『あめんぼ赤いなあいうえお 浮き雲に小えびも泳いでる・・・』放課後、のぞみとりんちゃんはうららの発声練習を聞いて
すらすらと読み下す様に目を見張りました。
のぞみも挑戦してみますが、なにせ演劇部を即座にクビになった経歴の持ち主、噛み噛みです。
と、そこに鷲尾さんが興奮気味に(ほぼ毎度そうですが)駆け込んできて、
先日の遊園地の司会が音楽プロデューサーの目に留まり、
うららに歌手デビューのオファーが舞い込んで来たとの話を持ってきます。
大いに盛り上がるのぞみとりんちゃんですが、当のうららは・・・
『私・・・本当に歌手デビューしていいのかな・・・?』ナッツハウスにて、デビュー曲の歌詞を書き進めるもはかどらず、
人知れず迷いを抱くうららは、かれんやこまちにも相談できません。
そこにのぞみとりんちゃんが何やら抱えて威勢よく駆け込んできました。
『歌手デビュー、おめでとーう!』2人が広げたのは大漁旗のような横断幕です。
なんということでしょう。りんちゃんに健太の記憶が甦っててしまったかのような、
センスの無いデザインに目が点になるうららと上級生組。
ともかく、こまちとかれんはここで初めてうららの歌手デビューの話を知りました。
デザインの事を突っ込まれたり、論点のズレたボケをかましたり、
それでもどんどんと盛り上がるのぞみとりんちゃん。
いつの間にかこまちやかれんまで巻き込んでうららの歌手デビューを応援しようと
舞い上がった空気の中、その応援される側のうららが置いてけぼりな事には誰も気付きません。
それでもうららが意を決して相談しようとした矢先、
ナッツハウスに増子さんがやって来て再び話がややこしくなります。
相変わらず耳が早く、うらら歌手デビューの噂をどこからか聞きつけ、
うららの写真を撮り、ICレコーダーを向けてインタビューを始め、
そして号外作りに取り掛かると意気込む増子さん。
うららは再び悩みを相談するきっかけを失い、戸惑うばかりです。
そんなうららの心は誰にも届かず、増子さんの指揮の下、応援の練習まで始まる始末。
"L!" "O!" "V・・・" "E・・・"ノリの良いのぞみとりんちゃんに比べ、こまちとかれんは照れがあるのかぎこちなく、
容赦なく増子さんの檄が飛びます。
"L!" "O!" "V!" "E!""LOVE! LOVE! うーらーらー!!"
"あいらぶ・・・!!" "ゆ、ゆーらぶ!!"もうヤケクソにしか見えないこまちとかれんを交えた4人の声がナッツハウスにこだまします。
練習も一段落して、うららに応援の感想を求めるのぞみ。
ようやく迷いを切り出せるかと安堵したようなうららですが、
のぞみは質問の途中に衣装をみんなで揃えようと思いつき、
うららの話に耳を傾ける間もなく再び盛り上がり始めました。
そして、よかったら歌を聞かせてもらおうと軽い気持ちで持ちかけますが、
うららはまだ歌詞が書けていないと及び腰です。
しかしそのうららの悩みはまた誰にも伝わらず、
作詞をするという事を知って再び大いに盛り上がるのぞみ達。
『うららなら大丈夫!あっという間に素敵な歌詞が書けちゃうんだから!』何気ないのぞみの一言は、うららにはもう耐えられません。
『簡単に言わないで下さい!!』抑えていた感情を一気に出してしまった後我に返り、
うららは一人ナッツハウスを飛び出していきました。
夕陽が照らす橋の上で、一人川面に目を落とすうららは、
追って来たのぞみに目を向けるも、再び目を背けました。
『私、まだ歌手デビューの話を受けていませんから。
それなのに、のぞみさん達は私がデビューすると決め付けて・・・』うららの夢は「歌手」ではなく「女優」。それをのぞみは理解していると思っていたのに・・・
女優を目指すのに歌手デビューをしてもいいのかと迷いを打ち明けるうららに
のぞみの提案は明快です。
『迷ってないで、やってみればいいんじゃない?』のぞみはうららに、女優を目指している理由を改めて尋ねます。
みんなに夢を分け与えたいといううららの夢は、女優も歌手も同じ事で、
