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プリキュア5 第8話『相性最悪?りんとかれん』 [Yes!プリキュア5]

プリキュアシリーズ全作品の中で、「美墨さん」と「雪城さん」の衝突、
そして互いの違うところを知ってもっと互いを知りたいと名前で呼び始める
初代第8話が傑作である事は周知の事実です。
2代目・スプラッシュスターでも、意見が合わない事すら無かった咲と舞が
「姉」と「妹」の立場の違いから意見がぶつかり合って気まずくなったのも同じく第8話でした。
そして続くプリキュア5でも、その伝統は受け継がれます。火と水。情熱と知性。
「夏木さん」と「水無月先輩」は何かと意見が対立し合いますが、そんな2人の共通点とは・・・
  
赤いチューリップを手にナッツハウスへ急ぐりんちゃん。
店内に赤いチューリップが飾られる光景を思い浮かべて胸が弾みます。
丁度ナッツハウスの前で青い桔梗を手にしたかれんと鉢合わせし、
何気ない挨拶を交わす2人ですが・・・
互いの花を見比べるうちに、2人の間に異様な緊張感が漂い始めました。

みんなが持ち寄ったお茶やお菓子で楽しい一時が流れようとしていたナッツハウス。
しかし店内に飾られた2つの花と、それを持ち寄ったりんちゃんとかれんの間には
互いに主張を曲げない強硬な雰囲気が流れています。
赤い花か、青い花か。
些細な事ながら、それぞれが丹精込めて育て上げた花だけにどちらも譲りません。
仲裁に入るこまち、りんちゃんの実家が花屋である事に話題を振るうらら、
どっちの花も素敵だと言うのぞみと3人それぞれ空気を和ませようとするものの、
夏の花である桔梗を温室で育てたというかれんの発言に
りんちゃんがボソッと「夏の花は夏に見ればいい」と呟いた事で再び危うくなる空気。
その空気を和ませるため、こまちはお茶にしましょうと提案しますが、
当のりんちゃんとかれんは・・・

店内に飾られた赤いチューリップと青い桔梗が妙に対立する構図は
そのままお茶会の場にも漂っています。
りんちゃんとかれんの間に座るこまちの気苦労が伺える中、
お茶会が始まりますが、りんちゃんが紅茶を所望した事で再び衝突が始まりました。
和菓子には緑茶だと断固として曲げないかれんに、
今は紅茶が飲みたいと譲らないりんちゃん。
そんな空気を察したのか天然なのか、うららは牛乳が合うと思うと発言しますが、
うららの態度が大人に見える程、大人気ないりんちゃんとかれんのやりとりは収まりません。
お茶の前にピンキーをコレットに移して欲しいというココとナッツのお願いに
同時にコレットに手を伸ばしてしまい、りんちゃんとかれんは奇妙な譲り合いを始めます。
『お先にどーぞ。水無月先輩』
『あらありがとう。いつもそうやって先輩を立ててくれたら嬉しいんだけど』
『それくらい当然ですよ』そう言った後『プリキュアでは私が先輩ですけど』
ボソッと付け加えるりんちゃんに一触即発の空気が漂い始めますが、
そんな2人の合間を縫って、うららがまたしても先手を取ってピンキーを収めました。
続けてピンキーを移そうとする2人ですが、またしても微妙なタイミングとなり
奇妙な緊迫感が漂う譲り合いは続きます。

ナイトメアでは、アラクネアさんも奈落の底の「休暇」から復帰し
ブンビーさんのパワハラに反発しながら苦々しく出撃していきました。
そのやりとりは仕掛けられた監視カメラによってカワリーノが、
そしてナイトメアを統べる者デスパライアが見ており、
緊張感に欠ける現場に苦言を呈して上が徹底して管理しなければならないとの見解を述べます。
そしてデスパライアの野望が明らかになりました。
それはコレットの力で永遠の力を手にし、世界を絶望で支配する事です。

