『待って。私、もう自分の気持ちに嘘をつけない。私、やっぱり・・・あなたが、好き』いきなりうららの告白かと思いきや、これはオーディションの風景です。
返事も元気なうららは審査員たちにも好印象ですが、
学校は楽しいかとの質問に、しばし口ごもってしまいました。
一人教室の隅で佇み、一人で過ごす昼休み、そして一人で下校。しかし、我に返ったうららは・・・
『学校は毎日、とっても楽しいです!』ココによると5人のプリキュアのうち、のぞみは希望、りんちゃんは情熱。
あとは知性と安らぎ、そして「はじける」プリキュアがいるとの事ですが、
前2つはともかく、「はじける」って・・・
視聴者を代弁するようにのぞみとりんちゃんの突っ込みが入りました。
帰宅早々、のぞみは早速冷蔵庫を物色しておやつ探し。
お腹が空いているというココにはシュークリームを与えます。
これ以降
すっかり大好物になってしまうシュークリームを
おいしそうに食べるココを見守っていると、突然リビングから父の声が聞こえ
慌ててぬいぐるみのフリで誤魔化すもココは冷や汗タラタラです。
父の仕事は童話作家。徹夜していた父を気遣うも、ココから話をそらすべく
丁度テレビに映っているうららに注目させて、何とか誤魔化しました。
一方、ナイトメア本社ではギリンマ君がブンビーさんのパワハラに耐えていました。
査定に響くなどと圧力をかけられ(賞与査定がある時期だけに私としても気になります)
プリキュアが2人になった対策を怠ったと遠まわしに責めた挙句、
『君は少し休みたまえ』
ギリンマ君は突然開いた穴に落ち込み、哀れ強制休養となりました。
代わりに出撃するのは、痩せ型のギリンマ君と対照的に小太りのガマオ君です。
サンクルミエール学園の昼休み、生徒達はテラスでランチタイムです。
周りに生徒達が大勢いる状況でさらっと「プリキュア」という単語を出すのぞみを
『だから所構わずプリキュアって言うな!!!』そう注意するりんちゃんの声の方が大きく、注目を集めています。
漫才のようにその場を誤魔化した後、一人台本を読んでいるうららに目を留めたのぞみは
りんちゃんを引っ張って押しかけ、互いに互いを紹介します。
『人はみんな、情熱のりんちゃんって呼びます』『そう、情熱のりん・・・って!だからその呼び方止めてって言ってるでしょうが!』賑やかな2人のやり取りを見つめるうららは、
既に2人がプリキュアである事を目撃していました。
2人に聞きたい事がある、と切り出そうとした矢先、
学食・購買のおばちゃんのおタカさんが割って入ります。
いつもうららが一人でいる事をそれとなく気にしていたおタカさんに
昼休みは稽古をしたいと半分本当の弁明をしました。
おタカさんが立去った後、改めてうららは切り出します。
『プリキュアって何なんですか?』しばし時が止まり、そして驚くのぞみとりんちゃんは、
丁度チャイムが鳴った事で、とりあえずその場を誤魔化して退散します。
いつの間にかうららのまわりには誰もいません。
夢を追う代償。それは、孤独。
うららの境遇を象徴するような光景を破るのは、弁当箱を忘れて取りに戻ったのぞみです。
しばし考えた後、授業をほったらかして(良い子のみんなはマネしてはいけません)
一年生のうららのために校内見学へと引っ張っていきました。
当然授業をサボっているため、のぞみの姿が見えない事を気にする小々田先生に
りんちゃんは珍妙なパントマイムで事情を説明します。
「休み時間から戻ってきてない。何か嫌な予感がする」
どう解釈すればそうなるのか理解不能ですが、小々田先生には理解できたようで、
頭を抱えた小々田先生は自習にして教室を飛び出します。
追ってりんちゃんも理由をつけて一緒に教室を出ました。
のぞみに連れられるままカルガモの親子が戯れる池や庭園を巡るうち、
うららはいつしか女優ではなく、13歳の少女としての心の底からの笑顔を見せ始めます。
次に案内されるのは、この町で一番古い建物であるサンクルミエール大講堂。
うららは憧れのこのステージに立ち、たくさんの人を笑顔に出来るような
女優になりたいと志していますが、今の自分の役はまだほんの脇役で台詞も一言。
その一言のためにずっと台本を読んでいたのかというのぞみの質問に、
うららは本当の事を打ち明けました。
レッスンや仕事で忙しく、なかなか友達を作る事ができない。
『でも、夢を叶えるためならそれも仕方が無いのかなって・・・
だから、一人で頑張ろうって思ってるんです』そう笑顔を見せるうららですが、無理に作っているようにも見えます。
しかしうららはもう一人ではありません。
『だって私達、もう友達じゃない!』「夢原さん」と呼ぶうららに「のぞみ」と呼ぶよう促した後、
りんちゃんには内緒と念を押した上でプリキュアに変身して
ナイトメアと戦っている事をこっそり打ち明けます。
が、そこにココと共にりんちゃん登場。早速古女房のような説教がまくしたてられ、
ちょっと待ってと怯むのぞみですが、それとは別に「待てねぇよ」と声が響きます。
講堂に現れたガマオ君からうららを庇うように手を広げるのぞみ。
