奏のカップケーキにかぶりつき、幸せを満喫する響たち。
クレッシェンドトーンの力を正しく使いこなす相談のために集まったのですが、
当初の目的を忘れてしまいそうです。
さて、考えても始まらず、直接クレッシェンドトーンに使い方を聞いてみると・・・
『それは・・・』『それは?』『それは・・・』『それは!?』『そ・れ・は・・・』『そ・れ・は?』
『自分達で考えなさい♥』
散々焦らした挙句、悪意のない笑顔ではぐらかすクレッシェンドトーン。
それでもプリキュアの力を高めれば正しく力を使えると考えたハミィの言葉で、
響はキャンプでの特訓を思いつきました。
キャンプ出発の日、響は例の如く遅刻して来ますが、エレンもまだ来ていません。
と、そこに爪弾くはギターの調べと共に、カウボーイハットを被ったエレンが、
アコースティック・ギターを引っ提げてやって来ました。
キャンプと言えば青春、青春といえばギターだと、
またしても
音吉さんの本で得た誤った知識を披露しながら登場しますが、
青春というよりも、どこぞの渡り鳥のようですが・・・(笑)
ともかく、キャンプの目的はプリキュアの力を高めるためです。
『厳しい特訓をド根性で乗り越えて、
クレッシェンドトーンのパワーを正しく使えるようにするの!』
やたらと熱血の響、そういうのが苦手な奏、初めてのキャンプに胸躍らせるエレン。
いざキャンプへと出発する3人を、例の如く物陰からマイナー達が伺っていました。
バスドラはこちらも負けじとパワーアップだと、手っ取り早い方法を提案します。
そのココロは・・・?
モノレールに乗ってバスに乗り換え、おっかなびっくり吊り橋を渡る、
旅とは道中も楽しいものです。しかし山道を登り、
キャンプ予定地である団パパの別荘へ辿り着いた時には、
体育会系の響を除く2人はすっかりバテていました。
それでも早速キャンプの目的である特訓を開始するため、
鬼軍曹・響の指導の下、道着に着替えて河原で空手の特訓をスタートします。
『おいっす!』『おいーっす・・・』『元気が無いぞ、もう一度おいっす!』
(台詞は一部異なります)
響は奏とエレンのへっぴり腰に喝を入れつつ、正拳突き、前蹴りの特訓を始めます。
『何だそのへっぴり腰は!一撃一撃に魂を燃やせ!』
これは空手バカ一代ではなく、プリキュアですので念のため(笑)。
そして波紋の呼吸(違)の特訓を始めますが、吐いてばかりで吸っていないのか、
響の顔は女がすたるどころか、女をすてる状態になって来ました。
この疲れるノリをストップさせるべく、次は奏が主導権を握ります。
軽快な音楽と共にミユキさんのダンスレッスン、もとい奏のエアロビエクササイズが始まります。
『ワン、ツー、ワン、ツー、はい息を吸って元気良くパーンチ♪』
どうも不完全燃焼気味の響を他所に、奏は別に燃えなくたっていいと続けます。
私は萌えましたが何か?見た目に反して結構ハードに筋肉を鍛えているものの、
武道とは心の鍛錬もするものだと不満を漏らす響の言葉を聞いたエレンが
次の鍛錬の主導権を握りました。
エレンが始めるのは坐禅。これも音吉さんの本で学んだようですが、
キャンプといい坐禅といい、音吉さんの趣味って一体・・・?
