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プリキュア5 最終回『夢と希望のプリキュア5!』 [Yes!プリキュア5]

いずれ誰にも分け隔てなく訪れる死への恐怖を紛らわすためでしょうか。
人は大昔から永遠の命への夢を抱いてきました。
しかし、永遠の時をたった一人で過ごす事の孤独感と絶望感は、
人智を越えた存在か、神でも無い限り耐える事はできません。
そして、その間にも恐怖、不安は絶え間なくやってきます。
「神」になる事ができなかった哀れな女の絶望に、希望の手を差し伸べるのぞみ。
プリキュア5の物語は、シリーズ全体を通しても異色の結末を迎えようとしています。
 
『跪け、絶望のもとに!』
デスパライアの号令の下、一斉に飛びかかる
無数の影コワイナーを相手に最後の戦いの火蓋が切って落とされます。
個々に、そして時に力を合わせてコワイナー達を蹴散らしていく5人。
以前戦った時の経験から、影コワイナーを地面から引き離そうと試みますが、
以前の弱点は克服されているのか、影コワイナーは消えません。
倒しても倒してもキリが無く、先の見えない戦い。それでも5人は負けません。
デスパライアは諦めずに抗い続ける5人の姿に苛立ち、
自ら戦いの場に降り立ちます。
ドリームの背後に迫り、周囲をコワイナーで囲み、
皆の希望の源であるドリームを絶望させようとするデスパライア。
4人もコワイナーに阻まれ、ドリームの許へ行くことができません。

『現実を見ろ。どちらにせよお前達に勝ち目は無い』
ドリームの目には、無数のコワイナーに取囲まれている現実が映ります。
それでも現実など変えて見せると、ドリームは諦めません。
『抵抗する事をあきらめれば、楽になれる。奴らがそうだったように・・・』
奴ら、すなわちパルミエ国民にコワイナーをけしかけるデスパライア。
それはミントシールドが防ぎますが、ドリームはコワイナーに羽交い絞めにされたままです。
4人はコワイナーの大群によって弾き飛ばされ、
そしてデスパライアは力の源であるドリームを懐柔すべく、その瞳を深く覗き込み・・・

ドリームは美しい花畑で、小々田先生の腕の中で気が付きました。
『君が傷つく姿は、もう見たくない』
ドリームの左手首のキャッチュに手を伸ばし、甘く囁きかける小々田先生。
ドリーム以外が見る現実の光景では、その小々田先生はコワイナーが扮したまやかしです。
それはココではないと呼びかけるナッツ、ミルクをよそに、
当のココ自身はドリームは負けないと信じて見守り続けました。
そしてまやかしの世界でも、ドリームは期待を裏切らずに小々田先生を突っぱねます。
『パルミエ王国を蘇らせるために、みんなのために、私の知っているココは
 いつだって自分のことよりもみんなの事を考えて、いつも私を励ましてくれた』

キャッチュが輝きを放つと共にまやかしが解けて行き、ドリームも現実へと戻ってきました。
『ドリームはどんな時も前向きで、未来のために今を頑張る素晴らしい人だココ』
そう評されたドリームもまた、優しくココを振り返って語り掛けます。
『皆を大切に思うココの優しさが、私に前へ進む力をくれるの。
 だから私は、ココが大好き!ココの夢を、絶対に叶えてみせる!』

感涙に咽ぶココ。ですが・・・

『黙れ!』
業を煮やしたデスパライアの叫びがこの光景に水を差します。
しかし続くデスパライアの言葉からは自信どころか、不安が、恐れが滲み出ています。
『私は願いを叶え、お前達は叶えられなかったのに、なぜ絶望しない!?』
対する5人は強い意志が漲った、自信に満ちた目でデスパライアを見返していました。
『何故だ?お前達は怖くないのか?老いる事が怖くないのか?
 力が衰えるのが怖くないのか?永遠の命を得ても、私は・・・なぜ・・・?』
プリキュア達の前に立つのはもはやナイトメアを束ねるデスパライアではなく、
不安に怯える哀れな女の姿でしかありません。
それに気付いたドリームは意を決し、
戸惑う4人を他所に単身デスパライアの許へ歩み寄り始めました。
すっかり怯えきったデスパライアが後ずさりするのを見て、
のぞみは静かに深呼吸した後、自ら変身を解きます。こうすれば話し合える、と。

『私もあなたと同じだと思う。だから話したいの』
同じではないと反発するデスパライアに、のぞみは諭すように語りかけます。
『でも、怖かったり不安だったりするんでしょう?
 皆と同じように、あなたも心を持っているからだよ』