ガマオ君は仮面を緞帳に被せ、ガマオ君自身もカエルの怪人に姿を変えました。
目の前で起こる事態に怯えるうららは小々田先生が逃がし、
のぞみとりんちゃんは変身して立ち向かいます。
ガマオ君の指示で突っ込んでくるコワイナーが巻き起こす振動は、学園全体に及びました。
緞帳の攻撃をかわして至近距離に飛び込み、攻撃を叩き込むも反撃に遭う2人。
講堂の入り口でのぞみの名を叫ぶうららにガマオ君の長い舌が迫り、
うららを庇うも非力な小々田先生では庇いきれず、ココの姿に。
次いでうららを庇い割って入るドリームとルージュ。
のぞみが気がかりで逃げる事をためらううららですが、
かえって2人の足手まといになると知り、必死で講堂の外へと駆け出します。
ドリームコレットを持ち帰らないとバイト代が出ないため、コレットを要求するガマオ君を、
当然ドリームは拒みます。ココの国を元に戻すと約束したと言い切るドリームに腹を立て
ガマオ君の指図で緞帳コワイナーが2人を締め上げます。
誰かに助けを求めようと、講堂の廊下を走り、
振動で転ぶうららの耳には続けて悲鳴が響き渡ります。
のぞみの事が心配でも、コワイナーやガマオ君の恐ろしい姿を思い浮かべて
すくんでしまううらら。その時、ふとのぞみの言葉が思い出されました。
『すごいね、うららちゃんは。小さい頃から夢があったんだ』今日一日、のぞみと過ごした時間が、そしてのぞみの笑顔が脳裏に浮かびます。
『一人じゃないよ。だって私達、もう友達じゃない!』恐怖を振り払い、うららは懸命に講堂へ向けて走り出します。
ガマオ君は音を上げないプリキュアにしびれを切らし、標的をココに変えようとします。
ドリームの制止空しく、ココに迫るガマオ君の舌。しかし・・・
『やめて!』扉を開けて駆けつけたうららの声に、やめてって言われてやめてくれるガマオ君(笑)
いつしかうららのまわりを黄色い蝶が飛び回り、
そしてピンキーキャッチュとなってうららは導かれるままに変身します。
『はじけるレモンの香り。小林製薬のキュアレモネード!』ドリーム、ルージュだけでなく、当のレモネード本人も自分の姿に戸惑いますが、
2人を狙ったガマオ君の攻撃を阻止すべく、早速レモネードのプリキュアの力が炸裂。
『輝く乙女のはじける力、受けてみなさい!プリキュア・レモネードフラッシュ!』コワイナーが怯んだ隙に拘束を抜け出し、
続けてルージュファイヤーで、そしてドリームアタックでその仮面を叩き落して撃退。
ガマオ君はタダ働きになってしまった事を毒づきながら引き上げていきました。
戦い終わり、改めて「ココ」として自己紹介するココによると
うららの強い想いがはじけてプリキュアになったようです。
さて、他にも色々と説明する事がありますが、
その前にのぞみとうららは授業をサボった罰として居残り。
それでもうららはのぞみと一緒ならと嬉しそうです。
うららにも大切な仲間が出来た一日でした。
レモネード初変身回は、最近のハートキャッチを見慣れた目で見ると新鮮でした。
もちろん
サンシャインや
ムーンライトの前後編、
お披露目の圧倒的なアクションも素晴らしいですが、
それに反してレモネードは変身後にすぐ技を繰り出して戦闘終了。
しかし、変身に至るまでのうららの心理を丹念に描き、
随所に見受けられる細かい描写がうららの境遇を暗示している等、
久々に視聴して、これ程優れたエピソードだったのかと改めて感じ入った次第です。
あからさまに避けられているわけでもないのに、
うららの孤独が感じられる教室や昼休みの描写。
これから連想するのは、
同じく金髪の一年生だったひかりです。
ひかりは超然とした雰囲気のため、さほど孤独を感じる描写も無かったのですが、
初めて話しかけてくれた奈緒と美羽によって友達を、
そして守るべき存在を認識しました。
奈緒、美羽の役回りはのぞみが担っており、
同時に今回はドリームが劣勢に立つことで守るべき存在としても受け取られます。
それにしても、うららが懸命に走る姿は実に絵になります。
忘れられないのは5GoGoでの「うららの台本を届けろ!」ですが、
今回講堂へ走る場面はそれに負けない程の想いが感じられました。
のぞみとうららが中心になっていますが、
突っ込み&お説教役としての立ち位置を確立するりんちゃんは
珍妙なパントマイムや苦労が耐えない描写がアクセントを添えています。
そして今回非常に出番が少ないながら、こまちとかれんのコンビは
授業中に戦いの余波で生じる振動を感じた際の
『講堂の方ね』『この学園で、何かが起こっているようね』そして立ち上がろうとするかれんをこまちが制して
『かれん、授業中よ』これだけで学園内での事を知っておこうとするかれんの責任感と、
多少の事では動じず、時として非常に肝が据わっているというこまちの個性が感じられます。
芸能界は華やかではなく、地道な努力が必要だという事を
カルガモ親子を「水の中では足バタバタ」と説明しているのぞみの言葉が
さりげなく暗示しており、うららの心境と合わせて色々と読み取る事ができる一編でした。