翌日のランチタイム。のぞみはりんちゃんがかれんとあの後一言も話していない事に驚き
りんちゃんに言わせると、向こうが話しかけて来ないからこっちも黙ってるだけ、
との事ですが、意地を張っているようにしか見えません。
同席しているうららは、のぞみとりんちゃんが言い合っても問題無いのに、
りんちゃんとかれんだと何故ギスギスしてしまうのか疑問を感じました。
りんちゃんはかれんに対し、気が合わないと思っていた事を口にしますが、
同じ頃かれんはこまちに、「夏木さんみたいなタイプにはきちんと入っておかないとダメだ」
との持論を語っていました。かれんはこまちの諫言も聞かず、
意地になっているのはあの子よ!とまるで受け入れません。
『こまちも解るでしょ?私の言っている事の方が正しいって』
そんなかれんを否定しないように、やんわりと感性は人それぞれ違うというこまちに対して、
かれんは「あの子とは感性が合わない」と取り付く島もありません。

5人揃い、和やかな筈のランチタイムは妙な緊張感が漂っています。
そっぽを向きながら食事するりんちゃんとかれんに当惑したのぞみが
無難に天気の話題を出し、部活日和だと応じたりんちゃんでしたが、
夕方から雨になるなどと大人気なく返すかれん。
こまちと顔を合わせて、のぞみはめげずにかれんのお弁当を話題にすると
今度はりんちゃんがそんな少食で・・・と噛み付いたために
一気にかれんの食べるペースが速くなりました。
そしていつの間にかりんちゃんとかれんは大食いバトルを繰り広げ、
生徒達の注目を集める中、食べ終えた皿が幾重にも積み重なって行きます。
こまち曰く、かれんはペースは速くないものの量は食べる方との事ですが、
このスレンダーな体のどこにあの食事が入っていくのか。
見た目に反し大食いのうららも驚くほどのフードファイトは終わる気配がありません。

部活のりんちゃん、生徒会のかれんを残し、
のぞみ、うらら、こまちとココは2人の意地の張り合いを案じながら下校します。
出会って日の浅い者同士、互いを良く知っているとは限らないのですが、
のぞみは性格が全然違う者同士だからこそ面白いと考えていました。
ココも一つだけでも共通点があれば何とかなると考えていましたが・・・
『何か出たココ!』
行く手に立ちふさがるのはアラクネアさん。またしても下水から登場です。
変身して立ち向かうも、まんまとアラクネアさんの策にはまり、
蜘蛛の糸に絡みつかれてマンホールの中へ引きずり込まれるドリーム、レモネード、ミント。
残されたココに、3人と引き換えにドリームコレットを要求するアラクネアさんの声が響きます。
その頃、りんちゃんとかれんは・・・

下校途中にかれんとばったり顔を合わせ、
お蔭様で天気予報が外れたからたっぷり練習できました、と皮肉交じりに答えるりんちゃん。
居心地の悪い空気の中でナッツハウスへ向かう2人の許にココが駆けつけて事情を説明します。
ドリームコレットの要求を聞いた2人は、声を揃えて同時に発しました。
『渡しちゃ駄目!!』
反発し合いながらも2人は、みんなを助けるために下水道へ足を踏み入れます。
『助けに行くわよ!』
『言われなくても行きます!』

薄暗い下水道。りんちゃんのうなじに水滴が垂れて小さな悲鳴を上げてしまいますが、
『怖いの?』と問うかれんの手前、懸命に強がって先を急ぎます。
分かれ道で、互いに反対の方向を主張する2人。
ココが気配を察した水路の向こう側に、りんちゃんは持ち前の運動神経で軽々と飛び越え、
かれんを振り向いてドヤ顔を向けますが、
負けじとかれんも飛び越え、鼻で笑ってりんちゃん以上のドヤ顔を返しました。
そんなこんなで下水道の中の広い空間に辿り着いた2人の前にアラクネアさんが現れ、
2人は変身して立ち向かいます。

『情熱の赤い炎、キュアルージュ!』『知性の青き泉、キュアアクア!』
ふたりはプリキュア!
アラクネアさんが作り出した下水管コワイナーの攻撃を軽々とかわし、
さらに素早い動きでルージュとアクアはアラクネアさんを翻弄し圧倒。
コワイナーの拳の直撃を受けても、負けじと立ち上がります。
蜘蛛の糸に囚われたドリーム、ミント、レモネードが見下ろす中、
膝をついたルージュに手を貸し、『しっかりしなさい!』と檄を飛ばすアクア。
その手を振り払い、『してますよ!』と反発するルージュ。
顔を合わせればそっぽをむく2人の戦いぶりを見る3人は呆れながらも、
いつもより強いのではないかと感想を漏らします。
その理由は戦っている2人にとって当たり前の理由でした。
『アクアには』『ルージュには』
『負けられないからよ!!』