不安が徐々に安らいでいくのを象徴するようにコワイナー達が消えていく中、
デスパライアはのぞみに疑問を投げかけました。
『お前はどんな時も決して諦めず、希望を持ち続けている。怖いと思ったことは無いのか?』
『怖いよ。今も怖いと思ってる。でも平気だもん』
のぞみが怖いと思っても平気な理由というべき4人の仲間達も、
次々と変身を解きデスパライアの許へ歩み寄り始めました。
『本当、のぞみは昔っから後先考えずに突っ走るんだから』
『でも放って置けなくて、ついて行きたくなっちゃうんですよね』
りんちゃん、うららは少し呆れ気味であってもその行動力に理解を示し、
『のぞみさんには、いつも驚かされてばかりだけど・・・』
『ここまで一緒にやってきたんだもの。最後まで付き合うわ』
こまち、かれんの上級生組ものぞみの意志を汲んで続きました。

『私は皆と一緒に、頑張ってるだけだよ』
のぞみの笑顔を見て4人を見回すデスパライア。次々に頷く4人。
『仲間がいるから恐れを退け、希望を持てるのか?』
『一緒に話そうよ。ね?』
デスパライアに手を差し伸べるのぞみ。しかし、その時・・・
『無礼者が!』
無数の黒い紙と共に突如として蘇ったカワリーノが、無防備なのぞみに襲い掛かりました。
『消え失せろ!』

その一撃を止めたのはデスパライアです。
この者たちの話をもっと聞きたい、どうすれば希望を持てるのか知りたいと言うデスパライアに
流石のカワリーノも戸惑いを隠せず、不老不死となり、これから全世界を絶望で覆い、
唯一絶対の支配者となれるデスパライアに、これ以上何を望むのかと説得を始めました。
ところがデスパライアの返答が、カワリーノを心底絶望させる事になります。
『永遠の命を得ても安らぎが得られなかった。
 この上世界を絶望で覆い尽くしても空しいだけではないか・・・』
『それでは・・・これまでやってきた事は無駄だったと・・・?』

突如、カワリーノの絶望の匂いをかぎつけたようにその足元に絶望の闇が広がり、
その中から伸びる手が、カワリーノの足を掴みました。
変わり果てたブラッディ氏の腕に掴まれ、そのまま深い絶望に引きずり込まれていくカワリーノ。
目の前でなす術も無く飲み込まれて行く腹心の姿に、
デスパライアから恐ろしい絶望の叫びが漏れ、同時にコロッセオが崩壊を始めました。
絶望の力が暴走し、もはやデスパライア自身でも抑える事ができず、
このままでは全ての世界が消えてしまいます。
デスパライアは覚悟を決め、プリキュアの力で自分ごとこの世界を封印するよう頼みました。
『ダメだよ!そんなことしたらあなたが!』
忌むべき相手同士であっても理解し合えたかもしれない。
戸惑うのぞみですが、デスパライアの決意と覚悟に打たれて決心を固めます。
『私の最後の願いだ。頼む・・・』

改めて変身する5人。ドリームへ力を集め、光り輝く巨大な蝶の羽根が
コロッセオを、そしてナイトメア本社ビルを包み込みます。
そしてデスパライアはその光景を見上げるパルミエ国民のもとへ歩み出、
思わず後ずさりする国民達に石と化したコレットを差し出しました。
『こういう時に何を言うべきなのか、私はわからん。すまなかった・・・』
ナッツにコレットを渡し、背を向けて、封印されゆくナイトメア本社ビルへと向かい、
振り返るデスパライアに無言で頷くドリーム。
蝶の羽根が閉じられ、ナイトメア本社ビルを包み込んで行きます。
『感謝する・・・』
最後に優しい微笑を浮かべ、デスパライアはその中へと消えて行きました。
ナイトメアの終息を見届け、元の世界へと戻った5人。
そこには勝利の喜びはありません。
ただ5人の心境を表すように冬の夕陽が、長く、長く影を落とします。

その夜、気を取り直すように、水無月家でパルミエ国民全員に食事を振舞い、
賑やかな宴が催されました。ココ達はこれからどうするのか。
パルミエがあった場所はまだ荒地のため、
皆で一から新しいパルミエを築くと抱負を語るココとナッツですが、
どちらが王となるのかはまだ決まっていません。
そんな中、ずっと一緒にいたミルクは、慣れない世界で大変な苦労をしていても、
王国のため、みんなのために一生懸命協力し合っていたと2人を評し、
お二人が一緒ならどんな事でも出来ると進言。
そして2人とも国王になれば良いと提案しました。
国民達も賛成し、パルミエ王国には前代未聞の国王二人体制が誕生します。

