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スイートプリキュア第10話『ウッホッホー!響先生、幼稚園で大奮闘ニャ♪』 [スイートプリキュア♪]

お子様に音楽の楽しさを知らしめる軽いエピソード。
確かに表面はそのような内容なのですが、
王子先輩と接した事で温もりを覚えてしまうセイレーンと、
そんなセイレーンを見限るバスドラというマイナーランド陣営の動向が気になります。
"Wir brauchen keine zwecken der Musik."(で正しいのか自信がありませんが・・・)
団パパのこの言葉は、シリーズ全編を貫くテーマになり得るのではないかと、
今後の展開を考える上で考えさせられる一編でした。
  
何度も練習してきたあの曲を、響と奏は初めて最後まで間違えずに弾き通します。
これも二人のハーモニーパワーが高まった証拠で、
ベルティエも得られたのでもうピアノの練習は必要ないと考えました。
少し寂しいものの、互いに今までの苦労を労い、ハイタッチを交わす2人。
その夜、団パパは響から奏との仲直りという目的が達成できたので、
ピアノの練習をやめる事を聞き、謎掛けのようなドイツ語を口走りました。
"Wir brauchen keine zwecken der Musik."
そして意味不明のドイツ語で話し出す事に苦言を呈する響に、
一緒に幼稚園の音楽の先生をしようと誘います。

翌日、結局奏も付き合うことになりますが、
憧れの王子先輩も一緒のため、迷惑どころか楽しそうです。
さて、幼稚園でいざ発表会の練習を始めると、合唱どころか好き勝手に歌う園児達に
伴奏を務める王子先輩も戸惑い気味です。
見かねた響が演奏を止め、真面目にやろうと注意しても、誰も言う事を聞きません。
続けてビシッと叱りつけようとする奏は、その怒り顔を笑われてしまい、
憧れの先輩の前でそんな事を言われてしまった事に戸惑いを隠せません。
横目で王子先輩を気にしながら優しく園児達をたしなめようとすると、
今度は園児達に王子先輩に好意を持っている事を見透かされ、さらに焦る奏。
そして子供達はハミィに目移りし、響は馬にされ、王子先輩まで顔をいじくり回され、
『私の王子様が・・・』
嘆く奏もまた園児たちにまとわりつかれて、教室はまさにフリーダム状態。
『今怒って言う事を聞くと思うかい?』
ただ一人、この状況を笑顔で見守る団パパを除いて、収拾がつきません。

翌日、町で音符を見つけたセイレーンは、音符を追うはずみで道路に飛び出してしまい、
そこに猛スピードで迫る車。しかし前代未聞の交通事故で退場する敵幹部、などとはならず、
間一髪のところで王子先輩に救い出されました。
ところが王子先輩に抱っこされてただの黒猫として扱われるうちに、
ぬくもりを覚えてしまい、セイレーンはすっかり骨抜きです。ほぼイキかけました。
我に返って王子先輩の手を離れ、強がるようにネコが威嚇する姿勢を取るセイレーン。
苦笑して立去る王子先輩の姿を見送っていると・・・
『何してるんだ・・・?』
いつの間にか、バスドラが静かな威圧感を湛えてその動向を伺っていました。
王子先輩が音楽をやっているから音符がくっついているかもしれないなどと取り繕い、
その後を追うように立去るセイレーンに、吐き捨てるようなバスドラの呟きが掛けられます。
『何だあのザマは。ついて行けん』

今日も園児達は好き勝手に歌っています。
なんとかしようと響は一計を案じ、何でもするからちゃんと歌うよう申し入れると、
ゴリラのマネをして欲しいという無茶振りが飛びました。
無茶な要求に対してもきちんと約束を守り、恥を忍んでゴリラのマネを始める響。
園児達から大喝采が上がり、密かに窓の外から伺うセイレーンも大笑い。
しかし花も恥らう乙女にあるまじき行為までしたのに、
園児達はやっぱり歌ってくれません。
ところが団パパもゴリラの仕草をはじめ、みんなで一緒にやろうと持ちかけると、
いつの間にかみんな一緒に、僕も私もウッホッホ。教室みんながゴリラごっこ一色になりました。
プライドの高い奏だけは遠慮しますが、憧れの王子先輩までもがゴリラをやっていて
再び愕然とした奏の叫びが響き渡ります。
『私の王子様がァーーーーッ!!!』

