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プリキュア5 第48話『希望VS絶望 最後の対決!』 [Yes!プリキュア5]

私はナイトメアの皆さんには基本的に「君」「さん」「氏」をつけて呼んでいますが、
そんな中呼び捨てにしているように、率直に言ってカワリーノが嫌いです。
組織の構成員を手駒としてしか見ておらず、組織の黒さの象徴のようだったカワリーノ。
しかし今回、そして最終回の流れは、嫌いなキャラクターであっても
憐れみを抱かずにはいられませんでした。
彼個人の私欲は全くと言っていい程見受けられず、
ただ無私にデスパライアに尽くす事だけを貫いた男が目の当たりにした絶望とは・・・
 
永遠の若さ、永遠の命を得たデスパライア。
そして、主の姿を感慨深げに見上げるカワリーノ。
たった一つの願いが叶えられてしまった今、
コレットには既にパルミエ王国を蘇らせる力はありません。
もはや絶望以外に残された道は無いと高らかに宣言するカワリーノに対しても、
ドリームはまだ諦めていません。
『私は絶望なんかッ!』
しかし反撃空しく、カワリーノの力の前にあえなく一蹴されてしまいました。

5人が束になってかかってもカワリーノには遠く及ばず、
仮に倒したとしてもコレットの力が失われた今、パルミエを蘇らせる術はありません。
追い打ち、というよりダメ押しとも言うべき攻撃に転ずるカワリーノ。
まずミントとアクアの上級生組が、次いでレモネードとルージュが、そしてドリームが、
次々とカワリーノにねじふせられ、その光景を客席の者たちが、
そしてミルクが無表情な仮面を通して見つめる前で、
5人にはもはや、立ち上がる力はありません。

『もう・・・いいココ。これ以上みんなが傷つくのは見たくないココ・・・』
『本当に良く頑張ってくれたナツ・・・』
見かねた2人の王子は涙を浮かべて5人に礼を言い、
精一杯の力を込めてカワリーノに突進しますが、当然敵う筈もありません。
カワリーノは仕上げとばかり、5人に向けて黒いカードを投げつけました。
呑まれた者は永遠に闇を彷徨い続けるという、
絶望している者を引き込む絶望の闇が、徐々に5人に食指を伸ばし始めます。
ところが・・・

『もう嫌なの。あんな想い・・・』
その状況下でドリームが唯一人立ち上がります。
脳裏に思い起こされるのは、あの日みんなを失った時の事
あんな悲しい想いだけは二度としたくないと、今までも辛くて大変な事を乗り越えて来たと、
気力を振り絞るドリームの言葉に、虚ろな目の4人も微かな反応を見せますが・・・
力及ばず、遂に倒れるドリームを見限るように、カワリーノは背を向けて歩みだしました。
この状況のどこにも、希望があるようには見えません。

倒れたドリームは、目の前に広がる無限の闇の中に光輝く物を見出しました。
その光は、ほんのささやかなビーズです。
『そのビーズ、やっと見つけたんだ。今作ってるアクセサリーにぴったりのヤツ・・・』
いつしかルージュ、否りんちゃんが半身を起こし、ビーズで作ったアクセサリを見つめています。
そしてアクアに、もといかれんに、やりたい事が見つかったら真っ先に話すと
約束したあの日の事
を持ちかけました。
りんちゃんが見つけた将来の夢は、アクセサリー作りに携わる事。
片想いの青年に、そして未来さんの結婚式にアクセサリーを作った時、
作ったものを喜んでもらえる事の喜びを知り、もっと沢山の人を喜ばせたいとの想いを抱き、
私の方が先に見つけたと軽口を叩くりんちゃんですが、かれんも負けてはいません。
興味津々でかれんの夢を訊ねるのぞみ。そして、足を止めるカワリーノ。

かれんは初めて変身を遂げた時、そしてミルクの看病をした時の事を思い出し、
みんなの力になりたい、病気や怪我で苦しんでいる人の支えになりたいと、
密かに医師への夢を抱いていました。
そしてうららは歌手デビューの折、女優を目指しているのにこれで良いのかと悩んだ際に
皆に支えてもらった事への感謝と共に、歌を歌う喜びを、
そしてもう一つの目標も見つけたと、次いでこまちに目線を送ります。
こまちも皆に伝えたい事がありました。
あの「海賊ハリケーン」が、努力賞を取った事。それはみんなの支えあってこそのもので、
賞の名の通り一生懸命努力して、いつか女優の夢を叶えたうららに演じてもらえるような
物語を書きたい
との夢を語りました。
将来の夢を語り合う5人の少女達の周りからは、いつしか絶望の闇は消え失せています。

