若い頃は18きっぷを駆使して、大垣夜行の旅などもこなしておりました。そのため東海道本線は、一応「普通列車で」走破した経験はありますが、途中下車をしたことが殆どありませんでした。また失礼ながら静岡県内の東海道線各駅は、途中下車する動機が乏しく、付近では浜松と、大井川鉄道に乗るための金谷に降りたことがある程度です。それでも駅名は「聞いたことがある」ものですが、この「愛野」には覚えがなく、今回訪問時の駅名検索で初めて知った駅でした。それもその筈、ワールドカップの開催にあわせて設置された新しい駅とのこと。20年以上前の記憶では、覚えが無いのも無理はありません。
愛野駅はもう一つ、長崎県の島原にもあり、こちらは近隣の「吾妻」とセットにした「愛野→吾妻」という「愛しのわが妻」という語呂合わせ切符でも有名です。ただ島原へ足を運ぶとなると、ふと思い立ってというような気軽な旅では無いので、いずれまたの機会にとっておくことにします。
もっとも非番だった本日、特に出かけるつもりは無かったのですが、あまりにも好天だったため、衝動的に掛川の先まで行ってしまうのもどうかと思いますが(笑)。ただ、いずれも「愛野」で「愛乃」ではないのが微妙に残念ですが、こればかりは仕方がありません。
さて、東京駅新幹線ホームに上がってみると、なにやらSPと思しき方々がたくさんいらっしゃいました。どうやら相当のVIPが乗る列車の前後だったようです。時間的には09:40発の「のぞみ219号」のようでしたが、一体誰だったのでしょうか・・・?SPの方々に聞くわけにも行かず、首相動静をチェックしてもそれらしい予定が無かったので、首相以外のどなたかということになりますが・・・
その09:40発の列車の後は普段通りの空気になり、09:56発の「こだま645号」で掛川へ。そういえば掛川までの特急券を買うのも、こだまに延々乗るのも初めてです。途中小田原・三島・新富士・静岡で都度のぞみに追い越され、名古屋へ行くより時間がかかるのも仕方がありません。
そして掛川に到着後、普通列車に乗り換えて一駅。12時前に愛野へ到着しました。
線路のすぐ横を新幹線が走っていて、ほぼ全速力の新幹線が轟音と共に通過する、迫力のあるホームです。
埼京線横の東北新幹線のような徐行運転ではなく、これぞ新幹線という走りっぷりを2~3本ほど見届けて、改札へと上がりました。新幹線を乗り越すためなのか、橋上駅舎は少し高めの位置にあります。
駅前にはワールドカップを開催した競技場がある旨が、駅ができるきっかけになっただけあり、誇らしげに建っていました。私はあいにくとサッカーには非常に疎く、正直関心が薄いのですが、せっかくなのでこの競技場方面の南口へと向かってみることにします。
南口にはそれだけでなく、POLAの工場もありました。新幹線に乗っていると、時折沿線に巨大な工場を目にする事がありますが、実際にそのような事業所を間近に見たことはなく、珍しい経験になりました。配置されている人工池が美しく、環境に配慮されているような印象を受けました。
南口駅舎はまだ新しく、広い駅前広場と相俟ってとても開放的です。おそらく競技場でサッカーやイベントが行われる時には相当の観客が利用すると思われ、それを見越した空間なのかもしれません。
駅前から延びる道も、ぜいたくなほど広々ゆったりとしたスペースが確保されています。
駅から2分ほどで、歩道の真ん中にある奇妙なオブジェを発見しました。
その後ろには「The House Aino」という結婚式場があります。地名を活かして「愛の家」と読ませるあたり、洒落が効いた粋なネーミングです。この先も歩道のところどころに謎のオブジェや、ガラス製のベンチなど、現代アートのようなものが点在しています。
その理由は、歩道の途中にあった案内板で解決しました。それによると
「スタジアムまでの道に、ワールドカップ開催国出身のアーティストによる18の作品を設置し、メモリアルロードとして創出しました」
とのこと。大半の作品がベンチとしても使えるらしく、そこに腰を下ろした人も景観の一部になるというコンセプトだそうです。ワールドカップだけで終わらせず、その後も残るものをつくろうという意気込みが素晴らしいです。
歩くこと約10分。スタジアムが見えてきました。
その入り口は道路を乗り越すペデストリアンデッキに繋がる長大なエスカレーターで、かなり気合を入れて作ったと思われます。ただ、維持費もそれなりにかかりそうですが、大丈夫でしょうか・・・
と、その脇のベンチに人が座っていて、思わずギョッとしました。良く見るとこれもオブジェです。
どうやらメキシコの作家によるもので、メキシコの球技の選手のようです。ただ、それって確か勝った方(あるいは負けた方)が生贄として神に捧げられたという競技ではないかと・・・?
このまま駅に戻るのも芸が無いので、少し脇道に入ったりしましたが、ごく一般的な住宅街でした。あいにくと「めぐみ」「ラブリー」に関連するものはなく、駅の北口側へ行ってみることにします。
その前に、南口駅前にあったこの作品、「メビウスソファー」という名前らしいです。
「総統メビウス様」を確認させていただきました。これで私もイース様の同僚ということに・・・
線路を乗り越す自由通路の真下を、新幹線が高速で通過する様も見応えがあります。
さて、降りたはいいものの、北口は完全に住宅街で、駅前のオブジェ以外これといったものは無さそうです。
軽く周辺を一周しても目を惹くものが無く、腹も減った事だし、浜松まで出向いて餃子でも・・・と思っていたら、ハワイアンのお店を見つけました。ちょうど再視聴したばかりの「ハピネスチャージプリキュア」はマカデミアフラダンスのお披露目回でしたし、後の「アローハプリキュア」の存在もありますので、これは想定外の出会いでした。今日のランチはここで頂く事にします。これも無計画の旅の醍醐味です。
ランチドリンクでもビールを選べると聞いて、左党の私が黙っていられる筈も無く、まずコナビールを堪能。
コナコーヒーの風味が効いているというスタウトビールが、渇いた喉に染み渡ります。そしてロコモコ。
特製ソースで味付けされた鶏肉と半熟卵の混ざり合いが、実に美味しゅうございました。
せっかくなので食後にコナコーヒーでも、と思い再びメニューを見ると、なんとパンケーキが(笑)。ひめがパンケーキ連呼していたのでこれも気になってしまい、四十路のおっさんらしからぬデザートを頂きました。
上に乗っているソースは、これまたなんと「パッションフルーツ」。今回は「めぐみ」「ラブリー」とは縁が無くとも、他のものと縁があります。うれたてフレッシュな酸味と甘みが効いていて、パンケーキも表面のサクッと中のフワッが絶妙に絡み合い、こちらも美味しゅうございました。
この機会が無ければ決して訪れることのなかったであろう駅ですが、終わってみれば色々満足の行く結果になりました。有名観光地に行くだけが旅では無く、ちょっとしたところにある発見を楽しむこともまた旅の魅力です。次に訪れる駅では、どんな発見があるのか、楽しみになりました。
追記:せっかくなので「冷凍みかん」を探したのですが、今回は手に入らず。かつては主要駅で手に入るものだったのですが・・・。いつの間にか失われていくものもあると実感した次第です。
さらに追記:新聞を読むと、天皇皇后両陛下が午前中の新幹線で愛知へ、とありました。あの厳戒体制にも納得です。遠目にでもお目にかかりたかったのですが、同じ時間帯に同じ場所に居られただけでも僥倖でした。