りんちゃんに追われてナッツハウスに騒々しく駆け込んでくるのぞみ。
ただ嫌だ嫌だと連呼して何を逃げているのかと思えば、
マラソン大会の練習をするというりんちゃんとの約束を破り、
4キロも走れないと駄々をこねています。
かれん、こまち、うららも見かねて皆で頑張ろうと言っても、
のぞみは頑張れっこ無い、とらしくなく諦めを口にして逃げ回り続けます。
挙句の果てに2連覇がかかったりんちゃんの応援役を務めるなどと言う始末。
ナッツハウスにみんなの深いため息が響き渡りました。
その頃、相変わらず職も金も無く、
公園でバイト情報誌を読むガマオ君の前にカワリーノが現れました。
ガマオ君の実力や経験を評価していると思わせぶりに切り出し、
実績さえあればナイトメアの幹部として迎えると甘言を吐くカワリーノ。
労せず幹部にしてもらうよう頼み込むガマオ君に、あの黒い紙の話を持ちかけました。
ガマオ君は
黒い紙の恐ろしい副作用の事は知らず、
ただ凄い力が得られるという事しか知りません。
カワリーノはそんなガマオ君の飢餓感を煽った挙句、
あまりオススメできないと、やはりやめておきましょうと引き上げていきました。
が、わざとらしく黒い紙を落として行き、ガマオ君は辺りを見回して
誰も見ていないと知るやその黒い紙を自分の物にします。
苦労しないで幹部になれると喜び勇むその後姿に、
カワリーノの非常な言葉が投げかけられて居るとも知らずに・・・
『ドリームコレットさえあればいい。あなたがどうなろうともね・・・』
翌朝、りんちゃんに続いて何とかナッツハウスまで走ってきたのぞみですが、
まだ2キロも走っていないというのにヘトヘトで倒れこみ、
眠い、疲れたなどと弱音を吐き続けます。
りんちゃんはこの後フットサルの朝練があり、
のぞみのために早起きして付き合っているというのにこの体たらく。
頑張っているりんちゃんとは裏腹にのぞみといえば、
ナッツハウスで幸せな寝息を立てていました。
のぞみに付き合い、フットサル部の練習もして、
家の手伝いもこなすりんちゃんは、流石に心なしか疲れて見えます。
顔色が悪い事を気遣うかれんに対し、
疲れている暇なんて無いと、家の手伝いに向けて学校を後にしますが、
廊下で見送るかれん、こまち、うららは皆心配そうです。
『絶対弱音を吐かないんだから・・・』『私達にも何か手伝える事無いかしら?』のぞみは相変わらず4キロなんて走りたくないと駄々をこね、
一度走っておけば気持ちが楽になると誘うりんちゃんの言葉も耳に入りません。
そんな折、うらら、こまち、かれんも、さらに小々田先生とナッツも
一緒に走ろうと合流し、みんなで実際に4キロコースを走ってみる事になりました。
全員完走を目指して気合が入ります。唯一人、のぞみを除いて。
きつい上り坂まであるコースは確かにしんどそうです。
りんちゃんは最後尾ののぞみと一緒に走ってあげていますが、
のぞみは遂にとまってしまい、これ以上無理だと座り込んでしまいました。
『この坂道を登れば、もうゴールは見えるから』りんちゃんはそんなのぞみの手を取り、優しく手を引いて立たせてあげようとしますが・・・
これまでの無理がたたり、りんちゃんはそのまま倒れこんでしまいました。
ナッツハウスで介抱してもらったりんちゃんは、
なぜそこまでしてのぞみに付き合うのか。その理由を語ります。
小学校3年生の運動会の時、りんちゃんは徒競走でトップを走っていたのに転んでしまい、
目の前を皆が追い越していくのを見て走るのを諦めかけてしまいましたが、
その時手を差し伸べてくれたのがのぞみでした。
『一緒に走るから、最後まで走ろうよ』りんちゃんに肩を貸し、1、2、1、2・・・懸命に、しかし仲良く一緒にゴールする2人を
惜しみない拍手が包みます。その時りんちゃんは最後まで諦めないで走ることを教えられ、
