なぜひかりが京都に来ているのか。
よし美先生にホテルのロビーへ呼び出され、
2人に会わなければいけない事があるひかりが、連絡が取れなかったために
思い余って京都まで来てしまったと、いささか苦しい弁明をします。
よし美先生の計らいで明日一緒に帰る事になり、それまで共に行動できると喜ぶ3人に、
よし美先生は学校の皆もアカネさんもとても心配していた事を告げ、
二度とこんな無茶はしないようにと釘を差しました。
ところで、それほど重大な用とは何だったのか疑問に思う先生に、
なぎさとほのかはぎこちなく弁明します。
ほのかが家の鍵を忘れて、その鍵を祖母(さなえさん)がひかりに渡して、
その鍵を届けに来てくれた、と少々苦しい言い訳に先生も疑問顔ですが、
とりあえずアカネさんに連絡するようひかりを促しました。
電話口のアカネさんも急にいなくなったひかりを責めるでもなく、
無事な事に心底安心した様子で、とにかく気をつけるよう告げて電話を切りました。
そして3人は、改めてウィシュンが現れた事が気になります。
真実とは何か。再び
あの少年の事を思い出しますが、
考えてもわからない、というなぎさのあっけらかんとした発言で
とりあえず皆で遠くの町に来ている事を楽しむ雰囲気になりました。
京都タワーの上から夜景を見下ろすビブリスは、
今、あのお方に何かが起ころうとしている、というバルデスの発言を気にしています。
案ずるビブリスの隣にウラガノスも現れ、プリキュアは俺が倒すと宣言して姿を消しました。
翌朝、朝食後からの班別自由行動で、なぎさたちの班にひかりも加わり
ほのか、志穂、莉奈の総勢5人で自由行動に向かいました。
まずなぎさ、志穂、莉奈組は土産物屋が立ち並ぶアーケードで八つ橋を、
続けて店頭にある試食のお菓子をガツガツ食べ始めますが、
度を越したなぎさの食べっぷりには流石の志穂と莉奈も少々引きました。
土産物屋のお兄さんに声を掛けられて、気まずそうに買い物で誤魔化すものの
話の分かるお兄さんの笑顔になぎさも3箱購入します。
ほのかとひかりは京人形に目を奪われていました。
改めてなぎさとほのかは対照的だというひかりに
趣味や考え方が全然違うなぎさといると刺激的で楽しい、と返すほのかは
見方を変えると似たもの同士かもしれないと感じているようです。
なぎさ、志穂、莉奈と合流し、次にどこへ向かうかはほのかが提案しました。
一方、あのお方こと洋館の少年も京の町を興味深そうに散策しています。
そして、少年を護衛するかのように遠巻きに見守るビブリス。
ほのかが来たかった場所とは、何の変哲も無い道路の上でした。
そこは嵐山電車の停留所です。一度乗ってみたかったというほのかだけでなく、
東京では見られない乗り物になぎさ達も楽しんでいます。
終着の嵐山に着き、渡月橋や紅葉に彩られた嵐山の風景に目を奪われ、
続けて人力車を楽しみます。
人力車は嵯峨野の竹林を行き、木漏れ日の風景を満喫した後、
(おそらく)野宮神社で降りました。
恋占いに沸く志穂、莉奈と異なり、体でぶつかっていくタイプだというなぎさですが、
『体でぶつかっていくって誰に?』『そ、それは・・・』
判っている筈のほのかによる軽いからかいに言葉に詰まってしまいました。
志穂莉奈とは別行動をとり、奥の寺(おそらく天龍寺)を訪れた3人の前に、
新たなハーティエル、ブロスンが姿を現します。
常に何かを口にしている呑気なハーティエルと
境内の風景が醸し出すのんびりした空気は、不意に鳴り響く鐘の音に妨げられました。
不自然に暴力的に鳴り響く鐘に耳を塞ぐ3人に警告するメップル。
そしてウラガノスが現れ、さらにウィシュンが戸惑いながら
真実がもうそこまで近付いている事を告げます。
屏風に描かれた虎をザケンナーとして実態化させ(お前は一休さんか)
現れた白虎ザケンナーの攻撃を避けた際、ひかりは一人離れ離れになりました。
変身し、迫るザケンナーを力任せに受け止め、そして投げ飛ばすプリキュア達。
戦いを見守っていたウィシュンを突如、体の中心を氷の棒で貫かれたような悪寒が襲い、
真実が・・・と繰り返していずこかへ飛び去ります。
ウィシュンを追って、ひかりは灯篭が灯る石段を登り、
血のように赤い落ち葉が広がる木々の間を抜け、
そして無数の鳥居の中を駆けて行きました。
神社の門の筈なのに、妖気を感じさせる不気味な光景。
ふと足を止めたひかりは、前も後ろも、鳥居が永遠に続いているような錯覚を覚えます。
そして、ひかりの背後に姿を現す少年。
気配を感じてひかりが振り返ると誰もおらず、