そして夜も更け、国民達が寝静まった後、
ナッツはこまちと共に後片付けをしながら、努力賞をもらった事を聞きました。
努力を認めてもらっただけで、更なる精進が必要だと自覚しながらも、
こまちは努力賞を取った事で自信が持てたと、ナッツにこれまでの礼を言いました。
ナッツも首から下げた鍵を手に取り、過去を悔やんで後悔ばかりしていた折、
何度も書き直して挫けなかったこまちに、前に進む事を教えられたと礼を返します。
そして、大切な鍵をこまちに預けました。
『こまちに貰ってほしいんだ。俺達が前に進むために・・・』婚約指環じゃねぇか(嫉妬)

のぞみと小々田先生は、夏合宿の夜のように星空を見上げています。
あの夜交わした、蘇ったパルミエ王国にのぞみを招待するという約束は、
2人ともしっかりと覚えていました。
『私、待ってるね。ココがナッツ達と新しいパルミエ王国を作って、
 私を呼んでくれる時を、楽しみに待ってるから』

『ああ、のぞみに胸を張って見せられる国を作って見せるよ』
2人で見上げる流れ星。そして・・・

夜明けと共に、旅立ちの時が訪れます。
笑顔で見送る筈でした。
しかし、耐えられず真っ先に泣き出してしまうりんちゃんを皮切りに、
みんなも別れの寂しさを隠せませんが、それでもこれは別れではありません。
心が繋がっていれば、必ずまた会える。
そして別れ際に、のぞみはようやく夢を見つけた事をココに打ち明けました。
のぞみの夢とは、学校の先生です。
かつて小々田先生に可能性は気球みたいに膨らむと教えられた事を引き合いに、
みんなから本当の勇気を貰ったことで自分の可能性を膨らませ、
自分に自信を持つことが出来たと、
ココのような先生になって誰かの力のなりたいと誓います。
そしてココ達ものぞみのように、皆に希望を与えられるような国王になると約束しました。
5人の腕からキャッチュが蝶として解き放たれ、5つの希望の光が周囲を照らします。
お互い元気に頑張ろうと約束した後、光の蝶に導かれ、
ココ、ナッツ、ミルクをはじめとしたパルミエ王国の人々は空の彼方へと飛び去って行きました。

『ココ。ナッツと一緒に王様頑張ってる?私も先生になるって言う夢に向かって頑張ってるよ。
 でも、中々思うように結果は出ないものね・・・だけど大丈夫!』

のぞみの答案は48点。教師の道はまだまだ遠くても、みんなと一緒の居場所があります。
『お仕事がうまくできなかったり、オーディションに落ちたりすると、やっぱり落ち込みます。
 でも、みんながいるから頑張れます!』

残念ながらオーディションは落ちたかもしれません。それでもうららはみんなと前に進みます。
『小説を書いていると煮詰まる事もあるけど・・・そんな時は、いつもここに』
図書委員の業務の合間、執筆に悩むこまちには、鍵をくれた人とみんなの支えがあります。
『デザインの出来って、自分じゃイマイチ判断できないんだよね。
 だから、みんなの意見を聞くの』

店番の最中にもデザインに頭を悩ませるりんちゃん。意見をくれるみんなは、いつもここにいます。
『医療の仕事は、自分に向いているかどうか時々不安になるわ。
 でも、ここに来れば、みんなの笑顔に励まされる』

ガゼボのでの勉強に疲れても、かれんには励ましてくれる仲間達がいます。
いつものランチタイムの光景。何気ない日常。
みんながいる。何でも話し合える仲間。私を迎えてくれる人たち。大切な仲間。親友。
5人の夢に向かっての人生という物語は、まだまだこれからです。


プリキュア5の再視聴は、本放送時以来のものでした。
そのため、随所に当時の先入観や記憶と異なる点があり、
改めて評価を深めた点が多々ありましたが、特に大きな収穫だったのはこの最終回です。
今回の再見をするまではMHSSのように、完全燃焼した最終回という印象ではなく、
すぐ後に5GoGoが控えているためか、
小奇麗にまとめた無難な最終回という印象を抱いていました。
唐突なデスパライアの心境変化や、あっさりめのアクション、
脈絡も無く復活するカワリーノなど、確かに肩透かしや突っ込み所も多いかもしれません。
しかしデスパライアやナイトメア側の描写を見るにあたり、
私が考えていた以上に深い最終回だったと認識を改めさせられました。

