小鳥のさえずりと共に、今日も爽やかな朝がやって来ました。
いつものようにフェアリートーン達の目覚ましで、すっきりと目を覚ますハミィ。
まだ目覚めない響を、今日は休みだと気遣ってゆっくり朝寝坊させてあげますが、
フェアリートーンを覗き込んだ際に目を疑いました。
何度覗き込んでも音符が無く、ハミィのけたたましい叫びが北条家に響き渡ります。
そして前言撤回、文字通り響を叩き起こし、この一大事を告げました。
未だ寝ぼけ眼で二度寝しようとした響も、
事の次第に気づいてけたたましく目覚めました。
取り急ぎ、ラッキースプーンのテラスで、事の次第をみんなに報告。
音符がどこに消えたのかはフェアリートーン達にもわからず、
いくら響が朝までぐっすり眠っていたとはいえ、
寝ている間にマイナー達に取られてしまうとは考えにくいです。
責任を感じて謝るフェアリートーン達ですが、
彼らが頑張ってくれている事を理解しているアコは責めるような事は言いません。
しかしハミィは心配でたまらず、食欲が出ないと言いながら
十分な量のカップケーキを平らげ、絶体絶命だと慌て回りました。
『諦めたら負け決定だよ!』
そんな空気を一掃するように、テーブルを叩いて立ち上がる響。
先日のサッカーの試合の際、劣勢に追い込まれてもチームのみんなと
諦めずにがんばったら最後の最後で大逆転できた経験を語り、
音符はまた探して諦めれば良いと、張り切って虫捕り網を手にします。
響のおかげで空気は変わり、
みんなで音符を集めようと拳を振り上げて一致団結しました。
一方マイナーランドでは・・・
ファルセットは楽譜をめくりながらご機嫌斜め。
さながら数週間前までのメフィストのようです。
鏡に映る自分の姿を嘆くバリトン、呑気に爪を削るバスドラを一喝し、
音符集めを命じるファルセット。プリキュア陣営より音符を集めているとはいえ、
伝説の楽譜の後半部分はまだ真っ白、楽譜を埋め尽くすまでは行きません。
ノイズ復活のため、一刻も早く音符を集めると力が入ります。
音吉さんに相談すべく、調べの館を訪ねる響達。
音吉さんもクレッシェンドトーンも、ノイズの仕業ではないかという考えで一致します。
両者いずれもも時折ノイズの気配を感じるものの、
どこに居るのかまでは突き止められません。
それでも響は、ノイズ復活の前に幸せのメロディを完成させれば良いとポジティブに捉え、
奏は
以前音吉さんがオルガンを弾いた時、加音町で音符が活発に動いた事例を出して、
音吉さんに再びオルガンを弾いて欲しいと頼みました。
しかし音符が見つけやすくなるというのはマイナー達にとっても同じ事。
それは両刃の剣であり、不幸のメロディの完成を早めてしまうかもしれない
リスクが伴いますが、4人はそれでも構わないと音吉さんに頭を下げて頼み込みます。
その真剣さを見て、音吉さんもオルガンを弾く決心を固めました。
しかし、演奏が始まる直前、なぜかピーちゃんが何処かに飛び去ります。
音吉さんの奏でる荘厳な音色が加音町に響き渡ると共に、
無数の音符が活動を始め、エレンとアコは目を見張ります。
音符が見えない響と奏は実感が沸かず、
ハミィに音符を見えるようにしてもらって、初めてたくさんの音符を目の当たりにし、
早速音符集めに繰り出しました。
同じ頃、マイナー達も海岸で音符集めをしていますが、
ファルセットは回収率が悪い事をぼやいています。
それもその筈、バスドラとバリトンは1つの音符の手柄を巡って
低レベルな争いを繰り広げており、こんな調子では集まるものも集まりません。
その矢先、突然辺り一面から音符が顔を出し始め、
ファルセットは
前にもこんな事があったと思いだしながら大量の音符を瓶に詰めました。
そして大量ゲットのチャンスだと、一人であの自転車?に乗って飛び去るファルセット。
自転車に乗せてもらえなくなった2人が、その後を走って追いかけて行きます。
かつて猫だっただけに、軽やかに跳んで音符を集めるエレン。
アコもフェアリートーン達と一緒に音符を集めて行きますが、
背が低いために高い所の音符に手が届きません。
エレンに気を遣われて、アコは悔しそうに秘密兵器を取り出しました。
それは黒ミューズ時代の、底上げシークレットブーツ。
『高くても大丈夫だから!』
ブーツを履いてムキになり、高い所の音符を集める
可愛い可愛いアコ(笑)
響と奏も負けず嫌いなアコに負けじと虫捕り網を振るい、
カゴの中にはみるみる音符が集まって行きます。
だいぶ集めたものの、まだまだ音符は町内あちこちで踊っていました。
