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5GoGo 第26話『プリキュア大都会に現る!』 [Yes!プリキュア5GoGo!]

現実に東京に住んでいると、時折東京砂漠に身を置いているような
世知辛さを感じる事もありますが、愛着があるのもまた事実。
今では首都圏以外に住んでいる自分の姿を想像する事が出来ません。
私の住むあたりは「下町」で、昔ながらの商店街もあり、
「おしなりくん」や「ソラカラちゃん」なるマスコットがいたりと、
町に親しみやすい雰囲気がある事も左右していそうです。
のぞみ達が訪れた大都会もまた、長い歴史に裏打ちされたマスコットや集会場の逸話、
そして様々な人々の人生が交錯し、活気溢れる姿の中に、
人々の街を思う気持ちが内包されていました。
 
『見て見て!空があんなに狭く見えるよ!』
ビルの間から見える空を見上げて驚くのぞみ。
東京というよりはニューヨークのような雰囲気を持つ、
世界経済の中心地というこの街を訪れるのは皆も初めての経験で、
溢れる活気、高いビルにただ圧倒されるばかり。
せわしなく歩く人や、携帯で話しながらノートPCを叩くビジネスマンなど(昼間の私みたい・・・)
忙しそうな人々も散見されます。
今夜この街では、マスコットのウサギのようなキャラクターが
大通りを練り歩くパレードが催されます。
そのレポーターを務めるうららに付き添う形で、皆は今日この街を訪れました。
そしてうららは打ち合わせのため、メイン会場へと向かいます。

その頃、エターナルでは・・・
ブンビーさんはお茶代の領収書をアナコンディさんに却下されてしまい、
必要な経費は認めても、その経費に見合うだけの仕事をしていないとつき返されて、
前職で管理職を務めたとは思えない切ないため息をつきました。

パレードが始まるまでの間は個人行動。
りんちゃんはアクセサリーショップ、こまちは図書館、かれんは病院の見学に向かい、
残るのぞみとくるみ、シロップと、小々田先生・ナッツの保護者組は、
歴史のありそうなレストランへと足を運びました。
りんちゃんは小洒落たアクセサリーショップの女主人と意気投合し、
こまちも図書館の司書と共に、本を愛するもの同士、書架の整理を
かれんもまた、松葉杖の少年が転びそうなところを助けた事がきっかけとなって、
看護師さんに病院内を案内される等、それぞれ夢と関わりのある充実した時を過ごしています。

相変わらずの良い食べっぷりを披露するのぞみ達を前に、
立ち寄ったレストランのおかみさんも張り合いがありそうです。
そんなおかみさんも、今夜のパレードを楽しみにしている一人。
この街で生まれ育ち、6代前からこの店を営んでいるというおかみさんは、
時と共に店を取り巻く景色が再開発で移り変わろうとも、
この街の事が大好きだと誇らしげに胸を張ります。
そしてのぞみ達に、パレードのメイン会場である集会場へ行く事を勧めました。
どんなに開発が進んでも、街一番古い建物であるそこを再開発しようという話は上がらず、
あの建物がある限り街の人の心は変わらないと断言するおかみさん。
事実、りんちゃんと互いにアクセサリー交換する女主人も、
こまちと一緒に書架の整理をする司書も、かれんに病院内を案内する看護師さんも、
そしてかれんにお礼のリンゴを差し出す少年も、
皆がこの街を、この風土を愛しているような自身に満ちています。

その街に、ブンビーさんがやって来ました。
久々にかつてのトレードマークである黒スーツを颯爽と着こなし、
タクシーから降りてアルタのような大型街頭ビジョンに目をつけて、
何か作戦を考え付きました。
もっとも、タクシーの領収書をしっかりと貰う事は忘れません。

日が暮れて、メイン会場となる集会場で合流するみんな。
館内にはこの街の様々の風景や、あのマスコットが飾られており、
事実今でも子供達に囲まれている人気者です。
集会場に来た子供達はこの人形と育ち、大人になって自分の子供をここに連れてくる。
こうして街を愛する想いが親から子へと世代間に受け継がれています。
街の人はみんなこの街が好きなのだと感じ入ったその時、
どこからともなくブンビーさんの声が響き渡ります。
『あ~オホン。プリキュア諸君。ちゃんと、見てくれているかな?』
プリキュアに向けたブンビーさんの不敵な姿が、街頭ビジョンに映し出されました。

画面の向こうからローズパクトを要求するとともに、
この街のマスコット目掛けてホシイナーボールを投げつけるブンビーさん。
たちまち市民に愛されるマスコットはホシイナーと化し、
車を踏み潰してビルの谷間を我が物顔に歩く姿は、さながらマシュマロマンのようです。
ヘリのサーチライトがホシイナーを照らす中、街を守るべく変身する6人。

街の人々は街頭ビジョンに映るプリキュアやローズ、そしてホシイナーの姿に、戸惑うばかり。
プリキュア達とローズはホシイナーに挑みかかるも、元が風船だけに攻撃が通じにくく、
柔らかい体に弾かれる様を見て、街の人々も不安そうです。
その光景を、屋上でモニター越しに高みの見物と洒落込むブンビーさん。
窮地に立ちながらも果敢に挑み続ける6人の少女の姿は、
街の人々を次第に動かし始めます。
『あの子達はあんなに頑張ってるのに・・・』
『俺達は見ているだけでいいのか・・・?』
人々の声援の輪は次第に大きくなり、そして街を守るべく一致団結。
ドリームは壁に叩きつけられたものの、
無数の人垣を、そしてその先頭に立つおかみさんの姿を認めました。
人垣の中にはアクセサリー店の女主人も、図書館の司書も、
病院の看護師も、松葉杖の少年もいます。

