何かを象徴するかのように、横転したパトカーから響き続けるサイレン。
傍らでうたた寝をする少年の手から転げ落ちるボールは廊下を転がって行き・・・
大広間で苛立つビブリスが物音に気付くと、階段を転げ落ちてくるボールが。
直後、空間を切り裂くようにエネルギーが放たれて貫かれるボール。そして、不気味に光る目。
『来たようね』何かの到来を示唆するかのようにビブリスの声が響きます。
帰り道になぎさ、ほのか、ひかりがタコカフェを訪れると、アカネさんは既に店じまいをしています。
明日、ナデシコ牧場のお祭りに参加する事になり、その準備のために早じまいとのことですが、
なぎさとほのかにもピクニック気分で手伝ってよ、と気安くお願いして、
朝5時集合、と聞いて朝に弱いなぎさは頭を抱えました。
（
キリヤと決着をつける時は朝4時でしたが、この時は話の内容からして例外でしょう）
車内でＥＤテーマを歌いつつドライブを楽しむほのか、ひかり、アカネさん。
ちゃんと
♪恋する時間が減ってるし♪と合いの手が入るなどかなりハイレベルな合唱ですが、
朝に弱いなぎさは爆睡中です。夢の中でチョコレートケーキを平らげる所だった為、
車が揺れた時にしこたま頭を打って額に巨大なコブを作るものの
幸せな夢の中のなぎさは目覚めませんでした。
到着後、のんびりと草を食む牛が広がる牧場を眺めて高原の空気を満喫するなぎさは
なぜかオデコが痛いんだよね？と理由も分かりません。
丁度柵の近くに来た子ヤギと触れ合うひかり。ポルンも実態化して子ヤギの背に乗り
『真っ白い忠太郎ポポ』と大はしゃぎ。
子ヤギは嫌がって跳ね回りますが、ポルンはロデオのように離れず、
ひかりが『ポルン、嫌がってるでしょ！』と叱るとようやく静かになり
謝ったポルンをひかりの許に乗せて行きます。
子ヤギの首には「ＢＥＬＬ」と書かれた鈴を付けており、「ベルちゃん」と呼んで可愛がるひかり。
その間にも、ヤギが紙を食べる事とその弊害についてほのかのうんちくが披露されますが、
開店を促すアカネさんの声で、みんなしばしベルちゃんと別れて手伝いに戻ります。
取り残されたベルちゃんの鳴き声が響きますが、どう見ても柵の間隔が空き過ぎ、
間からベルちゃん出られそうです(笑)
いよいよ始まったナデシコ牧場フェスティバル。
ミックスジュース、ソフトクリーム、ホットドックの屋台は大盛況ですが、
タコカフェは・・・見事に閑古鳥が鳴いていました。
『さあいらっしゃいいらっしゃい、熱々のたこ焼ですよー♥』
『新鮮なタコがいっぱい入って、美味しいたこ焼でーす♥』
なぎさとほのか、こんなに可愛い少女二人が声を張り上げてもお客さんはまるで寄り付かず、
アカネさんもせっかくのたこ焼が冷めちゃうと張り合いがなさそうです。
『タコに含まれるタウリンは、コレステロールを下げるし、血圧にも良いんですよー』
といううんちくを活かしたほのかの客引きや、
カップル客の腕を掴むなぎさの強引な客引き（キャッチセールスでもやってはいけない事ですが）
にも、ガランとしたタコカフェを見てお客さんは全然寄り付きません。
絞りたてナデシコ牧場ミルクにソフトクリーム、
特製ソーセージ（まさか、そのソーセージの具は・・・）のホットドック、
地元の新鮮フルーツジュースと比べれば、
どんなにアカネさんの腕が良くても、たこ焼では場違いで
地元パワーに対抗する良いアイディアを皆で考え込みます。
そこにベルちゃんがひかりを追って来てしまいました。
ひかりはベルちゃんの体に付いた草花を取ってあげるうち、
その草花の名前を解説するほのか、
高原に咲く花のような爽やかさがあると良いというなぎさの発言を聞いて、
その草花を見てアイディアを閃きました。
たこ焼とデコレーションしたカップアイスの周りに草花をちりばめた
「高原のたこ焼セット」により、タコカフェは起死回生の大賑わい。
どさくさに看板を務めるベルちゃんも効果もあってか、大盛況となりました。
ところが奇妙な風が牧場に吹きつけ、牛が、ヤギが吠えて暴れまわります。
「何か」の力で突然砕ける水のみ桶。
その「何か」の姿が見えない事が、不気味さに拍車を掛けています。
ひっきりなしに来ていたお客さんも、牛の乳搾り体験イベントが始った事で
そちらに流れて、タコカフェ店長と女子店員達はようやく一息つくことが出来ました。
テーブルをセッティングするひかりを評して、
高原のたこ焼セットを考えてくれるし、あの子がいてくれて本当ありがたい、
と漏らすアカネさんに私達は？とやや不満げななぎさ。
『あ・・・もちろん強力な助っ人だよ』
と慌てて弁明するアカネさん、という微笑ましいやりとりですが、
楽しい雰囲気はここまででした。
