ベッドの上で目を覚ますエレン。カーテンを開けると、眩い朝日が射し込んで来ます。
ハミィやみんなと、心と心で繋がりたいと、涙と共に夕暮れの海へ向けて叫んだ事は
夢ではなく紛れも無い事実ですが、実際どうすれば心を繋げられるのか、
考えてもエレンには解りません。そこに響と奏が、エレンを海へと誘いに来ました。
また海へ向かって叫ぶのかと考えて躊躇してしまったエレンの部屋には、
いつの間にか響と奏が入って来ています。
2人ともエレンを仲間だと疑いなく迎えるだけでなく、
そのまま有無を言わさず着替えさせ、一緒に海へと向かう事になりました。
やって来た砂浜では、サンドアート大会が開催されています。
大会委員長のいささか暑苦しい前口上に続き、
優勝商品がラッキースプーンのカップケーキ一年分と聞いて燃える響。
審査委員に前回優勝者である王子先輩がいると知って燃える奏。
そして2人の異様な熱気を前に、愛想笑いを浮かべたまま戸惑うエレン。
3者それぞれの思惑を抱え、いざ砂像作りが始まりました。
とはいったものの、エレンは2人にどのように接してよいかわからず、
頼みの綱のハミィも玉乗りに興じていて相談どころではありません。
とにかくエレンは何でも賛成しようと考え、
響から砂像の題材の意見を求められて、苦し紛れに響に逆に問い直しました。
響が作ろうと言い出したのはハンバーグで、エレンもとりあえず右へ倣えですが、
奏はハンバーグなど丸い布団にしか見えないと反対し、ケーキを提案。
これには響が、いつも奏が作っているものだと反発します。
2人の間に挟まれたエレンは、愛想笑いを浮かべたままどっちつかずで戸惑うばかり。
それにしても響が次々と提案するステーキだのポークソテーだの、
砂で作ればどれも同じようにしか見えない気が・・・
響を支持すれば良いのか、奏の言うとおりにすれば良いのか、
かつてのように「やっかましいわ!」などと怒鳴りつける事もできず、
答えが見つからず困惑する中、係りの人がテーマを聞きに来ました。
ところが響も奏も互いの口を塞ぎあい、勢いエレンが応える羽目に・・・
苦し紛れにハミィに目を向けたエレンの様子から、係りの人は猫を作ると判断し、
結局3人の砂像のテーマは不可抗力ながらハミィに決定しました。
勝手に決めてしまった事を謝るエレンを、響も奏も責めるような事はしません。
『ハミィがモデルで良かったかも』
『じゃないといつまで経っても決められなかったかも』
そして、エレンは砂像に取り付けるネームプレートを取りに向かいました。
その後姿を見た奏は、エレンが必要以上に気を遣っているようで心配そうです。
響と奏の意見を全部賛成したり、名前で呼ばずに「そっち」などと呼んでいたり。
いつか「奏」と名前で呼んでもらう日を妄想する奏は、
こうなったら無理矢理名前で呼ばせてみようかと言い出しますが、
それではエレンのためにならないと響が諭しました。
無理矢理ではなく、エレンが向き合ってくれるのを、
ハミィのように信じて待つしかないという響の言葉に、奏も素直に応じます。
一方エレンも、ハミィからなぜ2人を名前で呼ばないのか問われていました。
エレンは2人を名前で呼んで、拒絶される事を恐れています。
ハミィからすれば、3人ならすぐ仲良くなれると確信していますが、
エレンにとってはそう簡単な事ではありません。
かつてセイレーンとしてメイジャーランドに居た際も、仲良しだったのはハミィだけだった
エレンは、ハミィ以外の誰かと友達になれるのか、自信がありません。
そんなエレンに、ハミィは響と奏をハミィだと思えばいいと提案します。
一見荒唐無稽な提案ですが、果たして・・・
サンドアート大会には奏太とアコも参加しています。
奏太が作り上げた砂像は、人魚というテーマに反して顔はゴリラでした。
アコは安易なウケ狙いに苦言を呈するものの、
人魚と言うテーマを受け入れる代わりの条件だと奏太も譲りません。
アコに向けて奏太が水鉄砲を乱射するというやり取りを、
ケンカではなく楽しそうだと評する音吉さん。
『一緒にケンカしたり笑ったり、何でも言い合えるのは楽しいもんじゃ』
音吉さんは奏太とアコの遠慮なしの関係を楽しげに見守り、
そしてエレンは、ケンカとは違う遠慮無しの関係を見て疑問が生まれました。
『何で、楽しいの・・・?』
ハミィをモデルに据えて、砂像作りは順調に進んでいます。
その間にもエレンは響と奏を名前で呼ぼうと試み、
言われたとおりハミィの顔を重ね合わせて見ますが、そう簡単には行きません。
むしろハミィと思い込もうとしているエレンの手つき、目つきが変だと指摘される始末。
そうこうしている内に、無事ハミィの砂像は完成しました。
しかしエレンはネームプレートをかけようとした矢先に砂に足をとられてしまい、
砂像に豪快にダイビング。せっかくの砂像は崩れてしまいました。
しかし響も奏も謝るエレンを責めるどころか、逆に転んだエレンを気遣っています。
『遠慮する事無いわよ』『私達仲間じゃん!』
『遠慮してるのは2人のほうだわ!