ピーちゃんの方へ飛んで行った音符を、ピーちゃんが羽ばたいてアコの方へ飛ばしたり
ささやかな協力?もあって音符集めは進んで行きます。
次に訪れた河川敷では、小学生達がサッカーの試合をしています。
そのボールに音符が潜んでいますが、響は子供たちがこの試合のために
練習を頑張って来たとだろうと察し、試合が終わるまで待つ事にしました。
しかしマイナーランド陣営は待ってはくれません。
フィールドにバスドラが乱入し、響達の背後にはファルセットとバリトンが現れました。
ファルセットはカゴの中の音符に目をつけ、奪い取るべくサッカーボールをネガトーン化。
たちまち両チームの子供たちは悲しみの音波に泣き崩れ、
頑張っている子たちを悲しませた行為に憤り、4人同時に変身します。
ネガトーンだけでなく、バスドラとバリトンも共に襲いかかってくる状況に
開戦早々苦戦を強いられるプリキュア達。
マイナーの2人に至っては
前回の弱さはどこへやら、
バスドラはメロディを庇ったビートのバリアを簡単に粉砕して2人を投げ飛ばし、
バリトンはリズムとミューズの猛打を『スローすぎてあくびがでるぜ』
(台詞はだいたいあってますが一部異なります)と避け続け、
お返しに北斗百烈拳、そして蹴りを叩き込む等、かなりの強さを見せつけます。
その間にファルセットもハミィからあっさりと音符を奪い取り、
ハミィを軽く一蹴して音符を瓶に収めて勝利宣言しました。
『お前達の負け決定だよ!』
しかし4人のプリキュアは円陣を組み、何やら作戦会議をしています。
『戦いは終わってない。これからだよ。ファイト!』『オー!』
手を合わせ、そして気合を入れる4人目がけて再びネガトーンが突っ込んできました。
それを文字通り四方に散って避ける4人。
ネガトーンはリズムの後を追い、バリトンはミューズを追い続けます。
ビートバリアを張るビートに、何度やっても無駄だと拳を振るうバスドラ。
その足元がお留守になったところを、背後からメロディがかかとを蹴りました。
ミューズを追って橋の下へ来たバリトンも、
駆け込んでくるリズムを追ってネガトーンが放ったボールが巻き起こす砂煙にたじろぎ、
その間にビートはバスドラを誘導するように橋の上へ。
ミューズが再び橋の外へと向かうのを追うバリトンと、
橋の上から飛び掛かったバスドラは、策にはまって顔面からぶつかりました。
そしてリズムも逃げるだけではありません。
ネガトーンが投げるボールを、振り向き様に華麗にボレーシュート!
『気合のレシピ、見せてあげるわ!』
続けてネガトーンを上空へ蹴り上げ、そこにリズムが続きます。
『ここで決めなきゃ女がすたる!』
そのままネガトーンをオーバーヘッドキック!
ネガトーンはバスドラとバリトンに直撃し、そのままゴールへ入りました。
そのままスイートセッションアンサンブル・クレッシェンドでネガトーン撃退。
そして音符はファルセットの隙を突いてミューズが奪い返し、
再びフェアリートーン達の中は大量の音符で満たされて行きます。
『まあいい。次に会うときまで、音符はお前達に預けておいてやる!』
バスドラとバリトンに負け惜しみと突っ込まれながら、
ファルセットは苦々しく引き上げて行きました。
チームワークがもたらした勝利、それもただの勝利じゃなく大勝利を喜び、
ハイタッチを交わすメロディとリズム。
そしてビートに促され、ミューズも遠慮がちに手を合わせました。
陽は西に傾き、間もなく夕暮れ時を迎えようとしています。
フェアリートーン達はもう音符を無くさないよう防災頭巾を被り、
何かあればけたたましくベルの音を鳴らして知らせる体制を整えています。
万全の守りに安心した響は夕飯の支度のために部屋を後にし、
後に残されたフェアリートーン達は、訓練のために反復横跳びを始めます。
ところが、その光景を、窓の外から人知れずピーちゃんが見つめていました。
その目はさながら、獲物を狙う猛禽類のものです。
ピーちゃんの瞳が怪しく輝く、と同時に音吉さんはノイズの気配を感じ取り、
音符はフェアリートーン達も知らぬまま抽出されて行きました。
ぞっとするほど恐ろしいピーちゃんの鳴き声と共に、虚空へと消え去る音符。
未だ異変に気付かず、反復横跳びを続けるフェアリートーン達が
続けてジャンプの練習を始めようとする声を背に受け、
ピーちゃんは燃えるような晩秋の夕陽に向かって飛び発ちました。
けたたましいベルの音を耳にして駆け付けた響は
フェアリートーンから音符がまた無くなった事という報告を聴きます。
『ニャんですとーー!!!』
愕然とするハミィの声に驚くように飛び立つ小鳥達。
