もうすぐ修学旅行。やよいが描いたしおりの表紙に、みゆき達の歓声が上がります。
修学旅行の行先は、京都と大阪。
新幹線に乗ってみんなでワイワイガヤガヤ、食べ物が美味しいあかねの故郷も訪れて、
夜は秘密のガールズトーク(な、なんだってー!)、さらにお土産選びも欠かせません。
浮かれるみんなに、れいかは修学旅行とは「学」を「修」める旅だと釘を刺し、
おやつは500円までと念を押しました。
(今時は300円じゃないのですね。そしてバナナはおやつに入るのでしょうか)
修学旅行が何か知らないキャンディも興味津々、目を輝かせて楽しみにしていましたが・・・
直後、その喜びは暗転しました。
『お留守番よろしくね♪』キャンディの失望の叫びがこだまします。
その夜、呑気に修学旅行の夢を見ているみゆきと裏腹に、
キャンディは電話デコルを通じて、その寂しい心境をポップに打ち明けました。
修学旅行に行きたいと、まるでポルンのように駄々をこねるキャンディに、
ポップは改めて使命を言い聞かせて諭します。
しかしキャンディはまだ幼い子供、いつしか喚き疲れて寝入っていました。
一方バッドエンド王国では、
三幹部たちが相変わらずババ抜きで出番争いをしています。
一抜けのウルフルンが嬉々として出撃しようとした矢先、
トランプの山からジョーカーが姿を現しました。
慇懃な態度は変わらず、それでいておだてている訳でもないジョーカーの態度は、
三幹部に反抗心を抱かせるのも無理はありません。
ジョーカーはこれ見よがしに青い球「青っ鼻」を五個取り出します。
デコルを素材にしていないため、青っ鼻で生み出されたアカンベェには
プリキュアの技が効きません。しかし反面、パワーダウンするというデメリットもあります。
それでも使い方によっては効果的な青っ鼻を巡り、再び出番争いを始める三幹部達。
そんな彼らを見下すように部屋を後にしたジョーカーの口から、密かな目的が呟かれました。
どんな願いでも一つだけ叶うという、ミラクルジュエル。
それを密かに追い求めているという、ジョーカーの目的とは一体・・・?
自由行動での目的地を巡り、ホームルームでは色々な意見が飛び交っています。
大阪と言えばたこ焼きという意見が出ると、大阪出身のあかねは黙ってはいられません。
女子生徒にとってはショッピングもしたいですし、
天王寺動物園に行ってみたいというなお(
虫も少なからずいると思いますが・・・)、
なんばで行われる太陽マンショーに行きたいというやよい(まさか
出演は奏太じゃあるまいな)
絵本だけの本屋に行きたいと言うみゆきの意見も上がり、
それ以外にも大阪城、通天閣、万博記念公園・・・などなど、大阪の見どころは尽きません。
これだけ多数の意見が出ては一向に纏まらず、クラス委員のれいかも少し困惑気味です。
その様子をみゆきのカバンの中から伺っていたキャンディは、
見かねて教卓の上に飛び出して、そして・・・
『みんなれいかの言う事を聞くクルーーー!!!!!』
静まり返る教室。みんなの視線がれいかに集まります。
『・・・というのは、冗談ですクル~』なんとかその場はキャンディの口を塞ぎ教卓に隠して乗り切りました。
続いての班長決めに於いても、都度大声を上げるキャンディを必死に誤魔化す5人。
彼女達には、キャンディも仲間に入りたいという心の声はまだ届いていません。
そして下校の際にも、お菓子を買いに行こうとしたり、
しおりを作ろうと盛り上がっている5人は、誰もキャンディの内心に気付いていませんでした。
不思議図書館でのしおり作りも順調です。が、わざとではなくともキャンディは蚊帳の外。
何か手伝おうとキャンディが申し出た矢先、コップを倒してしまい、
せっかく作ったしおりがびしょ濡れになってしまいました。
思わず声を上げてしまうみゆき、そしてみんなでしおりを作り直そうと奮戦しますが・・・