私が失敗したから、一人で直せばいいって、そういえばいいじゃない!』
思わず声を荒げた後、エレンは2人の仲間になりたいのに、
どうしていいのかわからないと吐露します。
響と奏はその言葉を待っていたようにエレンに抱きつきました。(本当ごちそうさまです)
『やっと喋ってくれたね、自分の気持ち・・・』
『私達、ずっと待っていたよ』
響と奏はエレンに遠慮などしていませんでした。
そして、エレンの事をもっと知りたいからエレンにも言いたいことを言ってほしい。
いろんなことを話し、たまにはケンカしても、何でも話せるような、そんな仲間になりたい。
3人寄り添ううちに、エレンの心は次第に解れて行きました。
かつての自分とハミィのような、先ほど見た奏太とアコのような、そんな関係を築きたい。
もっともっと2人の事を知り、仲良くしたい。
エレンが差し出す手に、響の、奏の手が重ねられました。
これからは3人一緒。煌く夏の陽光が、3人を眩しく照らします。
気を取り直し、砂像の修正を始めます。
エレンはもう遠慮せず、奏には像の目が小さいと、響には尻尾が無いとはっきり注意し、
自ら先頭に立って猛スピードでスコップを振るいます。
響と奏もエレンに負けじと、3人そろって砂漠の使途のような砂さばきを披露して
なんとか再び完成へとこぎつけました。
周りでも家族連れが、仲間同士が、皆楽しそうに次々と砂像を仕上げて行きます。
その砂浜に招かれざる客、サングラスをかけたトリオ・ザ・マイナーが現れました。
とは言ったもののかき氷を食べ、頭痛に襲われるというお約束どおりの展開を披露し、
ただでさえ暑そうな衣装で夏の浜辺に現れては、そのままバテてしまいそうです。
バスドラは砂浜に裏切り者のエレンの姿を認め、そしてハミィの砂像に潜む音符に目を付け、
3人で作り上げた砂像をネガトーンと化し、たちまち砂浜は阿鼻叫喚。
先ほどまでの楽しそうな一時を、皆の幸せの時間を奪った事に怒り、3人一斉に変身します。
攻撃を受けたネガトーンは3体に分裂。
メロディ、リズム、ビートがそれぞれを迎え撃つ間に、いつしか3人は砂嵐に囲まれます。
その隙にネガトーンの一体が砂像を壊しに向かうのを見て、ビートは砂嵐を突きぬけ、
単身砂像を守りに向かいますが、遭えなく返り討ちにされてしまいました。
プリキュアになった事を後悔しても遅いと豪語するマイナー達。
人知れずミューズが見守る前で、ビートは高らかに反論します。
『プリキュアになった事を、誰が後悔するものですか!私にはメロディ、リズムがいる。
私の事を心から受け止めてくれる。私には、大切な仲間がいる!』
その言葉を皮切りに、メロディとリズムも反撃に転じます。
3人の姿を満足そうに見届けたミューズがそっと立去った後、
それぞれ猛烈なラッシュを叩き込み、そして蹴り飛ばして3体のネガトーンを一点に集めました。
そのまま3人揃って技を畳みかけ、3人で3拍子を刻んでフィナーレ。
音符を回収し、砂像も無事に元に戻りました。
優勝はイルカの像を作った熊井さん一家(誰?)に取られてしまったものの、
今日一日の出来事は楽しい思い出になりました。
そんな中、響の足を登る貝を見て、これまでの姿からは想像も着かない悲鳴をあげるエレン。
何のことは無い、ただのヤドカリなのですが、エレンはどうも苦手な様子です。
ヤドカリを怖がるエレンをからかう響と奏、絶対に許さないと返すエレン。
エレンも今日一日で、そんな風に言い合える仲になりました。
「エレンが可愛すぎる」
まず、今回はこの一言に尽きます(苦笑)
冒頭の寝姿、朝日を遮る姿、しかもショートパンツで寝ていて!
