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スイートプリキュア第39話『フギャー!音符がぜーんぶ消えちゃったニャ!』 [スイートプリキュア♪]

チームワークの大切さ、諦めずに窮地を乗り切る事。
音符が無くなるという不可解な事態に直面するも、
その逆境に立ち向かう事をわかりやすく描き出す今回。
「安西先生」や「ケンシロウ」を髣髴とさせる、大人がニヤリとしそうなセリフ回しと、
子ども層にもわかりやすい内容が光り、充実したアクション、
4人の個性が活きる描写、そして緊迫した展開が終盤の幕開けを彩ります。
そう、子どもさんにもわかりやすい程の、ピーちゃんの怪しさも含めて・・・
  
小鳥のさえずりと共に、今日も爽やかな朝がやって来ました。
いつものようにフェアリートーン達の目覚ましで、すっきりと目を覚ますハミィ。
まだ目覚めない響を、今日は休みだと気遣ってゆっくり朝寝坊させてあげますが、
フェアリートーンを覗き込んだ際に目を疑いました。
何度覗き込んでも音符が無く、ハミィのけたたましい叫びが北条家に響き渡ります。
そして前言撤回、文字通り響を叩き起こし、この一大事を告げました。
未だ寝ぼけ眼で二度寝しようとした響も、
事の次第に気づいてけたたましく目覚めました。

取り急ぎ、ラッキースプーンのテラスで、事の次第をみんなに報告。
音符がどこに消えたのかはフェアリートーン達にもわからず、
いくら響が朝までぐっすり眠っていたとはいえ、
寝ている間にマイナー達に取られてしまうとは考えにくいです。
責任を感じて謝るフェアリートーン達ですが、
彼らが頑張ってくれている事を理解しているアコは責めるような事は言いません。
しかしハミィは心配でたまらず、食欲が出ないと言いながら
十分な量のカップケーキを平らげ、絶体絶命だと慌て回りました。
『諦めたら負け決定だよ!』
そんな空気を一掃するように、テーブルを叩いて立ち上がる響。
先日のサッカーの試合の際、劣勢に追い込まれてもチームのみんなと
諦めずにがんばったら最後の最後で大逆転できた経験を語り、
音符はまた探して諦めれば良いと、張り切って虫捕り網を手にします。
響のおかげで空気は変わり、
みんなで音符を集めようと拳を振り上げて一致団結しました。

一方マイナーランドでは・・・
ファルセットは楽譜をめくりながらご機嫌斜め。
さながら数週間前までのメフィストのようです。
鏡に映る自分の姿を嘆くバリトン、呑気に爪を削るバスドラを一喝し、
音符集めを命じるファルセット。プリキュア陣営より音符を集めているとはいえ、
伝説の楽譜の後半部分はまだ真っ白、楽譜を埋め尽くすまでは行きません。
ノイズ復活のため、一刻も早く音符を集めると力が入ります。

音吉さんに相談すべく、調べの館を訪ねる響達。
音吉さんもクレッシェンドトーンも、ノイズの仕業ではないかという考えで一致します。
両者いずれもも時折ノイズの気配を感じるものの、
どこに居るのかまでは突き止められません。
それでも響は、ノイズ復活の前に幸せのメロディを完成させれば良いとポジティブに捉え、
奏は以前音吉さんがオルガンを弾いた時、加音町で音符が活発に動いた事例を出して、
音吉さんに再びオルガンを弾いて欲しいと頼みました。
しかし音符が見つけやすくなるというのはマイナー達にとっても同じ事。
それは両刃の剣であり、不幸のメロディの完成を早めてしまうかもしれない
リスクが伴いますが、4人はそれでも構わないと音吉さんに頭を下げて頼み込みます。
その真剣さを見て、音吉さんもオルガンを弾く決心を固めました。
しかし、演奏が始まる直前、なぜかピーちゃんが何処かに飛び去ります。

音吉さんの奏でる荘厳な音色が加音町に響き渡ると共に、
無数の音符が活動を始め、エレンとアコは目を見張ります。
音符が見えない響と奏は実感が沸かず、
ハミィに音符を見えるようにしてもらって、初めてたくさんの音符を目の当たりにし、
早速音符集めに繰り出しました。

