待ちに待った修学旅行。新幹線の車内で、みゆきは早くもウルトラハッピー状態です。
沢山写真を撮って、美味しいものを食べて、舞妓さんと写真を撮って・・・
期待は尽きませんが、少し落ち着いた方が良さそうなはしゃぎっぷりを見かねたなおが、
みゆきをポッキー?で手懐けました。さすが、
弟妹達を大勢抱えているだけのことはあります。
お礼にみゆきも自分のお菓子を取り出そうとカバンを開けると、そこには・・・
お約束どおり、お菓子を食べつくして満足そうなキャンディの姿がありました。
それでもこれからの旅の期待に胸を弾ませるみゆきは、キャンディを怒りません。
が、逆に騒ぎすぎて佐々木先生に怒られてしまうのでした。
やってきました京都駅。
駅前にそびえる京都タワーを通天閣だとボケるみゆきに、さらっとれいかの突っ込みが入ります。
周りの人たちに迷惑をかけないようにとの先生達の注意の後、いよいよ京都観光が始まります。
まずはじめに訪れたのは金閣寺。
歓声をあげるみんなに、さながらうんちく女王の異名を持つ雪城先輩のごとく
プロ顔負けのれいかの解説が披露されて行きました。
金箔の費用が7億円という事実よりも、その解説っぷりに驚きの声が上がります。
さて、順調な旅行は残念ながらここまででした。
バスでお留守番しているはずのキャンディがいつのまにかついてきており、
みゆきはキャンディを宥めているうちに足を滑らせ、金閣寺前の池へ盛大にダイヴ。
その後の集合写真をジャージで撮る羽目になりました。
京都でジャージ・・・と落ち込むみゆきを慰めるように、
やよいはおみくじを勧めますが・・・ここからが本当の地獄でした。
れいかとやよいは大吉、なおは中吉、あかねは末吉、それなりに無難な結果が出揃い、
残ったみゆきも大吉に間違いないとワクワクしながらおみくじを引くと、そこには
「大凶」
れいかの言うように、かえって珍しいと言えるのですが、
大吉だと信じていたみゆきは現実を受け止められず、魚眼レンズ表現で凍り付いています。
既に新幹線で怒られ、先ほど池に落ちた事を考えれば、まさに大凶。
それでも今がどん底ならがこれから良くなる筈とポジティブに受け止めますが、
明るく振舞うみゆきを嘲笑うように、その手の上に鳥の落し物が落ちて来ました。
次いで訪れたのは嵐山・渡月橋です。
かつて
ウラガノス相手にブラックとホワイトがはったりのマーブルスクリューを放ったという
往年のファンにとっては聖地の一つであるこの橋を前に、
またまたれいかのプロ顔負けの解説が入ります。
せっかくなのでシャッターを押してもらって記念撮影をしますが、
みゆきだけが見切れていたり、ブレていたり、逆光、ピンボケ、ピントずれなどなど・・・
一枚もまともな写真が取れません。
さらにデジカメのバッテリーが切れ、泣き面に蜂とはこのことです。
次の土産物屋でも店員さんが振り向いた際にこけしがドミノのように倒れてみゆきの頭を直撃し、
抹茶ソフトを食べようとしたときには子供達にぶつかって顔面でソフトクリームを受け止め、
みゆきの不運は留まるところを知りません。
次いで訪れた竹林でも、なんちゃってかぐや姫ごっこをはじめるキャンディとのやり取りの最中、
お土産袋をすっ飛ばしてしまい、恐る恐る開封すると
先ほど買ったお母さんへのお土産のこけしの髪だけが見事に真っ二つに・・・。
つるっつるの頭が、竹林の木漏れ日を受けて美しく輝きました(笑)
その夜、夕食やお風呂など楽しいひと時が過ぎます。
髪にドライヤーを当て、妙にセクシーなれいかとは裏腹に、
服にドライヤーを当て、池の水が冷たかった事を思い返すみゆき。
お母さんのお土産を手に喜んでくれるかと期待するやよいとは裏腹に、
坊主頭になってしまったこけしを前にずーんと落ち込んでため息を漏らすみゆき。
その時、枕が飛んできました。
『ため息なんてついたら、ハッピーが逃げてまうで!』なお(髪を下ろしてる!ヒャッホウ!)と一緒に枕投げに誘うあかねに、
みゆきの反撃の枕はあかねの後ろのやよいを直撃しました。
れいかは4人の枕投げ大会を収めようとしますが、
その顔面に枕が直撃した後はむしろ張り切って参戦。枕投げバトルロイヤル開幕です。
しかしみゆきの大凶効果はいまだ続いており、放った枕がポットに当たりました。
素早くなおがスライディングレシーブ、続けてあかねがトス、最後にみゆきが決める!
と思いきや、大凶の彼女がそううまくいく筈はありません。
様子を見に来た佐々木先生の頭上からお茶を盛大にぶっ掛けてしまい・・・
佐々木先生の雷が夜の京都にこだましました。(これ、廊下で正座モノですよね?)