恐怖を感じない人間はいない。ジョジョネタ(エニグマの少年の台詞)で恐縮ですが、
デスパライアは他のナイトメアの皆さんと異なり、異形の姿を見せる事はありませんでした。
そればかりか自らが戦闘能力を誇示する事も殆ど無く、
ただ無数のコワイナーを操る能力しか見せていません。
これはデスパライアが「人間」である事を強調し、
人間である以上どんな権力者であっても恐怖を抱き、
そして対話する事で分かり合えるというように思えます。
あなたも心を持っている、とデスパライアに語りかける際、
ギリンマ君達には心が無かったとでも言うのかという不満も確かにあります。
人間臭い描写の多かったナイトメアの皆さんと、対話をする事もしようとする素振りも見せず、
悪・即・斬とばかりに葬り去るプリキュア達が、
その元締めだけを説得して和解したことに首を捻る事もありました。
デスパライアだけを救済した事に今でも完全に納得した訳ではありませんが、
ネガティブな面だけに目を向けて作品を評価する事は本意ではありません。
むしろ最後の敵と和解したという偉業を成し遂げた事を素直に賞賛したいと思います。

それにしてもデスパライア、カワリーノ、ブラッディ氏の視点で見ると、
実に皮肉が効いており考えさせられます。
仲間がいるから怖くないと言い放つプリキュア達に脅威を抱くデスパライア、
仲間など見た事も聞いた事も無いと言い放ったカワリーノ、
そして、かつてナイトメアには結束があったと説いていたブラッディ氏。
そのブラッディ氏によってカワリーノは絶望に引きずり込まれ、
忠実な「仲間(部下)」によって「仲間(腹心)」が消されるのを目の当たりにしたデスパライアは、
誰よりも「絶望」を望んでいたにも関わらず、心の底からの絶望の叫びを上げました。
その後の謝罪と自らの封印を望む場面では、
パルミエ王国民たちへの責任を果たすという意味とは別に、
自分が知らずにこうしてしまったナイトメアへの、
ナイトメアの構成員達への責任を果たすような、
これまで尽くしてくれた者たちと常に一緒にあるとでも言うような崇高さも感じられました。

「夢と希望のプリキュア5」
そのサブタイトルどおり、5人の夢、5人の希望が詰まった描写を描いた
ラスト数分の描写はとても印象的です。
のぞみのようにテストの点数が悪かったり、うららのようにオーディションに落ちたり、
りんちゃん、こまち、かれんのように煮詰まったり行き詰ったりする事もあるでしょう。
くじけずに歩んでゆく姿、一人で悩まずにみんなと共にある姿からは
この1年でどれだけ5人が成長し、絆を深めたかが伺えます。
夢の実現のためには必ずしも順風満帆ではありません。
そして、夢を叶えた先には、それを維持するというさらに困難なものも待ち構えています。
それでも時に手を取り、時に衝突し、切磋琢磨していくであろう5人の
ラストカットの1枚絵(サブタイトルバックの絵)の笑顔からは、
それを成し遂げると確信させるような説得力が感じられました。

ところで最終回にもかかわらず、
地味に小ネタというか思わずニヤリとさせられる描写が見受けられるのも楽しめます。
ミントとアクアが影コワイナーに攻撃を仕掛けた後、
立ち止まってポーズを決めると背後のコワイナーが破裂する、というのは
私世代には北斗の拳のアニメ版を連想し、2人の立ち方とも相俟って笑わせてもらいました。
(本来笑うところではありませんが・・・)
また、うららが受けていたオーディションの作品名が「Hiキュアハート10」となっており、
「Yes!プリキュア5」をもじったものだと解りますが、
ハートキャッチシリーズを知っている身からすると
「キュア」「ハート」という単語には反応してしまいました。(苦笑)

最後に不本意ながら、終盤部分の感想では震災のため、
書きたかった事、言いたかった事を率直に書けなかったのが心残りです。
特にパルミエ王国再建に関する、国がなくなっていても国民がいれば甦れる、などは
今この状況下で言及し、励まされたと口にするのは不謹慎ではないかと悩みました。
必要以上に自粛、遠慮する事こそがかえって失礼だと考えてはみたものの、
頭でわかっていても割り切るのが難しく、いずれ機会があれば手を加えたいと思います。

さて、別れがあれば出会いもあります。
プリキュア5に続いての物語は、プリキュア5GoGo!
再開した5人とココ達、新たにミルキィローズとシロップを加え、
のぞみ達の物語はまだまだ終わりません。
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やまぴょん