小鳥たちが飛び立った足元の茂みに身を潜めるピーちゃん。
その瞳は、赤く妖しい輝きを発しています。
まず今回は、充実したアクションパートが楽しめました。
やはりバスドラとバリトンを怪物化したのは、彼らを戦わせるためだと思わせます。
前回に比べて圧倒的に強くなっている事や、
(
前回が弱すぎたのかもしれませんが)
身体が大きくなっている等の突っ込みどころはありますが、
それでもネガトーンだけでなく彼らが加わった事によって、
アクションの幅が広がった事を評価したいです。
そのアクションも、相手の動きを逆手にとって自滅させるという流れからは
フレッシュに於いてイース様達が初参戦した14話を思わせます。
この時もナケワメーケだけでなく、イース様達も戦えるという展開が活きましたし、
個々の持ち味や弱点を補いながらチームワークで戦うという点でも共通します。
そんな中、スイートならではと言えるのは響の助っ人設定が活きている事です。
サッカーの試合で得た経験を重ね合わせての、
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という
メビウス様の、ベルゼイの、安西先生の台詞を思わせる展開。
ベタといえばベタですが、この明快さこそがプリキュアらしく
簡潔にメッセージが伝わる良い展開だと思いました。
サッカーを活用したアクションも見応えがあり、
メロディのオーバーヘッドキックもカッコいいですが、
その前のリズムのボレーシュートのカッコいい事!
一応「たおやか」な彼女からは想像しづらいアクションだったので、
意外性と共に楽しめました。
細かい所で思わずニヤリとさせられる台詞回しや、構成の妙も目を惹きます。
まず奏は、「響は朝までぐっすり眠っている」と知っている事からは、
なんでそんな事を知ってるのか、まさか・・・といった妙な想像力が働き(苦笑)
その響の寝姿の色っぽもたまりません。
「両刃の剣」の意味が解らなかった時の変顔も可愛く、
すかさずことわざ辞典でフォローするエレンも、
これまでの本で妙な知識を得続けるという描写が活きています。
そしてアコが黒ミューズだった頃の身長問題の答えというべき
「シークレットブーツ」。あれを持ち歩いているのかという突っ込みはさておき、
至極簡潔に、それでいて納得の行く答えを提示した様は見事でした。
それに続く「負けず嫌いのアコ」描写と共に、
4人の個性が際立って描かれていたと思います。
さて、本題とも言うべき「ピーちゃん」について。
今回は音符が消えた理由は最後まで明らかにされませんでした。
本編でもまるで響たちを監視するように随所に現れるピーちゃんが
何らかの鍵を握っていると視聴者に印象づけるように、
不気味な存在感を発揮しています。
冒頭や本編中で、小鳥を威嚇するように追い払うような素振りといい、
戦闘中も不自然に橋の上から見下ろしていたりと、
観ているだけで不信感を抱くような行動の数々。
それを爽快なアクションシーンや、
フェアリートーンの愛らしい防災頭巾姿で忘れかけた頃に、
不意打ちのように描かれるラストシーンの恐ろしさ。
音符が抽出される場面のスローモーション演出もさることながら、
直後のピーちゃんの鳴き声は実におぞましく、
鳴き声だけでこれほど戦慄させる中尾さんの名演は流石です。
さらにこの場面、音符を「奪い取る」のではなく「消している」ように見えるのが
恐ろしさに拍車をかけています。
「奪う」ではなく「消す」。これだけでマイナーランド陣営など足元に及ばぬ程に見えました。
そして、ファルセットの楽譜からも実は音符が消えているのではないかと思います。
そもそもノイズは音を消す事が目的ですので、
そうなるとノイズのために音符を集めているファルセット達の行いは、
実は全くノイズの意志とは異なっており、
単なるピエロを演じさせられているのかもしれません。
それに気づいてプリキュア陣営と手を結ぶ、あるいは対話するような形で、
トリオ・ザ・マイナーに救いがあればいいのですが・・・
ヒーリングチェストの「ミ」と「ファ」の間に黒鍵があったりと、
少々気になる点も見受けられました。
それでも単なる日常回と思いきや終盤に向けて緊張感が一気に高まり、
気になる次回予告とともに終盤の展開に期待を抱かせる一編と評価したいです。
尤も、このまま高まる緊張感によって
響達の日常が見られないかもしれないのは少々残念な気もしますが・・・
(おまけ)
パリの街角で見つけた妙なものを貼っておきます。
ピーちゃん、その姿は一体(笑)