佐々木先生にこってりと絞られ、自分のせいだと謝るみゆきに、
罰として「好きな人を述べよ」という告白タイムがスタート。
真っ赤になってあたふたするみゆきの反応を見て、みんな俄然盛り上がります。
案外身近な人ではないかとあれこれ想像をめぐらせますが、
蓋を開けてみれば何のことはない。「ピーターパン」でした。
告白してしまったと照れまくるみゆきと裏腹に、完全に冷め切っている4人。
そして騒々しいみゆきの声は、再び佐々木先生を召喚するに十分でした。
佐々木先生の雷が落ち、慌てて布団に包まるみんな。それでも、そっとみゆきを励まします。
『みゆきさん。明日はきっと・・・』『良い事あるよ』『大凶なんて気にしないで』皆の心遣いを受けて、みゆきは少しだけ幸せな気持ちで眠りにつきました。
その頃、バッドエンド王国。
鬼が暴れる昔話を読んで嬉々としていたアカオーニは
テレビで京都特集が流れるのを見て、こここそ自分の場所だと考えました。
『そうだ京都、行こうオニ』(C)JR東海
翌日、良いことがありそうな予感がする程の快晴です。
が、しかし・・・
清水寺の舞台が傾いていることに注目したなおとあかねが、
転んだら転げ落ちそうなどと話していると、その脇をみゆきが本当に転げ落ちて行きます。
危ないところでしたが、文字通りなおが体を張って止めました。
その後も溝にはまり、犬に吼えられ、土産物の下敷きになり、
みゆきの大凶は留まるところを知りません。
それでも昨日のように落ち込まず、明るく振舞っている姿を見て、みんな少し安堵しました。
そしてやってきた祇園。舞妓さんと写真を撮るべく張り切るやよいですが、
肝心の舞妓さんが見当たりません。
口紅デコルで舞妓さんに変身するキャンディには、とりあえず気持ちだけ受け取る事にして、
舞妓さんには運が良くないと会えないと知ったみゆきは、とたんに落ち込み始めました。
『大凶の私が一緒だと、みんな舞妓さんに会えないかも・・・』一番会いたがっていたやよいはもとより、誰もそんな事を考えてはいません。
しかし、やよいの微笑がみゆきには痛く突き刺さります。
ついに京都にアカオーニ参上。
人間を怖がらせようと張り切るものの、本物の鬼みたいだと喜ばれてしまい、
絶好の被写体と化しています。なんだかんだでポーズを取ってあげるあたり、
アカオーニの人(鬼?)の良さが伺えますが、
気を取り直して白紙の未来を黒く塗りつぶし、バッドエナジーを抽出し始めます。
異変に気づいた5人は即座に駆けつけ、互いになんでここにいるのかと驚く両陣営。
その時みゆきの手から大凶のおみくじが飛び、
それを見たアカオーニは大笑い、文字通り笑い転げました。
チャンスとばかりに青っ鼻でおみくじをアカンベェ化。
何か嫌な相手ですが、気持ちを奮い立たせて変身します。
アカンベェが撃ち飛ばす筮竹から、素早く身をかわすマーチ。
ところがその筮竹が跳ね返ってハッピーを直撃します。
続けて筮竹で殴りかかってくるのを受け止めるピース。
その際折れた筮竹がまたまたハッピーを直撃し、とことんついていないままです。
そして青っ鼻相手には当然技は効かず、渾身のサニーファイヤーは徒労に終わりました。
ならばレインボーヒーリングだとスマイルパクトを取り出した矢先、
アカンベェの足踏みによる揺れでハッピーの手からパクトが転げ落ち、川へ落ちてゆきました。
急いで川へ向かうハッピー。残された4人を、アカンベェのサイコガンのような一撃が襲います。
『馬鹿な連中オニ。大凶の奴なんかと一緒だから巻き添えを食うオニ』
『私の・・・私のせいでみんなが・・・』右手を鉄球に変えて殴りかかろうとするアカンベェを前に、
責任を感じたハッピーは川から飛び上がり、一人で鉄球を受け止めます。
受け止めながら、謝るハッピー。しかしみんなは意外そうな顔をしています。
『一緒にいたせいでみんなまで大凶に巻きこんじゃった。こんな事なら・・・』続く言葉をさえぎるように、マーチが、続けて皆が立ち上がります。
『巻き込まれてなんかいないよ。私達だって同じ。
ハッピーと一緒だから楽しいんだよ。一緒だから頑張れるんだよ』『そうです、この程度のピンチ、大凶ではありません』『私たちはいつだって』『一緒におったら大吉や!』呼応するかのように落としたパクトが川底から浮上し、
そして1・2の5!で5人で鉄球を押し返します。
間髪入れず、レインボーヒーリングでアカンベェを撃退。
青っ鼻は役立たずだと言い捨てながら、アカオーニも撤退していきました。
みゆきは大凶を引いてからろくな目に遭いませんでしたが、
そのみゆきの姿は皆が思い出し笑いをもたらしました。
先ほどの清水寺での事、きのうの金閣寺、ジャージで集合写真、ソフトクリーム直撃・・・
笑いのツボにはまるみんなを前に、あまりに運が悪いと逆に笑えて来るとみゆきも開き直ります。
そして、最後に幸運がやってきました。
タイミングよく舞妓さんが現れて、みんなで記念撮影。
笑う門には福来る。ネガティブだって吹っ飛びますし、
どうやら幸運は笑顔の元に訪れるようです。
修学旅行という行事は過去にも描かれているために、
どのような切り口で持ってくるか楽しみにしていましたが、
なるほどこうきたか、と唸らされる展開は見事です。
修学旅行らしく、楽しい場面を散りばめながら、「運の悪さ」をどこまで割り切れるか、
そして「自分が気にする程、他人は気にしてなどいない」というテーマが秀逸でした。
まずは修学旅行描写の数々から。
金閣寺・渡月橋でのれいかのすさまじい解説にも驚かされますが、
それ以上に予習した事を照れながら漏らす様がたまりません(笑)
他にも土産物屋で刀(木刀?)を物色していたり、常人と違ったセンスが伺えて楽しめます。
そういえばクラスに一人くらいは木刀や十手買う奴いたよな・・・と懐かしくなりました。
夜の枕投げバトルロイヤルも楽しく、止める立場の筈のれいかの参戦は、
同様に
張り切って参戦していたよし美先生を思い出させます。
れいかの上の存在である佐々木先生を効果的に持ってくる事で、
結果としては怒られてしまうものの、こういう思い出こそが修学旅行の醍醐味と言えるでしょう。
そして告白タイム!
