昼休みのお弁当タイム。みゆきとあかねは屋上で、
スマイルパクトとキュアデコルの使用法についておさらいしています。
前回手に入れたバラのデコルをバラの花に変えて見せて、得意気のみゆき。
『あかね君。キュアデコルを手に入れるのがプリキュアの使命なのだよ』『たった1日先輩なだけで偉そうやなぁ・・・』そう、たった一日で二人はこんな軽口を言い合える間柄になっています。
全部で五人いるプリキュア探しに関しても、一緒に探そうと張り切っていると
屋上の隅に一心不乱に絵を描いているやよいの姿が目に留まりました。
その背後から覗き込んだ二人は、
良く書き込まれたアメコミ風の絵を観て感心し、思わず声を上げました。
『見ちゃダメぇえええ!』突然のことでびっくり、慌てて絵を隠すやよい
かわいいよやよい。
しかし二人に上手だと褒められて、少し自信がついたのでしょう。
こういう絵を描くのが好きなのだと打ち明けますが、
クラスのみんなに見せる程の自信はまだ持ち合わせていません。
『恥ずかしいよ・・・どうせからかわれるもん。2人とも、みんなには言わないでよね』やよいは念を押し、スケッチブックを手に屋上を後にしました。
一方バッドエンド王国には、鉄を打つ音が響いています。
『やっかましいわ!』(台詞は一部異なります)
プリキュアに煮え湯を飲まされて苛立っているウルフルンは、
金棒を鍛造している赤鬼、アカオーニに文句をつけます。
しかし逆に役立たずと見下され、手本を見せると出撃していくアカオーニを
苦々しく見送るしか出来ません。
クラス会では「クラス対抗美化週間ポスター」の描き手を募るものの、立候補者はありません。
推薦でもと促すれいかの声に、みゆきはやよいを推し、あかねもそれに追随します。
クラスメイト達からは意外そうなどよめきが上がりました。
推されたやよいも突然の事で困惑を隠せませんが、他に立候補者も対立候補もなく、
自信なさそうに、それでも僅かに微笑を浮かべて頷きました。
しかしやよいは他のクラスの担当者の実力を知るだけに及び腰です。
岡本太郎のオマージュの如き美術部のエース、蘇我くん。
少女マンガを描くのが得意なカリスマ、花咲つぼみさんもとい美川さん。
女子を美人に描く
タラシ野郎、王子隊の博尺先輩もとい成島くん。
やよいは泣き虫で自信が無く、本番に弱いと漏らし、早くも諦め気味です。
その反応を見たあかねは、やよいに推薦した事を謝り、断りに行こうとしますが、
みゆきは逆に、本当は描きたいのではないかと直感しました。
『黄瀬さん。私ね、本で読んだ事があるの。絵は心を映す鏡だって』確かにやよいはちょっぴり泣き虫。それでも優しくて思いやりがあるからこそ、
かっこいいヒーローの絵が描けるのだと指摘します。
結果はともかく、黄瀬さんがやってみたいのなら・・・
やよいの心は決まりました。そうと決まれば、二人とも協力を惜しみません。
全身攣りそうなポーズに引きつった笑顔でモデルを務めるみゆきの下に、
あかねが実家のお好み焼きを差し入れとして持って来ました。
二人の協力の下、絵を描くやよいの姿を、れいかは微笑を湛えてそっと見守ります。
帰宅後も、教室でも、やよいは絵筆を動かし続け、遂にポスターが完成しました。
「校内美化ヒーロー クリーンピースマン」
どことなく地方自治体のヒーローに見えなくもないですが(笑)
モップを手にしたヒーローはいい笑顔です。
『二人のおかげだよ。それに二人に言われてわかったの。私、色んな事から逃げてた。
本当はこのポスターも描きたいって思ってたのに、言い出せなくて・・・』『大丈夫。黄瀬さんは最後まで頑張ったじゃない』『そや!いまのやよい、めっちゃカッコええで!』偉業を称える二人の言葉に、やよいは涙を流して笑顔を作りました。
夕陽が三人を、街を優しく照らします。
ところが・・・友情の匂いを嗅ぎつけて、アカオーニが上空に姿を現しました。
結果発表の日。
みゆきとあかねが張り出されたポスターを見に行くと、やよいは既に来ていました。
結果は努力賞。手伝ってもらったのに金賞を逃してしまったと詫びるやよいを、
二人は努力賞だって凄いと評価しますが・・・
そこに蘇我くんとその取り巻きがやって来て、金賞を取った事を鼻にかけ、
やよいの作品を見下す暴言を吐きました。みゆきとあかねはあまりの物言いに反論するも、
当のやよいは自らポスターを剥がし、学校を飛び出してしまいました。
その姿をアカオーニに見咎められているとも知らずに・・・
『やっぱり、私の絵なんて・・・』人知れず嘆くやよいの前にアカオーニが現れ、
泣き虫、弱虫、果ては努力しても無駄と罵ります。
『そんな事解ってるよ。でも、絵を描くのが好きだったから・・・』絵を描く事そのものが好きだという、やよいの気持ちは変わりません。
