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ハートキャッチ第38話『プリキュア、スーパーシルエットに変身ですっ!!』 [ハートキャッチプリキュア]

内気な自分を変えたい。引っ込み思案な自分を変えたい。
言葉にするだけなら簡単です。
第1話からのつぼみの目標、これらの言葉の意味を問いかける影つぼみの囁きに、
ブロッサムは屈してしまいそうになりますが・・・
変わる事とは何なのか。前回から続く命題に向かい合うブロッサムの答え、
そして4人全員としての答えがミラージュの力を借りて披露されます。
 
『小っちゃかった私は、優しいお母さん、お父さん、お婆ちゃんに囲まれて幸せだった。
 ずっと、ずっと・・・。私はこのままでいたい。私はあなたを映す鏡。キュアブロッサムミラージュ。
 だから、私の事、嫌いにならないで。私の事、消したりしないで・・・!』
悲しげな目を浮かべた、影つぼみの独白。
それはブロッサムに向けられた言葉なのか、それとも・・・

ブロッサムはすっかり腰が引けており、影つぼみの攻撃から身を守るので精一杯。
膝を突いたブロッサムに、影つぼみは憐れむような目を浮かべながら言葉を掛けます。
『あなたは変わる事は出来ないわ。シャイで引っ込み思案な私に、さよならしない限り』
『私は・・・私は!変わるんです!』
ブロッサムはその言葉を断ち切るかのように立ち上がり、
反撃を試みますが、あっさりと影つぼみにあしらわれ、逆に返り討ちに遭いました。
涙目のブロッサムを見る影つぼみの目は厳しく、対峙する2人を皆既日食が見下ろしています。

戻ってこないブロッサムを案じる、えりか達。
このまま試練を乗り越えられなかったら、どうなるのか。
薫子さんは、その時は何も変わらないだけと答えました。
ハートキャッチミラージュが与える試練は自分自身を見つめる事です。
本当の自分を知るのは誰でも不安で、弱かったりちっぽけだったり、
くだらなかったりしたら悲しくなってしまいます。
しかし本当の自分から逃げずに望まない姿であっても受け入れる事。
そのために考え、何をすれば良いのか。
前回マリンが、サンシャインが、ムーンライトが乗り越えたように、
過去のプリキュア達も皆、絶望から光を見つけて希望を繋げて来ました。
そして今度はつぼみが立ち向かうべき時です。しかし・・・
その頃ブロッサムは、一方的に影つぼみの攻撃を受け続けるだけです。

薫子さんはつぼみを案じながらも、自分との戦いは自分で乗り越え、
自分で心を成長させなければならないと語るも、
『ちょー心配!!』
マリンはブロッサムの事が心配で心配でたまりません。
『ブロッサムは弱虫で頼りなくて、最初は最弱のプリキュアとか言われちゃうし』
だから私達がいないとダメダメだと落ち着かないマリンを、サンシャインが諭します。
信じて待ちましょう、と。
その言葉を聞いてマリンはブロッサムが戻ってきた時、
ブロッサムの像になるであろう石柱に向かって応援の声を張り上げます。
が、薫子さんはブロッサムの事だけではない別の懸念を抱き始めました。

デューンの居城、惑星城。そしてデザートデビルが、地球近くにまで到達しています。
デューンの力は50年前のキュアフラワーとの戦いの折に
ミラージュによって奪われていたため、ミラージュの破壊こそが最優先と考えていました。
大気圏との摩擦熱を発しながらプリキュアパレスへと落下して行くデザートデビルを見下ろし
デューンは涼やかな青年のような姿を露にして、宿命の対戦相手の事をそっと考えます。
『君の事だから、僕が近くにいるのを感じているだろうね・・・』

デューンの言葉通り、薫子さんも恐ろしい気配を察しました。
まだブロッサムの試練が終わっていないのに、デザートデビルがここに落ちてくる。
そのブロッサムは今・・・

『シャイで引っ込み思案で、すぐに人に頼ってしまう。それが本当の私なのよ』
『私は・・・確かに前の私はそうでした。でも、私は本当にチェンジしたんです!』
『いいえ、今までと変わってないわ』
指摘に反論したブロッサムを、即座に切り返す影つぼみ。
ブロッサムは影つぼみの視線から目を逸らすように変わったんです!と叫びますが、
その背後に回りこむ影つぼみは、変身しても変わらない事を指摘しました。
自分の姿から逃げ出すように背を向けて駆け出すブロッサムを、
影つぼみはどこか残念そうな、寂しそうな表情を浮かべて見送ります。

