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スイートプリキュア第9話『ハニャニャ?奏に足りないものって何ニャ?』 [スイートプリキュア♪]

奏を演じる折笠さんが過去のシリーズで演じたキャラクター、
御高倶女子中ラクロス部のキャプテンの永沢さんや、
明堂学園演劇部長の高岸あずさも、奏と良く似た特徴を持っていました。
決して弱音を吐かず、妥協しないという点は、長所にも短所にもなり得ます。
そして力が無い事を人知れず悩む様は美希かれんにも通じますが、
この2人ともプライドの高さや責任感の強さという共通点が感じられます。
とにかく「迷惑をかけたくない」という想いが空回りする奏の姿は、
かつての私自身を見ているようで考えさせられました。
 
一人不安そうに周囲を見渡すリズムの傍には、いつも頼れるパートナーの姿はありません。
そんな状況で現れたネガトーンに背後から縛り上げられたリズムは、
彗星のように現れるメロディのミュージックロンドに助けられます。
メロディに頼ってばかりだと謝り、ベルティエを持っていない事を嘆くリズムには、
ベルティエを持つメロディが頼もしく映ります。が・・・
いつの間にかハミィまでがベルティエを持ち、
あろうことかセイレーンとトリオ・ザ・マイナーまでもが
『持ってないのはおまえだけ~♪』などとはやし立てる始末。
さらに男の子の奏太や、玩具に興味の無さそうなアコ、
そして南野夫妻や王子先輩までベルティエを持ち、
皆がリズムにベルティエを見せびらかすように向けました。
それは奏が見ていた夢の中での出来事で、うなされて飛び起きる奏。
先輩にフラれた夢でも見たのかと軽口を叩く奏太に、奏の枕攻撃が襲い掛かります。

奏太は響と一緒に登校し、奏が悩みでもあるのかと少し心配そうです。
そんな2人を悩みが無さそうだと一蹴するアコ。
実際響も悩みが思い当たらず、気が付いたら一緒に
小学校へ登校している程のマイペースぶりを披露しました。
その頃日直のため早めに登校していた奏は、黒板を拭きながら一人悩みを抱えています。
『これ以上、響に迷惑掛けられない・・・』
端から見れば奏は美人で頭も良く、お菓子作りもプロ並だと、
クラスのみんなからも羨望の眼差しを向けられています。
しかし響は奏は昔から誰にも見えない所で頑張るタイプだと、
決して奏が完璧では無い事を知っています。

その頃、音符を袋一杯に集めてしっかりと仕事をしているトリオ・ザ・マイナーとは裏腹に、
セイレーンは公園のベンチでのんびりとひなたぼっこしています。
これまで従順だった3人、特にバスドラはセイレーンに
もっと音符集めに集中するよう苦言を呈しますが、セイレーンも居直って反論します。
『あんた達と親友になるなんて絶対無理だわ!』
まだ前回の事を引きずっているようなセイレーンは
トリオ・ザ・マイナーに対して仲間でも何でも無く、
私は上司であんた達は部下だと冷たく言い放ちます。
その最中にも公園の噴水から現れるメフィストに、
トリオ・ザ・マイナーが集めた音符をさも自分の手柄のように報告するセイレーン。
しかしそれだけでは楽譜の1ページにも満たないと雷を落とされ、
改めてプリキュアたちの集めた音符も回収すべく、
内心面白く無いトリオ・ザ・マイナーも了解して作戦行動へと移りました。

『私、ベルティエがある響に頼ってばかりで、どうしたら私にも現れるのかなって』
ハミィにカップケーキをプレゼントする代わりに、ベルティエの入手方法を尋ねる奏。
手法はさておき、足を引っ張っている事をかなり苦にしている事が伺えます。
ハミィの答えを期待して待つ奏ですが、ハミィの答えは案の定
響の持っているプリキュアのパワーが具現化したという解った様な解らないような説明でした。
ため息をつく奏の寂しい顔を見てハミィはモジューレを吹くよう促し(笑)
奏も少し力が沸いてきて響のパワーの秘密を探るべく北条家へ向かいます。

