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ハートキャッチ第37話『強くなります!試練はプリキュア対プリキュア!!』 [ハートキャッチプリキュア]

2週続けて同じ書き出しとなり恐縮ですが、今回もまたハートキャッチシリーズを
今まで観続けて本当に良かったと思わせる見事な一編でした。
過去にプリキュアのパワーアップ話は数あれど、今回は群を抜いて素晴らしいと断言します。
幻想的な舞台で展開されるもう一人の自分との戦いは、劇場版プリキュア5での
ダークプリキュア5達との戦いを、特にダークミントとの戦いを連想させ、
あの戦いをさらに昇華し、成長する様を描く非常に印象深い一編となりました。
 
大成功を収めたのファッションショーの打ち上げとして、植物園でお茶会が催されます。
お堅いゆりも、たまにはそういうのも良いかと打ち解けて
つぼみと共に綺麗に咲いた秋桜を眺め、
いつきも傍らに咲く可愛らしい花「イエローキューピット」を愛でています。
内気だったつぼみもチェンジして、いつきも好きな物に素直になり、
そしてゆりの心の花も再び咲いた事に妙に満足そうなえりか。
『お姉さんはうれしいよ』
お姉さんじゃないし、上から目線だとえりかに突っ込む妖精達。
えりかは砂漠の使途がどんな手を使っても、力を合わせれば大丈夫だと力説しますが、
ゆりは水を挿すように呟きました。
『本当にそうかしら・・・』
その一言で場が少し白けてしまいましたが、危機は本当に迫っていました。
突如隕石のようなものが飛来し、植物園の近くへ落下します。
衝撃で割れるティーセット。4人は現場へと向かいました。

さて、今回からOPはしばらく巴里を舞台とした劇場版仕様です。
私にとってはDVD発売までジレンマに耐える日々が始まりました・・・
いつか劇場版を見終えた後は、聖地巡礼に巴里へ行ってみようかと思う今日この頃です。

本編へと話を戻します。
落下点からはデザトリアンとは異なる怪物が現れ、
目に付いた秋桜を目から放たれる怪光線で枯らし始めました。
光線が当たった一角は砂と化し、この町を砂漠にさせないと変身する4人。

草花を枯らす怪物に対し、植物を愛するブロッサムは後先考えずに突っ込みますが
返り討ちに遭って跳ね飛ばされ、マリンがブロッサムを受け止めました。
続けてマリンも親友のつぼみ=ブロッサムに対する仕打ちに怒って突進しますが、
同じく返り討ちに遭って跳ね飛ばされ、サンシャインがマリンを受け止めました。
続けてサンシャインも・・・とはならず、ムーンライトの意見で
4人同時のフォルテウェーブを叩き込みます。
ウルトラマンが変身早々にスペシウム光線を放つようなものですが、
そのまま一気に怪物の浄化に成功。ナキサケーベのような声を残して怪物が消えた後、
その跡地には得体の知れない物体が地に刺さっていました。
物体からは砂漠の王、デューンの声が響きます。

物体からは音声だけでなく、デューンの居城、惑星城の映像も映し出されました。
いかなる努力を払っても止める事は出来ないと嘲るデューンの言葉と共に、
惑星城の砲台が開いていきます。
そこから見せしめのように手近の星に向けて「砂漠の種」デザートデビルを発射し、
たちまちその星の緑は枯れ果てて砂漠へと化します。
そしてデザートデビルは、地球の方向へと発射されました。
いつ地球に到達するかは解らないものの、そう遠くないうちに到着する筈で、
デューンは全ての緑、全ての心の花、そして心の大樹をも枯らすと言い放ちます。
そんな事はさせない、というプリキュア達の反論を嘲笑うデューンの笑い声と共に
物体は掻き消えて行きました。

デューンがデザートデビルを発射した事は、砂漠の国でも察知されており、
サソリーナは自分達を差し置いてのその行為に納得がいかない様子です。
サバーク博士は、デューンの目的はハートキャッチミラージュの破壊にあると推察します。
何やら彼らとデューンの間にもまだ明かされない事情がありそうですが・・・

どんな敵が現れても倒せばいい。でも、倒せなかったら・・・
地球に迫りつつある脅威に対して、プリキュア達が出す答えは一つ、
限られた時間で更なるパワーアップを果たすことです。
薫子さんはプリキュアパレスでの最終試練、
ミラージュを授かった時よりも厳しい試練を提案し、
4人は再びプリキュアパレスへと赴きます。

