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Go!プリンセスプリキュア 第6話『レッスンスタート!めざせグランプリンセス!』 [Go!プリンセスプリキュア]

 3人揃って一段落、そしてレッスンスタート!という軽めの販促回かと思いきや、そう甘くないところがプリキュアシリーズの侮れないところです。ホープキングダムの事情やディスダークの存在、今後やるべきことの整理という説明事項が多い筈なのに、それをカナタとの再会を交えて劇的に描き出す、序盤の転機になる一編です。

 ・・・それにしてもつぼみつぼみって、花咲先輩ディスってませんかね(笑)。あの人堪忍袋切れると怖いのに・・・
  
 月光が、城を照らしています。仄暗く幻想的な美しさはあるものの、そこに陽の光に照らされていた頃の面影はありません。城を見上げて唇を噛む、カナタ王子。その時、王笏が輝きを発しました。カナタは三人のプリンセスプリキュアがそろったことを悟ります。

『今日もお美しいわ、みなみさま』
『きららちゃんも眩しいくらいに輝いている』
 名実ともに学園のプリンセスとして称賛を集めるみなみ、モデルとして第一線で活躍するきらら。廊下を行く二人に生徒達の称賛の声が注がれます。そして、その後ろにもう一人。
『そして、あの、まるで大輪の花!・・・に囲まれたつぼみのようなあの子は一体誰?』
 三段オチに使われてしまい、はるかは肩を落としました。

 さて三人揃ったところで、みなみはあまり使われていない第二生徒会室を「秘密基地」として提供します。ようやく腰を据えてプリキュアの話が出来るようになり、アロマは満を持して箱からプリンセスレッスンパッドを取り出しました。これは希望小売価格9,180円(税込)のホープキングダムに伝わる特別なもので、プリンセスバッグにしまって大事にするようにと付属品の営業もバッチリの代物です。今日から三人はグランプリンセスを目指すため、これでプリンセスレッスンを始めることになりました。

 三人にはゼツボーグと戦うだけではなく、強く優しく美しい究極のプリンセスであるグランプリンセスになることが目標が課せられました。そのために必要な嗜みを身に着けるレッスンの講師は、パッドの中から呼び出します。ペンを取り出してクルクルと、新商品の使い方も抜け目なくばっちりとこなすと(笑)、極めて特徴的な声の猫っぽい妖精が現れました。
『ごっきげんようエブリワ~ン!』
 彼女はロイヤルティーチャー、ミス・シャムール。独特のルー語でご挨拶します。
『ユー達がプリンセスレッスンのステューデントね?挨拶が無いのは何故なのホワーイ!?』
 元気な挨拶を返すはるかに対し、みなみときららは少々引きつっていますが、ともかくレッスンスタートです。

 本日の課題は「紅茶の淹れ方」。英国風アフタヌーンティーを通じて、ゲストへのもてなしを学びます。みなみときららは先にカップを温めたり、高いところから勢いよくお湯を注いだりと、既に基本を身に着けています。対してはるかはプリンセスなお茶会を妄想し、そっちの世界から帰って来ません。シャムールに睨まれて我に返り、ぎこちない手つきで始めるも、茶葉の缶の蓋を開けずにポットへ移そうとしたり、開けたと思えば茶葉をぶちまけました。だめだこりゃ。
『ユーはまだまだプリンセスとしてはつぼみね』
 茶葉まみれになって、またルー語でつぼみと言われてしまい、さすがのはるかも肩を落とします。

『私ってダメダメだな。花のプリンセスには程遠いよ』
 はるかは思い通りにレッスンをこなせず、ため息をつきました。彼女の夢の原点である、大好きな童話に出てくるプリンセスになれるのか、レッスンが上手く出来なかった事で自信が薄れかけています。
 その時、パッドが輝きました。そして、おぼろげにカナタの姿が見え、声が聞こえてきます。ディスダークの隙を付いて交信できる機会は限られていおり、長らく連絡が取れず、パフとアロマもその姿を見るのは久々のことでした。
 粗い映像と声は、次第に鮮明になって行きます。そしてはっきりと象られたカナタの姿に、はるかは目を見張りました。あの時出会った少年の面影を残しつつ、凛々しく優しい青年へと成長した姿。そしてカナタもまた、はるかを懐かしそうに見つめ、微笑み返しました。

 立体映像越しとはいえ、久々の再会を喜ぶふたり。改めて、みなみときららの事も紹介します。カナタは巻き込んでしまった事を詫びつつ、改めてプリキュアの目的、そして戦う相手について語りました。
 大魔女ディスピアによって率いられる闇の勢力ディスダークによって、カナタ達の国ホープキングダムの国民は夢を奪われ、絶望の扉の奥深く閉ざされてしまったのでした。それを防ぐことができなかった責任を負い、カナタは今も単身ホープキングダムで孤独な戦いを続けています。
『カナタ、教えて。私たちに何が出来るか』
 そう申し出るはるかは、先ほどまでの自信を失いかけた状態とは異なり、強い目をしています。みなみときららも強力を惜しみません。改めてカナタは礼を言い、ふたつの頼みごとを切り出しました。

