遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研の各氏が本人役で共同生活するドラマ「バイプレイヤーズ」が面白く、毎週金曜から土曜の夜が楽しみです。
さて本人役と言えばプリキュアシリーズも芸人方面の出演が重ねられ、
5GoGoのたむけん、
フレッシュのオードリー、
スマイルのFUJIWARAと続いて来ました。本人役とはその人の持ち味を活かしつつ、作品に反映させる必要がある話作りが求められます。今回ハピネスチャージが迎えるゲストは元日本代表サッカー選手であるゴン中山こと中山雅史氏。その「暑さ」が物語に色を添えます。が・・・
プリカードが揃うのを目前にして、みんなで何をお願いするか盛り上がっています。ひめはもちろんブルースカイ王国の復活。めぐみは病弱なかおりさんを元気にして、ゆうゆうはみんながご飯を美味しく食べられるようにと夢が膨らみます。しかしリボンによると、叶えられる願いは一つだけ。某アブドゥルさんがいれば、4つにしてくれ、という願いもありえたかもしれませんが、それはそれ。一つしか叶えられないのであれば、みんなでよく考えることにしました。
同じ頃、フォーチュンが一人でサイアークと戦っています。見事な戦いぶりでサイアークを浄化し、プリカードをゲット。フォーチュンの持つファイルもプリカードで埋まりそうです。そんな彼女の願いとは・・・
『今よりもっと強くなりたいと願うわ。ファントムを倒せるくらいに』
ぐらさんはフォーチュンが姉の仇討ちに囚われている事を案じ、ラブリー達と組むことを提案します。しかしプリンセスに憎悪を抱くフォーチュンは即座に否定。彼女がいる限り、ラブリーやハニーと組むことは無さそうです。フォーチュンがそこまでプリンセスを憎む理由とは・・・?
みんなが大使館から帰った後、ブルーはひめにそろそろアクシアのことをちゃんと話した方がいいと切り出します。リボンも隠し事は良くないと言いますが、ひめは二人に嫌われるのを恐れ、断りました。リボンとブルーは、めぐみとゆうゆうはその程度でひめを嫌ったりしない、二人との友情はそんなに脆くないと諭します。それはひめも理解していますが、僅かでもめぐみとゆうゆうに嫌われる可能性があるなら、ずっと秘密にしておくと言って聞きません。
翌朝、誠司からめぐみにサッカー大会の助っ人要請が入りました。無論めぐみは張り切って引き受け、ひめとゆうゆうも加えてサッカーのユニフォームを纏い馳せ参じます。本日行われるのはぴかりが丘商店街チームと、隣町の中央商店街チームとの試合。しかし前日居酒屋で作戦会議を行ったのが仇となり、メンバー4名が宿酔いでダウンしてしまったのでした。
ぴかりが丘商店街チームを率いるゴン隊長は、団子屋の二代目。対する相手の監督は饅頭屋の二代目。図らずもライバル店の対決となってしまい、二代目店主が火花を散らします。かたや団結団子のパワーを見せると息巻けば、こなた満足饅頭に勝てるかと気を吐きます。あちらがシュートの褒美に饅頭20個詰め合わせを提示すれば、こちらも負けじと団子30本の泥仕合に(笑)。
『絶対に負けられない戦いがそこにはある!!!!』
オレスキー将軍のように無駄に熱い、いや暑い隊長が気合を入れます。
ところで欠員は四人。助っ人がまだ一人足りないと思ったところに、いおなが駆けつけました。誠司にはいつも世話になっているので、たまにはお返しと参加したものの、メンバーにひめがいるのを見て顔をしかめます。
キックオフの時間になりました。整列する両チーム。団子と饅頭のガチンコ勝負(笑)が始まります。ホイッスルが鳴り、しばしボールのやり取りを経て、相手二人を交わした誠司がいおなにパス。受け取ったいおながドリブルで敵陣深く切り込んでいきます。パスを求めるひめを無視してスピードを上げ、敵の7ばん2ばん4ばんのタックルを軽々とかわし、そのままシュート!決まった!!ゴーーーーーール!!!