まさかクラスメイトを例に挙げたあかね、やよい、なお、
そして生徒会長を例に挙げたれいかは、まさか密かに気があるからだったりして・・・
(自分で書いていてorzになりました・・・)
こうした話題に無頓着そうなれいかが嬉々として加わっていた事も楽しめました。
それにしてもれいかの話題ばっかりになってしまったのは、
それだけインパクトが強烈だったという事でしょうか・・・
さて、運が悪いとの一言で片付けられない程の不運に見舞われるみゆきは
さすがに気の毒になりますが、見ている分としてはラストに思い出し笑いをする4人同様、
その不運を楽しめてしまう事もまた事実です。
実際にここまでの不運のスパイラルに襲われたらそんな悠長な事はいえないかもしれませんが、
不幸を笑い飛ばせる勇気、というのも時には必要なのかもしれません。
現にまったくの不運に見舞われない日などありませんし、
私のような酒飲みの間では、「ワン・フォー・ザ・ロード」という言葉があります。
飲み屋を立つ前の最後の一杯の意味ですが、
そこには今日一日の嫌な事を忘れ、明日に向かって切り替えるという意味も込められています。
現にみゆきも祇園で舞妓さんに会えなかったと悔やむまでは、
前日の失敗、さらにその日の不運を上手に乗り切っていました。
みゆきのこうした姿勢を見る旅に、ウルトラハッピーはおのずとついてくると感じさせます。
ただ、その不運が自分のみならず、みんなにも影響を及ぼすと気づいてからは深刻でした。
実際、舞妓さんに会えない程度ではみんなは迷惑しておらず、
戦闘中にパクトを落とすという大ポカをやらかした際にも、誰もハッピーを責めていません。
一方敗北後のアカオーニは、青っ鼻の役立たずのせいにしていますが、
大凶のせいにしていない彼女たちとは好対照を示しています。
しかし、かつての私もそうでしたが、自分の存在が迷惑なのではないかと思い始めると
いくら周囲がそんな事はないと慰めても、なかなかその気持ちは伝わらないものです。
戦闘終了後まで大凶を引きずっていた事からも、みゆきのダメージが伺えますが、
それを癒すのは言葉ではなく、みんなの笑顔という点が素晴らしいです。
落ち込んだときに、時には慰めの言葉も必要ですが、ただ笑って流すというのも良い事でしょう。
『溜息を一つ付くと、幸せが一つ逃げていく』
かつて音吉さんが口にしたとおり、溜息からは笑顔は生まれません。
そして本文中でも引用してしまった、「DANZEN!ふたりはプリキュア」の歌詞どおり、
笑う門には福が来るし、ネガティブも吹っ飛ぶと信じたいものです。
案外重いテーマをかぶせたものの、楽しげな修学旅行と上手く融和して
重過ぎない一編に仕上がっている点を評価したいです。
(ここまで書いてきて、今朝の関越のバス事故のテロップを思い出しました。
現実にこれだけ重大な事故に見舞われたとき、そう楽観的に言えるものなのか・・・
少し答えに迷いそうです)
口紅デコルを用いての舞妓キャンディ(その京言葉はどこで覚えたのかが気になります)、
京都のなんたるかを微妙に勘違いしているアカオーニの存在も楽しめました。
それにしても京都に鬼とくれば、源頼光あたりに退治されてしまうような印象がありますが・・・
他に鬼にふさわしそうな場所といえば、岡山でしょうか?
でもあそこにはキュアパッションさんを筆頭としたプリキュアの皆さんがいらっしゃるので、
アカオーニにとっての理想の場所はなかなか見つからなさそうです。
それはさておき、
後半の大阪編に向けての期待も高まる前編でした。