のぞみにもあの時みたいに最後まで走って欲しいと願っていました。
その思い出話にようやくのぞみも考えを改めて完走する事を誓い、
りんちゃんも2連覇を目指して頑張ると、ようやくみんなの気持ちは一つになりました。
そしてマラソン大会当日。
コンディションばっちりのりんちゃんに対して、流石にのぞみは緊張気味です。
スタートと同時にどんどん前に出るりんちゃんは流石に速く、
一気に集団を抜けて先頭に立ちました。
そこそこ速いかれん、一緒に走るうららとこまち、
そしてのぞみは遅いものの自分のペースで走り続けます。
ところが先頭を行くりんちゃんは分かれ道に差し掛かったとき、
看板の矢印に従って左折しますが、りんちゃんが曲がると矢印は真っ直ぐを差し、
後から来る生徒達は真っ直ぐ走っていきます。
その後もかれんが、うららとこまちが左折させられ、最後にのぞみも別の道へと誘導されました。
いつの間にか木立の中を走り、林の奥まできてしまった事に気付いて足を止めるりんちゃん。
みんなも合流すると同時に一気に大地が陥没し、
ここがお前らの終点だと言いながらGOALの看板を持ったガマオ君が登場しました。
5人は変身して立ち向かうも、ここまで走った疲労のために、いつもの調子が出ません。
『何の得にもならねぇ。ただ疲れるだけなのに、ひーこら走るなんてよ、本当下らねえよな』
扱き下ろしながら舌で攻撃して来るガマオ君に、
最後まで諦めずに努力することは下らなく無いと反論するドリーム。
ガマオ君の舌を掴み、舌が戻るのを利用して接近し、窪みに蹴り落とします。
『同じ目標に向かって一生懸命ベストを尽くす!』ルージュは落ちてくるガマオ君を下から蹴り上げ、
『それが例えどんなに辛くても苦しくても!』アクアは蹴り飛ばされたガマオ君をさらに横から蹴り飛ばし、
『みんなの気持ちが一つになれば!』レモネードは飛ばされたガマオ君を叩き落し、
『必ずゴールに辿り着ける!』ミントはさらにガマオ君を払い飛ばし、
『だからみんなで走ることに意味があるの!』仕上げにドリームがガマオ君を蹴り落とし、地に叩きつけました。
(ちょっといくらなんでもこれは惨い気が・・・)
巻き起こる土煙。しかしガマオ君にはまだ最悪の切り札があります。
あの黒い紙を取り出し、楽に勝たせてもらおうとほくそ笑みますが・・・
黒い紙が姿を変えた仮面は勝手にガマオ君を覆い尽くし、
何が起きたのか知る間もなくガマオ君はおぞましいカエルの怪物へと姿を変えました。
たちまち形勢逆転。圧倒的な力に5人は苦戦を余儀なくされ、
そしてガマオ君の成れの果てはナッツが持つコレットに目をつけて
その舌がナッツ目掛けて襲い掛かりますが・・・
その舌はドリームが単身受け止めました。
皆もそれぞれガマオ君の成れの果ての体を持ち上げ、
皆で一生懸命やっている事を馬鹿にする奴にコレットは渡せないと、
みんなの気持ちが一つである限り絶対に諦めないと、
5人がかりでガマオ君の成れの果てを投げ飛ばします。
その姿と心意気に胸を打たれたミルクもまたドリームの二の腕にしがみつき、
ガマオ君終了のお知らせとなりました。
プリキュア・ファイブエクスプロージョンによって、ガマオ君もまた非業の死を迎えたのでした。
大幅に遅れてゴールへ向かう5人は最後のランナーとなってしまい、
横一列で走る5人に沿道から惜しみない拍手が掛けられます。
りんちゃんが2連覇を逃すのは残念ですが、
のぞみはみんなと最後まで走りきる事の嬉しさを噛み締め、
そしてゴールはもう目の前に見えてきました。
お約束のように抜け駆けし、ここからみんなで競走だとスパートをかけるのぞみを
みんなで追いかけ、そして仲良くみんなでゴールインしました。
またこのような感想になってしまい恐縮ですが・・・
ガマオ君は果たしてその生命をもって償わなければならないような悪事を行ったでしょうか?