いおなの活躍でぴかりが丘チームが先制点を上げました。ゴン隊長は昔の僕のようだと評価し、みんなからもかっこいいと称えられ、照れ笑いを浮かべるいおな。しかしパスをもらえなかったひめは面白くなさそうです。次こそ団子30本ゲットだと気合を入れました。
しかしひめのやる気は空回り。相手三人にマークされてしまい、めぐみとゆうゆうがパスを求めるも、己を過信したひめが打つのはへなちょこシュート。もちろん、あっさりキーパーにキャッチされてしまいました。
『今度は失敗しないぞ!お団子30本!』
団子のために点を取ろうとしているひめを、いおなが咎めます。
『白雪さん!また自分だけのプレーに走ろうとしてるでしょう。ちゃんとパスで繋げて!』
今度はめぐみがひめにパスをだしますが、それをいおなが途中でカットしました。
『それ私のボール!めぐみが私にパスしたんだよ!なんで横取りするの?』
『あなたが敵にマークされてたからボールをすくっただけ。あなたはチームプレーが分かってない』
分かってる、分かっていないと、ドリブルしながら言い争う二人。上から目線だと言われたいおなが戸惑った隙をついて、ひめがボールを奪います。チームメイトなのに(笑)。しかし相手にボールを奪われ、シュートを決められてしまいました。ここで前半終了。1対1の同点です。
『勝つためにはチームの団結!それが大切だ!』
ゴン隊長の訓示に元気に返事するぴかりが丘チーム。しかしひめといおなは互いにそっぽを向いて、険悪な雰囲気を察したのか、ゴン隊長はみんなで仲良く食べようと団結団子を振舞おうとします。ところが一人で車へ取りに行ったのが仇となり、オレスキー将軍に目をつけられて鏡に閉じ込められました。
『貴様のようなやたら熱く語る野郎は、サイアークにしてやる!!』やたら熱いお前が言うな
サッカーボールのサイアークが、♪さいあ~く と凱旋行進曲風に登場。両チームの人々の避難誘導は誠司に任せ、めぐみ達は変身します。
開戦早々、サイアークの強烈なシュートに吹き飛ばされた三人にゴールネットが絡みつき、身動きが取れません。とどめのシュートが迫り危機一髪のところに、フォーチュンが駆けつけました。シュートを跳ね返し、続く三つのシュートも弾き、受け止め、逆に蹴り返してサイアークに叩き込みます。
『それにしてもプリキュアが3人もいて、まるで連携がなってないわ』
三人をネットから解放し、注文を付けるフォーチュン。ラブリーはフォーチュンも加えた四人で連携すればいいと提案します。ハニーも四人ならパワーも特盛で団結できそうだと乗り気ですが、プリンセスは同意を求められて微妙な表情を浮かべました。そしてフォーチュンも提案を断ります。
『私はあなた達と一緒に戦う気は無いわ』
『でも、ピンチの時に仲間がいるって心強いよ』
その言葉にフォーチュンは息を呑み、そして共闘に賛同します。
『チームだとか団結だとか、そんなのは弱い人間の言い訳だ!行け!チョイアーク!!』
オレスキーがけしかけるチョイアークを次々と叩きのめすフォーチュン。プリンセスも弾丸マシンガンで片づけ、ハニーはハピネスラブシャワーで骨抜きに、と三者三様にチョイアークを料理します。ラブリービームで応戦していたラブリーは、フォーチュンの背後に迫るチョイアークに気付いてそれを退け、続けてロリポップヒップホップにフォームチェンジ。チョイアークを一掃しました。
『フォーチュンごときに遅れをとるな!』
オレスキー将軍に煽られ、今度はサイアークがフォーチュンに襲いかかります。それをフォーチュンは正面から渡り合い、立て続けにパンチを叩き込み、すかさずスターダストシュートで撃退。
『後ろを気にしないで戦えたからよ。一人だったらこうはいかないわ』
ラブリーとハニーに凄いと言われて、フォーチュンは少し照れながら答えました。プリカードも獲得し、ゴン隊長も無事救出します。
『チームワークなど、俺様にはいらん!頂点は常に俺様一人なのだ!』
オレスキー将軍は自分達の親玉の台詞(笑)を残して引き上げて行きます。大活躍のフォーチュンを囲むラブリーとハニー。一人プリンセスだけ、その輪に加わらず顔を曇らせています。
後半スタート。ゆうゆうからめぐみへ、そしていおなへパスが通り、シュートが決まります。その間、ひめは遠巻きにプレーを見守るだけ。試合は2対1でぴかりが丘チームが勝利しました。しかしハイタッチを交わすめぐみ達の輪にも、ひめは加わらず一歩引いています。シュート2本を決めたいおなには団子60本が進呈され、いおなはそれをみんなに分けました。
『チームのみんなが心を一つにしたからです。私の手柄ではありません。お団子はぜひみんなで』
『チームメンバーを思いやる心!素晴らしい!将来有望だな!』
めぐみ、ゆうゆう、誠司が勝利の余韻を噛みしめる帰り道、ひめは一人後ろからついて行きます。様子がおかしいのを案じためぐみに、慣れないサッカーで疲れたと、力なく弁明するひめ。そこへいおなが追いかけてきました。
『愛野さん!大森さん!ちょっといいかしら?』
白雪さんは眼中にないまま、いおなはいつになく雄弁に続けます。
『私ね、強くなるために自分を鍛えることばかり考えてた。でもサッカーをやってみて、空手とはまた違ったチームプレーの醍醐味を味わったわ。信頼できる仲間がいて、安心して背中を任せる。そうする事で技の集中力も高まって、攻撃力が倍増する』
突然何を言い出すのかと思えば・・・
『そんなチームワークがきっと、プリキュアハンターに打ち勝つ突破口となるはず』いま、プリキュアハンターって言いました!?
