マーモは指先一つでダウンさせます。
しかし、これしきの事で負けるスーパー執事ではありません。
再び立ち上がり、キューティーマダムの攻撃を盾で受け止め、踏ん張ります。
『
やらせはせん!やらせはせんぞぉ!!四葉の栄光!この私のプライド!!』
(注:台詞は一部加筆してあります)
しかしいくら彼が常人離れしていても生身の人間。
奮闘空しく押し切られました。ありすが駆けつけた時、マーモは既に引き上げた後です。
ありすに詫びるセバスチャン。しかし逆にありすの方が頭を下げます。
『謝らなければならないのは、私の方ですわ。セバスチャンは非力な私を助けたい一心で、
人工コミューンを開発してくれたのでしょう?情けない主で、ごめんなさい』セバスチャンは最高のご主人様だとテーブルを叩いて力説します。
ありすの幼少時から、セバスチャンは常に彼女につき従い、守り続けて来ました。
転びそうになる前に下敷となって庇ったり、お化け屋敷でお化けを撃退したり、
眠れない夜には笑わせてくれたり・・・
『今度は、私があなたを守る番ですわ』とある遊園地のヒーローショーに、キューティーマダムが突如乱入。
怪人を吹っ飛ばす活躍ぶりに、観客の子ども達も喝采を送りますが、
肝心のヒーローはすっかり食われてしまい、所在無げです。
そしてキューティーマダムは子どもの歓声を聞いて調子に乗り、
もう人暴れしようとヒーローまで吹っ飛ばし、これには子ども達もドン引きです。
『いい加減になさい!子供たちが泣いているじゃありませんか』自分より目立つ者は許さないというキューティーマダムに言わせれば、
この力は欲望を満たすためにあるものでした。
『であれば、私は鬼にでも悪魔にでもなりますわ!子ども達、そして愛する執事のために!』ありすの言葉にセバスチャンは息をのみました。
そしていつもの自分の役割を思い出したように子ども達と、ついでにヒーローと怪人も逃がし(笑)
その間にありすは変身します。
『覚悟なさい!いつわりのヒーロー!キューティマダム!』ヒーローショーの舞台で激闘を繰り広げる、善と悪のヒロイン。
ロゼッタが蹴りを繰り出せば、キューティーマダムも扇子で煽ぎ返します。
遅れて駆けつけたマナ達も変身。ロゼッタを襲う暴風は、スパークルソードで打ち消しました。
『人工コミューンを返して下さい』『あれは私のモノよ。もう名前書いちゃったしね』
・・・確かにそこは重要ですけど(笑)ロゼッタは人工コミューンを取り返すべく、抗います。
『であれば、力づくでも取り返します。これまで私を守り続けてくれた、セバスチャンのために』その時、ロゼッタから光が立ち上りました。
『愛に気付いたようですね。キュアロゼッタ。あなたは守り、守られている』いつの間にか傍らにいた亜久里が、新たな誓いを言い聞かせました。
『プリキュア5つの誓い、ひとつ!愛する事は守り合う事!
いかなる時も守り合い、愛を貫きなさい』続けて亜久里も変身し、エースショットでキューティマダムの動きを封じました。
それでも両腕を拘束された状態から反撃してくるキューティーマダムの一撃を、
ロゼッタリフレクションで受け止め、そして弾き返します。
はね返された攻撃を受けて人工コミューンは壊れ、
変身が解けたマーモはキューティマダムのキャラに未練を残しつつ引き上げて行きました。
『お見事ですわ。キュアロゼッタ。あなたは暖かく、そして強い子ね』主の戦いを見届け、セバスチャンは涙を拭います。
セバスチャンの淹れたお茶を飲みながら、人工コミューンを壊してしまった事を謝るありす。
セバスチャンは、人工コミューンが無用の長物だった事に気が付いていました。
『やっぱりセバスチャンが淹れてくれるお茶が一番ですわ。末永く宜しくお願いしますわね』互いを守り、守られる主従の絆は、これからも末永く続いて行く事でしょう。
まずはこういう路線、個人的に大好きなので大いに楽しませてもらいました。
レジーナ関連が一息つき、個々の成長に目を向けると言うテーマが続く中、
久々に肩ひじ張らずに楽しんで視聴できる一編だったと思います。
無論それだけではないのは後述するとして、
まずインパクト抜群だったセバスチャンの活躍ぶりについて触れて見ます。
前回の予告で物議を醸した、キュアセバスチャン。
あのバットマン風スタイルになるのに専用の変身バンクまで用意してくるとは(笑)
さすが
キュアタルトや
キュアキャンディ、
キュアゴリラ変身バンクを作っただけの事はあります。
疾走している時の目も妙に楽しそうだったり、
何かストレス発散しているように見えたのは私だけでしょうか。
常に陰ひなたに徹してきた壮年男性が抱えていたものが垣間見えた気がしました(笑)