いつの間にか少年は振り向いたひかりの背後に立っていました。
高まる鼓動。そして、少年とひかりが向き合うと、
辺りは
あの時と同様、奇妙な世界に包まれました。
プリキュア対ウラガノス、ザケンナーの戦場にもその変化が訪れ、
ウラガノスもその事態に困惑します。
あの時と同じ現象に、ひかりを案じて走るブラックとホワイトは
追ってくるウラガノスに焦り、溜めも無いままマーブルスクリューの体勢に入りました。
慌てたウラガノスは『着地、そして後ろへジャンプ(またアドリブっぽいです)』
でガードに入るものの、これは2人のはったりです。
『すたこらさっさ』と言いながら走っていく2人に怒り心頭のウラガノスは、
ザケンナーにも馬鹿にされ、すたこらさっさと後を追うよう指示しました。
『私に会いに来たの?』『わからない。ただ・・・』
虚無の空間で向かい合う2人。その距離が縮まってゆき、
2人の意識が交錯した瞬間、瞳孔が収縮し倒れるひかりと少年。
と同時に空間は元に戻り、プリキュアの前にひかりが、ビブリスの前に少年が現れました。
倒れるひかりを受け止める2人と、少年を抱きとめるビブリス。
『お前達・・・よくも・・・』意識の無い少年を抱き、怒りを露にするビブリスですが、
そこにザケンナーに跨ったウラガノスが追いつき、
後の事を任せるかのように少年を連れて立ち去りました。
渡月橋を前にブレスを召還しようとする2人ですが、
白虎ザケンナーの素早い動きにブレスを招き入れる時間が稼げません。
それでも攻撃を避けて後ろから蹴りを入れ、
ザケンナーが倒れた隙を突いて今度こそブレスを召還。
渡月橋の上をマーブルスクリューMAXの光が走ります。
今日こそ止めてやると息巻くウラガノスですが、例の如く止められず、
ウラガノス撤退、ザケンナー撃破といつもどおりに戦いが終わりました。
修学旅行もこれで終わり。駅に向かうバスの中には気だるい空気が流れています。
何か帰りたくない。これからどうなるのか。
不安を口にしたものの、気を取り直して大量のお土産を見て、
また皆で旅行できたらいいね、というなぎさの言葉と、
そして五重塔の背後に沈む夕陽。鳴り響く鐘の音で修学旅行編は終了します。
今回特筆されるのは、舞台となる京都の秋景色の美しさです。
嵐山や竹林、天龍寺なども美しいですが
ひかりと少年が出会う千本鳥居の風景は、神社という神域にもかかわらず、
むしろ神域だからと言うべきか、ある種恐怖感を感じさせる幽玄な美に満ちていました。
おそらく伏見稲荷がモデルだと思いますが、天龍寺からの位置関係を考えると遠いため
不安さを抱くひかりの心象風景を暗示した光景なのでしょう。
2泊3日の旅行中、2回も襲われるなぎさとほのかですが、
土産物屋や嵐電での楽しそうな様子が描かれるため、
楽しい修学旅行を満喫している感が伝わってきます。
それ故にラストの気だるい空気の中のなぎさの独白が印象的です。
旅行から帰るということは現実に戻る事。それは学校生活だけでなく、
戦い続きの日常に戻る事や、ひかりを巡る運命といった事柄も暗示しています。
戦闘シーンもコミカルな描写と、白虎の素早さを活かし、なかなか面白いです。
フェイントのマーブルスクリューを放った時のウラガノスの仕草、
それを笑っているザケンナー、ちゃっかり逃げるプリキュアという展開や、
渡月橋を向かってくる白虎のスピードにブレス召還が間に合わないなど、
他ではあまり見られない描写がインパクトを残します。
嵐山から下ってくる光を受けて、渡月橋をバックに炸裂するマーブルスクリューというのも
京都という舞台を活用したクライマックスではないでしょうか。
朝食やバスの中で
聖子、
唯、
千秋といった懐かしの面々が見られるのも珍しく、
マックスハートでは初めての登場だと思います。
残り少なくなってきたマックスハートですが、
これ以外に彼女達の出番があったか思い出せません。
ひょっとして
「牛若丸と弁慶」の話なら可能性がありそうなので、
その際注意を払ってみます。
前後編として描かれたため、
「沖縄修学旅行」よりも京都という舞台を活かして
描ききった印象がありました。沖縄の話も個人的には好きですし、
沖縄ならではの風景も描かれているのですが、
旅行そのものよりも、ラブと大輔の描写に重点を置いていたので
テーマが違うということもありますが、京都編と比べるとボリュームが薄く感じられます。
どちらもウラガノス、ウエスターさんといったコメディ担当のおかげで
戦闘やその前後が楽しめるという点は共通していますが・・・(笑)