口を揃えて言い放ち、2人の技が同時に炸裂してコワイナーを撃退。
そして拘束を脱した3人に、寄せ集めのくせに!とアラクネアさんの怒りが爆発します。
『寄せ集め何かじゃない!』
反論したレモネードがアラクネアさんの糸を受け止め、
続けて発せられた糸はミントが引きつけました。
『みんな個性は違うし、ぶつかる事もあるけど・・・』
そして最後はドリームが締めます。
『5人がいることに意味があるの!私達5人で一つのチームなの!』
ドリームアタックを避けつつ、苦々しげにアラクネアさんは引き上げていきました。
戦い終わり、珍しく気が合っただけだと謙遜するりんちゃんとかれんですが、
みんなを助けたかったと言う気持ちは一緒で、本物でした。
戦いを通して互いを認め合った2人は
「かれんさん」「りん」と名前で呼び合い、ハイタッチを交わします。
雨降って地固まる。と思いきや・・・

後日談がありました。
2人はすっかり打ち解けて、りんちゃんはかれんの温室を、
かれんはりんちゃんの実家の花屋をそれぞれ訪れたいと意向を示します。
のぞみが気付いた2人の共通点は、「凄い負けず嫌い」
言ったそばから桔梗の花をどこに置くかで言い争い、互いに一歩も譲りませんが、
先ほどまでのようなトゲは感じられなくなっています。
とはいえ、そうすぐにはわかりあえる物ではありません。
時に衝突しながら少しずつ強くなる絆。
りんちゃんとかれんの関係は、まだまだこれからのようです。


初代第8話は巧みな演出と構成で2人の心理を、
SS第8話は侘しい背景と緊迫した音の効果でみのりを絡めた3人の関係を、
それぞれ見事に描いていましたが、プリキュア5ではどうだったでしょうか。
「感動」という点では前2作に及びませんが、話の面白さと言う点では遜色が無いと思います。
違う点の多い2人の対立だった前2作に反し、異なるようで実は非常に良く似ている2人の対立は
互いに譲らない頑固な一面が、ぎこちない人間関係を描いている筈なのに妙に微笑ましく
互いの言葉にもトゲがあるのにさほど嫌な印象を受けません。
これはりんちゃんに対するのぞみ、かれんに対するこまちという
互いの理解者が居ることによる安心感だと思います。
また一番年少ながら巧みに空気を読んでいるように見えるうららの存在もありそうです。
これがのぞみとりんちゃん、こまちとかれんが対立する展開になると
第23話のように一気に深刻さを増す事になりますが・・・

今回のテーマは2人の衝突だけでなく、
むしろその対立を見たレモネード、ミント、そしてドリームの言葉に集約されています。
寄せ集めではなく、異なる個性でぶつかる事もあるけれど、5人が1つである事。
どんなにまとまったチームであっても、構成メンバーすべてが同じ考え方と言う事はありえません。
異なる個性が融和するだけでなく、異なる個性が刺激しあって得られる物もあるはずです。
これはプリキュア5シリーズが特に顕著ですが、
他のシリーズを振り返ってみると、一つの作品内では同じようなキャラクターはいません。
プリキュアシリーズは、異なる価値観の者が手を取り合って
目的を成し遂げる事に意味があると思いますし、そういうものを描いてきたと思います。
作品を跨れば「ブラック家族」のように似たキャラクターを集める事は出来ますが、
オールスターズDXのような番外編だからこそ面白いものであり、
決して本編では成り立たないものだと感じます。

ともあれ、意地を張り続けるりんちゃんとかれんの描写は単純に楽しいです。
余計な一言がきっかけで始まるフードファイトもさることながら、
(かれんはいつきのように、「憧れの生徒会長」を演じていない事も判明しました)
個人的に好きな場面は下水道内で水路を飛び越えた時の2人が見せるドヤ顔です。
特にかれんが見せる「フフン」と得意そうな仕草と表情は、
大人びていてもやっぱりまだ中学生なんだな、と年相応さを感じさせ、気に入っています。

さて次回はあの問題児、増子美香さん初登場です。
残念ながら5GoGoではすっかり影が薄くなってしまった彼女。
その破天荒な活躍ぶりを今シリーズで改めて見直して参ります。
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