『・・・キャンディは、悪くないクル』
そう呟いて一人出て行ってしまった事に、れいかを除いて誰も気づきません。
噴水のほとりでうつむくキャンディの元に、れいかがやって来ます。
『キャンディはれいかみたいにみんなに頼りにされてないし、失敗ばかりで駄目な妖精クル・・・』
れいかは先程のホームルームで助け船を出してくれた事を持ち出して、
そんな事は無いと諭しますが、キャンディは役に立っていないと
気に病んだまま行ってしまいました。一人屋根の上でしょんぼりとするキャンディ。
群れを離れた子羊の前に、狼が現れます。
『前から思ってたんだけど、お前ぜんぜんプリキュアの役に立ってないよなぁ』
ウルフルンの言葉が、キャンディの胸に突き刺さります。
すっかり調子に乗ったウルフルン、得意げに青っ鼻を取り出して、
ついうっかり手の内を明かしてしまいました。
『こいつで生み出したアカンベェにはプリキュアの技は効かねえんだよ。
無駄に技を撃たせて弱ったところを一気に!』
相変わらずご丁寧な狼さんの説明を聞いて、その事を知らせるべく逃げるキャンディ。
しかしあえなく捕まって、鳥かごの中へ捕らわれの身となりました。
そんな事とは露知らず、みゆき達は駄菓子屋でおやつ選びに興じていました。
たくさんのお菓子に目を輝かせ、知らず知らずキャンディに意見を求めるみゆき。
ここで初めてキャンディが居ないことに気づき、
その事についてれいかが切り出そうとした矢先、ウルフルンが現れました。
店頭のガチャガチャを青っ鼻を使ってアカンベェと化し、
白紙の未来を塗りつぶしてバッドエナジーを抽出し始めるウルフルンを前に、変身する5人。
青っ鼻の秘密を知らせようと、キャンディは懸命に鳥かごを揺すりますが、
既に戦いの火蓋は切って落とされています。
今回のアカンベェは手ごたえが無く、やや拍子抜け気味の5人。
早速カタをつけるべく、ハッピーは気合注入してハッピーシャワーを放ちますが、
青っ鼻アカンベェには効きません。
そっとほくそ笑みながら戦況を見守るウルフルン。(ここで口を滑らすかと思いましたが・・・(笑))
冷静にというビューティの声も空しく、サニーファイヤー、ピースサンダー、マーチシュートが
次々と畳み掛けられ、3発同時に命中したにもかかわらず、アカンベェはビクともしません。
ここでウルフルンは種明かしをします。(まだビューティが技を撃っていないのに(笑))
技が効かないと知って、思わずキャンディに尋ねてしまうハッピー。
しかし、いつも傍らにいたキャンディの姿はありません。
その間にもアカンベェが撃ち出すカプセルに、ビューティ以外の4人は捕らわれてしまい、
残ったビューティも懸命にカプセルを振り払いますが、一人では厳しく、息が上がり始めます。
その頃、キャンディも必死に鳥かごを揺すり続け、何とか脱出に成功しました。
ビューティはせめて動きを止めようと、ビューティブリザードをアカンベェの足目がけて放ち、
動きを封じる事には成功しましたが、これでもう技を撃つ事は出来ません。
力を使い果たしたプリキュア達。獲物を求める野獣の如く、ウルフルンの爪が光ります。
そこにキャンディが駆けつけました。
青い鼻のアカンベェには技が効かないという、とっておきの情報を持って来たのですが、
その情報は既に一足遅く、今更それを懸命に届けに来たキャンディを鼻で笑うウルフルン。
カプセルの中から、青っ鼻のアカンベェを倒す方法を尋ねるプリキュア達。
キャンディに皆の期待が集まりますが・・・キャンディはその答えを知りません。
『やっぱりお前は役立たずだな。おまけにマヌケで、足手まといだ。この役立たずめ!』
キャンディを嘲笑するウルフルンの声が響き渡り、今にも泣きだしそうなキャンディ。その時・・・
『お黙りなさい!!!!!』ビューティの毅然とした怒りの声が、こだましました。