『みんな、今将来の夢を話したよね。ってことは・・・』
『私達は、未来を諦めていない』
『そうよ、まだまだやりたい事が一杯あるんだから』
『こんなところで挫けてるわけには行かないですよね』
『みんなの力を、合わせれば・・・』
『みんなの心が一つになれば、何でも出来るんだから!』
愕然とするカワリーノに、闇を振り払ったドリームは高らかに言い放ちました。
『私達は絶望なんかしないし、夢も諦めない。
 私の大切な夢、パルミエ王国を絶対によみがえらせて見せる!』


再び挑みかかる5人を前に、流石のカワリーノもやや冷静さを欠いています。
もうドリームコレットは使えないと知っても諦めずに向かってくる
5人を圧倒する力はあれど、その口調と表情からは余裕が伺えません。
再び絶望の闇を展開させますが、もう誰も闇に惹かれる事はありません。
『彼らのようには行かないと言うのか・・・』
愕然とて、思わず口を滑らせるカワリーノ。
彼らとは、観客席に座る仮面の者たちの事で、
彼らこそパルミエ王国の住人達の変わり果てた姿でした。
コレットは既に無く、王国の者たちはこのとおり。
もう絶望するしかないと自身満々のカワリーノの言葉を聞いて、
ココとナッツの頬を涙が伝います。が・・・

それは嘆き悲しみの涙ではなく、国民達が健在だと知った事の喜びの涙でした。
そして己の無力を詫びるココの、自らの不注意を詫びるナッツの
国民に向けての呼びかけが続きます。
ココは唯一人コレットを探す辛い辛い日々を過ごし、何度も挫けそうになったけれども
のぞみと出会い、どんな時でも諦めてはいけないとを教えられた事を。
ナッツは謀略にはまってしまった事で誰も信じられなくなったけれども、
こまちやみんなに人を信じる事を思い出させてくれた事を。
ココとナッツの懸命の呼びかけに、微かにミルクが反応しました。

『プリキュアがパルミエ王国のために頑張ってるのに、みんなが諦めては駄目ココ!
 絶望に負けちゃいけないココ!』
『みんなだったら、絶望を跳ね返すことが出来るナツ!』
あの時、プリキュアの希望の光を浴びてその暖かさを知る国民達がいれば、
もうコレットは必要ないと涙ながらに力説するココとナッツ。
国民達さえいれば王国は蘇り、国民達こそがココとナッツにとっての夢と希望でした。
だから、一緒に新しいパルミエ王国を作ろう。
2人の王子の呼びかけに、ミルクの仮面を涙が伝いました。
そして涙の跡からヒビが入り、砕け散る仮面。

『何故です!何故あなた達は絶望しないのですか!?』
デスパライアの冷たい目に見下ろされ、面目を失ったカワリーノは遂にブチ切れました。
夢も希望も全て消し去ると、自らに黒いカードを貼りつけ、更に巨大化して襲い掛かります。
苦戦しながらも、巧みなチームワークで迎え撃つ5人。
ミルクはその活躍に目を輝かせながら、国民達に呼びかけました。
ココとナッツはいつも王国のみんなの事を心配していた事を。
そしてその2人をずっと支えていたのはプリキュアであり、
今こそその気持ちに報いる時だと、プリキュアと一緒に絶望を希望に変えようと呼びかけます。
目の前で奮闘するプリキュア達の活躍を見守る国民達の仮面にも徐々にヒビが入り、
そして一斉に砕け散り、元の姿に戻る国民達。

『みんなの力をプリキュアに!プリキュアと一緒に輝くミル!』
ミルクの呼びかけに応じて、国民達から放たれる希望の光がプリキュア達を包み込みました。
優しい眼差しでミルクを見つめるドリーム。そして、ドリームを見つめ返すミルク。
その二の腕にミルクがしがみつき、カワリーノ終了のお知らせ。
ファイブエクスプロージョンが放たれました。
受けて立つカワリーノも遂に押し切られ・・・
『デス・・・パライア・・・様・・・』
主を振り返ったカワリーノが最期に見たものは、主が向ける冷たい視線でした。

歓声と共にココ、ナッツの許へ駆け寄る国民達。
王子達と国民が再会を喜び合うのも束の間、まだ安心するのは早いです。
ナイトメアには、永遠の命を得たデスパライアが残っています。
周囲の空間からカオナシのような無数のコワイナーを生み出すデスパライアから、
パルミエ国民達を避難させ、迎え撃つ5人。
真の絶望との最後の戦いの火蓋が、切って落とされようとしています。