そしていおなはプリチェンミラーを取り出しました。
『キュアフォーチュンの正体は、私よ』
驚くめぐみ達に、いおなは手を差し出します。
『キュアラブリー、キュアハニー。私と一緒にチームを組まない?』
爽やかな笑顔で。しかしプリンセスの事を、完全に無視したまま―
いおな=キュアフォーチュンが明らかになる今回。まあ、バレバレでしたが(笑)。
ただ今回は色々と勿体ない印象を抱いてしまいました。なんといってもゴン中山氏をせっかく起用したのに、その持ち味を活かしきれていないのが残念です。私は過去の芸人登場回にはやや辛い評価をしていますが、それでも芸人さんの持ち味を出した作りは評価しています。ゴン隊長を監督ではなく選手として試合に参加させたり、鏡に封じられた相手チームの監督を助けるべくライバル店の垣根を越えて熱く暑い活躍をする、という展開のほうが魅力を活かせたと思います。もしくは鏡に封じられたとしても熱い心を燃やして反旗を翻すという展開もありえたかもしれません。
もっとも今回はフォーチュンが加入するきっかけとなる節目のエピソードなので、ゴン隊長を目立たせすぎるのもできなかったと思われます。ゴン隊長の出演はおそらく営業上の理由と思われますので、本来のプロットではフォーチュンの正体明かしや共闘のきっかけは異なったのかもしれません。そうすると今回の話作りは様々な要素を上手くまとめ上げなければならず、相当難物だったのではないでしょうか。場合によってはさらに破綻しても不思議では無く、ここまでまとめた事はむしろ評価したいです。
私は欠点を指摘するよりも、長所や見どころを取り上げることに重きを置きたいと考えています。今回も決して悪く観ているのではなく、ひめといおなに焦点を当てた話とすれば十分な出来だと思います。
今回のひめは、途中までかなりジコチューでした。めぐみとゆうゆうに秘密を打ち明けられないのは、まだ仕方がないと思います。問題はサッカーの試合中、チームの勝ちよりも団子30本が欲しいという理由でシュートしようとしていたことでした。それでは甘いものを独り占めのホッシーワさんと変わりません。
ところが戦闘後、特にその事を注意されたり諭されたりしたわけでもないのに、ひめは奇妙なほど常に一歩引いています。フォーチュンの活躍を素直に評価するラブリーとハニーを見て、何かを感じ取ったのでしょう。自分が腹を割って話していないことに対する後ろめたさもあったと思います。哀しい顔では無く、むしろ口角が上がっているにもかかわらず、寂しげな笑顔。もしめぐみとゆうゆうがいおなと手を結んだら、自分はその輪に加われない、と悟っているかのような、何とも言えない表情でした。
一方いおなもかなり頑固さが際立って描かれています。彼女は決してわからない子ではなく、試合終了後に団子をみんなで分ける等、細かい気配りも出来る良い子だということが伝わります。だからこそ、ひめに対してだけ辛辣な態度が一層際立ちます。
『あなたが敵にマークされてたからボールをすくっただけ。あなたはチームプレーが分かってない』
試合中、ひめにこう説教するいおなですが、その彼女自身もプリキュアとしてのチームプレーをまだ分かっていません。自分のことは見えないものです。
『でも、ピンチの時に仲間がいるって心強いよ』
とラブリーに言われた時、フォーチュンはハッとしていました。今まで一人で戦い抜いてきた中には、本当は不安になる事もあったのでしょう。それを怒りで押し殺してここまで戦って来たのがフォーチュンです。背中を預けられる仲間を得て初めて、彼女はめぐみ達に晴れやかな笑顔を向けることができました。しかしそれは、ひめを無視した上での笑顔です。それが本当の意味での笑顔になるまであと数話かかりますが・・・
ひめといおなのやりとりを緩和するようなゆうゆうのさりげない発言も目を惹きました。
『お団子もお饅頭もどっちも好きなんだけどな』
団子屋と饅頭屋が火花を散らす中、まるで仲裁するように割って入りこの台詞を口にしました。どちらが上でも下でもなく、どちらも受け入れれば良い。こういう決着もあるということを、ひめといおなに対して見せているようです。
ところでオレスキー将軍。先々週のディオ様に続き、今度はカーズ様ですか(笑)
【今回のおめでとうメッセージ/キュアエース】
前回でフレッシュ組が全員出演したのに、ドキドキ組は彼女でまだ二人目。いつもどおりのお姉さんっぽい余裕が感じられる口調の挨拶と、全力で行くと言うあたりがいかにもエースらしいです。そしてお約束の「ばきゅーん」まで(笑)。
どうせならいがみ合う今回の後輩達にも「プリキュア5つの誓い」を教え込んでやってください。