しかしアカオーニが絵の具を握り潰して未来を塗りつぶし、
黄昏時と化す世界で、生徒達が次々と夢や希望を失い始めると、
やよいも同様、絵を描く事をやめようという気持ちになりました。
ピエーロ復活を告げる時計の針が「3」へと進みます。
駆け付けたみゆきとあかねに、金棒を振るうアカオーニ。
暴風が巻き起こり、やよいの手から飛んだポスターが、アカオーニの顔にまとわりつきます。
それをクシャクシャに丸めるアカオーニに憤る二人。
ポスターに描かれたクリーンピースマンはアカンベェと化し、
みゆきとあかねは共に変身して立ち向かいます。
初対面となるアカオーニの力か、はたまたやよいの描いたヒーローの力か、
モップを振り回すアカンベェは強く、苦戦を強いられます。
状況を打開すべく、早速気合を込めてハッピーシャワーを放ちますが、
なんということでしょう(笑)。
先週に続けて技は命中せず、
渾身の一撃をかわされて、ハッピーは早くもバテバテです。
続いてサニーはサニーファイヤーを放つものの、
今度は十分に力を溜めなかったため、直撃したのに全く効いていません。
もう技は出せない二人を、モップとチリトリを振りかざしたアカンベェの一撃が襲います。
『弱い奴がいくら努力したって無駄オニ』
それでも二人は諦めません。ハッピーはアカオーニに力強く反論します。
『無駄かどうか、私にはまだわかんないけど、
一生懸命描いた黄瀬さんの努力をバカにするのは、許せない!』その言葉を聞いたやよいは、無気力状態から解放されました。
しかし目の前に広がる異様な光景を前に、やよいは戸惑いの声を上げました。
そしてハッピーの声を聞いて、その正体はみゆきなのだと判断します。
『その声。もしかして星空さん?』『それは秘密なの』『だからそんなん言うたらバレバレやろ!』そんな突っ込みをしたらあなたもバレバレやろ!というのはさておき、
アカンベェはやよいに狙いを定めて襲って来ました。
やよいを守るべく抗うハッピーとサニー。しかし技を放った事によって抗う力は既に無く、
容赦なく畳み掛けられる攻撃の数々に、追いつめられて行きました。
倒れた二人にとどめを刺すべく、アカンベェが迫ります。
『怖い、怖い、怖い・・・でも・・・』怯え、震え、逃げようとしたやよいは、二人が絵の手伝いをしてくれた事を思い出しました。
そして絵の完成を喜び、絵を貶す発言に怒り、先程も体を張って守ってくれた二人・・・
『二人は私の・・・私の大切な・・・』やよいは精一杯手を広げて、アカンベェの前に割って入りました。
『私は弱虫だけど、すぐ泣いちゃうけど、
二人は私が勇気を出すきっかけをくれた大切な友達だもん!
二人を傷つけるのだけは・・・許さないんだから!!』その時、光が弾けました。
突如現れたスマイルパクト、その説明をするキャンディに戸惑いながら、
良くわからないけどやってみると変身を始めるやよい。
変身を遂げた後の音まで「ポンッ♪」とは、
予想はしていましたが、何とかわいい変身バンクでしょう。
そしてやよいが姿を変えた新たなプリキュアが、満を持して名乗りを上げます。
『ぴかぴかピカリンじゃんけんポン♪キュアピース♪』その愛らしさはハッピーを虜にし、その口上はサニーの突っ込みを誘い(笑)
ピースは変身した自分の姿に戸惑うよりも、
本物のスーパーヒーローのようになれた事が嬉しそうです。
早速アカンベェを前に構えを取るピースの勇姿に、ハッピーもサニーも期待を抱きますが・・・
『嫌ぁあああああああああ!』なんということでしょう。アカンベェの怖さに圧されて、変身早々敵前逃亡とは・・・
泣きながら逃げ回る等、
ブロッサム先輩を上回る始末です。『そんな事言われたって、怖いんだもん!』逃げる内にピースは躓いて転んでしまい、そこにアカンベェが迫ります。
しかし涙目で怯えるピースが泣き声を上げると、電撃がアカンベェを襲いました。
これにはアカオーニも開いた口がふさがりません。
浄化の力は雷だというキャンディに言われるがまま、
ピースは戸惑いながら気合を込めて行き、そして・・・
『プリキュア!うわぁ!ピースサンダー!』技の途中で自ら起こした雷にビビりながら(笑)
アカンベェを撃退しました。生徒達も立ち直り、キュアデコルも無事入手します。
今日から黄瀬さんも、伝説の戦士プリキュアの仲間と言われて
やよいは目を輝かせて張り切りました。
『やる!だってずっと憧れてたんだもん!世界を守るスーパーヒーロー!』やよいが本当に欲しかったものは、勇気。そして・・・
『あの、星空さん。みゆきちゃんって呼んでもいい?』新たに名前で呼び合える友達が、もう一人増えました。
互いにやよいちゃん、みゆきちゃんと呼び合い、感極まったやよいの涙声が響きます。