その北条家の台所は凄まじい惨状です。
演奏会前で忙しい団パパの代わりに響がカレーを作っていますが、
主人公としてはのぞみ以来となる料理下手だと言う事が明らかになりました。
見かねた奏が手を貸し、丁寧に皮を剥き、切り、煮込んで後片付けまでバッチリです。
『本当、奏はいつでも頼りになるなぁ』
しかし奏は、響の何気ない一言を聞いて何とも言えず切ない目を浮かべました。
さて、奏のカレーは団パパにも好評です。
響はハイペースでがっつき、そしてまんが日本昔話のご飯のような山盛りのお代わりをして、
私のパワーの源はご飯だという言葉を鵜呑みにした奏も、
負けじとカレーを掻き込んで、同様に山盛りでお代わりをしてきました。
奏のイメージとは異なる行動に、北条父娘も驚くばかりです。

続けて響のパワーと言えばスポーツだと、ランニングに付き合って走る奏。
響のペースに付いて行けている事に満足し、
ベルティエが現れるのも時間の問題だと安堵したのも束の間、
ここまでは響にとっては流して走っている準備運動にすぎませんでした。
本気の響の走りには付いて行けず、奏は必死に追いつこうと頑張りますが、
スポーツ万能の響にそう簡単に追いつければ苦労はありません。
『やっぱり私、プリキュアのパワーが足りないんだ・・・』

奏が完走できた事を素直に褒める響ですが、
全然凄くなんか無いと自分を蔑む奏にはその言葉は届きません。
今日の奏がいつもと違う事は、響が見れば明白です。
カレーをお代わりしたり、こんなに走ったり、何かあったのかを訊ねても
奏は無理なんかしていないと、悩んでいる事を頑として口にしません。
『何年親友やってると思ってるのよ?』
そう言う響きを睨み返す奏。またケンカかと案じるハミィですが・・・
『私、自分が情けない・・・』
すぐに謝り、悩みを漏らす奏の姿に、響は改めていつもの奏ではないと感じています。

『フン!セイレーンめ』
『私は最初から気に食わなかったんですよ。あんなネコが上司なんて』
『そうそう。私自慢の声も、やっかましいわ!とか言っちゃって』
2人のいる土手から程近い桜の木々の下、
トリオ・ザ・マイナー達は弁当を広げてセイレーンへの愚痴を肴に花見に興じていました。
ところがファルセットの頭上にはいつの間にかその生意気な黒猫の上司が乗っており、
辺りに轟くトリオ・ザ・マイナーの悲鳴(笑)。
ファルセットの髪を掻きむしり、悪口言っていた事を追及するセイレーン。
マイナー達の悲鳴を聞きつけて様子を見に行ったハミィは、
舞い散る花びらに音符が乗っているのを見つけますが、
ふと取り落とした隙を突かれて、花びらはセイレーンにネガトーン化されました。
『さあネガトーン。悲しみのメロディで桜を全部散らしておしまい!』
ファルセットの髪を掻き毟りながらネガトーンを煽るセイレーン。
悲しみの涙を流すファルセットの髪も、気の毒に全部散らされそうな勢いです。
ともかく桜を無残に散らし、花見客を悲しみに包んだ事に憤り、変身する2人。

『私がネガトーンを弱らせないと・・・メロディに迷惑掛けたくない』
焦り、先走るリズムの冷静さを欠いた攻撃はあっさりとかわされ、
後ろに回りこんだネガトーンの反撃を喰らいます。
弾き飛ばされるリズムを助けたメロディに迫り、
その右の二の腕を思い切り殴りつけるネガトーン。
メロディの悲鳴が響き、リズムはまた足を引っ張ってしまった自分を責めるばかりです。
そしてセイレーンをさしおいてバスドラがネガトーンに指示を出し始め、
セイレーン陣営にも不協和音が響き始めていました。

『ベルティエも無いし、メロディに迷惑かけて・・・』
力なく漏らすリズムにメロディは反論します。
私達は仲間で、リズムが私で私がリズムくらい一緒だから迷惑では無い、と。
『リズムは一人で悩まなくていい』
そしてメロディは襲って来るネガトーンに立ち向かいますが、
腕のダメージは大きく、ベルティエも使う事ができません。
その前に割って入り、リズムは力が無い事を承知の上でメロディを庇い手を広げました。
『私は全然強くないけど、だけど私は、一人じゃない!
 私のすべてを受け止めてくれる仲間と共にみんなの心を守ってみせる!』