テーブルを拭くひかりに訴えかけるように鳴くベルちゃん。
牧場では警戒するように一塊になる牛やヤギたちが、
割れて行く木の破片を遠巻きに睨みつけています。
ベルちゃんの態度、そして立ち込める黒雲にひかりも不穏な空気を察し始めました。
そんな空気の中、普通に乳搾りイベントが始まるものの、徐々に近づいて来る奇妙な気配。
サイロの天井がひび割れ、乳搾りイベントの牛達が騒ぎ始めます。
そして牛達の近くにあるポールにヒビが入るのを見て、
飼育員の制止も及ばずに一斉に暴れだす牛達。
駆け出すベルちゃんを追ってひかりも森の中へ駆け出して行きました。
牧場は牛追い祭りの如く大混乱で、牛と群集がタコカフェに迫り、
車内にいたアカネさんは騒ぎで倒れたパラソルに視界遮られて
『おーい、暗いよぉ』・・・このアカネさん、ちょっと可愛いです。
一気に立ち込める邪悪な気配。
ベルちゃんを追うひかりの傍らで、ポルンの怯え方も尋常ではありません。
『何か来るポポ、何か怖いものが来るポポ』
森を抜け出してベルちゃんを捕まえたひかりはベルちゃんをあやすも、
直後、ドス黒い気配を感じて振り返ります。
そこにはアゴが長くて一九分けの長身の男
（こう書くと台無しですが、事実です）、バルデスが立っていました。
『これこそクィーンの気配。お前にどれほどの力があるのか、見せてもらおうか。
事と次第によっては、消えてもらう』
登場した直後からひかりの素性を見抜いて圧倒的な威圧感を見せるバルデスに、
『あなた達が私に何をしようと勝手だけど、でも私は、私の大切な人たちを巻き込んでまで
自分達の思い通りにしようとするあなた達を、許す事はできない！』
ひかりも負けじと力強く言い返します。
なぎさとほのかも森を抜けてひかりの所に追いつき、
バルデスの威圧感に驚きつつも変身。続けてひかりも変身します。
『さすがにクィーンの命。確かに強い力を感じる』
バルデスが気合を入れただけで衝撃波が走り、吹き飛ばされる3人。
そしてサイロを丸ごと飲み込んでザケンナーも姿を現し、口から干草の束を吐いて襲ってきます。
巨大な干草の束から逃げ回りつつも、なんとか干草を伝って顔の近くに飛びつき
攻撃を仕掛けたブラックとホワイトは、至近距離で干草の直撃を受けて
大量の干草の下敷きになり、追い打ちでザケンナーに踏み潰されそうになります。
プリキュアの危機にルミナスはハーティエルアンクションを放ってザケンナーの動きを止め
プリキュアのマーブルスクリューＭＡＸでザケンナーを撃退。
・・・したものの、立ちはだかるバルデスに緊張が高まります。
『他の者が手こずるわけだ。しかもまだまだ成長の可能性を残している。
特にあのクィーンの命は興味深い』
追い打ちを掛けるでもなく、不敵な笑みを浮かべて去っていくバルデス。
そこにベルちゃんが駆け寄って来て緊張が解け、高原の牧場に平和な空気が戻りました。
『やっぱ高原の空気はおいしいね』
伸びをしつつ牧場を見渡すなぎさとほのか。そしてベルちゃんと触れ合うひかり。
『だけど、私達なにか忘れてない？』
そのころタコカフェはアカネさん一人で押しかけるお客さんをさばいててんてこ舞いでした。
『なぎさほのかひかりー、どこ行っちゃったのよぉ』
ちょっと普段の町から舞台を移すだけで新鮮な印象を受ける今回、
高原で強力な敵に襲われるというのは5GoGoでのムカーディアでもありましたが
平和そうなストーリーがその直前まで展開しているだけに、その落差が効果的です。
のどかな牧場に徐々に迫る不穏な空気と、なかなか姿を見せないバルデス。
登場後の圧倒的な威圧感は、今までの3人とは別格という畏怖を抱かせるのに十分でした。
そんな中、ほのかのうんちく3回も披露
(ヤギが紙を食べる事の是非、タコのタウリン、野草の種類)、
悪戦苦闘する客寄せや、アイディアの思案などは純粋に楽しめますが、
他の店の品揃えを見る限り、やっぱりタコカフェは場違いのような気が・・・
アカネさんはどういう経緯でこのイベントに参加（あるいは呼ばれた）のか、気になります。
それでもひかりが既にアカネさんにとってなくてはならない存在になっており
シリーズ最初期で「洗脳」のようにアカネさんに接近した事を思うと感慨深いものがありました。
そして立ちはだかるバルデスの威圧感におののきつつも、真っ向から言い返す芯の強さも見せ
ひかりの成長も確実に描かれています。
ちょっとした小ネタとして、ＯＰ、ＥＤテーマを歌っている五条真由美さんが
今回牧場のお客さん役でゲスト出演している事、
5GoGoシリーズでメルポを演じた水田わさびさんがベルちゃんの声を担当し、
今回とメルポのいずれも「メェ～｣としか喋っていない事が目を惹きました。