『うっとうしいよ!』
ルーヴル美術館のピラミッド前から、その隣のチュイルリー公園へ。
そのままオリヴィエの後についていくつぼみのように、
てくてくと歩いて行く事15分程で、コンコルド広場へと辿り着きました。
ここはデザトリアンにされたオベリスクがそびえ立つ場所として印象付けられますが、
そもそもフランス革命時にマリー・アントワネットをはじめとする人々が
断頭台へと消えた場所でもあります。
そのような因縁の場所ゆえに、サラマンダー男爵との邂逅の場となったのでしょうか。
『困っているのはこっちの方さ。お嬢さん・・・』
広場を囲むように立つブレスト像を見上げると、
ふと、サラマンダー男爵の声が聞こえたような気がしました。
次なる舞台は凱旋門ですが、まっすぐ先に見えるだけにかなりの距離が感じられます。
シプレのマントを纏って飛んだブロッサムと異なり、歩くしかないのですが
船を下りてからここまでで既に3㎞ほど歩いており、しかも道は緩い上り坂。
10日間の旅程の2日目にして疲れすぎるのもどうかと思いましたが、
せっかくなのでこのまま歩き始めました。
両端を公園に挟まれた並木道は、やがて華やかなシャンゼリゼ通りへ。
この通りをオベリスクのデザトリアンが突っ走ってきたと思うと妙な気がします。
コンコルド広場から約2㎞程、1時間程度かけてゆっくり歩き、
ようやく凱旋門へと辿り着きました。
最初の戦いの舞台である事もそうですが、改めて本物の凱旋門を見ると
思っていたよりも大きく、何とも言えない威容と共に迫ってくるものが感じられます。
今度は地下鉄に乗り、オペラ座ガルニエへ。
サラマンダー男爵の独白に始まり、ムーンライトとサラマンダー男爵の戦いの場であり、
そしてオリヴィエが苦しい決断をした印象的な場面の舞台となる、
この内部にぜひ入りたいと思っていました。
それ以前に大のクラシック好きでもある私は、今夜の公演(この日はバレエ)を
ぜひガルニエの舞台で鑑賞してみたいと楽しみにしていましたが、
チケットを予約して行かなかったのは大きな過ちだと思い知らされました。
当日券売り場は長蛇の列。しかも15分ほど最後尾で待っても、
一向にも進む気配がありません。
残念ながら今回は鑑賞を諦める事にしました。
あの舞台を、シャガールが描いた天井画を、
「オペラ座の怪人」エリックの指定席である2階の5番ボックス席を、
何より世界最高水準であるパリ・オペラ座バレエ団の公演を観たかった・・・
残念至極ではありますが、次に行く時に、必ず予約してから行くという教訓になりました。
その代わりと言っては何ですが・・・
オペラ座近くの街角でメフィスト様を発見しました(笑)
この後は土産を買ったり食事をして過ごしましたが
せっかく本場フレンチの国なのに妙に胃が疲れていて本格的な食事がとれず、
少々残念でした。ともかくまだ2日目、無理をせず早めに休む事にしました。
その前に、あのネタのためだけに日本から持って来たものがあります。
『パリで飲むパック酒は一味違うデス!』『ふれんちデシュ!』『ちゅー、ちゅー・・・』
・・・わざわざ部屋の明かりを暗くして、いい年して俺何やってんだろうと、
旅の空の下で空しくなりながら、パリの夜は更けて行きました。
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