さらに響と奏に着替えさせられるとは!!(落ち着け私)
本編中でも赤面しながら愛想笑いを浮かべたり、
響と奏にハミィの顔を重ね合わせた際の面妖な振舞いや、ラストのヤドカリを怖がる仕草まで、
まず初見の印象ではエレンの立ち居振る舞いの数々に終始ニヤニヤが止まりませんでした。
さらに輪をかけて響と奏もいつものイチャイチャの間にエレンを挟んだようで、
3人で抱き合ったり、手を差し伸べたり、からかいあったり、
いわゆる「ひびかな」と称されてきたラブラブっぷりが3人に広がると思うと
これから毎週日曜の朝をどんな風に迎えればいいのか、正直心の準備が整いません(笑)
かつてせつなも勝手がわからない故の天然ボケのような振舞いがあり、
それがイース様、セイレーンとのクールな佇まいとのギャップとして意外性もまた楽しめます。
もっともセイレーンに関しては、イース様ほどクール一辺倒ではありませんでしたが・・・
前回の夕陽の海での涙の叫びは感動させられたものの、少々クサいとも思えました。
後から思い返してみて恥ずかしくなるエレンというのも楽しく、
むしろ前回の感動をあっさり笑い飛ばす手腕には良い意味で感心します。
そんなエレンを取り巻く環境は前よりも格段に優しくなったとはいえ、
その中でどう振舞えばよいのか悩む様は、現実の人間関係にもあるものです。
しかし一番良いのは良くも悪くも自然体でいる事でしょう。
何でも右に倣え、愛想笑いを浮かべて無難に受け流す事も時には必要ですが、
踏み込んだ関係になる事は出来ません。
響と奏は当初の険悪な時代から、無難に流すという事はして来ませんでした。
真っ向からぶつかり合って来た結果が、今に至っています。
今回のラストのように、からかわれたり、怒ったり、
そんな事を繰り返していくうちに関係は固まっていくものです。
音吉さんが奏太とアコを評して言った「何でも言い合える」関係を、
遠慮ではなく、本当の気持ちをぶつけたいと願ったエレンは確実に築いて行ける事でしょう。
その第一歩としての、互いに手を重ねるシーンは印象的で、
さらに新たな変身バンクに活かしている手法は見事です。
そんな人間関係の物語を描く中、最も感銘を受けたのは響の振舞いでした。
「無理矢理ではなく、エレンが向き合ってくれるのを信じて待つ」
響にそう言わしめた奏は決して無神経な訳ではないのですが、
改めて響がこれまで家族関係や奏との関係で寂しい思いをしてきた事、
それ故にエレンの痛みを理解している事が伺えます。
さて、OP、ED、CM前後のアイキャッチだけでなく、
3人揃っての変身バンクまで新しくなるなど、後半に向けてのお色直しの数々が
夏休みという高揚感とも相俟って盛り上がりました。
OPは今までの印象を一新する曲調のアレンジが新鮮でしたが、
タイトルバックはエレンとビートのワンシーンが追加(変更)されるに留まり、
フレッシュに於けるやや強引なパッション追加シーンよりは改善されたものの
もう少し変えて欲しいような気がして少し残念です。
「Hibiki HOJO」「Kanade MINAMINO」のように、
「Ellen KUROKAWA」のワンシーンがあっても良さそうでしたが・・・
とは言ったものの、明るい表情になったエレンには満足しています。
EDは前期EDのノリの良さが結構気に入っていたので
少しおとなしくなったというのが第一印象です。
それでも新たにビートを加え、フレッシュの前期EDのように
立ち居地や視点を変えてのダンスの数々、そして動き回るハミィの可愛さが半端なく、
慣れの問題だと思います。昨年の「ゴスペル」も最初大いに驚かされましたので・・・
3人揃っての変身バンクも、響と奏にエレンを合わせるのではなく、
エレンに合わせて新たに響と奏のバンクを描き足すというのも異例でした。
一人増えたのにも関わらず、かえってスピード感が増したような印象を受け、
この取り組みは大いに評価したいです。
至近距離からの奏太の水鉄砲をものともせずにかわし続けるアコや、
サンドアートの昨年の優勝者という意外な一面を持っていた王子先輩など
(そういえば
藤P先輩も雪だるま作りにはこだわりがありました)
脇を彩る描写も目を惹き、これからバラエティに富んだ内容と3人+ハミィの関係、
引き続きのミューズの謎と、後半の展開を楽しみにさせる一編でした。
エレンが一体どこに住んでいるのかという点も明らかにならず、
この答えも近々期待したいものです。
そして
次回、エレンは「怖がり」という
りんちゃんのような一面を見せるようですが、
残念ながら来週の日曜は久々の休日出勤に・・・
しっかり録画予約を確認して悲しみのメロディに流されないよう気をつける事にします。