同じ頃、マイナー達も海岸で音符集めをしていますが、
ファルセットは回収率が悪い事をぼやいています。
それもその筈、バスドラとバリトンは1つの音符の手柄を巡って
低レベルな争いを繰り広げており、こんな調子では集まるものも集まりません。
その矢先、突然辺り一面から音符が顔を出し始め、
ファルセットは前にもこんな事があったと思いだしながら大量の音符を瓶に詰めました。
そして大量ゲットのチャンスだと、一人であの自転車?に乗って飛び去るファルセット。
自転車に乗せてもらえなくなった2人が、その後を走って追いかけて行きます。

かつて猫だっただけに、軽やかに跳んで音符を集めるエレン。
アコもフェアリートーン達と一緒に音符を集めて行きますが、
背が低いために高い所の音符に手が届きません。
エレンに気を遣われて、アコは悔しそうに秘密兵器を取り出しました。
それは黒ミューズ時代の、底上げシークレットブーツ。
『高くても大丈夫だから!』
ブーツを履いてムキになり、高い所の音符を集める可愛い可愛いアコ(笑)
響と奏も負けず嫌いなアコに負けじと虫捕り網を振るい、
カゴの中にはみるみる音符が集まって行きます。
だいぶ集めたものの、まだまだ音符は町内あちこちで踊っていました。
ピーちゃんの方へ飛んで行った音符を、ピーちゃんが羽ばたいてアコの方へ飛ばしたり
ささやかな協力?もあって音符集めは進んで行きます。

次に訪れた河川敷では、小学生達がサッカーの試合をしています。
そのボールに音符が潜んでいますが、響は子供たちがこの試合のために
練習を頑張って来たとだろうと察し、試合が終わるまで待つ事にしました。
しかしマイナーランド陣営は待ってはくれません。
フィールドにバスドラが乱入し、響達の背後にはファルセットとバリトンが現れました。
ファルセットはカゴの中の音符に目をつけ、奪い取るべくサッカーボールをネガトーン化。
たちまち両チームの子供たちは悲しみの音波に泣き崩れ、
頑張っている子たちを悲しませた行為に憤り、4人同時に変身します。

ネガトーンだけでなく、バスドラとバリトンも共に襲いかかってくる状況に
開戦早々苦戦を強いられるプリキュア達。
マイナーの2人に至っては前回の弱さはどこへやら、
バスドラはメロディを庇ったビートのバリアを簡単に粉砕して2人を投げ飛ばし、
バリトンはリズムとミューズの猛打を『スローすぎてあくびがでるぜ』
(台詞はだいたいあってますが一部異なります)と避け続け、
お返しに北斗百烈拳、そして蹴りを叩き込む等、かなりの強さを見せつけます。
その間にファルセットもハミィからあっさりと音符を奪い取り、
ハミィを軽く一蹴して音符を瓶に収めて勝利宣言しました。
『お前達の負け決定だよ!』

しかし4人のプリキュアは円陣を組み、何やら作戦会議をしています。
『戦いは終わってない。これからだよ。ファイト!』『オー!』
手を合わせ、そして気合を入れる4人目がけて再びネガトーンが突っ込んできました。
それを文字通り四方に散って避ける4人。
ネガトーンはリズムの後を追い、バリトンはミューズを追い続けます。
ビートバリアを張るビートに、何度やっても無駄だと拳を振るうバスドラ。
その足元がお留守になったところを、背後からメロディがかかとを蹴りました。
ミューズを追って橋の下へ来たバリトンも、
駆け込んでくるリズムを追ってネガトーンが放ったボールが巻き起こす砂煙にたじろぎ、
その間にビートはバスドラを誘導するように橋の上へ。
ミューズが再び橋の外へと向かうのを追うバリトンと、
橋の上から飛び掛かったバスドラは、策にはまって顔面からぶつかりました。

そしてリズムも逃げるだけではありません。
ネガトーンが投げるボールを、振り向き様に華麗にボレーシュート!
『気合のレシピ、見せてあげるわ!』
続けてネガトーンを上空へ蹴り上げ、そこにリズムが続きます。
『ここで決めなきゃ女がすたる!』
そのままネガトーンをオーバーヘッドキック!
ネガトーンはバスドラとバリトンに直撃し、そのままゴールへ入りました。
そのままスイートセッションアンサンブル・クレッシェンドでネガトーン撃退。
そして音符はファルセットの隙を突いてミューズが奪い返し、
再びフェアリートーン達の中は大量の音符で満たされて行きます。
『まあいい。次に会うときまで、音符はお前達に預けておいてやる!』
バスドラとバリトンに負け惜しみと突っ込まれながら、
ファルセットは苦々しく引き上げて行きました。

