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プリキュア5 第45話『のぞみとココのクリスマスの誓い』 [Yes!プリキュア5]

プリキュア5の世界でもクリスマスがやって来ました。
しかしプリキュアシリーズに置いては一年の総決算が近い時期でもあるため、
今シリーズでも他のシリーズ同様、重い空気が漂います。
大切な人の夢を叶える事が、即ち大切な人との別れの時。
数話前からクリスマスセールの準備に勤しみ、楽しいイベントの一つとして
脳天気に楽しんでいたのぞみが、間もなく訪れる不可避な別れを知った時、そこには・・・
 
いつの間にか(笑)54のピンキーを集め、残るピンキーはあと一つ。
ピンキーをキャッチュした場所は、良く見ると見覚えのある所、
美久さんの挙式が行われたチャペルです。
その前に立つクリスマスツリーは夜になるとライトアップされ、
ムードを盛り上げるように雪が降ってきました。
明日のクリスマスイヴはホワイトクリスマスになると無邪気にはしゃぐのぞみを見つめるココは、
この世界に居られるのもあと少し、と複雑な表情を浮かべます。

予報通り町は雪に包まれ、ナッツハウスの前で雪だるま作りに興じるみんな。
『もうすぐ夢が叶うね。楽しみだね、ココ!』
それが何を意味するのか、のぞみはまだ気付いていません。
王国が蘇った後、ココかナッツのどちらかが王様に就任する予定です。
ナッツは国民の悩みを聞いてきちんとアドバイスできるとココを推し、
ココも強い信念の持ち主で誰に対しても毅然とした態度を取るナッツを推し、
互いに相手を推薦するうちにヒートアップして雪合戦を始める2人。
『王様になってもこっちに遊びに来てね』
のぞみの何気ない一言で、雪合戦の手が止まります。
王になれば、王子の時とは異なり国民の支えとして常に国に居なければなりません。
『そうよね・・・じゃあやっぱりお別れする事になるのね』
こまちの言葉で、のぞみもようやくその事に気が付きました。
『解っていた事ですけど、寂しいですね』
『でもふるさとに帰って王国の人たちと暮らす事が一番の幸せよね』
『ピンキーももうすぐ全部集まるだろうし』
のぞみを除くみんなはとっくに気が付いていましたが、
やはり口に出すのは怖かったのか、皆寂しそうに口を開きます。
夢を叶えたら、パルミエ王国が蘇ったら、ココ達との別れが来てしまう。
しばし間を置いて、のぞみも口を開きました。
『そうだよね。ふるさとに帰るのは当たり前だよね。そのために今まで頑張ってきたんだし・・・』
空元気を振り絞るようなのぞみの声に、ココは力なく頷く事しかできません。

一方ナイトメアでは、ハデーニャさんも敗れ去った事で失望感を滲ませるカワリーノと、
無理矢理仮面を被せた事を非難するブラッディ氏が静かに火花を散らしています。
『カワリーノ。お前の目的は一体何だ』
『デスパライア様のために働く事。それ以外に目的などあるんですか?』
古参幹部であるブラッディ氏はカワリーノが幹部になってからの
ナイトメアの方針に意を唱えながらも、結果を出すと言い残して出撃。
密かにブラッディ氏を応援していたブンビーさんに、カワリーノの冷たい言葉が突き刺さります。
『デスパライア様のお役に立てない者に、いつまでも居場所があると思ったら大間違いですよ?』
カワリーノが立去った後、周囲の何も言わぬ者たちに明日は我が身だと同意を求めるも、
絶望しきっている者達にはブンビーさんが何を言っても反応がありません。

ナッツハウスはクリスマスセールの真っ最中です。
レジを担当するのぞみは明るく振舞っていますが、
りんちゃんは無理して明るく振舞っているのぞみが痛々しくて見ていられません。
みんなも別れが来る事に対して当然寂しさを抱いていますが、
のぞみがココと出会ってから全てが始まったため、
一番辛いのはのぞみなのだと認識しています。
そしてそれは、ナッツと共に雪下ろしをする小々田先生も同じ事です。
『お前はいいのか?のぞみと離れて』
ふと手を休める小々田先生に、雪よりも重くナッツの問いかけが圧し掛かりました。