 まずは全12個のドレスアップキーをすべて集めること。往古、先代のプリンセスプリキュアが闇を打ち払ったと伝えられるそれらの秘宝が揃えば、絶望の扉を破ることも可能です。キーはもともとホープキングダムに保管されていました。その存在を邪魔に感じたディスダークが破壊しようと侵攻してきた折、キー自らが光と共にこちらの世界へと飛び去ったのでした。パフとアロマは、カナタにキーの力を引き出すパフュームを託され、こちらの世界へ逃げのびて、はるか達と出会いました。はるか、みなみ、きららがそれぞれ持つキーが3つ揃った今、残りは9つ。当然、ディスピアも残りのキーを狙っています。

 そのディスピアの前に、クローズとシャットさんが跪いています。次は自分が手柄を立てようと申し出るシャットさんに負けじと、クローズも次こそはと申し出ますが、その頃既に、残りの一人ロックが動いていました。
 少年のような姿のロックがノーブル学園に現れ、練習中の野球部員に目を付けます。メジャーリーグで活躍するという彼の「夢」は絶望の檻へと閉じ込められ、代わりに野球ユニフォームのゼツボーグが出現します。

 ディスダークが動き出したと察し、もう行かなくてはというカナタを、はるかは引き留めます。
『カナタのお願い、まだ一つしか聞いてない。教えて、私たち何をすればいい?』
 もう一つの使命は、グランプリンセスになること。全てのキーを揃えた時、その真の力を開放させることが出来るというグランプリンセスになって欲しいと、カナタは言いました。
『・・・私、なれるかな?』
『なれるさ。あの日、僕はドレスアップキーに導かれ君と出会った』
 ディスダークが現れる以前、カナタがまだ少年だった頃に、なぜひとつのキーだけが世界を越えてはるかのもとへ届いたのかはわかりません。しかし、キー自体がはるかを選んだことは確信しています。
『君があの日と変わらない君でいてくれて嬉しかった。夢を大切に育て続けていてくれてありがとう。僕もまた会えると信じていたから』
 夢を保ち続けていた事にお礼を言うカナタに、はるかは笑顔でうなずきます。
『また会えるよね、カナタ』
『心から望み続けていれば、必ずまた・・・』
 そしてカナタの姿は消えました。気持ちを切り替え、戦いに赴くはるかの目には、もう迷いはありません。
『カナタ、私必ずグランプリンセスになる。そして、みんなの夢を守って見せる!』
 みなみ、きららと共にゼツボーグのもとへ駆けつけ、変身。

 野球選手なのに側転、バク転と、まるで体操選手のような身のこなしで襲ってくるゼツボーグ。ひょっとして彼の目標とする選手は秋山なのでしょうか(笑)。それはさておき、攻撃をかわしたフローラの間合いに、いつの間にかロックがいました。フローラを一瞥し、
『花のプリンセスって割には、君なんか地味だね』
 これにはフローラも頭に来た様子。
『なっ・・・ッ!あなた誰ッ!』
 プンプンしながら問いますが、ロックは名乗りません。その死角からゼツボーグが襲って来ます。しかしマーメイドとトゥインクルの心配を他所に、フローラはゼツボーグをしっかりと受け止めていました。
『確かに私、まだつぼみかも知れないけど、カナタが勇気をくれたから、絶対・・・絶対!夢を咲かせて見せる!』
 ゼツボーグに豪快なジャイアントスイングをお見舞いし、投げ飛ばします。そしてフローラは一人ではありません。
『うちのフローラを甘く見ないでよね』
『遅咲きの花ほど大輪なものなのよ』
 トゥインクルに気を取られた隙にマーメイドが動きを封じ、仕上げはフローラルトルビヨンで決めました。

『今のはまあまあだね』
 いつの間にかロックが背後に回り込んでいました。ロックは改めて名乗り、今日は挨拶代わりと引き上げて行きます。野球部員の夢も無事に解放。夕陽を見つめながら、新たな目的に向けて決意を新たにします。
『見つけましょう。残り9つのドレスアップキーを』
『でもってグランプリンセスになる。約束だもんね』
 ふたりの言葉を受け、いつかカナタとの再会を胸に、フローラもまた誓いました。
『カナタ、私絶対、夢を咲かせて見せる』