チームワークがもたらした勝利、それもただの勝利じゃなく大勝利を喜び、
ハイタッチを交わすメロディとリズム。
そしてビートに促され、ミューズも遠慮がちに手を合わせました。
陽は西に傾き、間もなく夕暮れ時を迎えようとしています。

フェアリートーン達はもう音符を無くさないよう防災頭巾を被り、
何かあればけたたましくベルの音を鳴らして知らせる体制を整えています。
万全の守りに安心した響は夕飯の支度のために部屋を後にし、
後に残されたフェアリートーン達は、訓練のために反復横跳びを始めます。
ところが、その光景を、窓の外から人知れずピーちゃんが見つめていました。
その目はさながら、獲物を狙う猛禽類のものです。
ピーちゃんの瞳が怪しく輝く、と同時に音吉さんはノイズの気配を感じ取り、
音符はフェアリートーン達も知らぬまま抽出されて行きました。
ぞっとするほど恐ろしいピーちゃんの鳴き声と共に、虚空へと消え去る音符。
未だ異変に気付かず、反復横跳びを続けるフェアリートーン達が
続けてジャンプの練習を始めようとする声を背に受け、
ピーちゃんは燃えるような晩秋の夕陽に向かって飛び発ちました。
けたたましいベルの音を耳にして駆け付けた響は
フェアリートーンから音符がまた無くなった事という報告を聴きます。
『ニャんですとーー!!!』
愕然とするハミィの声に驚くように飛び立つ小鳥達。
小鳥たちが飛び立った足元の茂みに身を潜めるピーちゃん。
その瞳は、赤く妖しい輝きを発しています。


まず今回は、充実したアクションパートが楽しめました。
やはりバスドラとバリトンを怪物化したのは、彼らを戦わせるためだと思わせます。
前回に比べて圧倒的に強くなっている事や、
前回が弱すぎたのかもしれませんが)
身体が大きくなっている等の突っ込みどころはありますが、
それでもネガトーンだけでなく彼らが加わった事によって、
アクションの幅が広がった事を評価したいです。
そのアクションも、相手の動きを逆手にとって自滅させるという流れからは
フレッシュに於いてイース様達が初参戦した14話を思わせます。
この時もナケワメーケだけでなく、イース様達も戦えるという展開が活きましたし、
個々の持ち味や弱点を補いながらチームワークで戦うという点でも共通します。

そんな中、スイートならではと言えるのは響の助っ人設定が活きている事です。
サッカーの試合で得た経験を重ね合わせての、
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という
メビウス様の、ベルゼイの、安西先生の台詞を思わせる展開。
ベタといえばベタですが、この明快さこそがプリキュアらしく
簡潔にメッセージが伝わる良い展開だと思いました。
サッカーを活用したアクションも見応えがあり、
メロディのオーバーヘッドキックもカッコいいですが、
その前のリズムのボレーシュートのカッコいい事!
一応「たおやか」な彼女からは想像しづらいアクションだったので、
意外性と共に楽しめました。

細かい所で思わずニヤリとさせられる台詞回しや、構成の妙も目を惹きます。
まず奏は、「響は朝までぐっすり眠っている」と知っている事からは、
なんでそんな事を知ってるのか、まさか・・・といった妙な想像力が働き(苦笑)
その響の寝姿の色っぽもたまりません。
「両刃の剣」の意味が解らなかった時の変顔も可愛く、
すかさずことわざ辞典でフォローするエレンも、
これまでの本で妙な知識を得続けるという描写が活きています。
そしてアコが黒ミューズだった頃の身長問題の答えというべき
「シークレットブーツ」。あれを持ち歩いているのかという突っ込みはさておき、
至極簡潔に、それでいて納得の行く答えを提示した様は見事でした。
それに続く「負けず嫌いのアコ」描写と共に、
4人の個性が際立って描かれていたと思います。