流石にラスト2話と言う事もあり、胸を打つ場面には枚挙に暇がありません。
まず、絶望のどん底から見事に立ち直る5人の描写は
私のようなおじさんには少々眩しすぎる感があるものの、
私自身が子供の頃、将来の夢を考えた時に何の疑いも無く
希望に満ちていた未来を思い描いていたのではないかと、ふと思い出しました。
三十台も半ばに差し掛かると、現実的な人生設計などを考えて
夢や冒険と言った事を考えるのは難しいですが、10代の子達にとって
将来の夢はまさに無限の可能性という希望に溢れていると信じたいものです。
夢を叶える事よりも、夢を叶えた先でその道を走り続ける事の方が
はるかに大変な事なのですが、まずはそのスタートラインに立たなければ何も始まりません。
ようやくはっきりとした目標を見つけたりんちゃんとかれん、
既に決まっていても、より具体的な夢を見つけたうららとこまち。
彼女達のこれから先には、夢をかなえるための困難な道のりが待ち受ける事でしょう。
しかし今回と、そこに至るまでのこれまでの姿を見続けた今、
それを乗り切って行くだろうと確信させるような力強さを感じました。

夢を語り合う場面ではプリキュアとしての姿を取っているにもかかわらず、
互いを本来の名で呼び合う様が印象的でした。
「プリキュアである前に日向咲」という、
前作でブルームの姿のままで言い放った咲の言葉が思い起こされます。
カワリーノに苦戦を強いられ、絶望に追い込まれ、
傷つきながら戦う姿はプリキュアという戦士の姿です。
しかしその原動力となる希望の力は、各々の持つ夢そのものであり、
それを語る場面で各個人の名を呼び合っている事で
各々の夢を語る描写の説得力が強く感じられました。

国民達が健在だと知ったココとナッツが、
涙ながらに長々と想いを叫ぶ場面も大変胸を打つ場面でした。
しかしこれまでならば、国民が居てくれさえすれば国は蘇るという言葉に
ストレートに感動できたのですが、
再視聴したタイミングが今この時期というのが残念でなりません。
それでも、今のこの状況をなんとかするのはドリームコレットのように
悪く言えば何かに頼る神頼み的な力ではなく、私たち自身でこの局面を乗り切る事だと
前向きに受け止めたいと思います。

ところで本来笑う場面ではないのですが、
仮面をつけたままちょこんと立つミルクの画は妙にシュールで、
このミルクが映る度に笑いがこみ上げてきてしまいました。
とはいえ今回はミルクが果たす役割も大きいです。
仮面を砕いてからの皆への呼びかけも熱く、
そしてファイブエクスプロージョンへ行く前に、ドリームと交わす無言のアイコンタクトからは
当初あれだけケンカし合った二人がここまでの関係を築き上げた事に対する
感慨深いものがありました。

さて、冒頭で触れたカワリーノの事です。
プリキュア達を絶望させ、パルミエ王国の国民達を絶望させ、
果てはナイトメアの構成員達をも絶望させてきた彼自身は、
自分が絶望する時の事を果たして考えていたのでしょうか。
また、永遠の命という夢を叶えたデスパライアを見た時のカワリーノは、
長年の労苦が実ったとでも言うような、
希望に満ちた表情を浮かべていた事を気付いていたのでしょうか。
「デスパライア様のために」という言葉を免罪符のように使い続けたカワリーノですが、
これまでの描写からは「デスパライア様のために」尽くす事で褒めてもらいたい、
更に出世したいと言うような下心は伺えず、無私であったように思えます。
無私で尽くした相手に冷たい視線を向けられてから冷静さを欠きはじめ、
最期に振り返った際も養豚場のブタでもみるかのように冷たい目を向けられた事に、
彼自身が深い絶望を味わってしまった事が伺えます。
そして最終回で更に深い絶望を味わうこととなりますが、
これまで同じような事をナイトメアの皆に行ってきたとはいえ、
私利私欲ではなく、あくまで忠実に働き続けた彼に対して、
好き嫌いは別として何ともいえない憐憫の情を覚えてしまいました。

次回でひとまずプリキュア5の物語も結末を迎えます。
異なる描写で「敵と分かり合う」ハートキャッチの最終回を見終えた今、
果たしてどのような感想を抱く事になるのでしょうか・・・
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