閉店後、ココ達3人はみんなへのささやかなお礼として手作りケーキを振舞います。
飲み物を準備して、乾杯の音頭を取ろうと立ち上がるのぞみ。ですが・・・
ケーキに書かれた「ありがとう」の文字を前に、
様々な想いが込み上げたのか、なかなか乾杯を切り出すことが出来ません。
気を取り直して何とか乾杯を済ませたものの、
誰よりも食い意地が張っている筈なのに今度はケーキが進みません。
『ありがとうって文字見てたら、思ったの。あとどれくらい、こうしてココ達と居られるのかなって』
心配するみんなに心情を漏らすのぞみ。ナッツハウスに重い空気が流れます。が・・・
『これで最後だよ』
いつのまにかナッツハウス内にブラッディ氏が姿を現していました。
ナッツハウスそのものをコワイナー化するブラッディ氏。
みんな外へ逃げるますが、ココ、ナッツ、ミルクはブラッディ氏お得意の
空間コワイナーから伸びる腕によって囚われの身になりました。
ココ達を助けるべく、変身する5人。

さすが老獪なブラッディ氏、これまでの戦いでプリキュア5の弱点を見抜いていました。
5人の中心にある柱が倒れれば崩壊すると、ドリームに狙いを定め、
本来の姿であるコウモリ男の姿となって襲い掛かります。
(普段の老紳士姿の方が強そう、というよりコウモリ男姿が異様に貧相なのですが・・・)
他の4人にはコワイナーが迫り、ドリームを援護に行けない間にも
ブラッディ氏は弱そうな見た目に反して素早い動きでドリームを追い詰めて行きます。
火の粉を払うように戦うドリームの眼前に迫り、その瞳を覗き込んで
ブラッディ氏お得意の巧みな話術が精神的にもドリームを追い詰めて行きます。
『お前の心には迷いがある。この先どうなってしまうのか。本当にこれで良いのか。
 自分の夢に疑問を抱いている』
迷いを振り払うようにブラッディ氏を振り切ろうとするドリームですが、
ブラッディ氏の言葉は淡々と、しかし確実にドリームの心にダメージを与えて行きます。
『お前は夢を叶える事によって大切な人との別れが来る事を知ってしまった。
 このまま夢が叶わなければ分かれなくて済む。そう思っただろう?』
それでもブラッディ氏の言葉を拒むように抗うドリームですが・・・
『夢と大切な人。どちらも失いたくない。
 お前は悩み、迷い、そして考える事に疲れ全てを拒絶する。それが絶望と言うものだ!』
その攻撃を軽々とあしらい、投げ飛ばすブラッディ氏。
そこにコワイナーを押し留めた4人が割って入ります。
ドリームは、一人ではありません。

迷って当たり前、立ち止まってもいい、すぐに答えは出なくても、
いつでもドリームの力になると励ます4人の言葉を、
そして駆け寄るココの無言の瞳を見て、ドリームは再び立ち上がりました。
確かに迷っていた事を認めつつ、パルミエ王国を滅ぼしたナイトメアへの怒り、
そしてパルミエ王国を蘇らせる事こそがココにとって一番良い事であり、
ココの夢をどんな事があっても叶えて見せるとクリスタルシュートでコワイナーを撃退。
ブラッディ氏も撤退し、そしてナイトメアでは・・・
カワリーノがデスパライアに、あと一つで全てのピンキーが集まると報告していました。

雪はしんしんと降り続けています。
もう夜も遅いため、坂本さんの車でみんな家まで送ってもらうことになりますが、のぞみは・・・
『・・・おやすみ』
『うん。バイバイ・・・』
そのまま一人雪道を行くのぞみの後を追うように、ナッツが小々田先生を促します。
みんなが坂本さんの車で帰って行った後、雪を踏みしめながら静かに歩く2人。
途中誰も通っていない雪道を見つけ、2人で最初の足跡をつけて無邪気にはしゃぎますが、
『この足跡、雪が解けたら消えちゃうんだよね・・・』
ココとの日々も消えてしまうかのように浮かないのぞみに、
小々田先生は雪が解けても残るものは何かと久々に問題を出します。
その答えは「思い出」。
『のぞみと一緒に歩いた事は、忘れないよ。雪が消えても絶対に』