さて、本題とも言うべき「ピーちゃん」について。
今回は音符が消えた理由は最後まで明らかにされませんでした。
本編でもまるで響たちを監視するように随所に現れるピーちゃんが
何らかの鍵を握っていると視聴者に印象づけるように、
不気味な存在感を発揮しています。
冒頭や本編中で、小鳥を威嚇するように追い払うような素振りといい、
戦闘中も不自然に橋の上から見下ろしていたりと、
観ているだけで不信感を抱くような行動の数々。
それを爽快なアクションシーンや、
フェアリートーンの愛らしい防災頭巾姿で忘れかけた頃に、
不意打ちのように描かれるラストシーンの恐ろしさ。
音符が抽出される場面のスローモーション演出もさることながら、
直後のピーちゃんの鳴き声は実におぞましく、
鳴き声だけでこれほど戦慄させる中尾さんの名演は流石です。
さらにこの場面、音符を「奪い取る」のではなく「消している」ように見えるのが
恐ろしさに拍車をかけています。
「奪う」ではなく「消す」。これだけでマイナーランド陣営など足元に及ばぬ程に見えました。
そして、ファルセットの楽譜からも実は音符が消えているのではないかと思います。
そもそもノイズは音を消す事が目的ですので、
そうなるとノイズのために音符を集めているファルセット達の行いは、
実は全くノイズの意志とは異なっており、
単なるピエロを演じさせられているのかもしれません。
それに気づいてプリキュア陣営と手を結ぶ、あるいは対話するような形で、
トリオ・ザ・マイナーに救いがあればいいのですが・・・

ヒーリングチェストの「ミ」と「ファ」の間に黒鍵があったりと、
少々気になる点も見受けられました。
それでも単なる日常回と思いきや終盤に向けて緊張感が一気に高まり、
気になる次回予告とともに終盤の展開に期待を抱かせる一編と評価したいです。
尤も、このまま高まる緊張感によって
響達の日常が見られないかもしれないのは少々残念な気もしますが・・・

(おまけ)
パリの街角で見つけた妙なものを貼っておきます。
DSCF0387.jpg
ピーちゃん、その姿は一体(笑)
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横浜学園都市部

こんにちは。この名前でプリキュア達がバラエティ番組に参加する二次創作小説を担当している人です。

今回は、成田さんが脚本で、作画が上野さんが担当をしたこともあり、最高のエピソードに成っているのがポイントで、「絶対に諦めない」信念をサッカーを交えた事で、バトルの迫力が有りましたね。

しかし、エレンが加入して以降、成田さんが脚本をやった回は必ずフェアリートーンから音符が無くなる傾向が有りますね。

奏は、成田さんや伊藤さんが脚本をやっていた回は基本的にアクションやキャラの良さが出ていることが比較的に多かったので、奏が大好きな自分には、至高の一言に尽きます(この事は、15話の感想でも書いています)。

来週は、ハンカチ必須の回に必ず登場する米村さんの出番です。楽しみですね。

余談(大久保さんについて):折角なので、この場を借りてアコ役の大久保さんについてを補足したいと思います(wikiやネットラジオを見ていたら、無視して構いません)。

最年少プリキュアであるミューズに変身するアコを演じた大久保瑠美さんは、平成元年9月生まれで、生粋の平成生まれのプリキュア第1号です。彼女は、大物声優が多い中で、シードを獲得して選ばれておる去年デビューの女性声優で、『セーラームーン』や『プリキュアシリーズ』を見てきた彼女は、この大抜擢を嬉しく思うと同時に、キャリアが薄い自分がこんな大役を任されて良いのかと不安に思っていたそうです(後に共演者やスタッフに励まされて問題は解決)。

彼女は、ミューズが仮面時代の時でも、たとえアコとしての出番はなくても、今後の役作りのためにミューズとしての出番がある話の収録を見学し、動くミューズを見て勉強していた。

更に大久保さんは黄色いプリキュアが大好きであった為、自身が黄色い戦士であった事を大変喜んでいたそうです。

先週の感想で、霞むといったのは、キャリア的な意味合いで言いました。

ちなみに、今月のアニメ雑誌「アニメージュ」11月号では、キャラデザ高橋さんがミューズ&アコのピンナップが出ているそうなので、見てみた方が良いですよ。(ピンナップに関しては、24話の感想にも書いてありますので、読んでみて下さい)


by 横浜学園都市部 (2011-11-21 10:03) 