『よろしぐ・・・みゆぎぢゃん・・・』『何で泣いとんねん!』『泣いてないもん・・・』いやはや、もう言う事はありません。と言ってしまっては何も書けませんので・・・(笑)
可愛い黄色の伝統に基づき、あざといと言われようとも、
とにかく可愛く魅せようという執念がビンビン伝わってきて終始ニヤニヤが止まりませんでした。
変身バンクは絵もさることながら音に至るまで、
そして視聴者の代わりにサニーが突っ込んでくれた独特すぎる口上といい、
プリキュアの黄色キャラに求めるものを見事に描いてくれたスタッフの皆様には感服します。
まさかの敵前逃亡や、自ら起こした雷にびっくりしてしまう等、
キュアピースの戦士としての実力は、現段階では未知数です。
だからこそ、これから先の成長物語にも期待が持てるのではないでしょうか。
その可愛さはED導入部に於いてもぬかりなく、
転んでしまうという斜め上を行く発想には脱帽するしかありません。
さらに打ち付けた鼻が赤くなっているなど、
細部までとことんこだわっている事には敬意を表します。
さて、やよいは泣き虫で自信が無く、引っ込み思案で弱虫だと
自他ともに言われていますが、果たしてそこまで弱い子だとは思えません。
大好きな事に関しては譲れないものを、彼女は持っています。
そして気のおける相手だからかもしれませんが、
あかねの突っ込みに対して涙目になりながらもきちんと反発出来る等、
怖がりのベールで包んだ心の奥底では、しっかりと揺るぎないものが感じられます。
みゆきは今回、「絵は心を映す鏡」という言葉を通してやよいの本心を見抜きました。
その言葉通り、やよいの描いたポスターのクリーンピースマンも、
脇に描かれたキャンディも良い笑顔をしています。
それにしてもクラス会の最中に、最前列で堂々と絵を描いているやよいは
私を推薦してくださいと言っているようなものですが・・・(笑)
案外本人は心のどこかで、そう思っていたのかもしれません。
やりたいけれど、立候補する勇気がなく
誰かに推薦してもらうのを待っていたと言う風にも見受けられます。
好きな物を胸を張って好きと言えないのは、私も同様です。
私の知人は、私がこれほどプリキュア好きとだいう事を知りませんし、
私も打ち明ける事は出来ません。
しかし、打ち明けたり人に評価される事をもって強さと同義ではないでしょう。
好きなものに向き合い、とことん追求するというのも、また一つの方向性だと思います。
他人の評価を気にしてしまうという点で、私はやよいの気持ちが良く分かります。
もっとも私はやよいのように強くはなれないのですが・・・
「努力賞」とは、どのように受け止める賞なのでしょうか。
思えば小説を書き続けてきたこまちも、
作中で最終的に得た評価は努力賞でした。それをさらなる研鑽の励みに変える事が出来たのは、
こまちが年間を通じて成長してきたからこそだと思います。
やよいにとってま今はまだ、物語が始まったばかりの状態ですので、
現実を見せつけられただけかもしれません。
しかし金賞を取ってしまえば、もう上はありません。
さらに上を目指せるという意味でも、今後のやよいの成長を示唆しているように思えました。
さて、絵は心を映す鏡という言葉は今回の展示作品にも良く現れていました。
金賞をとった蘇我君の作品は、よくありがちな啓蒙ポスターのようで
力作である事は分かりますが、歪んだ性根を表しているような禍々しさがありました。
女子を美人に描くという成島君の作品は、蓋を開けてみれば爽やかな内容のポスターで
彼の評判だけを聴くとタラシのようにも見えるのですが、
その内面は案外素直なのかもしれません。
蘇我君とその取り巻きのようなタイプの人間が描かれるのは、
プリキュアシリーズにおいては稀で、
昨年のディーバくらいしか思い当りません。守るべき人間であっても嫌な奴は当然いますし、
それは反面敵であっても好感を持てる者が多い事にも繋がります。
アカオーニはその初登場時に於いて、
美術部の連中同様にウルフルンを見下していましたが、
そのアカオーニが「友情の匂い」を嗅ぎつけているところが気になります。
友情を否定し、弱虫のものだと言い放つアカオーニ。
しかし「赤鬼」と「友情」と言えば「泣いた赤鬼」が容易に連想されます。
果たしてウルフルンとの関係や、ピエーロとの主従関係がどのようなものかは
今はまだ分かりません。しかし、鬼にとって悲しいながらも美しい友情関係が伺える
「ハッピーエンド」とも取れるこの作品がどこかで絡んできそうで気になりました。
もっとも、桃太郎の鬼のようにただ退治されてしまうだけの存在かもしれませんが・・・
それにしても落雷でビビるとは・・・NSでは
雷が苦手なピーチが大丈夫か心配です。
そしてNSといえば、ルミナスと対面したピースが妙な恐怖感を抱いたりして(笑)