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プリキュアと同名史跡をゆく~「朝比奈切通」 [プリキュアにちなんだ旅]

 昨年12月に「みらい平」を訪れました。その時に触れた事ですが、魔法使いプリキュアのシリーズには「朝日奈みらい」「十六夜リコ」「花海ことは」と一致する駅が無く、それでは少し寂しかったので、ニアミスとして「みらい平」を訪問した次第です。
 せっかく魔法使いプリキュアを再視聴しているのに、他に訪れる地が無いのは寂しいことです。そのため少々無理があるかもしれませんが、横浜と鎌倉の間に位置する、鎌倉幕府の史跡を訪ねてきました。
  
 突然こんな近場の旅を思い立ったのにも理由がありまして・・・
 一応サービス業に従事している私は、いわゆるお盆時期に夏休みを取る事は滅多にありません。今までも他の社員たちと交代で夏休みを取っており、昨年も9月に青森へ行ったりしていました。ただ今年はシフトの関係上、十数年ぶりに8月のピーク時期に休まざるを得ませんでした。
 旅行を趣味のひとつとしているだけに、わざわざ高くて混んでいる時期に遠出しようと言う気にはならず、実家で2日過ごした後は家の掃除の合間に真昼間からビール片手に高校野球を延々と観続けるという、ある意味贅沢な夏休みを過ごしていました。たださすがにこれでは寂しく、急遽どこかへ行こうと思い立った次第です。

 今回の訪問に前後して、司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズから「三浦半島記」を読み返していました。そこに記されていた、鎌倉幕府の海運経済を支えた六浦港と朝比奈切通について興味を抱き、「朝比奈」と「朝日奈」で若干字が異なりますが、訪ねてみようと思い立ちました。
 ただ、本日は朝から厚い雲が立ち込めていて、降水確率は60%予想。行楽日和とは言い難い天気です。とはいえ、このままでは今日もビールwith高校野球になりそうなので、少し無理して出かけることにしました。

 最寄りの錦糸町から総武快速で品川へ。そこから京急で金沢八景へ向かいます。ところが上大岡を過ぎたあたりから、大粒の雨が窓を叩き始め、前途に不安がよぎります。

 先日も剱崎を訪問したり、それ以外にも三浦半島の風土に魅せられて何度かこの地を訪問していますが、金沢八景で降りたのは初めてです。その金沢八景駅、今は再開発の真っ最中のようで、バス待ちの間に雨宿りをしたり、プチ散策をする余裕が無かったのが残念です。

 さて、金沢八景から鎌倉駅行きのバスに15分ほど乗車し、こちらのバス停に到着しました。
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 あいにくの天気のためか、切通を歩こうという人は私一人のようです。もっとも、この降りっぷりでは無理もありませんが(苦笑)

 バス停前には朝比奈切通までの行き方が簡単に記されており、その標識に従っていくと、徒歩3分ほどで、まるで山に分け入るような光景に出くわします。本当にここは「横浜市」なんでしょうか・・・
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 先日の「弥生台」の時にも感じましたが、ちょっと離れると丘陵地や緑が豊かな地域に出くわし、一概に横浜といってもいろいろな顔があると感じます。

 そこから1分もしないうちに、朝比奈切通の入り口に辿りつきました。
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 正確には「朝夷奈」という表記のようです。そして道の先へ目を向けると・・・
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 土嚢で補強された、やや急な山道が続いています。そして道の傍らには
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 草に覆われた石仏が、道を見守っていました。くどいようですが、本当にここは横浜なんでしょうか・・・。頭上の横浜横須賀道路を走る車の音がひっきりなしに響いているのが、都市圏にいることを伺わせる要素です。
 その、横浜横須賀道路の「朝比奈インター」の名前だけは知っていましたが、実際に訪れたのは初めてです。少し残念ながら、日本橋の上の首都高のように、高架橋が無粋な印象を与えます。
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 もっとも、高架をくぐって少し行くと、車の音も聞こえなくなり、蝉の声と雨音以外が聞こえない静寂の中に放り込まれます。くどいようですが、本当にここは横浜(ry
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 鎌倉幕府が削って作ったという、細い道。
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 こうして実際に見ると、大軍で攻められないということが分かります。鎌倉が攻めるに難く、守るに易いという、天然の要害という事が実感できます。
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 こうした洞穴に弓兵を配備して、敵を迎え撃つのでしょう。せいぜい2~3列でしか行軍できそうにない道ですから、鎌倉という軍都の守りの固さを感覚として見て取れました。
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 それにしても本当にここは横浜(ry
 鬱蒼とした木々に囲まれた道は、下手したら遭難しかねないような雰囲気です。