スティクス

>横浜学園都市部さん
素早いコメント、いつも本当にありがとうございます。
横浜学園都市部さんの二次創作も、近いうちに拝見させて頂きます。

私も今回のバトル展開、楽しませてもらいました。
プリキュアでサッカーといえば、りんちゃんがハメられた「5deチャンス前編」
が真っ先に思い浮かんでしまいますが、正統派サッカーっぽいのは
ひょっとして初めてかもしれませんね。
初代~MHのラクロス、SSのソフトボールのように、
再び体育会系部活動の青春展開も観て見たくなりました。

成田氏の脚本は奏が活躍する、というよりも、
等しく各キャラクターの見せ場を作って魅せる事が上手いと思います。
さすがこれまでのシリーズにも深く関わっていらっしゃるだけに、
プリキュアを良く知っている方だからこその完成度といった感じですね。

私は大久保さんの事を全く存じ上げなかったのですが、
平成生まれと知って驚いた記憶があります。
これまで5開始当時の伊瀬さんの若さにも、
フレッシュ開始時の喜多村さんの若さにも、
しかもみなさんの演技の見事さにも驚かされてきました。
そしてミューズの役作りの話も初めて知りました。
勉強熱心で役に対する真摯な姿勢、今後が楽しみな逸材ですね。
その仕事に対する向き合い方は、私も見習いたいものです。
by スティクス (2011-11-21 23:11) 

龍

こんばんは。ついに最終章に向けて物語が動き出しました。今回は音符集めが主体でしたが、キャラクターそれぞれの個性がよく出ていましたね。まさか黒ミューズのシークレットブーツを公式で出してくるとは思いませんでしたが。あの竹馬はこの伏線だったんですね。それによく見ると黒ミューズの手、メロディ達と比べて少しだけ短いんですよ(キャラクター紹介ページで比較)。作画は映画「ハートキャッチプリキュア」でキャラクターデザイン・作画監督を務めた上野ケンさん。30話と同じく個性的な画でしたが、デフォルメを中心になかなか可愛らしいものが多かったですね。特に、「諸刃の剣」が分からないところの響と、「高いところは任せて」と言われてむくれるアコが(笑)。

そして何といっても、ノイズの化身であることが確実なピーちゃん。音符を消滅させた時の姿は、フクロウの狩りを思わせるものがありました。猛禽類の中でも、フクロウはとても愛らしい姿をしていますが、狩りの時の姿はまさにハンター、静かに獲物に狙いを定め、素早く仕留める感じです。やはり中尾さんは名優ですね。あの鳴き声を思い出すだけで戦慄が…。

ところで、このシーンはしかし、マイナーランドの意義、とりわけノイズとトリオとの関係について深く考えさせられることでもありました。ノイズの目的が「音楽の消滅」であることは、音吉さんやクレッシェンドトーンの発言からもわかりますが、憎むべき存在であるはずの音楽「不幸のメロディ」を自分自身の復活に利用するという矛盾があり、それにプリキュア側もトリオも全く気付いていないからです。ノイズ自身は嘆き悲しみの集合体ですから、力を蓄えるだけなら、今までのようにネガトーンを使って不幸のエネルギーを集めればいいわけです。しかも、以前ファルセットが歌った未完成の「不幸のメロディ」によって、封印は解け(復活し)ています。これはあくまでも私の仮説ですが、復活のために「不幸のメロディ」を完成させるというのは、ファルセットに対する建前で、彼(とバスドラ、バリトン)を利用して音符を一か所にまとめ、一気に消滅させる算段なのではないでしょうか。

現在のトリオの関係は、プリキュアとは似ても似つかないものであるとはいえ、心の絆がないとはいえません。バスドラがバリトンに温情的な一面を見せたのがその象徴ですし、今回もなんだかんだで一緒にバカやったりと、行動を共にしています。「ガキ大将とその取り巻き」みたいな、一見すると微笑ましいものにも見えます。そう考えると、メフィストに「もう用済みだ」と言い放ったファルセットですら、ノイズにとってはただの道具に過ぎないことが見えてきます。