そしてプリキュアパレスには、遂にデザートデビルが飛来。
落下点からはジャアクキング並に巨大な怪物が立ち上がり、咆哮を上げました。
その巨大さに圧倒されつつも、マリンはムードメーカーらしくコフレを促してマントを纏い、
ブロッサムが戻ってくる前にやっつけちゃおう、とデザートデビルに挑みます。
マリンの行動で気持ちが軽くなったのか、負けじとムーンライトが、サンシャインが
それぞれマントを纏ってデザートデビルに向かっていきます。
『うりゃぁあああああっ!!!』
羅武兄貴キュアピーチばりの気合いの一撃をデザートデビルに叩き込み、
マリンインパクトの連打を畳み掛けると、流石の巨体も体勢を崩して浮かれるマリン。
デザートデビルの首の一つから赤外線照準器のように光が放たれ、
マリンの額を直射しますが、どんどん太くなるその光に気付かないマリンを
サンシャインが飛び込んで避けさせると、恐ろしいことにその光は強烈な熱線となって
プリキュアパレスの壁を破壊。危うく朝からとんでもないスプラッタ展開になるところでした。
薫子さんもシプレも、頑張るよう応援するしかありません。
外で戦う3人だけでなく、ブロッサムの事も。

『あなたは私を見なくていい。あなたは私から逃げてもいい。
 そして、あなたは、弱い自分に立ち向かう事を止めて、そのまま変わらないままでいてもいい。
 自分が弱いのは、自分のせいじゃないと・・・』
そう悲しい目で語っていた影つぼみ。
『人に甘え続けてッ!』
つぼみ自身の苛立ちをぶつけるような鋭い一撃を放ってブロッサムを桜の木に叩きつけ、
自分との戦いを諦め、自分は変れないと認めるよう通告します。
唇を噛むブロッサムに、影つぼみの優しい誘惑が続きます。
『大丈夫。お父さんやお母さん、みんなもそのままの私を認めてくれるわ。
 変身しなくても、戦わなくても、みんな優しくしてくれるわ。ね・・・』
優しく微笑む影つぼみに、笑みを浮かべるブロッサム。誘惑に屈したかと思われますが・・・
『それじゃあダメなんです』
ブロッサムは胸に手を当てて立ち上がりました。
シャイで引っ込み思案な自分が嫌いなだけだったけれど、「みんな」に出会った事。

その「みんな」はプリキュアパレスを守りながら、苦しい戦いを繰り広げています。
サンシャインに抱えられて額から煙を上げているマリン。
そしてムーンライトのシルバーフォルテウェーブが炸裂しますが・・・

『強くて優しい私の仲間。私はみんなの事が大好きなんです。
 私は、みんながいたから頑張れるんです。私は・・・!』
先ほどまでとは裏腹に、影つぼみの攻撃を受け流し続けるブロッサムは笑みを浮かべています。
少しずつだけど変われたと思う。新しい自分を作っていけそうな気がする。
そう信じて影つぼみの攻撃を受けて立ち、先ほどと逆に背後に回りこんだブロッサムは
少し前の自分自身、自分を変えることに臆病だった自分自身の手を取って
自分自身に言い聞かせるように宣言しました。
『私、変わります。チェンジ、するんです』
『もう、シャイで引っ込み思案の私は、要らないのね・・・』
悲しい目で呟く影つぼみに対するブロッサムの答え。それは・・・

サンシャインの防御だけでは6つの首から同時に放たれる熱線を受けきれず、
思わず弱音が漏れるマリンに喝を入れるムーンライトもまた、
みんなの力が一つにならないと勝てないと感じていました。
それでもブロッサムが来るまで頑張ろうと奮い立ち、
マリンは額の火傷の跡を拭ってコフレを促し、再び挑みかかろうとします。
そして、同じようにシプレを促して立ち上がるブロッサムの姿が・・・
薫子さんは誇らしげに孫の像を見上げて頷きます。
ブロッサムもまた試練を乗り越えて戻ってきたのですが、
果たして影つぼみに何と答えたのでしょうか・・・?

デザートデビルに炸裂するピンクフォルテウェーブで、
3人もブロッサムが戻ってきた事を察しました。
そしてみんな揃ったところでデザートデビルを倒すべく立ち向かいます。
熱戦攻撃はムーンライトが素早い動きで引きつけ、
マリンがブルーフォルテウェーブを、ブロッサムがピンクフォルテウェーブを叩き込みます。
すかさずムーンライトもシルバーフォルテウェーブ。3つのフォルテウェーブで怯んだところに
さらにゴールドフォルテバーストを繰り出すサンシャイン。
息もつかせぬ攻撃の仕上げに、ムーンライトはサンシャインと共に
2人フォルテッシモ攻撃を仕掛ける様を羨むマリンですが、
マリンにもしっかりとパートナーがいます。
『私達も・・・フォルテッシモする?』
『しましょう!』
強い絆を培ってきた2人、ブロッサムとマリンのフォルテッシモも炸裂。
4つのフォルテ記号がデザートデビルを圧倒し、そして今こそ新しい力が試される時。

『鏡よ鏡、プリキュアに力を!』
ミラージュの鏡面からハート型のピアスが、髪飾りがあしらわれて
4人それぞれシルエットと共に姿が変わります。
ハートキャッチプリキュア・スーパーシルエット。
そして放たれる新技、ハートキャッチオーケストラは
高貴な風貌の巨大な女神のような、ジャアクキングに対するクィーンのような存在が
見た目に反し相手を殴り潰し(笑)浄化するというダイナミックなものでした。

