ようやく5人のプリキュアが揃い、コレットに眠る親友を目覚めさせられると
ココの胸の内は爽やかな朝日のように晴れ渡っていますが、
その喜びを分かとうとしたのぞみは、もう朝だというのに深い夢の中。
ココが起こそうとしても目を覚まさず、仕方なく小々田先生姿になってベッドへ向かいます。
丁度のぞみの母、恵美ママものぞみを起こしに来て、
のぞみのベッドにいる小々田先生と互いに顔を見合わせ、しばし時が止まりました。
ぎこちなく挨拶を交わし、のぞみが起きないので・・・との小々田先生発言に
なぜか納得してしまった恵美ママは部屋の扉を閉めた後に
我に返って再び扉を開け、大声でのぞみを起こしました。
今部屋にカッコイイ男の人が、もとい不審者がいたと慌てふためく恵美ママの言葉と
ベッドの上に転がってぬいぐるみのフリをしているココを見て事情を察するのぞみ。
夢でも見ていたんじゃないかと誤魔化し、恵美ママに仕事に遅れてしまうと
問題を摩り替えて事なきを得て、似たもの同士のような母子の朝は慌しく始まりました。
いざ学校でプリキュア関係の話をしようとしても、
りんちゃんは部活の助っ人関連、うららはテレビに出演していた事、
こまちは薦めた本について、かれんは相談に乗ってもらったお礼、などなど
のぞみ以外のみんなは生徒達から次々と声を掛けられて話どころではありません。
部外者が来づらい生徒会室に場所を移し、
ようやくココの望みである親友を目覚めさせる運びとなりました。
5人のピンキーキャッチをコレットに近づけると、
溢れる光と共にコレットが開き、ナッツがようやく目覚めました。
感極まってナッツに駆け寄るココですが・・・
ココを尻尾でひっぱたくナッツ。見ず知らずの5人の前でコレットを出している事が気に入らず、
この5人はプリキュアだというココの説明にも耳を貸そうとしません。
その頃、ナイトメア。
部下の失敗だけでなく、自身も
せっかく奪ったピンキーを奪還される失策を犯し、
ブンビーさんは落ち着きません。上への報告を迷っていると、
居並ぶ仮面の社員の中からブンビーさんを咎める声が響きました。
いつの間にか中に紛れていたのは、上級管理職か役員と推定されるカワリーノ。
物腰は柔らかながら、痛いところを確実に、ネチネチと責めてきます。
そしてプリキュアの伝説は本当だったのか、とその存在を知っていたような発言をし、
ブンビーさんが舌打ちするのをカワリーノは聞き逃しません。
『知ってるなら先に言えよ・・・今そう思ったでしょう？』
滅相もございません。あわてて否定するブンビーさんを残し、
確実な成果というプレッシャーをかけてカワリーノは退出しました。
同時にギリンマ君が
奈落の底から懸命に這い上がって来ましたが、
哀れギリンマ君はブンビーさんのストレスをぶつける格好の相手となってしまいました。
もう一度チャンスを与えるよう頼んであげた、などと恩着せがましいブンビーさんの言葉を受け
久々にギリンマ君が出撃します。
再び、生徒会室。ナッツはプリキュアのリーダーが誰なのか尋ね、
のぞみは生徒会長であるしっかり者のかれんを推しますが、
逆にかれんはのぞみを推します。一番最初にプリキュアになり、
のぞみに誘われて皆がプリキュアになったため、
みんなものぞみがリーダーである事に異存はありません。
班長すらやった事がないと謙遜するのぞみですが、
このやりとりもナッツの癇に障ったようで、納得ができないと拒否。
ココがなだめるのも聞き入れず、さすがにみんなもナッツの態度に辟易する中、
チャイムが鳴り、一人ナッツを生徒会室に残して授業へと向かいます。
ナッツの態度に腹を立てるりんちゃんに謝る小々田先生。
しかし、のぞみはいつもと変わらず常に前向きでした。
ココの友達のナッツとも仲良くできるよう頑張る。
そう言って廊下を行くのぞみを見送るりんちゃんと小々田先生も、
のぞみのペースに巻き込まれたようです。
『のぞみはいい子だな』
『・・・でしょ？』その放課後。下校の道すがらに、
のぞみは今朝ココが母に見つかりそうになった事を挙げて、
人目を気にせずに集まれる場所の必要性を提案します。
かれんの屋敷が最適と思われましたが、学校からの距離があるため
水無月家の倉庫を提案するかれん。早速行ってみると、少々大きすぎて持て余しそうです。
さらに代案として、かれんはこの近くの「うんと小さな物置」へ案内しました。
狭くないかと気にかけるかれんですが、その建物は並みの住宅よりも広く、
実際りんちゃんの家よりも大きいと言われて真面目に驚くかれん。
ともあれ、しばらく使っていない建物のため、みんなで大掃除を始めました。
ほこりだらけの手をのぞみに押し付け、追い回されるりんちゃん。
早く終わらせた方がと申し出たうららも巻き込まれて3人が追いかけっこに興じます。
こまちは戸棚の陰に「可愛いもの」を見つけてかれんに見せびらかしますが、
それを見たかれんは今まで見せた事のないような慌てぶりで後ずさり。
『可愛いのに・・・』こまちの手の中では、うごめくトカゲの姿がありました。
遊んでいるのか掃除しているのかわからないものの、
楽しげな雰囲気が繰り広げられていますが、ナッツは相変わらず一人です。
そこにのぞみが手を洗いにやってきて、無造作にピンキーキャッチュを取り外した事、
その中にピンキーを入れたままという状態に憤るナッツ。
ピンキーをコレットに収める手段を教え、無事収まったピンキーを優しく見るナッツに