その心に反応し、眩い光と共に、リズムにもついにベルティエが現れました。
『うおっまぶしっ!』(笑)
セイレーン達がその光に目をくらませる中、手を叩きながら刻まれる大いなるリズム。
フェアリートーン、ファリーを招き入れ、
『駆け巡れ、トーンのリング!』
リズムのミュージックロンドによってネガトーンは撃退され、
無残に散った桜も再び元通りになりました。
二度と私に迷惑掛けないでとバスドラに言い放ち、引き上げるセイレーン。
敗北の責任を押し付けられたバスドラ以下トリオ・ザ・マイナーも
悔しさを堪え、撤退して行きました。

みんなを守りたいと思った心こそがプリキュアのパワーであり、
リズムがベルティエが出せたのもそのお陰でした。
そして調べの館には、今日も2人の連弾の音が奏でられ、
音吉さんが見下ろす中、桜の花びらに彩られながら2人のメロディが響き渡ります。


これまでも折に触れて述べてきましたが、
私はかつて鬱状態に陥り働けなくなった事があります。
その時の状況は、周囲が自分を必要としていないと強烈に思い込んでしまうもので、
どんなに家族、同僚、友人に励まされても立ち直る事ができずに休職を余儀なくされました。
この症状は治療・投薬で症状を和らげながらも、根本的に治すためには
自分自身で何かに気付かなければなりませんでした。
幸い周囲の助力もあり復職を果たす事が出来、今に至っていますが、
今回の奏の思い込みと悩みが当時の私を見ているようで他人事とは思えず、
心底奏に感情移入してしまいました。

料理の場面の後では、響は素直に奏を頼りにしており、
奏が完走した後でも何の裏表も無く奏を評価しています。
しかし私が言うのも難ですが、「被害妄想」ならぬ「被嫌妄想」に囚われていると、
その言葉が励みになるどころか、こんなに心配してもらっているのに
応えられない自分がもどかしく、そしてさらに自己嫌悪に陥ってしまうという
苦しい悪循環が続いてしまいます。
ハミィが言う「気の持ちよう」という言葉も悪気は全く無いのですが、
これは鬱の人には禁句と言われる言葉でもあります。
ベルティエが出ない事は自分でもどうする事も出来ないのに、
これ以上何を頑張ればいいのか、奏が一層追い込まれてしまった様で、
本当に今回の奏を見ているのが正直気の毒になりました。

そんな奏がベルティエを手にする事は、展開上のお約束として解っていても、
自らの力で手に入れた事に心底安心しました。
再び自分の経験と重ね合わせてしまいますが、無理をしても焦っても
何とかなるものではありません。自分に出来ない事を素直に認める事、
自分が何をしたいのか気付く事で私も復帰の糸口を掴みました。
奏=リズムがベルティエを手にするために気が付いた一連の流れ、
メロディの「一人で悩まなくていい」という台詞は、どんな時でも自分が思っている程、
一人じゃないという当時の私に掛けられた言葉を思い出し、
なんというか、言葉にし辛いのですが、その・・・無性に感極まってしまいました。

あまり私の過去の話を交えて書いても仕方ありませんので視点を変えます。
メロディの屈託の無い笑顔での「フィナーレ♪」→「爆発に驚く」という流れも可愛いのですが、
リズムの優雅な「フィナーレ♪」→「静かに立去る」というミュージックロンドのバンクは
これまでに無い新しいもので、違った意味で驚かされました。
静かに立去る姿は仕事を終えたゴルゴ13のような凄みがあり、
奏の恐ろしさを垣間見た気がします(笑)
そして奏の部屋では最初ホルンやヴァイオリンが描かれたポスターに目が向きましたが、
良く見ると枕の横のクッションが肉球であったり、
壁に肉球ブロマイドのようなものが貼られていたりと、
2話以降話題に上らなかった奏の奇妙な性癖を裏付けるものが多々ありました。
果たしてこれ以降も肉球マニアという設定が何か絡む展開はあるのでしょうか(笑)