だからどちらでもうららが頑張った分はみんなに届くと思う。
そう語りながら橋を行くのぞみの言葉に、うららのわだかまりは解けてゆき
うららは先ほど大声を出した事を、のぞみはうららの気持ちを知らずに
舞い上がっていた事を謝りました。
橋のたもとにはりんちゃん、こまち、かれんも追ってきており、
謝るみんなに目頭が熱くなるうらら。涙を振り払い、笑顔で皆に応えます。
そしてその夜、机に向かって歌詞を綴るうららのペンは順調に進みました。
夜食を持って気遣う平蔵さんとムッシュ・ミッシェル。
うららは、一人ではありません。
いよいよデビューイベント当日がやってきました。
アイドルデビューの聖地と謳われる、ショッピングセンター内のイベント広場のような会場は
華やかに飾り付けられているもののお客さんの入りは今一つ。
心配する増子さんや鷲尾さんですが、4人はうららのために出来る事、
ビラを配ったり子供にアピールしたりと宣伝活動に励みます。
しかしその様子を見下ろす怪しい警備員の姿が・・・言うまでも無くそれはガマオ君でした。
うららは本番を控えて流石に緊張しているようで、4人は楽屋へ陣中見舞いに行きました。
もう心臓バクバク、といううららの胸に手を当て、のぞみは夢への第一歩を応援します。
(ちょwwwいくら女の子同士とはいえ、πタッチとは・・・)いよいよ本番が近くなり、会場スタッフが呼びに来て
うららは衣装合わせのため楽屋を後にしました。ところが・・・
会場スタッフはうららを更衣室に連れて行くのかと思いきや、
人気の無い薄暗い物置のような一室に連れ込んで鍵をかけます。
衣装を握り締め、思わず後ずさりするうらら。
案の定スタッフに身をやつしているのはガマオ君です。
ガマオ君が本性を現すと共に楽屋の照明が明滅し、4人も怪しい雰囲気を察しました。
逃げ道が無いうららから衣装を奪い取り、さらに衣装を踏みにじって嘲笑うガマオ君。
そこに駆けつけるのぞみ達は、衣装だけでなく
うららの夢を踏みにじった事に怒りを露にしますが、
ガマオ君に言わせれば人より有名になってちやほやされたいだけと写ります。
『違う!私が歌うのはそんな理由じゃない!』即座に反論するうららを嘲るように、ガマオ君は踏みにじった衣装をコワイナー化。
しかしのぞみはうららを庇うように手を広げて一歩前に出ます。
『うららが歌うのは、夢を分け与えたいから!その想い、絶対守ってみせる!』のぞみに続いて全員変身します。
元がヒラヒラの衣装のためか、今回のコワイナーは身が軽く、
ルージュファイヤーもアクアストリームも軽々と避けられました。
そしてコワイナーに気を取られている隙に、ガマオ君の攻撃がドリームに迫ります。
今回のドリームはうららの夢を汚したガマオ君に対する怒りに燃えており、
ガマオ君を激しく圧倒しますが、舌の直撃を受けて跳ね飛ばされました。
続けてレモネードに迫るコワイナー。しかしその体はミントプロテクションが受け止めました。
攻撃が当たらないのなら、動きを止めてしまえばいい。
狭い空間だけにミントプロテクションに押されたコワイナーは思い通りに動けません。
その隙に渾身のレモネードフラッシュがコワイナーを仕留め、
そしてドリームアタックを喰らったガマオ君も、
お前の歌なんか誰も聞かないと負け惜しみを言いますが、
『私の想い、伝えてみせる!』力強く宣言するレモネードに余計惨めな姿を晒して引き上げていきました。
しかし、せっかくの衣装はボロボロになってしまい・・・
途方に暮れるみんなに、小々田先生とナッツが新しい衣装を持ってきます。
しかも5人分。おそろいのデザインです。
『私はずっと、迷っていました。このステージに立つことを。
なぜ私は歌うのか。悩んでも答えは出ません。でも、私の大事な仲間達が教えてくれました。
私の歌が、私の気持ちが、みなさんの心に、届きますように・・・』うららの言葉に続けて始まるステージ。
相変わらず少しぎこちないかれんを含めた4人のバックダンスに支えられ、
少しずつ人々の輪が広がっていきます。
(みんな大きなお友達に見えるのは私だけでしょうか?)