深い心の絆で繋がっているプリキュア4人、なんだかんだでいつも一緒のトリオと比べると、ピーちゃん(ノイズ)は部下であるトリオ(もっと言えば腹心であるはずのファルセット)にすら本心を明かさず、他者とも関わりを持とうとしない点で対極的です。でもそれは、実はそうなるしかなかった、彼らや世界から距離を置くことしかできなかった「心」であるかもしれません。心を操って音楽(=人々の関係)を壊すノイズは確かに強大な敵ですが、相手に「心」がある限り、決して分かり合えない相手ではないと思います。残り2カ月、果たして「悲しみの国」マイナーランドに、救いの手は差し伸べられるのでしょうか?
by 龍 (2011-11-22 21:54) 

スティクス

>龍さん
おっしゃる通り、キャラクターの個性という点では
抜きんでて楽しめる話でしたね。
黒ミューズの手が短い、というのは見過ごしていました。
注意して再見してみたいと思います。
デフォルメ作画とそうでない作画のメリハリも良かったですね。

ピーちゃんの鳴き声は本当に恐ろしく、
そしていつ普通に喋り出すか、その時どんな台詞を吐くのか、
といった期待も抱きます。
ピーちゃんの目を盗んで音符を全部集め、
それに気づいたピーちゃんが「やってくれましたね、みなさん・・・」
とかだったりして(笑)

ノイズとトリオ達の目的が合致していないのは私も今回感じました。
皆を利用して音符を一気に集めて消滅、という考察も
一理ありそうな気がします。そして龍さんも危惧されているとおり、
その後用済み扱いされなければいいのですが・・・
何だかんだで彼らの関係は微笑ましく、
当初は没個性のように思われたのが嘘のようで、
これだけ愛されるキャラクターになった事も評価したいです。

最後に言及されていらっしゃる、ノイズの心について。
プリキュア達と対比するとこんな風に見えるのかと参考になりました。
確かに「関わりを持たない」点に於いては作中の誰とも異なりますね。
果たして分かり合うのか、それとも・・・
いずれにせよ、どのように締めくくるのか
お手並みを拝見させて頂きたいものです。
by スティクス (2011-11-23 09:06) 

龍

ピーちゃんの声優を務める中尾隆聖さんについて。といっても、知らない人の方が少ないでしょうし、今までシリーズに出演していなかったのが不思議なくらいですが。
ちなみに、「スイート」で共演する園部啓一さん(音吉役)、大久保瑠美さん(アコ役)、豊口めぐみさん(エレン役)は事務所の後輩にあたります。
また、西原久美子さん(クレッシェンドトーン役)とは、かつて「デジモン」で同じキャラの天使形態(西原さん)と悪魔形態(中尾さん)をそれぞれ担当した経緯があり、一部でネタにされています。

フリーザやばいきんまんなど、悪役を演じることが多いですが、気弱な人物や女たらしな三枚目、キザな二枚目とレパートリーは様々です。
一番好きなのは、「欠点の多い人物を演じること」だそうで、理由は「そのほうが自分にとっての役作りになるから」なのだとか。

フリーザについては、「見た目の品は良いが、高飛車で鼻持ちならない(時代劇の)公家」をイメージして演じたらしく、共演者から「本当に悔しくなる程憎かった。(演じている)中尾さんまで憎たらしく見えてくる」と思わせるほどだったそうです。
ちなみに、フリーザの4形態はそれぞれ一人称や口調が異なるのですが、中尾さんはさらに声質まで微妙に変化させて演じ分けているので、比較してみると面白いかもしれません。

ばいきんまんのダミ声は、当時「おかあさんといっしょ」にも出演していた中尾さんが、「同じ子供番組で、主役と悪役を同じ声にすると、子供が混乱する」という配慮から生みだしたものだそうです。
ただ、本人によれば「アンパンマンはそれほど長く続かないと思ったので、遊び半分から出した作り声」らしく、まさかばいきんまんを象徴するものにまでなるとは夢にも思わなかったようで…。
ダミ声を多用すると咽喉に相当な負担がかかるため、現在まであのダミ声の維持に苦労しているそうです。(長編などの収録では滝のように汗を流して演技しているらしく、顔も苦痛に歪んでそれはそれは壮絶な姿だとか…)

まだ「スイート」では出番が少ないですが、あの鳴き声だけでかなり存在感があると思います。本格的に動き始めたノイズの、今後の動きに注目しましょう。
by 龍 (2011-11-23 18:46) 