本番が近くなっても、園児達の歌声は全然揃いません。
こんなバラバラのまま終わったらつまらない思い出になると注意する響と奏。
ところが響は王子先輩に伴奏を頼み、ゴリラダンスをアレンジして歌い始めました。
園児達も響と一緒にゴリラダンスで合唱を始め、
いつの間にか歌声は合い始めています。
そして響は少しずつ人間の仕草に、人間の歌に戻して行き、
気がついたらみんなの歌声はしっかり揃うようになりました。
セイレーンもいつしか毎日の練習を見守るようになっており、その成長を感じています。
しかしその姿をバスドラが監視している事には気付いていません。

翌朝の登校中、声は揃ったものの歌そのものは下手なままと案じていると
奏太とアコが口を挟みます。実はアコは歌が下手だと密告する奏太。
しかしアコはヘタであっても歌が嫌いではありません。
響と奏は、ヘタ=嫌いとは限らないと気付き、
園児達もそうなのかもしれないと気付き始めました。

そして発表会当日。
練習ではいろいろありましたが、園児達は元気に歌い終えました。
園児達をねぎらう響と奏。しかし子供達はもう歌えない事への寂しさを募らせていました。
発表会という目的を達成したから終わりだろうと不思議そうな響と奏に、
園児達はまだ歌いたいと口々にせがみます。
"Wir brauchen keine zwecken der Musik."
またあのドイツ語で語りかける団パパ。その意味は「音楽に目的などいらない」です。
その言葉に、改めて音楽は楽しむものであり、発表会やきちんと歌う事などを
押し付けていたかもしれないと反省する響と奏。
それでも団パパは子供達が歌好きになったのは響たちのおかげだと、
例のゴリラダンスを評価します。
苦笑する響と奏に、園児達がプレゼントとして
2人の名前が書かれたゴリラの人形を持って来ました。

その人形には音符が潜んでおり、密かに様子を伺っていたセイレーンは
早速ネガトーン化しようとしますが、王子先輩に声を掛けられ、その出鼻を挫かれます。
王子先輩の優しい笑顔と、あの抱っこの心地良さの記憶、
そして自らの使命との間で揺れ動くセイレーンの心。
懸命に迷いを振り切り、子供達を不幸のどん底に陥れようとするも、
今度は子供達の明るい笑顔を見てその決意が鈍ります。
王子先輩と子供達がセイレーンを囲んでいる事に気がつく響と奏。
その背後にバスドラが現れ、人形を奪い取ってネガトーンと化しました。
あたりに不幸のメロディが撒き散らされ、子供達や親御さんだけでなく、
王子先輩も巻き込まれている事にセイレーンは戸惑いを隠せません。
そして響と奏も、元気で楽しかった発表会を悲しみの光景にした事に憤り、変身。

開戦早々、ゴリラネガトーンの顔面を殴りつけるメロディとリズムですが、
顔面はハート様のボディのように柔らかいのか、拳がめり込んでしまい動きが取れません。
2人ともネガトーンの掌に握られてしまいますが、何とか抜け出したメロディがリズムを救助。
続けて丸くなって飛びかかるネガトーンに吹き飛ばされ、
倒れたメロディを上から押しつぶそうと丸くなったネガトーンが圧し掛かります。
負けずに思い切り殴り飛ばすメロディ。
リズムはその動きを見てもう一体を誘い込み、互いにぶつかるよう仕向けます。
そして2人でベルティエ、2人でミュージックロンドを放ち、
2人同時のフィナーレで思い切り決めました。

『バスドラ!あんた、私に無断で!』
怒りをぶつけるセイレーンに、バスドラは静かに言い残して立去りました。
『お前はもうリーダーじゃない』
バスドラが立去った後の空間を、呆然と見つめるセイレーン。

幼稚園を辞する際、みんな一緒にゴリラのポーズ。
響だけでなく奏もやって、みんな一緒に笑いあいます。
その帰り道。今すごくピアノを弾きたいと言う響に、奏も同じ事を思っていました。
手を繋ぎ調べの館へと駆けて行く2人。
月の光の下、2人のピアノの音色が響き渡ります。
楽しげにピアノを弾く2人と、楽しげに見守るハミィとフェアリートーンたち。
そしてもう一人、その音色を聴く者が居ました。
2人のピアノを聴きながら、満月を見上げるセイレーン。
一人になってしまった彼女は、あの時同様、満月の光に何を想うのか・・・