ドリーム達もこの街を想う気持ちは、街の人々と同じ。
そしてローズはホシイナーをドリームに任せ、単身ブンビーさんの下へ向かいました。
迫り来るホシイナーから集会場を守るべく、
街の人々の人間の鎖が、二重三重の人垣となって立ちはだかります。
その人垣の間から起こる声援を受け、次々にホシイナーに跳びかかる5人。
街の人々の応援の声が、掛けられ続けます。

集会場前のバリケードで、小々田先生はいざとなったら
ここの人たちを連れて脱出するようシロップに言い残し、
シロップもまた運び屋としての誇りに賭けて、やり遂げる事を強調します。
後をシロップとナッツに託し、小々田先生はバリケードを飛び出して行きました。

肩で息をする5人に、街頭テレビの向こうからブンビーさんの高笑いが響きます。
『フハハハハ・・・良く頑張ったと褒めてやろう。
 だがここまでだ!あと少しでこの町で一番大切なものを没収・・・』
『あんたなんかに渡さないわ!今よ!ドリーム!』
言い終わらないうちにローズに不意打ちで突き飛ばされたブンビーさんは、
哀れですビルの谷間へと無様に消えて行きました。
そして駆けつけたココによって5人はフルーレを手にし、
レインボーローズエクスプロージョンでホシイナーを撃退。
無事にマスコットは元に戻り、破壊された車も建物も何事も無かったように元に戻りました。
人々の大喝采が、町を守った6人の少女達に惜しみなくかけられます。

そしてうららがレポーターを務める中、パレードもクライマックスを迎えました。
この集会場こそが待ちの象徴であり、いつまでも変わらない町の人々の心を表している。
そう語るうららのレポートそのままに、子供達はマスコットの姿に目を輝かせていました。
その周りに、プリキュアとローズのフィギュアが新たに加えられ、
この街の人たちの間に末永く語り継がれていく事でしょう。


作中世界でプリキュアの存在が認知されているフレッシュ以降の作品と異なり、
初代・MH・SS・そして5とGoGoでは、ごく一部その姿や戦いぶりを目撃した人を除いて
プリキュア達は常に人知れず戦い続けてきました。
今回はそんな彼女達が衆人観衆の前に立つという珍しい一編です。
キャラクターショーで活躍したり、増子さんやたむけん氏にその存在を知られたりしたとはいえ、
プリキュアという存在は作中では一般的で無く、
さらに今回のプリキュア達とローズは、この街にとっても異邦人です。
謎の存在であるプリキュア、そしてローズが奮戦するのを目の当たりにして、
街の人々自らが自分達の街を守るために一致団結する。
今回の主役は街の人々と、この街そのものと言えるでしょう。

街の人々は突如として来襲するコワイナーを前に、最初こそは戸惑い気味ですが
決してなす術も無く諦めたり、また全てをプリキュアとローズ頼みにして
神にすがるような弱さを見せる事もありません。
唐突な事態に際し、手を差し伸べてもらう必要があるところには助力を頼み、
自分達で出来る事に対しては自ら立ち上がり、成し遂げる。
このような姿を、私達はあの3.11以降、何度と無く目の当たりにしてきました。
確かに英雄の活躍によって救われる面もあります。
そして、あまりに理不尽な惨劇を前に、神頼みにすがりたくなる事も当然あります。
しかし英雄を必要とせず、自らの力で出来る事を成し遂げようとする人の姿は何よりも尊いもの。
そしてそれは、のぞみ達の姿でもあります。
プリキュアは断じて完全無欠のヒロインではありません。
成長する過程で迷い、悩み、考える、ごく普通の中学生の少女達です。
それでも誰かのために、ひいては自分のためにひたむきになれる姿は見る者を魅了します。
作中、街の人々がプリキュア達の活躍に触発されて結束する様は、
まさに視聴者の想いにリンクしたような一体感が感じられました。

「個」では弱かったり、そっけなく見えたりしても
「群」となれば一体となって強い想いを共有する。
逆に「群」としての人々には、それぞれ異なる「個」があります。
今回、のぞみにぶつかって平然と歩き去るサラリーマンや、
忙しげなビジネスマンの姿はマイナス要素のように描かれていました。
しかし、いざ団結の際、彼らもまた街を守るために立ち上がっていました。
それはのぞみ達も同様で、プリキュアとしての「群」で語られる以上に
彼女達にはそれぞれ異なる「個」があります。
大都会に住む人々と人くくりにする事は簡単ですが、
そこには人の数だけ「個」があります。
大都会がエネルギッシュで活気に溢れて見えるのは、それだけの個を包み込み、
器としての街そのものが生きているからでしょう。

今回は比較的軽めの一編と想っていましたが、
予想以上にこういった事を考えさせられる内容で唸らされました。
そしてひたむきな姿勢という点では、
ブンビーさんに転機をもたらすきっかけだったのかもしれません。
このシリーズの最終回近く、ブンビーさんが口にする「ひたむきさ」とは、
プリキュアのみならず、プリキュアの姿に触発されて
自らの足で生き抜いていく人々の姿も意識の内にあるように思えてきました。
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