のぞみはナッツの性根の優しさを見たような気がしました。
その穏やかな空気は倉庫からつけてきたギリンマ君が乱入した事で一変します。
ギリンマ君にあしらわれた小々田先生は、非力なココの姿になってしまい、
コレットにギリンマ君の手が伸びて、しがみつくナッツごと持って行きました。
ギリンマ君の後を追い、5人同時に変身します。
いつの間にか相手が5人になっている事に内心動揺しているギリンマ君ですが、
先ほどの倉庫へとプリキュア達を誘導し、中に山積みになっていた
熊のぬいぐるみに仮面を被せてコワイナーへと化しました。
たちまち2人ずつ捕獲され、コワイナーの両手にはドリーム以外の4人が握り締められます。
その様を嘲笑うギリンマ君。しかしギリンマ君も人の事を言えません。
ナッツはギリンマ君が油断した隙を突いてコレット共にその手を逃れます。
しかし、「ナッツ」の名前を聞いたギリンマ君は、
パルミエ王国侵攻時の事を思い出し、嘲笑います。
5つの光に守られて、ナイトメアの力でも入る事ができなかったパルミエ王国。
しかし門の外に傷ついたピンキーが倒れているのを知ったナッツが助けに向かいます。
果たしてそのピンキーはナイトメアの者が身を変えた存在で、
これによりナイトメアの侵攻を許したパルミエ王国は滅び去りました。
己の過ちを悔やんでも悔やみきれないナッツは、ただ地に拳を叩きつけるのみ。
ナッツが頑なな態度を取り続けたのは、苦い過去に由来していました。
『騙される方が悪いんだよ』
ナッツを嘲笑するギリンマ君ですが、間髪を入れずドリームの反論が響きます。
『騙す方が悪いに決まってるじゃない！』ドリームの反論を皮切りにコワイナーの手を振りほどく4人。
レモネードがギリンマ君を牽制する合間に、ドリームはナッツの夢について訊ねます。
ココの夢はパルミエ王国を蘇らせる事。それは、ナッツも同じです。
一緒に夢を叶えるべく、ギリンマ君の夢「コレットを持ち帰って昇進」を打ち破るプリキュア達。
ギリンマ君の攻撃をドリームが受け止め、その間にルージュとレモネードが反撃。
コワイナーはミントとアクアの上級生コンビが蹴り飛ばし、
ドリームアタックによってコワイナーの仮面が剥がれ落ちました。
翌日。すっかり小奇麗に片付いた建物に目を見張る5人。
いつのまにか「Natts House」の装飾まで着き、
内部には数々のアクセサリーが陳列されていました。
奥から現れる色黒の青年に思わず顔を赤らめるりんちゃん。
その正体が
かつての漫才の相方ナッツと知って、
かれんまでもが頬を染めるという珍しい反応を見せる中、
5人にピンキーキャッチュを収める箱をプレゼントするナッツ。
これからココと共にここでアクセサリーショップを営みながら住む事になり、
パルミエ王国復活へ向けて、ココと共に一歩を踏み出しました。
苦い過去が明かされるまでのナッツは冒頭で触れたとおり、
ともすれば反感を抱きかねない頑なな態度を取り続けていました。
そんなナッツに対して苦言を呈するりんちゃんとかれん、
あまり深刻でないうらら、おっとりしすぎて意に介していないこまちと
それぞれの個性を現しながら接する中、のぞみの対応は初めから際立っていました。
ココの友達ならば仲良くするように頑張る、と張り切る姿からは、
既にココを信頼し、ココの友達ならば悪い人ではないと受け止め、
ピンキーを見守る一連のやりとりでもいち早く
ナッツの内に秘めた優しさを感じ取っているようです。
りんちゃんと小々田先生による廊下でのやりとりも、
そんなのぞみを逆に信頼していると思わせる印象深いものでした。
今の世の中は善人が泣きを見る事も少なくありませんし、
ともすれば善がお節介として捕らわれてしまう事もあります。
そしてナッツのように、取り返しのつかない事態を招く事もありますが、
例え「偽善」と言われようとも弱者や困っている者に手を差し伸べる事の大切さを感じました
社会で生き抜くためには、時に偽り、蹴落とし、きれいごとだけではやっていけません。
しかし、人間の本質の優しさを失ってはいけないというメッセージが込められている気がします。
ギリンマ君も組織に生きる者の苦しみが具現化されているようなキャラクターですが、
出世のために他者を踏みつける事を咎められているのではありません。
ギリンマ君が今回プリキュア達に非難されたのは、
ナイトメアがパルミエ王国を侵攻した事実やコレットを奪おうとした事ではなく
「騙される方が悪い」という発言に対してでした。
業績を上げるため、シェアを奪うために他社と競争している私達ですが、
人を騙すような卑怯な手法は用いたくありませんし、
そういう手法で業績を上げる者を、少なくとも私は軽蔑します。
ともあれ、5人そろった事による華やかさも醸し出され、
掃除の場面での賑やかな一面や、5人の持ち味を活かした戦いなど、
プリキュア5シリーズならではの日常・戦闘はここから始まるといった観があります。
そして2年間のシリーズを通して出番が少ないながら、
のぞみの母、恵美ママの天然さと美しさも特筆される一編でもありました。
本当にプリキュアシリーズの母親キャラクターは反則的な人物ばかりです（苦笑）
さて、異なる個性の5人は、当然合わないと感じる面もある筈で、
次回はその中でも火と水、りんちゃんとかれんの確執が描かれます。
無印、
ＳＳと続くプリキュア8話の伝統。
対立する異なる個性のぶつかり合いの再見で、どんな印象を抱くのか楽しみです。