これまでのプリキュア5の再視聴を観続けて、本日ガマオ君の最期を見届けたのですが、
全くカタルシスを感じる事も無く、ただ後味だけが悪く残りました。
既に殺されて(あえてこう書きます)しまった
ギリンマ君と
アラクネアさん、
これから殺されてしまう(既にネタバレではないと思いますので)ハデーニャさん。
彼らも気の毒ではあるものの、パルミエ王国を滅ぼすという行為を行っており、
また、ナイトメアという組織の正式な構成員で、給料を貰っているという描写もあります。
敵組織の正式な構成員であれば、
敵対しているプリキュアに殺されてしまうのも仕方が無いかもしれません。
しかしガマオ君は
最初の1回のみナイトメアのアルバイトと言う立場ですが、
それ以降はたまたま行く先々でのぞみ達と出会ってしまい、
一攫千金を夢見てコレットを狙うも撃退されて、
またひもじさに耐えるという暮らしを続けてきました。
彼はナイトメアからは全くと言って良いほど見返りを受けていません。
ぐうたらで、面倒臭がりで、怠惰な日々を過ごし、自らの不幸は全て他人のせいにする。
ガマオ君の生き方は確かに共感されませんし、共感を呼ぶように描かれてもいません。
輪をかけるようにルックスも実にイケておらず、贔屓目で見てもいいところはありません。
しかし彼はプリキュア5の、いやすべてのシリーズの敵キャラクターの中でも、
特に悲しく思えてきます。ガマオ君には仲間も理解者も、その存在を評価する者すら居ません。
このような敵キャラクターは、ガマオ君ただ一人です。
今回もガマオ君に同情が集まるような描かれ方は殆ど無く、憎まれ役です。
しかし対するのぞみはどうだったでしょうか?
嫌な事から目を背け、言い訳をして逃げ回り続けたのぞみが、
途中から正論でガマオ君に説教を始めてもいまいち説得力が弱く感じられます。
のぞみは確かに勉強も出来ず、運動も苦手ですが、いざという時の心強さと
困っている人は放っておけないという芯の強さが魅力の筈でした。
そんなのぞみが、いかにりんちゃんが無理をして朝から練習に付き合ってくれていたのか
全く気付かずに弱音を吐き続け、逃げ回り続けるというのも違和感を覚えます。
幼い頃の運動会のエピソードは確かに美談ですし、
のぞみの良さが素直に伝わる場面ですが、その事を当ののぞみが覚えておらず、
りんちゃんが何故頑張れるのか言われるまで気付かないのも残念な気がしました。
1人の敵を5人で叩きのめす、というのは今に始まった事ではありませんが、
今回は特にガマオ君をフクロにしているようにしか見えず、
説教交じりのアクションシーンが妙に鼻についてしまいました。
後のシリーズを比較に持ち出して語るのは
後出しジャンケンのようでアンフェアだと承知しています。
しかし
敵であっても救う道を選んだハートキャッチシリーズを観終えた今、
今回のガマオ君を攻撃する場面は、ガマオ君の存在そのものが罪悪とでもいうように、
ただいたぶっているようにしか見えませんでした。
ガマオ君にとってのせめてもの救いは、黒い紙の恐ろしさを知らず、
その副作用の恐ろしさを知りながら使用したギリンマ君やアラクネアさん、
無理矢理使わされたハデーニャさんやブラッディ氏のような恐怖感を抱かずに、
何が起こったのかも分からず怪物化した事だと思いたいです。
前にも触れたように、私はどんな話であっても前向きになるものを見出したいと考えています。
その意味ではりんちゃんの献身的な姿、小学校の運動会での出来事、
りんちゃんだけでなく、うらら、こまち、かれんの協力、
そして苦しいマラソンを通して最後までやり遂げる事の大切さを描く描写からは
確かに得るものがありましたし、ただ切り捨てる話では無かったと考えたいです。
このような感想になってしまい申し訳ありません。
次回はココのヘルシー大作戦という比較的気軽に楽しめるものなので、
少し力を抜いて視聴したいものです。