箱根への中継点として立ち寄った事はありますが、目的地として来たのは初めてです。
現在の小田原城の天守閣は復元されたものとはいえ、
首都圏で天守閣を見られる城は数少なく、白壁と桜の織り成す光景を期待しつつ
まずは小田原城へ向かう事にしました。
とにかく天候が残念なのですが、堀の周囲の桜はなかなか見事に花をつけています。
石垣と堀の織り成す桜を堪能し、城内の「登城ルート」に沿って本丸跡、
そして天守閣へ向かいます。
いわゆる「現存十二天守」ではなくとも、日本の城郭と桜はやはり絵になります。
内部は城内の構造まで再現したものではなく、資料館となっていますが、
戦国時代の北条五代の紹介や各種展示物などが充実しています。
武田信玄や上杉謙信の好敵手として、北条氏康にも興味がありましたので、
いずれ北条氏康を主役に据えた大河ドラマを願っている私としては楽しめました。
そして天守閣から北条氏康の気分で小田原城下と相模の海を堪能してみようと思いましたが、
あいにくの雨のため、すぐ近くの筈の相模湾にもガスがかかって見えませんでした。
それでも眼下に見下ろす桜が目を楽しませてくれます。
続いて小田原市の桜スポットとして有名な城山公園に足を運んでみましたが、
そこで見たのはある種異様な光景でした。
桜は見事に咲いており、広々とした公園一帯は美しく彩られています。
しかし雨のためなのか、それとも自粛ムードのためか、私以外の人は誰も居ません。
桜を独り占めにできるという事よりも、この静けさが何とも恐ろしく感じました。
町を見下ろす高台の広々とした公園に桜が広がる光景は美しく、
晴れた日はもっと賑わっていると思いたいものです。
それでも城山公園からの帰り道、「小峯の大堀切」という空堀跡を下ってゆく道は
戦国時代の遺構とも言うべきもので、堀のスケールも大きく楽しめました。
そして小田原駅へ向かう途中、小田原城天守閣を離れた場所から見通せる場所もあり、
別アングルからの城と桜の取り合わせを見る事が出来ました。
小田原駅から箱根登山鉄道に乗り、箱根湯本の一駅手前の入生田で下車。
長い石段を登り
途中春日局の墓参りをして
山道を行く事20分。長興山紹太寺のしだれ桜を目指します。
残念ながら木の下まで行く事はできませんが、
さすが神奈川県の名木に選ばれるだけの事はあります。
この優雅な姿は改めて晴れた日に見たいものですが、
雨で人が少ないからこそじっくりと楽しめたと思う事にします。
この後、鈴廣本店、かまぼこ博物館に立ち寄り小田原駅前で土産購入、夕食後に帰宅しました。
小田原城や鈴廣ではそれなりに観光客の姿も多く、
案じていたほど閑散としていた訳ではありませんでした。
それでも天候だけでなく例年より少ないとの声を聞き、
やはり過度の自粛は特に観光地にとっての打撃が大きいと実感します。
東北の影響が少ない地域、普通に観光する事が問題無い地域など、
観光が復興のための地域経済の活性に役立つ事もある筈です。
そして私自身も沈滞した気分が桜の花に癒されましたので、
日本の春を大いに、しかしハメを外さずに楽しむ事は大切だと感じました。
時間が許すならば、これから見ごろを迎える東北の桜の名所を
復興支援の意味も込めて訪れたいものです。