薫子さんとともにプリキュアパレスへ向かっていた筈の4人でしたが、
いつのまにか4人ばらばらになっていました。
ブロッサムは皆既日食の下で舞い散る桜吹雪の中に、
マリンは一面水に浸かった世界に規則正しく電柱が立ち並ぶ奇妙な空間に、
サンシャインは周囲を埋め尽くす向日葵の花の中に、
そしてムーンライトは皆既日食に見下ろされる花畑に、
それぞれが奇妙な、それでいて幻想的な美しさを持つ空間へ飛ばされていました。
プリキュアパレスの回廊で、妖精達に試練の内容を説明する薫子さん。
妖精の助けも無く、一人だけで立ち向かわなければならないという試練に、
取り残された妖精達は心配そうです。

ブロッサムは一人皆既日食を見上げていると、影になった太陽から人影が降りてきました。
目の前に現れた黒のボディコン(死語)に身を包み、白いコートを羽織った人物は花咲つぼみ、
自分自身と対峙して驚きの声を上げます。
同じ頃、水面を見下ろしていつ始まるとも知れない試練を前に手持ち無沙汰なマリン。
ところが水に映った自分の姿が変貌し、黒のタイトミニと白いコートとに身を包んだ
来海えりかが現れました。
林立する向日葵の向こうからサンシャインを見つめているのは、
黒の上下に白いコートを羽織った長髪の明堂院いつき。
そしてムーンライトの前にも黒衣に白い上着を羽織った月影ゆりが立ちはだかります。
『最後の試練は、自分と戦うという事・・・?』
『ただの自分ではない。影の自分だ』
ムーンライトに振るわれる、影ゆりの拳。
月に影があるように、心にもある暗い影が具現化したものが、影のゆりでした。

『私だって、もも姉みたいに売れっ子のモデルになりたい!
 美人になりたい!モテモテになりたい!』
そう叫びながら攻撃して来る影えりかに、マリンはかつての自分を見出します。
『(つまり影の私って、昔の私ってわけね?)』
そのマリンの内心を読んだのか、影えりかは声を上げて容赦なく攻撃を畳み掛けます。
『今でもそう思ってるでしょ!』

『私はお兄様を守るため、明堂院家を守るため武道を続けなければならない!
 大好きなぬいぐるみも、可愛い服も我慢して修行に励まなければならない!』
影いつきは、かつていつきが抱えていたやりきれない想いをサンシャインにぶつけてきます。
『確かにかつての私はそうだった。でも今は違う!』
影いつきの拳を受け止め、サンシャインは反論します。
『お兄様や家の為ではなく、武道が好きだからやっている。
 そしてぬいぐるみも可愛い服も、自分の好きなものは素直に好きと言えるようになった!』
しかし受け止めた拳の向こう、影いつきの悲しい目と問いかけに言葉を失いました。
『じゃあ、頑張ってきた私はもう要らないの・・・?』

『私はコロンを守りきれなかった。
 自分一人で戦わなければならないと思い込んだせいで、私はコロンを失ってしまった!』
影ゆりの言葉は、ムーンライトにとって悔やんでも悔やみきれない
あの痛ましい出来事
を思い起こさせますが、もうムーンライトは悲しみに沈むだけではありません。
影ゆりの拳を受け止めて、自分の過ちに向き合います。
『そう、私は自分勝手な思い込みのせいでコロンを失ってしまった。そして!
 悲しみのあまり私は大切なものを見失っていたのよ。
 私に笑いかけているブロッサムたちを、みんなの心を。私は強くなる!!』
影ゆりの攻撃を受け流して投げ飛ばし、倒れた影ゆりに、
自分に言い聞かせるように語り掛けるムーンライト。
『悲しみの連鎖は・・・
 悲しみの連鎖は、誰かが歯を食いしばって断ち切らなくてはいけないの・・・』

『私はね、つぼみやみんなのおかげで自分にも良いところがあるって解ったの。
 だから今はモデルのもも姉が羨ましいんじゃなくて、もも姉みたいな素敵な人になりたいの!』
『じゃあなぜ、影の私がいるッ!?』
マリンに振るわれる影えりかの拳。
マリンはその拳を受け止め、そして自らの明暗全てを受け止めるように言い放ちました。
『しょうがないじゃん!マイナスの事を言う影の私も、私なんだもん!』
そして影えりかに反撃するのではなく、優しく抱きしめます。
『でもさ、あんたの事嫌いじゃないよ。私って自分の事、全部大好きだから・・・』
マリンの言葉に安堵したように笑みを浮かべ、
影えりかはマリンと一つになるように消えて行きました。