 まず今回はプリンセスレッスンでしょうか。ちょうど「習い事」を考えようという年齢のお子様達にとって、これから続くテニスやヴァイオリンなど、シャムールのレッスンはそのきっかけになり得るものだと思います。習い事とは親がやらせたいものを子にやらせてしまいがちなもので、現に私も剣道を嫌々習わされておりました。実際にお子様がやりたいと思うものをやらせてこそ身になるものだと思いますので、プリキュアを通じていろいろ興味あるものをみせて行くと言うのは良い手法だと思います。
 今回の「紅茶」は習い事としては一般的ではありませんが、洋の東西を問わず「茶」で人をもてなす気持ちを養うことは変わりません。相手をもてなす気持ちを磨く事で、自らの心も見つめて自分を磨き高めるという、茶道の精神に通じます。ちょうど観返したばかりのハピネスチャージの「料理」も同じ系列の部類に入ります。

 そのレッスンですが、うまく出来なかった事を気に病んではるかが自信を失いかけてしまうという、意外な伏兵でもありました。今回は初登場のお披露目会だったためか、シャムールのフォローが少ないことも輪をかけています。つぼみと呼ばれて凹んでしまうのは、実際に華やかなみなみ、きららと比較して多少負い目を感じていたと思います。夢への信念は真っ直ぐ変わらずとも、時には見失いがちになることもあって当然です。
 しかし、はるかの本質を、既にみなみときららも短い付き合いながら見抜いています。
「うちのフローラを甘く見ないでよね」「遅咲きの花ほど大輪なものなのよ」
 この発言から、二人がはるかに一目置いている事が伺えました。少し道に迷ったとしても、自力で軌道修正でき、今は出来ないことも絶えない努力で身にしてしまう。これから描かれて行くはるかの姿を既に予見しているようです。どんな花でも最初はつぼみです。みなみときららにもつぼみの時期があり、それを経て今があるからこそ、ふたりの後押しにも説得力を感じました。

 さて、今回はるかを軌道修正させたのはカナタです。もちろん今回のカナタは正統派の王子様として、また一人の人間としても非の打ちどころがなく、はるかを立ち直らせる役回りをしっかりと担っています。
 「なれるかな?」と自信を失いかけたはるかを「なれるさ」と励ますのはもとより、夢を持ち続けていた事に対してお礼を言う姿の方が一層励ましになっていたと思います。はるかが夢を持ち続けてくれたからこそ、カナタ自身も自分の信念を曲げずに戦い抜いた甲斐があった筈です。もし、はるかが夢を忘れていたとすれば、ここでカナタの方が何らかのダメージを受けていてもおかしくありません。
 どこまでも続く闇を走っていた少年の日のカナタは、表情には出ていませんが、きっと不安だったことでしょう。闇の中に光を見つけて手を伸ばした結果、幼い頃のはるかに出会いました。はるかにとってカナタは夢のきっかけをくれた大切な人ですが、逆にカナタからしてもはるかが希望の象徴だったと思います。

 それにしてもディスピア様、相変わらずおっかないですね。
『次か・・・そんなものがあるのならな』
 こんなこと言われたら、テレビの前の私も思わずひれ伏してしまいそうです。ここまでおっかないのは最初期のジャアクキング様以来だと思います。

 自信を失いかけたはるかにとって、カナタに励まされたのは大きかったでしょう。また、人の夢を奪うなど決して許されないという、彼の発言も尤もです。既に先の展開を知る身で語るのはアンフェアかもしれませんが、だからこそあの38話のショックがとんでもないものになっています。夢を奪うなど許せないと言っていた人物が、結果的に夢を壊してしまうという皮肉。この時点で先のプロットが立てられていたかはわかりませんが、序盤から伏線が積み上げられていたと実感した一編でもありました。
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MP

ミスシャムールが初登場、この回からプリンセスへの成長ってのが始まるのですね。

またディスダークでもロックが初登場、このロックも中盤の変貌ぶりが考えられない状態、この時期は「初代」のキリヤ、「ドキドキ」のイーラに近いキャラでした。そして声が甲斐田ゆきさん、当時はどんなのかと調べたら、「SS」で健太の母を演じてました。思えば健太が翌年にはキュアルージュになったのに、父は6年後にウルフルン、そして母がロックへと、星野家はスゴい変貌です。
by MP (2016-11-18 23:49) 

スティクス

>MPさん
>この回からプリンセスへの成長
前回が3人の物語の始まりとすれば、今回がプリンセスへの道を踏み出す話ですね。

>ロック
三銃士は三人とも初期のイメージが中盤でガラッと変わりますね。私も少年幹部としてのドラマを期待した時期がありました。

>星野家
なんという波乱万丈一家wって感じです。その夏木家もなかなかスゴいですね。前世が健太のりんちゃんに、弟はとある国の王子を経てキングジコチュー様の娘、妹はカーチャンを2回経て先代マーメイドですから(笑)
by スティクス (2016-11-19 08:39) 

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