デザートデビルを倒した後に揺れる一輪の花を、
そして少しずつ消えてゆくデザートデビルの影を見上げながら、
皆がそれぞれ試練を乗り越えた事で気付いた事を口にしました。
ただ力を合わせるのではなく、一人一人が成長し自立した上で力を合わせなければならない事。
そのために自分と向き合い、自分の嫌だった部分も受け入れて成長する事。
それに気付き、乗り越えた4人は、確実に強い心を手に入れました。

『もう、シャイで引っ込み思案の私は、要らないのね・・・』
つぼみは自分の石像を見上げながら、あの時の影とのやり取りを思い出しました。
あの時そう寂しく呟いた影つぼみを抱きしめ、受け入れた事。
『いいえ、私が私らしくいるためには、ちょっと臆病な私も必要なんです。
 だから私は、シャイで引っ込み思案な私も、大好きです』
その言葉に安心したように目を閉じて、影つぼみも他の3人と同じく、
ブロッサムと同化するように消えてゆきました。
自分を受け入れつつ、変わっていく事を決めたブロッサムの像は
他の誰の物よりも穏やかな表情、口元に笑みを浮かべていました。


前回3人が克服したテーマをブロッサム一人が乗り越える様が描かれるだけに、
同じテーマを描きながらも密度が一層濃く感じられました。
そもそも前回で、過去の自分との決別ではなく、
目を逸らさずに受け入れるという命題が与えられているため、
誰よりも自分を変えたいと願ってきたつぼみ=ブロッサムが
一番苦労する事は目に見えていました。
影つぼみの発言はいちいち正論で、これまでのつぼみやブロッサムからは
自分が好きだと感じられる描写は殆ど思い当たらず、
それが自分に自信を持てない大きな理由となっています。
戦士プリキュアとしてではなく、花咲つぼみとしての今までを振り返ると、
対人関係でこれと言った欠点は無く、誰とでも分け隔てなく接する事の出来る
物腰の柔らかさや謙虚さは好印象を与えてこそすれ、悪影響は与えていませんでした。
(鈍感ゆえに男子の誤解を招きそうな態度や振舞いはありますが)

今回影つぼみは、殆どの場面で悲しそうな顔をしています。
ブロッサムを哀れんでいるとも捉えられますが、
他の3人よりもつぼみが自分に自信を持っていないが故に、
即ち自分の事を好きな人は、自分も含めて誰もいない、と考えている様に思えました。
そんな過去の自分でもある影つぼみに反発するのではなく、
受け入れる事を決意してからのつぼみは常に笑顔です。
そしてブロッサムの石像が笑顔だったのは、戻ってきた時の表情が笑顔だったという事です。
これはブロッサムが自分を切り捨てずに受け入れてくれたという
影つぼみの嬉しさも現れているように感じました。

ブロッサムと影つぼみの描写や、デザートデビルとの苦闘といった重い要素を和らげるように
マリンらしくはっちゃける様が多いのも、バランスが取れていて楽しめました。
特にムーンライトと一緒にフォルテッシモしたサンシャインを羨むあたりは
緊迫感あふれる強敵との戦いの筈なのに妙に和んでしまい、
最初に見たときは思わず噴出してしまいました。
直後、ブロッサムと一緒にフォルテッシモする際の輝く目など、
闊達なキュアマリンここにあり、といった観があります。

パワーアップ回ということで、一応触れておきます。
ハートキャッチミラージュとスーパーシルエット、そしてハートキャッチオーケストラは
これまたサンシャインの初登場時のように、かなりの労力を費やしたと思わせ、
非常にゴージャスなものでした。
「鏡よ鏡~」と年甲斐も無くムーンライトまでもがやっているのは少々違和感がありますが、
ピアスを装着した後、文字通り「シルエット」になる演出はなかなか格好いいと思います。
そしてシルエット=影の通り、影の戦いを乗り越えて得た力という説得力も感じられました。
昨年のラッキークローバー・グランドフィナーレもそうですが、
シリーズ後半のパワーアップは作中で経験を積み、かなり強くなったプリキュアを
さらに強化するという事もあってか、格好いい路線が定着していくのでしょうか。
最も、ハートキャッチオーケストラは突っ込みたくなるところが多々ありました。
指揮棒3本とタンバリン1個でオーケストラ?とか、
何より牛久大仏のような巨体で押しつぶす神々しい女性とか・・・
あの女性は初代~MHのクィーンのような存在となるのか、
今後の描かれ方に期待したいと思います。(謎の大女、だったりして・・・)

デューンが素直にプリキュア不在の地球を砂漠化していたらGAME OVERだったりと、
気になる点が無いでも無いですが、前回と今回を合わせて
「自分を変える」「自分を見つめる」「自分を受け入れる」
というテーマを描ききった見事なエピソードになったと思います。
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