また、パワーアップという事は当然販促営業を絡めてくるのですが、
冒頭の奏の悪夢の中の描写は、プリキュアを見ている子供達の中で
ベルティエを買って貰えずつまはじきにされている子を見せられたようで、
ある意味えげつなさ(笑)を感じました。
また唐突に挿入されるモジューレ吹きも、以前の時と同様に
落ち込んでるときにオカリナなんか吹いたら余計ブルーになるだろ!と
思わず突っ込んでしまいそうです。

今後の展開を考える上で興味深いのは、
セイレーンとトリオ・ザ・マイナーの間に亀裂が入った事です。
以前からセイレーンは3人を軽んじている描写があり、
彼らがそれに対してどう考えているのかがはっきりとしていませんでした。
しかしセイレーンへの苦言が明確に語られると共にトリオ達の個性もはっきりしてきて、
マイナーランド側の人間関係がどうなるのかが楽しみです。
自分では働かず、手柄を自分の物にして、責任は部下に押し付けると言う
ダメ上司そのままの姿をさらけ出すセイレーン。
その上司であり、ただ怒鳴り散らすだけというどこかの国のトップみたいなメフィスト。
そして意外と真面目に働いているのに理不尽な仕打ちを受けるトリオ・ザ・マイナー。
特にファルセットの髪が心配ですが(笑)、
やはりドラマは敵に魅力が出てくると深みを増すものです。
「親友」という言葉がひっかかったままのセイレーンの立ち位置がどうなるのかも含め、
先の展開が楽しみになってきました。
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横浜学園都市部

ベルティエが無い事に対して苦悩を抱いた奏が、それに立ち直る様子と、スティクスさんの苦労が、シンクロしていたレビューでしたね。

桜ネガトーンとのバトルで、右腕を負傷したメロディですが、それが自分の所為だと嘆くリズムに「リズムが私で私がリズムくらい一緒」って諭したメロディにかっこよさが出ましたね。

フィナーレの件で退場をしたのは、後に2話あとの仮面ミューズ初登場の2回だけで、あとは去ったりはしませんでしたから、そういった意味でも印象に残り易かったです。スーパーカルテットじゃない限りジャンプもしませんね。

余談:実は「駆け巡れ」じゃなくて「翔け廻れ」というのが正しいそうです(「翔け」の方は食玩、「廻れ」はトーンのリングを出すという事で)。
by 横浜学園都市部 (2011-11-02 12:01) 

横浜学園都市部

今回は2回目です。

よくよく考えてみれば、この当時の奏が苦悩を抱いていた背景には、3話前の6話の時の口喧嘩にも表れていましたね。

これから大変な状況が起きそうだと心配するあまりやや直情に走る奏と、当時殆ど深く考えないでいたが故に能天気すぎる響に注意していました。

だからこそ、足を引っ張ってしまうんじゃないのかと苦悩する要素が出来たのではないかと思いました。

残りは上に書かれた感想と同じです。
by 横浜学園都市部 (2012-03-01 15:41) 

スティクス

>横浜学園都市部さん
すみません。1回目のコメントは私がヨーロッパへ行った頃のものですね。
全てのコメントにお返しできずに失礼しました。

さてこの回、私の個人的事情を織り交ぜてしまったのですが、
それだけにこのエピソードの奏には通じるところが多く、
自分と重ね合わせて見てしまったところがあります。
そのために前半のエピソードの中でも愛着があり、
久々に見返した際にもいろいろと考えが膨らんだ一編でした。
もっとも、フィナーレ退場は楽しませてもらいましたが(笑)

>6話の口喧嘩
この頃の2人の関係を見ると、数話後に繋がっていたりして
結構再見すると発見がありますね。
そして終盤の響の姿を知っているだけに、この当時の響を見ると、
その成長が伺えて感慨深いものがあります。
繊細であっても、時に良い意味で能天気だったのが響らしかったですね。
そしておっしゃる通り、奏にとってはそれが眩しすぎたかもしれません。
by スティクス (2012-03-01 23:25) 

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