『どんな時でもキャンディは私達のために一生懸命です。
仲間のために一生懸命になる。これ以上大切な事はありません!』どうしたら役立てるのか、仲間に入れるのかと、
ずっとキャンディが一人で気に病んでいた事を打ち明けるビューティの言葉に、
4人もその本心を知りました。
『そんな役立たずを庇って、一体何の得があるんだよ!?』
鼻で笑うウルフルンに、皆それぞれキャンディへの想いを吐露します。
『損とか得とかじゃない。私はキャンディと一緒にいるだけでウルトラハッピーになれるの』『明るくて元気なキャンディが、ウチは大好きなんや!』『一生懸命なキャンディの事を、悪く言わないで!』『キャンディがいて、初めて私たちは一つになれる。キャンディが居なきゃ始まらない』皆の言葉に感激の涙を漏らすキャンディ。そして・・・
『キャンディを傷つけるのは、絶対に』『許さない!!!!』
カプセルが、砕け散りました。
それだけでなく、プリキュアの力になりたいというキャンディの想いから
新しいデコルが5つ、5人の手の中にもたらされます。
デコルをセットすると、5人の頭上にはティアラがあしらわれ、
新たな技、プリキュア・レインボー・ヒーリングの七色の光によって、
青っ鼻アカンベェを浄化しました。
今の力はキャンディにも分かりません。しかし、誰も分からないことを責めたりなどしません。
今回、デコルは入手できませんでしたが、
それでも5人はパワーアップしたチームワークの勝利を噛みしめることが出来ました。
いや、5人ではありません。
『だって私達、6人でプリキュアだもんね!』6人目のプリキュアと呼ばれたキャンディの表情が、みるみる輝いて行きます。
そして、修学旅行へ一緒に行ける事が、その喜びに拍車をかけました。
浄化の光とキャンディに、ミラクルジュエルの手がかりを見て取ったジョーカーの存在を除けば・・・
今回は過去作の一場面を思わず連想する場面の数々が楽しめました。
まず修学旅行の「京都」という行き先からして、
マックスハートの前後編を思い起こしますし、
キャンディが夜中駄々をこねる様は、ポルンの駄々を見ているようです。
そしてホームルームでキャンディが叫んだ後、語尾に「~クル」をつけて誤魔化すれいかからは
同じく
語尾に「~ポポ」をつけて誤魔化したほのかを連想し、
さらには
「太陽マン」「絶対に許さない」など、記憶に新しいスイートからのネタも光ります。
旅行の前のみんなでお買い物も、
5での合宿前の買い出しを思わせ、
ファンサービスなのかそれとも偶然なのか、ともかく初代から見続けた者としては
わかる人には分かるものを散りばめてくれたようで嬉しいです。
そしてもう一つ、過去の一場面を思わせる要素として楽しいだけではないものもありました。
「キャンディは悪くないクル」「ミルクは悪くないミル」
これを持ち出してしまうと難しい事になってしまうのですが・・・
今回のキャンディと、あの時のミルクの違いと共通点について、両方考えさせられました。
ミルクのこの台詞は
プリキュア5の第23話、
プリキュアの歴史上強烈なインパクトを持つ、絶望のどん底に落とされる話です。
そして今回ハッピー達5人も、敗れてもおかしくない状況にまで追い込まれています。
問題提起をしてしまうとややこしくなりそうですが、
ミルクとキャンディの違いは、言い訳かそうでないかという事だと思います。
初登場時からこの
23話までのミルクについて、私は未だに苦手意識が捨てきれず、
辛い状況を一人で乗り越えて来たという事情を鑑みてひいき目に見ても、
なかなか好意的に捉える事が出来ないでいます。
それが私にとってはジレンマでもあるのですが・・・
一方、キャンディはどうだったか。今回キャンディがこの台詞を口にした時、
確かに不注意による過失でせっかく作ったしおりを濡らしてしまい、
それに対する言い訳のようにも見受けられます。