スティクスさん、こんにちは。
Yes!プリキュア5の感想、お疲れさまでした。

当たり前ですが、同じ話でも見方が違うので、いろいろと考えさせるところがありました。
また、BS11で毎週土曜日に放映中で娘と一緒に見ていますが、見た後も読ませていただいていて、頭の中で話を整理させていただいてます。

実は、現時点でプリキュアの中で一番好きな好きな最終回がこれだったりします。ハートキャッチの最終回が物足りない(唐突に感じる)のも、これとの比較かもしれません。
それまでにデスパライアが何度か出てきていますが、そのたびに見せていた焦りが最終回につながっていて、そのデスパライアの不安・恐怖を見てのぞみが話しかける展開はすっきりとしています。

さて。
以前から書こうと思っていた、プリキュア5における「殺す」表現について。

実を言うと、一番最初に全話見たのがこの話だったので、当初からあまり気にしていませんでした。
ですので、ここから書くことは後付けの理由ですが、そのへんはご了承を。

個人的に、プリキュア5では黒い仮面をつけた時点で死んでいると解釈しています。逆に、そう理解しないと成り立たない話だと思っています。
確かに、そうは言っても、黒い仮面をつけていようと敵は動いて(生きて)いるわけなので、いい描写かと言われると考えさせられてしまいますが、
黒い仮面を渡されたり、見せられたりしたときの描写を見ると、「会社のために死ね」と言われたと理解した方が自然に感じます。

そうすると、死んでいるものを止める手段は消す(=成仏させる)こと以外にはあり得ないし、そこに迷いが生じると逆におかしなことになってしまいます。

また、こう解釈すると、会社のためだけに働くことは会社に殺される、という、会社人間への強烈な皮肉と理解できます。ナイトメアが妙に会社じみた表現をしているのもそのためだろうと思います。

「自分も大切、他人も大切」
5か5gogoかどちらかで出てきた台詞ですが、これがこの物語(と5gogo)の本質のように感じています。
ややもすると(道徳的には)「他人が大切」であることに重きを置きがちですが、「自分が大切」であることを否定していないところは重要かもしれません。もちろん、「自分が大切」だけでもだめ。

あと、ガマオ君について。
彼は唯一、黒い仮面をつける以前からボコられたりしていて結構ひどいものがあるなと感じていたのですが、
職を得てもすぐに辞めてしまう(しかも、それを他人のせいにする)タイプのフリーターへの皮肉なんだろうなと理解しています。そんな生き方は身を滅ぼすだけだと。
対パルミエ王国で考えると一番関係のないガマオ君が一番ひどい扱いを受けていたのは、会社人間よりも悪い生き方として描きたかったのかなと考えています。

敵側の描写が妙に人間臭くて生々しかったので、倒されてしまうのが残酷に見えたのが大きな欠点でしたが、そういう意味で個人的には納得しています。

ちなみに、先走りで恐縮ですが、5gogoも基本的に会社人間への否定が含まれていると思うのですが、5の黒い仮面のようなものがエターナルにはないため、プリキュアが「殺した」意味合いがより強く出てしまった感は否めないと思います。そこは残念です。
とは言え、5の流れは無視できないので、倒したことに悩む表現は出来ないでしょうし。難しいところです。
by やまぴょん (2011-04-25 11:23) 

スティクス

>やまぴょんさん
コメントありがとうございます。
無事にプリキュア5の再見を終え、私自身も肩の荷が下りた気分です。
全体的にかなり言葉を選んで書いた点が多く、
思い入れのある方を不快にさせたくないという想いと、
(一部、感情を露に叩きつけてしまった話があり、反省しております)
当たり障りの無い八方美人なもので良いのかという想いがあり、
実は初代~SSの再見以上に難しいものでした。

やはり「殺す」事に抵抗があった事と、私としては最終回の和解が
本当は完全に納得出来ていない事が影響していたように思います。
ご指摘の通り、黒い仮面をつけた時点で自我の喪失=死と捉えれば
ファイブエクスプロージョンによる粉砕は「武士の情け」と言うべきで、
生ける屍のままよりは良いと考えたほうが良さそうですね。
そうすると、確かに5GoGoの扱いは問題がありそうです。
特にスコルプさんとシビレッタさんの最期が理不尽だと考えているので・・・

とはいえ、全体としては5人である事の賑やかさ、チームワーク、
のぞみの何ともいえないカリスマ性に振り回されながら
皆で協調していく姿は毎度楽しませてもらっていました。
この流れを引き続き5GoGoの再見へと繋げて参りますので、
これからもどうぞよろしくお願い致します。
by スティクス (2011-04-26 06:41) 

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