影いつきの攻撃を受け止めているサンシャインは、さつきとの日々を思い返していました。
『そうだ。お兄様は太陽の光を浴びるように全てを・・・』
守りを解くサンシャインに迫る影いつきの拳。
しかしサンシャインはそれから逃げず、守る事すらしません。
『なぜ守りを消すんだ?』
眼前で寸止めする影いつきの問いかけに対するサンシャインの答えは
『あなたが敵ではないから。お兄様は、これまで辛い事や悲しい事があっても、
 全てを受け入れて私に笑いかけてくれた。だから私も、全てを受け入れたい』
そして影いつきの手を取り、呼びかけます。
『かつての頑なだった私も、好きなものに素直な私も、両方とも大切な私。
 だから全てを受け入れてお兄様のように優しく笑いかけたい・・・』
笑みを浮かべて頷き、影いつきもサンシャインと一つになるように消えて行きます。

『私はもう、一人で戦おうとは思わない。これからはみんなの力で困難を乗り越えていく』
『出来るの?半分の欠けたままの心で』
影ゆりの問いを、ムーンライトは否定しません。
『難しいかもしれないわね。でも私は決めたのよ。全ての心が幸せになるように戦い続けるって』
その言葉を聞いて、ムーンライトに背を向けて立ち上がる影ゆりは、どこか寂しそうに呟きます。
『では影の私はもう必要ないわね。あなたの決意を鈍らす悲しみと言う私は・・・』
しかしムーンライトは影ゆりも全て受け入れるように、背中から抱きしめて語りました。
『いいえ、私は悲しみを背負って生きてゆく。そして、いつかその悲しみを、愛で包んでみせる』
悲しみが生み出した影ゆりもまた一つになるように、
ムーンライトの愛に包まれるように笑みを浮かべて消えて行きました。

石像の間に、試練を終えたマリン、サンシャイン、ムーンライトが戻ってきます。
最後の試練を乗り越えた暁には、新たに石像が飾られるようになり、
マリンは誇らしげに自分の石像を見上げ、カッコイイと評するコフレと共に笑いあいました。
同じくサンシャインの無事を喜ぶポプリ、
薫子さんと無言で頷きあうムーンライトの石像も飾られている中、
まだブロッサムのものがありません。そしてブロッサム本人もまだ戻ってきていませんでした。
その頃ブロッサムは・・・

『キュアブロッサム・・・あなたは変わることは出来ない。
 あなたは、チェンジする事はできないのよ・・・』
打ちのめされるブロッサムの瞳に影つぼみの姿が映し出されます。
皆既日食が見下ろす桜吹雪の中、対峙する2人のつぼみ。
ブロッサムの答えが出ないまま、次回に続きます。


前回は日常・学園ものの集大成とも言うべき素晴らしい内容でしたが、
今回はそれに劣らず、終盤に向けてのパワーアップとして
自分と戦う=自分自身と向き合うという展開が見事に描かれています。
今までのパワーアップ話にも色々と思い入れはありますが、
おおむね新商品とのタイアップも兼ねているために
その中にもパワーアップの動機、理由をしっかりと盛り込んだストーリーになるものの
どうしても営業戦略が見え隠れしてしまう残念な一面も併せ持っていました。
今回というより次回にスーパーシルエットの販促展開が伺えますが、
それが気にならない程に影の自分との戦いが練りこまれ、
ここまで感動した戦いの場面を見るのも久々です。

冒頭で例に出したように、影との戦いは劇場版プリキュア5での、
特にダークミント戦を思わせます。
ダークミントを拒絶せず、守りたかったけれども
守る事が出来ずに倒すしかなかった事に涙したミント、
そのミントの心に触れて涙を流しながら消えて逝ったダークミント。
自分自身のマイナス面を具現化し、指摘するダークプリキュア達との戦いを通して
己を乗り越えていく5人の姿が描かれましたが、マイナスの象徴でもあった
ダークプリキュア達を倒してしまう展開だった(ダークドリームを除いて)のに対して、
今回は影の自分をマイナス面も含めて目を逸らさず、切り捨てずに受け入れる展開を観て、
このシリーズを通して言いたいメッセージが伝わった気がします。
人は他人に対してだけでなく、自分に対しても長所より短所を探す事の方が簡単です。
そして、その短所から目を背け、切捨ててしまいたいと考えるのが当然の事です。
短所も含めて自分であり、悩みながら生きてきた半生や悲しい記憶を
マリンが、サンシャインが、ムーンライトが全て受け入れていく。
自分をよく知ること、自分を好きになる事が大切というメッセージは
私自身自分のこれまでの半生を振り返り、
そしてこれからの人生を歩むにあたり大いに感銘を受けました。