『こんなんでプリキュアのパワーが高まるとは思えないんだけど』『私もそう思う』
不満を漏らす響と奏に、ハミィの警策が容赦なく振るわれます。
『坐禅とは姿勢を正して座った上体で精神統一。一切の欲を捨てること』
案外まともに坐禅について理解していたエレンに倣い、3人の坐禅は続きます。
夕方、山に団パパが訪れた頃、3人はまだ坐禅を続けていました。
本当は3人とも足がしびれて立てないのですが、
皆真っ先に脱落するのを嫌い、互いの顔色を伺っています。
既に坐禅は我慢大会と化しました。しかし、このままでは精神を鍛える事とは逆効果です。
限界を感じた響は、2人に手を差し出しました。
『一緒に、3人で一緒にギブアップしよう』
互いに手を取り合い、立ち上がる3人。しかししびれた足がもつれて一斉に転び、
皆で顔を見合わせて笑い合いました。
そんな3人を優しく照らす夕陽が、遠き山に落ちようとしています。
一方、マイナー達もパワーアップ目指して命を懸けた恐ろしい試練に挑んでいました。
超大盛りカレーを30分で完食すべく、胃袋へと詰め込むマイナー達。
続けて今度は二郎の大ブタダブルヤサイマシマシのようなラーメン、
その次は巨大ネギトロ丼、3段重ねハンバーグ、カツ丼と蕎麦セット、
仕上げにジャンボパフェ、マイナー達は見事この試練を制覇しました。
『これだけ食べれば』『パワーアップ出来たかも』『でも眠くなって来ました・・・』
そのまま夜の公園で、試練を成し遂げた満足感を抱きつつ、
マイナー達は安らかな眠りに落ちました。
そして響達も寝袋にくるまって、星空の下で野宿を始めます。
明日は早朝から山登りが憂鬱だと漏らす奏に、響は山頂から見る日の出の美しさを語り、
ハミィもプリキュアの絆を強くするための山登りに賛成です。
と、流れ星を見つけてはしゃぐハミィ。
皆が既に安らかな寝息を立てているのを察して、ハミィもお休みする事にしました。
団パパが別荘から見守る中、キャンプの夜は静かに更けて行きます。
突如、夜の静寂を破って道路工事の音が鳴り響きました。
重機の音がけたたましく鳴るのは響達が眠る山ではなく、
マイナー達が野宿している公園付近。その音で目を覚ましたマイナー達は
ロードローラーに音符が潜んでいるのを見つけてネガトーンと化しました。
プリキュアが不在の町を、ネガトーンが襲います。
響達はそんな事とは露知らず、朝靄の立ち込める中、山頂を目指して歩き始めました。
川のせせらぎを見下ろし、可憐に咲く花の脇を通り、岩肌に沿って進む事しばらく、
ここを登り切れば山頂を残すだけ、という鎖場に到着します。
しかしここまでの道中で奏とエレンは疲れ切っており、
響に先に行くよう弱音を漏らしてへたりこんでしまいました。
それでも響は1人で先に行く事を良しとしません。
『大事なのは1人で頑張るより、3人の心が一つになる事だから』
昨日の坐禅を通じて気づいた事を思い出し、3人分の荷物を背負います。
響が体力に自信があるのなら、エレンは身軽さを活かして先に道を開き、
奏はいつもの笑顔で後ろでどーんと構えていてもらう。
3人それぞれ、出来る事を活かして鎖を登り始めました。
さすが元が猫なだけに、軽々と先を行き的確な指示を出すエレン。
続く響はいくら力自慢とはいえども、3つのリュックの負担は重いですが、
それでも決して弱音を吐きません。『ここで決めなきゃ女がすたる!』
いつもの決め台詞で足をかけた矢先、不意に足元が崩れました。
危うく滑落しそうな響を上からエレンが、下から奏が支えます。
『ファイットー!』『いっぱぁーつ!』三人は一緒、三人で一緒に頂上を目指します。三人で一緒に―
ようやくたどり着いた山頂から眺める朝陽は、美しく輝いていました。
しっかりと手を繋ぐ三人の心の繋がりも負けず劣らず、
ヒーリングチェストが、クレッシェンドトーンが光り輝きます。
しかし美しい景色に見とれる間もなく、
町でネガトーンが暴れているというフェアリートーン達の報告を聞き、
山頂で変身する3人。急ぎ街へと駆けつけます。
町を阿鼻叫喚に陥れているネガトーンに
駆け付け様にトリプルプリキュアキック(違)を放つ3人。
しかしそのままローラー部分が回転して、その上を走らされるハメになりました。
今回のネガトーンは強く、3人ともローラーから跳ね飛ばされてしまいますが、
自分たちのパワーも上がっている筈と信じて立ち上がります。
胃もたれ気味のバリトンとファルセットを差し置いて、意気揚々とネガトーンを差し向けるバスドラ。
『ロードローラーだッ!』(台詞は一部実際と異なります)
ロードローラーに追われる形になっても、メロディはキャンプを通して気づいた事がありました。
『プリキュアの力は、強さじゃなかった』
みんなで力を合わせて山を登った事が、そして坐禅の後に手を取りあった事が思い出されます。
『困難にぶつかった時、三人の心を一つにして』
『助け合って乗り越える事。それが・・・』
『プリキュアの力!』
山頂で朝日を見た時のように手をつなぎ、ネガトーンを迎え撃つ3人。
これまでに無い強大なハーモニーパワーが迸り、
そのままネガトーンを押し返します。そして・・・
『出でよ。すべての音の源よ』
ヒーリングチェストからクレッシェンドトーンを召喚。
虹色の鍵盤の上を天空×字拳の構え(笑)で飛翔し、
羽ばたくクレッシェンドトーンと共に希望の交響曲を奏でます。
『プリキュア・スイートセッション・アンサンブル』
猛烈な加速を遂げるクレッシェンドトーンと共にネガトーンに突撃し、そしてフィナーレ。
ネガトーンを打倒して音符も無事回収し、
トリオ・ザ・マイナー達もバスドラを除いて、胸やけ気味のお腹をさすりながら撤退して行きました。
特訓の成果を喜ぶ3人の戦いぶりを、人知れずミューズが見守っていました。
『でも、あそこまでパワーが凄いと、もしかして・・・』
ドドリーの言葉に複雑な表情を浮かべるミューズ。
この表情は果たして何を意味するのでしょうか・・・?