会場に響き渡るうららの歌声は次々と人々を魅了していきました。
みんながいるから開いていく勇気の扉。
歌い終えて、少しはにかみながらこれからもよろしくお願いしますと言ったうららの
心の扉は悩みから開放されて力強く開いたようです。
折に触れて時々述べていますが、再見の面白さは
記憶していた話の内容と実際に見た内容の違いを感じる事です。
今回は冒頭で述べたように、ヤケクソな応援練習や
ラストの華やかなコンサートの印象が強くありました。
そのためうららがここまで思い悩み、悩みの果てに自分を見出す展開だった事を失念しており、
うららの成長に極めて大きな意味を持つ話だったと改めて感じ入った次第です。
前半、うららを取り巻く描写は残酷でさえあります。
歌手デビューの話に脳天気に盛り上がるのぞみやりんちゃんを見て、
その喜びに水を差すかもしれない、うららはそう思ってなかなか言い出せなかったのでしょう。
うららはのぞみの事が一番の理解者だと思っていた筈ですが、
そののぞみが自分の事を理解していないような素振りは、
うららにとって奈落の底に突き落とされたような心境だったと思います。
それでものぞみはしっかりと自分を見ていてくれた、と知る橋の上でのやりとりは、
安心感と共にうららののぞみに対する信頼が伝わるいい描写でした。
ただ、のぞみに依存しすぎるところは危うさを感じ、
これが
23話でとんでもない事態になりますが・・・悩めるうららに出したのぞみの答えが正しいとは言い切れません。
しかし、若いうちから様々な可能性に挑戦する事も大切ですし、
思い描いた夢に向かって一直線に突き進む事も大切でしょう。
シリーズ後半から明らかになる、
のぞみの教師、
りんちゃんのアクセサリーデザイナー、かれんの医師という将来の夢は
この時点では全く伺う事はできません。
この3人のように新たな可能性を見出す事もあれば、
女優志望のうらら、作家志望のこまちのように明確な目標を追う道もあります。
どちらが正しいのか答えはありませんが、
後から振り返って後悔しない事が一番大事な生き方だと思います。
今回の後半で特に目を惹いたのは、何気ないワンシーンなのですが、
楽屋の壁にセンスの無い大漁旗がそのままのデザインで掛かっていた事です。
歌詞を書き上げてから曲と合わせ、編曲、レコーディング、プロモーションなど、
作中時間は1話の中でかなり流れた筈で、その間の描写は描かれていないものの
この旗があるだけで4人一丸となってうららを後押しした事が伝わり、
うららも4人の気持ちを汲んでいると推察されます。
それにしてもこの大漁旗、かつて
なぎさが藤Pの応援に作った応援旗を思わせ、
かれんのダメ出しを大きさの事だと摩り替えてしまうりんちゃんとのやり取りは
自分の扱いが小さい事を問題にしていたウエスターさんと、
それに突っ込むイース様のやりとりを思い出し、楽しませてもらいました。
最後になりますが、「攻撃が当たらないのなら、動きを止めてしまえばいい」と
レモネードに語るアクアの凛々しさは異常で、思わず惚れ直してしまう程でした(笑)。