2人の連弾や音吉さんの仕事ぶり音楽に溢れた町など、
これまでも随所に描かれているように
スイートプリキュアのシリーズは音楽の楽しさ、素晴らしさを伝える側面を持っています。
今回は子供達に音楽の楽しさを伝えると言う意味では、
これまでに描かれたエピソード以上に優れていると感じました。
音楽を楽しむ(感動する)という事は理屈ではなく、授業などでその素晴らしさを力説されても、
結局は自分達で楽しみ方を知る以外に無いと考えます。
団パパは今回、好き勝手に歌う子供達を注意せず、
響たちの手探りながら体当たりな教え方にも、殆ど口を挟まずにただ見守り続けました。
音楽が好きになるきっかけを得るためには、あれこれ説明・指導するよりも
見守り気付かせる事が大切と言う事を理解しているからこその態度だと思います。
そして園児だけでなく、響と奏にも目的を超えて音楽を楽しんでもらいたいという想いが伺え、
さらに響を信じているからこそ幼稚園の先生として声を掛けたのでしょう。
これまで団パパには第3話での悪印象が付きまとっていたのですが、
今回のような描かれ方だと今後良き父、良き音楽教師として見られそうです。

「音楽に目的などいらない」
ドイツ語で語られる団パパの言葉は、メイジャーランドとマイナーランド
それぞれの目的を否定する極めて重要な一言ではないでしょうか。
メイジャーランドは人々を幸せにするという「目的」のために、
マイナーランドは人々を不幸にするという「目的」のために
音楽を利用していますが、それを超えて音楽そのものを楽しもうというのが
根底に流れるテーマのように思えてきました。
そのため、メイジャーランドとマイナーランドの共闘という可能性もありそうで
今後どのような展開が待ち受けるのか楽しみです。

さて、今回響の野球部の助っ人というワンシーンがあるのですが、
ゴリラダンスの後遺症に苦しむ響の投球があの後どうなったのか、
試合の結果はどうだったのかと、色々と気になる途中で終わっており、
全体の流れから少し切り離されているような、統一感が薄いような観が否めませんでした。
しかし、あえてこのやりとりを入れた事には何か意味がある筈です。
『本当に困ったら言ってね。響が困ってる時はいつでも助けるからね』
第1話で登場して以来となる西島和音(青毛の少女)が響に掛ける言葉は、
セイレーンの事を暗に指しているようにも思えますし、
今後和音がストーリーの根幹に関わる前フリのようでもあり、今後の扱いに注目したいです。

そのセイレーン、2話前に響と接した事で任務と感情の間に乱れが生じ
次は奏と接点があるのかと思いきや、王子先輩との絡みは予想外でした。
まさか王子先輩と奏を絡めての三角関係といった風にはならないと思いますが・・・
そして王子先輩だけでなく、子供達の笑顔を見て決意が鈍ってしまうあたり、
歌の練習を見続けて、子供達が音楽を愛するに至った経緯を見たからでしょうか。
今はマイナーランド陣営とはいえ、セイレーン自身も歌姫である以上、音楽は好きな筈です。
その音楽を愛する心を踏みにじれずに二の足を踏んでしまうという、
何ともいえない人間臭さが感じられました。
ネガトーンを倒された後、バスドラに対して怒りをぶつける台詞がありますが、
それは本当に無断で動いた事に対する怒りだったのでしょうか?
私には子供達と王子先輩が巻き込まれた事に対する怒りのように思えてなりません。

そして一気に冷え込むバスドラとの関係。
コメディリリーフと思われたバスドラがまともに悪役を務め上げるのも意外でした。
関係悪化は前回でも匂わせていますが、この時はどこか微笑ましく
ちょっと逆らってみました的な雰囲気だったのに対し、
今回の態度は完全にセイレーンを見限り、状況判断も冷静そのものです。
バリトンとファルセットも含め、トリオ・ザ・マイナーのキャラクター性がはっきりした事、
次回のキュアミューズの謎など、俄然面白くなってきました。
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やまぴょん

スティクスさん、こんばんは。またまた夜中の登場となってしまいました。(苦笑)