龍

1ヶ月ぶりにこの話を見返してみました。注目したのは、ノイズとファルセットの目的の食い違いについてです。

この話が放映された時点では、音符をノイズが消滅させているように見えたため、ファルセットと目的が食い違っているような感じがしましたが、次話でそれが否定されました。ところが、43話でファルセットが「悲鳴こそ最高の音楽」という場面があり、改めて2人の目的が全く違うという結論に達したわけです。「音楽」を否定しているのはノイズであって、ファルセットではない。つまり、ノイズにいいように操られていたという点では、彼もまた同じというわけですね。

では、どうやってファルセットを呪縛から解き放つか。Merciさんも指摘しているように、本作では複数の並走した物語が次々に合流し、全体として拡張されてきました。「袖すりあうも他生の縁」、ハートキャッチでもほとんど面識のなかった人々との出会いがあって、それらが最後に全て繋がって物語が一気に拡張しましたが、それをさらにクローズアップした形ですね。昨年の映画でも、サラマンダーとプリキュアの接点としてオリヴィエがいましたから、今作のテーマの原点はハートキャッチにあるといえるでしょう。

最初は響と奏の2人だけだったのが、ハミィを通してエレン、奏太を通してアコ、フェアリートーン達を通してクレッシェンドトーン、音吉さん・アフロディテ・アコを通してメフィスト、メフィストを通してバスドラ・バリトンが加わりました。プリキュアだけでは物事に対する視野が狭いうえに、できることは限られてきますが、彼女達は決して4人だけではありません。この1年で培ってきた心の繋がりが、ファルセットやノイズにどんな影響を及ぼすのか。

今週放送の44話では、ついにノイズが真の姿を現します。果たしてその第一声はどんな台詞なんでしょうか。以前の追記コメント(このコメントのすぐ上)でもプロフィールを紹介していますが、いよいよ中尾隆聖さんが本領を発揮する時がきたわけです。楽しみですね。

さて、その前に私は旅に出ることになっています。年末休暇で実家に戻るだけなのですが、どうも空を飛ぶ乗り物は…(苦笑)。なので、寝台列車を使います。実は私、国鉄職員だった祖父の影響で列車好きなんですね。
意外な事に、寝台列車では乗客同士の会話が多いんですよ、特に寝台で相部屋になった人と。何とも表現しがたいというか、温かい気持ちになれる列車なんです…。最近は本数が減っているので、今のうちに楽しんでおこうと思います。どんな出会いが待っているのかな。
by 龍 (2011-12-22 21:30) 

スティクス

>龍さん
私も当初はノイズが音符を消したと理解していたため、
今見返すと少し印象が変わって来ますね。
ご指摘されていらっしゃるファルセットの発言との兼ね合いなど
目的が違う→共通?と思わせて実は異なっている点が興味深いです。

袖擦り合うも多少の縁。いいフレーズですよね。
ハートキャッチ劇場版を観たものとしては忘れられません。
その精神は確かに今作でも描かれており、
なにより響達のみならず、みんなで関わって行くような展開が良いです。
音楽、特にオーケストラなどは一人では成り立ちませんので、
こうした意味でも「組曲」を意味する「Suite」の意図が感じられます。

中尾さんの本領発揮も気になりますね。
そして前回のコメントへのレス漏れがあり、失礼いたしました。
私にとってはフリーザ様のインパクトが強い方ですが、
ばいきんまんやぽろり、そして洋画吹き替えなどでも
見事な演技をされる方ですので、明日どんな敵として立ちはだかるのか、
今から楽しみです。

ところでモン・サン・ミッシェルへの道中記にも触れましたが、
私も結構「鉄」だったりします。
今走っている寝台といえば、北斗星かカシオペア、
あけぼの、サンライズといったところでしょうか。
私も10年ほど前の広島行きで「あさかぜ」、弘前行きで「あけぼの」、
そして5年前の大阪行きに「銀河」を選んだりと
寝台は好きだったのですが、時代の流れは残念です。
確かに翌朝の寝台内での会話は楽しいですよね。
飛行機や新幹線で隣になった人とはこうはいかないもので、
同じ旅の道連れ感が強いのが寝台列車の魅力と言えそうです。
ご実家への道中、くれぐれもお気を付け下さい。
by スティクス (2011-12-24 21:33) 

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