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 上り坂はここで終わり。どうやらここが、横浜と鎌倉の境目となる峠、分水嶺のようです。あとは下り坂なのですが・・・
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 普段からこうなのか、それとも雨のせいなのか、道なのか川なのか、わからない道を下って行きます。防水加工のトレッキングシューズで来なければ、足元がグチャグチャになったところでした。

 その水の流れは、いつしか道の右横を流れるようになりました。スメタナの交響詩「モルダウ」のように、川が生まれたところを目の当たりにしたような感動があります。
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 そしてこの山道の鎌倉側出口では、ちょっとした瀧へと成長していました。ワクワクもんだぁ!
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 この先に少し行ったところには、鎌倉駅方面のバス停があるのですが、せっかくなのでこの切通を越えて荷を運んだ鎌倉時代の人々の気持ちになって、このまま3㎞ほど歩いてみることにします。
 先程の川は支流を集めて、いつしかそれなりの流れに成長していました。
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 バス通りはお盆休みという事もあり、この天気にもかかわらず、数珠つなぎの渋滞です。すれ違う対向車線のバスも相当の混みようで、案外バスに乗っても歩いても、疲れ方は変わらなかったかもしれません。ゆっくり30分ほど歩いて鶴岡八幡宮へ。そこも非常に混雑していて興冷めしてしまい、どこかで落ち着いてから食事にしようと考えて、稲村ケ崎へ向かいました。

 鎌倉には何度も来ていて、鶴岡八幡宮も、建長寺や円覚寺も、長谷寺や大仏も何度も拝観しています。ただ、稲村ケ崎には行ったことがありませんでした。「稲村ジェーン」のイメージがあり、私には無縁の地だという先入観がありましたが、良く考えてみれば新田義貞が鎌倉攻めをした歴史ある地です。ということでラッシュ時の電車並みに混んでいる江ノ電に乗り込み、稲村ケ崎へ行ってみました。

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 スプラッシュスターの聖地でもある、七里ヶ浜~江ノ島あたりの海岸も、本日は残念ながらご覧の通りの鉛色でした。
 そして稲村ケ崎へ目を向けてみます。
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 この岬の右側を騎馬の大群で越えて鎌倉攻めした、という新田義貞の戦法が信じられないほど、険しい崖&波の激しさです。義経の鵯越と同じく、普通なら越えられそうにないルートを通って奇襲したからこその戦果であり、歴史に名を遺したのだという実感が沸いてきます。

 この後は例の如く昼間っからシラスを肴に酒を飲み、鳩サブレなんぞを買い込んで帰って来ました。
 途中の長谷駅も大混雑で、おそらく長谷寺・大仏も鶴岡八幡宮なみに混んでいたと思います。しかし朝比奈切通には人が全くおらず、稲村ケ崎にも数人しかおりませんでした。観光とは著名な場所・人の集まる場所を訪れるものではなく、それ以外でも「観て」自分の心の中に「光る」ものを残せれば、知名度に関係なく思い出に残るものだと思います。
 今まで訪れた「同名駅」シリーズでも、この機会が無ければ降りる事のなかった駅での発見があり、楽しい経験が出来ています。繁忙期なら繁忙期なりの楽しみ方があるものだと改めて感じました。
 さて、次はどこへ行こうか・・・
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