道の先にはあの教会と、そしてライトアップされたツリーが灯っていました。
小々田先生は、のぞみがツリーを見上げながら笑顔のまま涙を流している事に気付きます。
泣いている事に気付き、後ろを向いて涙を拭うのぞみですが、その涙は止まりません。
『私、嬉しいんだよ。ココの夢を叶えたくて、今までみんなで頑張って来て、
 もうすぐその夢が叶うんだもん。本当に、本当に・・・嬉しいのに・・・』

次第に涙で言葉が詰まるのぞみに、小々田先生はパルミエ王国の素晴らしさを、
そしてすべてが失われ、悪夢の日々からのぞみが救い出してくれた事を語りました。
のぞみの笑顔が僕にもう一度勇気をくれた事。
『あの時から僕の中で、のぞみの笑顔はずっと輝き続けてる。
 仲間を思う強い心。夢を諦めない大きな勇気。
 のぞみ、本当にありがとう。ここまでたどり着けたのは君のおかげだよ』
初めて会った日の、ギリンマ君との戦いの事
絶望の仮面に覆われたドリームを抱きしめた時の事
南の島の星空の下での事銀杏並木の道での事・・・
さまざまな思い出が蘇る中、のぞみは涙ながらに本当はココに居て欲しいと本音を漏らします。
それでもパルミエ王国のために帰らなければならない事も解っており、
板挟みに苦しみ涙するのぞみに、
小々田先生は今のぞみといる時間を大切にしたいと優しく語り掛けました。
『私も、ココと一緒に居る時間が大好きだよ』
涙を拭うのぞみ。見つめあう2人をツリーが、柔らかな灯りの灯る教会が、
そして静かに降る雪が見守っています。


プリキュアシリーズのクリスマスと言えば
キュアフラワーの衝撃復活、というハートキャッチでのサプライズが記憶に新しく、
他にも本物のサンタ登場(5GoGo)、まさかの敵同士のカップリング成立(SS)
遊園地でのひととき(MH)雪だるまマニアだった藤P(笑)(初代)と、
イベントらしさを楽しめる展開も見受けられます。
その反面、シリーズ最終盤に位置するため、重い内容が影を落とす展開でもあります。
今回は「別れ」を中心に据える事で特に重く、
ラストシーンの明るいツリーと笑顔のまま涙を流すのぞみが実に悲しく、
同様に「別れ」を描いたフレッシュと並ぶシリアスなクリスマスとなりました。

のぞみの心理を中心に描くため、
別れを比較的冷静に捉えている4人がややドライに感じられる面もありますが、
(特にこまちは2話の間でナッツと別れる事の整理をつけたとは考えにくいのですが・・・)
そのためにのぞみの心のダメージがより引き立っています。
そして今回、その揺れる心を「間」や「眼」で現す表現が際立っており、
演出面でも優れた一編だと思います。

39話でココが43話でこまちが向き合ったこの問題は、
解決できるどころか最終目標に近付くにつれて大きくなるという、実に厄介な代物です。
今回も、そしてこれから最終回に向けても、最終回でも解決しないものですが、
不可避な別れを嘆くのではなく、
共に過ごした日々の思い出として前向きにさせる展開は、
今のこの状況下に於いて勇気付けられた気がしました。
あの日以来、平穏だったあの日以前が妙に懐かしく思えてしまう現実が続いていますが、
その思い出を単なる思い出ではなく、そこから前へ向かっていこうと肯定する姿勢が得られ、
また明日から、思い出が今に繋がるようにして行こうと感じた次第です。

さて、のぞみの心を巧みに追い詰めるブラッディ氏の語り口も流石なのですが、
その真の姿がなんとも弱そうで、普段の老紳士姿の気品が感じられず、
ギリンマ君より格下に見えてしまうのがなんとも残念です(苦笑)
それはさておき、ブラッディ氏がドリームを追い詰める際の言葉のうち、
「お前の心には迷いがある。この先どうなってしまうのか。本当にこれで良いのか」
という台詞は、ブラッディ氏自身がナイトメアに対して抱いている気持ちのようで意味深でした。
その予感は次回、悪い方向へ的中してしまいますが・・・

遂に全てのピンキーが揃う時、
ブンビーさんが、ブラッディ氏がナイトメアから居場所を失い・・・
歯止めを失ったカワリーノの暴走は最悪の展開を巻き起こしていきます。
現実がこんな状況の中、少々見返すのがしんどい展開となりますが、
そこから前に向かう力を貰いながら進めて参ります。引き続き宜しくお願い致します。
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