しかし、悪いのはキャンディだけなのか、果たしてみゆき達に非は無かったのか。
もちろん前述のミルクの際にも、その後の対応を巡っては5人全員、
そしてココとナッツにも責任があると私は書いています。
ミルクの時には事が起きてからの対応に、
今回は事が起きる前の対応に問題があるように思いました。
少しだけ気づいていたれいかを除いて、みんなキャンディの真意に気付いていません。
修学旅行を前にして浮かれていた状況を考えると、これを責めるのは酷ですが、
キャンディに留守番を言い渡した後も楽しげな素振りを見せるのは少々無神経と思います。
特にみゆきは声を荒げる場面があり、その直後キャンディが「悪くない」発言をしたところを見ると
みゆきはキャンディの気持ちを知らない癖に・・・という心の叫びが聞こえてくるようです。
無知は果たして罪なのか。
今回、キャンディはせっかく駆け付けた後にもみんなの質問に答えられず、
一瞬みんなの間にも期待はずれのような空気が流れます。
それでも、誰もキャンディを責める事はありません。
ここに、今回言いたかった事があるように感じられました。
今この時期、私のまわりにも新入社員達が慣れない仕事に戸惑いながら
日々業務を行っています。
素直に知らない事を知らないと言える事の難しさは、彼らを見ていても感じられますし
現に中堅社員である私も、そんな事を素直に言えない場面が多々あります。
知らない事を知らないと言う勇気だけでなく、
知らなかった、気づかなかったのであれば、知ったり気づいたりした時の
言動・態度・そして行動が重要だと思います。
キャンディの寂しい気持ちに気付かなかった=知らなかったのはみゆき達も一緒。
だからこそ、損得ではなくキャンディを大切に思う気持ちを
一人一人ウルフルンにぶつける様が際立っていたように感じました。
無知が罪ならば、キャンディの気持ちに「無知」だったみゆき達にも罪はあります。
それをマイナスに捉えるのではなく、
受け入れた上で肯定する展開を見る事が出来て、今回も観て良かったと心底感じました。
やっぱり「災い転じて福となす」「雨降って地固まる」展開は観ていて清々しいものがあります。
そして「6人でプリキュア」発言。
これまでも妖精(珍獣?)達はかけがえのないパートナーとして、
プリキュアと共にありました。
しかし、文字通り珍獣?からプリキュアとなった
ミルキィローズ、
キュアビートという
例外を除くと、プリキュアだとはっきり言われたのは初めての事です。
(ミルキィローズは厳密には異なりますが・・・)
これまでも妖精達との間には固い絆が交わされていますが、
それとは一線を画した、さらなる絆を築き上げるような気がします。
それでなくとも、みゆきとキャンディの間には切っても切れない関係があることは、
お菓子選びの際、その場にいないキャンディに無意識に聞いていたり、
苦戦している戦いの最中にその場にいないキャンディに助言を求めたり、
相手がいない事に気が付かない程、無意識レベルでの信頼関係が築かれています。、
「シティーハンターてのはな!!おれたちふたりのコンビのことを言うんだぜ!!」
前回の男塾に続き、またも往年のジャンプネタで恐縮ですが、
これが真っ先に思い浮かんでしまいました(笑)
また、単なる偶然だと思いますが
ミラクルジュエルを求めて暗躍するジョーカーが気にかけたのは「浄化の光」。
「ジョーカー」と「浄化」の言い回しが妙に似ているのが引っかかりました。
まさか、ね・・・?
来週は
フレッシュの沖縄以来久々の修学旅行、
そして
京都が舞台となると、マックスハート以来となり楽しみです。
が・・・来週の日曜は午後から札幌へ遠征して来ますので、
また少々更新が滞りそうです。
みゆき達と同じく、旅行を楽しんだ後にはなるべく早めに上げる所存ですので、
何卒ご容赦下さいませ・・・