はじめにお詫びします。
普段再見レビューでも一つのエピソードを何度か繰り返して視聴してから執筆するのですが、
久々に見た今回は、すぐに2度目3度目を観ようという気になれませんでした。
後日加筆修正するかもしれませんが、そのため現時点で粗筋は割愛させていただきます。
日々の仕事を終え、帰宅してから観るプリキュアという作品からは元気を貰っています。
熱い闘いに爽快感を覚えるのももちろんですが、
一つのエピソードで何らかの問題に遭遇し、それを少女達が乗り越えていく。
その姿を見てサラリーマンの私も元気を貰い、
また仕事を頑張ろうと前向きな気持ちを抱いてきました。
今回の内容も当然知っているため、ある程度腹を括って臨みましたが、
残念ながら今回の話からは私を前向きにさせるものは感じられませんでした。
前回、再見で先入観が変わり、新たな発見がある楽しみについて触れましたが、
当然例外もあります。今回は残念ながらその例外にあたりました。
初期(だけではありませんが)のミルクの腹黒さは周知の通りで、
当然再見にあたりその事を踏まえて観たものの、抱いた感想は本放送時と変わりませんでした。
これまでのシリーズの再見でも、初期メップルのワガママに閉口したり、
初期ポルンのやかましさを鬱陶しく思ったこともあります。
それでも彼らは、悪い事をしたという自覚があるだけまだマシで、
今回のミルクの反省の色すら見えない厚顔さ、
騙された奴が悪いというような腹黒さからは不快感しか感じられません。
ずっと一人で生き抜いてきた。その境遇には確かに同情します。
「同情するなら金をくれ」ではありませんが、
きれいごとでは生き抜いてこられない出来事もあったでしょう。
しかし、騙しぬいてここまで辿り着いた事を自慢げに報告するのはいかがなものでしょうか。
正直者が馬鹿を見る展開は、(プリキュアでは主に敵側に多い境遇ですが)
少なくともプリキュアという作品の、味方同士のやりとりではあまり見たくありません。
弁当を盗み食いしたり、豆大福を奪い取ったり、
挙句に尊大な態度でのぞみの手を叩き、さらには見くだした物言い。
のぞみでなくとも怒るのは当然ですが、なぜ誰もミルクを諌めようとしないのでしょう。
のぞみ以外の面子が、特にりんちゃんとかれんが
ミルクに甘すぎるのも違和感に拍車をかけています。
ミルクの振舞いや言動に目くじらを立てるのぞみが子供で、
りんちゃん達は寛容な大人の対応をしているのでしょうか。
私にはそうは考えられません。大人ならば悪い事は悪いと注意すべきと考えます。
まだ分別のつかない赤ん坊ならいざしらず、子供とはいえミルクは人間換算で14歳、
のぞみ達と同世代です。(実際美々野くるみとしても2年生でしたし)
この年で己のしたことを省みず、傍若無人な振舞いは、
子供だから仕方が無いというレベルの話ではありません。
プリキュアの登場人物として、少なくとも「お礼を言う」「謝る」くらいの事は必要だと思います。
まるで印籠を出さない水戸黄門や、桜吹雪を見せない金さんを見たような
煮え切らない気持ちを抱いてしまいました。
初対面ゆえの遠慮で他のみんなが口を挟まないのならば、
当然ココとナッツが注意したり、のぞみをフォローすべきですが、その様子も見られません。
「優しくする」のと「甘やかす」のは違います。
ココもナッツもミルクの境遇を案じて必要以上に強く言わないのかもしれませんが、
そのために歯止めの利かないミルクが周囲に及ぼす害悪は、
ココとナッツにも責任の一端があると思います。
今回ココとナッツがギリンマ君に襲われたのも
後先考えずに軽率な振舞いをしたミルクが原因です。
そしてミルクは
次回でもトラブルを巻き起こし、
さらに
次々回ではプリキュア史上最も恐ろしい事件の引き金を引きました。
その原因はミルクとのぞみにあっても、その芽を放置したココとナッツ、
ひいては4人、というよりメインキャラクター全員に問題があります。
このあたりは
23話・
24話の再見で改めて見直し、見極めたいと思います。
王子であるココとナッツが働いている事に衝撃を受けるミルク。
この描写からも残念な想いを抱いてしまいました。
確かに王子のすべき仕事ではないかもしれませんが、
高貴な身分の者にもその立場ゆえの責任と執務があります。
ただ周囲に傅かれ、玉座にふんぞり返っている暗愚な王も中にはおりますが、
ココとナッツはそのような人物ではありません。
果たしてミルクは、今までココとナッツの何を見てきたのでしょうか。
そして、何をどうお世話するつもりだったのでしょうか。
まだ子供である事を考えれば、漠然と憧れを抱くだけなのは仕方ないですが、
それではいつまで経ってもお世話役「見習い」のままです。
私はどんな話であっても、ただ切り捨てるだけのレビューにはしたくないと考えています。
そこから何か糧になるような、あるいはシリーズを通して意味があるものを見出したい。
そう考えて上記24話までを含めて一つのエピソードとして見ると
ミルクの悪い面をことさら強調することにも意味があります。
そしてココとナッツのために恐怖に震えながらも毅然と単身ギリンマ君に立ち向かう等、
ミルクの悪い面だけが描かれている訳ではありません。
後にミルキィローズとして圧倒的な強さを得るのは、
この時抱いた無力感への反動だったのかと思うと感慨深いものがありました。
また、これだけ悪印象を持たせるからこそ、後にミルクがみんなと信頼関係を築き、
欠かせぬ仲間となったときのカタルシスが感じられると思います。
何か釈然としないので明日のハートキャッチで口直しと行きたいのですが、
こんな時に限って明日は久々の日曜出勤に・・・
プリキュア5の再見を先に進めると、さらに重い展開が待っているため、
オールスターズDXでも観て気分転換することにしますか・・・