今回の話はいろいろとポイントがありそうで、話の転換点になりそうですね。
前々回そして今回あたりから、セイレーンが話の中心になりそうな。
次回登場するキュアミューズは、おそらくセイレーンなんでしょうけど、仮にそうだとしても、その動機付けはまだはっきりしていないので、そのあたりは注目したいところです。

今のところセイレーンについての背景がはっきりしていないですが、ここまでの話を見ると、メイジャーランドの頃も含めて歌姫としては認められているものの、セイレーン自身(の人格というか猫格(?)というか)として認められたことがないのかなという気がしました。それは、セイレーン自身の性格にもよるのかもしれませんが。唯一、ハミィだけが本当の意味で居場所を作っているのですが、残念ながらハミィはああいう性格(苦笑)なので、セイレーンの心情を理解していなさそうなですが。

今回、マイナーでの居場所を失い、一匹狼ならぬ一匹猫となった感のあるセイレーンが今後、どのように変化して、居場所を作っていくのかは気になるところです。

それともうひとつ。セイレーンは現時点でメイジャーとマイナーの両方を知る唯一の存在なので、その意味でも今後の展開に鍵を握りそうな気がします。
by やまぴょん (2011-04-18 03:21) 

南嵐茶真

はじめまして。
スイートが始まってからこのブログを読ませて頂いておりますが、深い洞察に毎回感心しきりです。
キュアミューズはどう考えてもセイレーンさんなんでしょうが、西と東のモブ2人がどう関わって来るのかは気になる所ですね。西と聞いてウエスターを懐かしく思い出したのは僕だけでしょうか(笑)
しかしストーリー面ではますます謎が深まってますね。
スイートの特殊な点は、今まで全シリーズで共通していた「巨悪」の存在が見えないんですよね。
メイジャーランドとマイナーランドとはそもそも何なのか、マイナーランドの人は本当に悪者なのか。
魔まマのQBのせいでハミィに裏があるように思えてくるし……
伏線張りすぎだからもしかして二年やるつもりなのかなとか思ってみたり。

とにかくスイートプリキュアからは目が離せないですね!
by 南嵐茶真 (2011-04-18 13:01) 

スティクス

>やまぴょんさん
おはようございます。コメントありがとうございます。
またまた早朝の登場となってしまいました(笑)

「セイレーンは認められた事が無い」というご指摘は
言われて見ればなるほど、と気付かされました。
確かにメフィストにも、トリオ・ザ・マイナーにも、
そしておそらくアフロディテにも認められていなったのではないかと思います。
それに不満を感じたからマイナーランドへ走ったのでしょうか・・・
ハミィのド天然な振舞いが王子先輩の抱っこのように
セイレーンを癒す日が訪れる事を願いたいものです。

>メイジャーとマイナーの両方を知る唯一の存在
なるほど、これも確かにそうですね。
ラビリンスを知るせつなのように、
双方の橋渡しとなる存在かもしれませんね。
by スティクス (2011-04-19 06:25) 

スティクス

>南嵐茶さん
はじめまして。コメントありがとうございます。

私も西、というより方位を関する苗字の数々に
ラビリンス陣営を懐かしく思いました。
そうすると「南」野奏のサウラーはともかく
「北」条響はノーザ「さん」ということになってしまいますが(苦笑)
東山先輩と西島さんがどう絡むのか、それともフェイクなのか、
アコも含めた扱いにも注目したいですね。

>「巨悪」の存在が見えない
確かに、言われて見ればそうですね。
これもメフィストの小物臭がもたらす物かもしれません。
本当にメフィストがラスボスだったりしたら、
それはそれで新鮮かもしれませんが・・・

某QBさんの事は噂で知っております。第3話で何が起こったか、
そこからどんな過酷な展開が続いたかも風の噂で知りました。
そのうち怖いもの見たさで手を付けてみようかと思っていますが、
今はとりあえず、先に希望がある事がわかっているプリキュアシリーズで
日々の仕事疲れを癒す事にしています。

ところで「ナランチャさん」とお読みするのですね。
私のPNもジョジョ第一部に登場する偉大な神父様(笑)から取ったものです。
まだまだ精進が必要だと感じる事しきりですが、
今後ともよろしくお願い致します。
by スティクス (2011-04-19 06:36) 

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