私自身にも働く事が出来なくなった休職経験や、
過去に人を傷つけた発言・態度を今も忘れられずに悔やむ事があります。
そして、そんな自分のマイナス面を切り捨てて忘れたいと思って生きてきました。
確かに過去の事は悔やみたくなります。
それを乗り越えるのではなく、受け入れるという考え方を示した今回のテーマは
私の心の琴線になんと鮮烈に響いたことでしょうか。
改めてプリキュアシリーズを観続けて本当に良かった、と感じた次第です。

テーマの素晴らしさもさることながら、構成・演出面でも際立った一編だと思います。
開始早々見舞われる脅威、変身後に速攻で怪物を倒してしまう展開は
はじめは少々物足りないと感じましたが、後半の自分との戦いを見た後では、
序盤があっさりしている事で後半の内容がぎっしりと詰まっており、
さらにブロッサムを次回の課題とする事で消化不良を起こしていません。
そのブロッサムが後半ほとんど登場せず、安否が視聴者にもわからない事で、
作中でマリン達や妖精達、薫子さんが抱く心配な気持ちが観ている側にもシンクロします。
影と戦いを繰り広げる戦いの場の美しさも印象的で、
顔つきが少し険しくても敵ではなく、黒を基調とした色使いの
影キャラクターたちの描写も優れており、忘れられない戦いになりそうです。

そして出番が少ないながらも、
往年のグラビアのようなセクスィーポーズでアピールするサソリーナが妙に艶かしく
こちらも忘れられない一場面になりそうです。

ブロッサム=つぼみは内気な自分を変えたいと願い、
それが今までのテーマでもありました。
内気ながらも謙虚な姿勢こそが長所でもあったつぼみ。
彼女が何を考え、何を想い、どう成長するのか。
マリン、サンシャイン、ムーンライトの自己との向き合いを
これだけ高い水準で描ききった以上、主役であるブロッサムが次回で
どのように自己と向き合うのか、大いに期待したいと思います。
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サンカルロ

スッカリご無沙汰してまして。。。
お元気ですか?Styxさん、サンカルロです!
スプラッシュ☆スターのDVD再視聴も(何度目?)
実は22話で滞ってまして。でも、TOKYO-MXで11/4の4時半から
放映が始まりますね。気合を入れて全話DVD収録化と
いきたいものです。

ハートキャッチ37話を見て、思い浮かんだところをひとつ。

宇宙戦艦ヤマト2+鏡の国のミラクル大冒険=ハートキャッチ37話以降~

さながらプリキュアパレスは
「コスモクリーナーD」ってトコですかね(笑)

でも、たしかに秀逸な話でした。
思わずダークドリームを思い出してしまいましたよ。
(シリーズディレクターも、「鏡の国」監督の長峰さんですし)
今後どう展開していくのか、楽しみです。

P.S.
ハートキャッチ、もちろん毎週
見ていたのですが、ちょっと側道にハマリ込んでまして。
涼宮ハルヒ → 灼眼のシャナ → けいおん!! と漂流しておりました(笑)
今は、プリキュアを降板された(T。T)川村敏江さんが総作監を務めている
「神のみぞ知るセカイ」を追いかけています。

でも、ナンボ側道をヘロヘロ漂ったとしても
やっぱり原点のプリキュアに、戻ってきてしまいますね。
by サンカルロ (2010-10-29 03:12) 

スティクス

>サンカルロさん
お久しぶりです!コメントありがとうございます。
「鏡の国~」だけではなく、ヤマト2を連想されるとは流石ですね。
我々世代ならではの視聴体験は、先日私も北斗の拳を引き合いに出しましたが
過去のさまざまな作品群を観てきた目でプリキュアを見ると
いろいろな解釈が生まれると思います。

それにしても私は情報感度が鈍いので、
MXでスプラッシュスターを放映するとは初めて知りました。
BS11だけでなく幅広く再放送することで、
あの素晴らしいシリーズが語り継がれていく事を嬉しく思います。
サンカルロさんが22話で滞っていらっしゃる理由も、
先日シリーズを通して見終えただけに共感できます。
結果を知っていても、23話を見るのは確かに心の準備が要りますよね・・・

申し訳ないことにプリキュア以外のアニメを全く観ていないために
他の作品を語る事が出来ないのですが、
サンカルロさんの挙げたものはいずれも人気のある作品ですので、
機会があれば観てみたいと思います。
by スティクス (2010-10-30 08:37) 

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