そうとは知らず喜び合う3人に、クレッシェンドトーンの労いの言葉がかけられました。
『これからも力を合わせて、困難を乗り越えて行くのです』
一人ではなく三人で。プリキュアは一人ではありません。
まずは
前回に続いて、安定して楽しく見られる展開が素直に楽しめました。
この調子で後半の日常パートを進めつつ、
未だ回収されていない伏線をまとめて行けば純粋に楽しむことが出来そうです。
今時山籠もり、そして空手からは
昨年の薫子さんの若かりし日を懐かしく思い出しつつ、
響の空手、奏のブートキャンプ、エレンの坐禅と
パワーアップしたいという気持ちと、直接強化につながらないというズレが
真面目に取り組んでいる3人には気の毒ですが、
意気込みの空回りのようで笑わせてもらいました。
特にエレンの青春に対する間違った認識の数々が面白いです。
これまでも
転校初日の挨拶であったり、
冬山登山装備であったり、
真面目で素直なだけに、あらゆるものを鵜呑みにしてしまう姿が描かれますが、
さらに振り返れば
セイレーン時代、テレビに出るために妙な衣装に身を包んだりと、
前から彼女の個性はこうだったと妙に納得させられました。
さて、今回は「3人で一緒にギブアップ」と、それに伴う響の描写が白眉と言えます。
以前響に対してまりあママが優しく言い聞かせたように今作では決して無理をする事を推奨しておらず、
むしろ時には負けを認めても良い、無理をしなくても良いという意図が感じられます。
確かに一生懸命頑張る事は大切ですが、時には弱さを認める事も必要ですし、
相手を打ち負かすだけではなく、折り合いをつける事も大切でしょう。
一見負けず嫌いに見える響ですが、奏やエレンはそれ以上に負けず嫌いな面があり、
あのまま坐禅を続けていても誰も音を上げない、しかし奏もエレンも限界なのを見て取り、
それならばと自分から率先して切り出したところに、響の気配りが感じられます。
それは鎖場での一件も同様で、2人が諦めないように配慮しつつ、
みんなで力を合わせて一緒に登るために互いの持ち味を活かしながら、
自分では決して弱音を吐かない姿を目の当たりにして、
響がこのシリーズの主役として、真に相応しく思えました。
これまでも
キュアフラワー、
キュアムーンライトというごく一部の例外を除いて
プリキュアは一人ではありませんでした。
個々の能力、特性を生かして奮闘する事よりも、
みんなと協力して手を取り合い、足りないところを補い合う、
その信頼関係こそがプリキュアの強さと言えます。
その答えを直接メロディ、リズム、ビートから聞く事が出来、
彼女たち3人もプリキュアとは何なのかというものを掴んだような安心感を覚えました。
トリオ・ザ・マイナー達の命を懸けた(笑)大食い挑戦も
脈絡が無いといえばそれまでですが、がっつり食べても問題が無かったバスドラと、
翌日胃もたれに苦しんでいるファルセットとバリトン、という描き分けが楽しめます。
大食いの成果でネガトーンが強化されたかは定かではありませんが・・・?
そんな中で、クレッシェンドトーンの力を正しく使えば、
「ネガトーンを倒せる」という冒頭でのエレンの発言が少し気に懸りました。
今までの技は「フィナーレ!」した後、ネガトーンを眠りにつかせる、
ある意味癒していたように見受けられましたが、
今回披露した新技、スイートセッション・アンサンブルは、
文字通りネガトーンを打ち倒しています。
ネガトーンの元になったロードローラーや音符には影響を及ぼしていないとはいえ、
この点が引っかかりました。
今までのネガトーンは「倒して」いなかったとエレンが認識していた事、
それを覆して今回は「倒す」事を望み、その通りに「倒した」事。
それに対して3人が違和感を覚えず、クレッシェンドトーンも労いをかける中で、
ミューズがなんとなく危惧しているように思えたのは私だけでしょうか。
『あそこまでパワーが凄いと、もしかして・・・』
この発言は何を意味するのでしょうか。
単純にミューズのお株が奪われる程度であればさほど気に留める必要はありませんが、
どうも強すぎる力を危惧しているように思えます。
音を生み出したというクレッシェンドトーンであれば、
「長調」とは異なるとはいえ「短調」の音楽世界、
マイナーランドの殲滅までは望んでいない筈です。
しかし、それを成し遂げかねない強力な力を目の当たりにしたからこそ、
ミューズが案じているとすれば・・・?
「誰の味方でもない」というミューズの立ち位置も含めて、
今後どうなるのかが気になりました。
ともかく、予告からして次回も楽しめそうですので、
これから先の伏線消化も含めて期待しています。