あと、バットマンというより、あのヒゲと覆面の目の形から、
プリキュア的にはキントレスキーに似ているようにも思います。
あんなのを開発する科学力に関しては・・・まあ、触れるのが野暮という事にしておきましょう。
後半に入ってからの「鋼鉄の執事」など、ひょっとして変身願望を秘めていたのかと思える様、
某ザビ家の方のような「やらせはせんぞ」発言、
(奇しくもキントレスキーも似た台詞を口にしていました)などなど、セバスチャン無双の数々には大笑いしたものです。
また、こんな規格外の活躍をしたセバスチャンに釣り合うだけの存在感を
久々に見せつけてくれたマーモ=キューティーマダムも楽しめました。
欲を言えばベールとのおっさん対決も観たかったのですが・・・
彼女のキューティーマダム化に関しても、
本人が意図しないところで変身してしまったという「きょとん」とした感が
妙に温度差があって笑えたところです。
それにしても、やっぱりあの姿キュアパッションみたいです。
あと、誰も彼女の事を「ヒロイン」って呼んであげないんですね(笑)
ところで人工コミューンの仕様はなんとも皮肉なものです。
誰でもプリキュア?になれる事で、
強大な力は使い方によって善にも悪にもなり得ると言う警告のようです。
現にマーモは見事その魅力に溺れてしまいました。
そしてセバスチャンは踊らされずとも、
ありすのために自分が出来る事は何なのかという基本理念を失いかけていました。
その両者と比較して、力に踊らされないありすからは
逆に地に足がついているような強さが伺えたように思います。
さて、とかくこの二人のブッ飛び加減が楽しかった反面、
それが今回の最大の欠点でもあると感じた方もいらっしゃると思います。
私も予告の時点では、メインを務めるありすを差し置いて、
執事がそれ以上目立っていいのかと、少し気になったりしました。
しかし実際に本編を見てみると、ありす自身の成熟した強さや完成度、
そして隠れた努力というものがアピールされたのかもしれないと、
気になるどころか逆にありすのメイン回としては良い作りだったと思いました。
悩めるありすに対するエースの助言も必要最小限です。
そして、常に助言を与える立場である筈のセバスチャンが妙にテンパってしまっている事で、
ありすが自ら答えを導き出したという印象が感じられました。
執事とは主を立てるため、影に徹する存在です。
ともすれば主たるありす=ロゼッタそのものが、守りというやや地味な能力ゆえに
プリキュアチームの中では、執事的立場に見えなくもありません。
だからこそ、「鬼にも悪魔にもなる」「力づくで取り返す」という
セバスチャンの台詞と重なる言葉が、ロゼッタの口からも出ているのでしょう。
ありすはみんなを守るだけではなく、守られているのだという事は、
幼少時のセバスチャンとの記憶だけでなく、
冒頭のロゼッタの失態を庇うみんなの姿勢でも見て取れます。
前回の「愛は与えるもの」と同様、与える事により逆に与えられる、
守る事により逆に守られるという事が、
ありすは一人ではない、責任を一人で背負い込む必要はないのだと見受けました。
さて今回は飛行機ジコチュー、楊枝ジコチュー、そしてキューティーマダムと、
一編で三度の戦いが描かれました。
それぞれが短いものの時折のアクション描写に光るものがあるのは流石です。
その中で冒頭の飛行機ジコチューの素体となったCAが、
一見華やかな花形職業の裏の厳しさを愚痴るところも、
華やかな財閥令嬢という地位に甘んじず、たゆまぬ努力を重ねているありすと好対照です。
世間一般の憧れとは違う努力、苦労があっても、決して不満を口にしないありすの強さが
こういうところにも見て取れるように思いました。
それにしても開始早々に飛ぶ飛行機のロゴが、
今は無きパンナムに似ていて妙に懐かしく感じたものです(笑)
相対的にマナと真琴の印象が薄いのですが、
彼女達はここ数回の存在感が大きかったので今回は止むを得ません。
むしろ突っ込みどころが満載なだけに、六花が的確なツッコミ役として輝いていました。
そして普段が普段だけに、ありすの武術姿のカッコいい事!
実際、変身前の状態でこのように動く事が初めてですので、
一度見てみたいと思っていただけに満足でした。
そしてまた次回予告がやってくれました。
ひところのレジーナとマナのように、六花は己の信念を貫けるのか・・・
六花とイーラ、この二人が作り出すドラマが物凄く気になります。
~余談~
カオスなバットマンという事で、久々にこんなのを思い出してしまいました。
農協牛乳!!!!!!懐かしいです。