キュアミューズは一体誰なのか・・・?響と奏は調べの館で頭を悩ませていました。
モジューレを持ち、フェアリートーンと共に居るのならばプリキュアの筈なのに、
誰の味方でも無いという発言や、なぜ顔を隠しているのかが解りません。
きっと恥ずかしがり屋なのだとド天然ぶりを披露するハミィも
新しいプリキュアが来るなどとは聞いておらず、謎は深まるばかりです。
突然ハミィは普通のネコのフリを始め、知らない事を誤魔化しているのかと思いきや、
それは音吉さんが様子を伺っている為でした。
慌てて孫の話を振る響と奏ですが、
以前と異なり反応がありません。
しかしミューズとはどういう意味かという質問には、答えが返ってきました。
ミューズ。それは、音楽の女神です。
ハミィはアフロディテに問い合わせてみますが、そのアフロディテも良く知らなそうな雰囲気です。
知ったかぶりを隠すように平静を装いながら、逆にハミィに状況を詳しく尋ねました。
フェアリートーン劇場のはじまりはじまりです。
先日ネガトーンとの戦いで窮地に陥ったメロディとリズムを助けてくれたのがキュアミューズで、とても強かったと紙人形劇を駆使して説明。
『そのキュアミューズ、何か言ってた?』
アフロディテはミューズが何を言ったのかを妙に気にかけており、
誰の味方でも無いと言っていたと聞いて、何か心当たりがありそうです。
重ねてミューズ自身は一言も喋らず、
フェアリートーンが代弁していたと聞いたアフロディテは
新しいプリキュアが現れたという事は敵も手強くなる証拠だ、と急に話を逸らし、
メロディとリズムにもっと強くなって欲しいと伝えるよう、一方的に会話を打ち切りました。
『音楽の女神キュアミューズ、ねえ・・・』
優雅にお茶を飲みながら思いを巡らせるアフロディテ。何かを知っているようですが・・・
何も手掛かりらしい物を得られなかったハミィは、
迷うことなくセイレーンに聞いてみようと考えてネコの寄り合いの場に顔を出しました。
ところが周囲のネコ達も、最近セイレーンの姿を見ていません。
ネコ達はハミィとセイレーンが仲が悪いと思っていたようですが、
ハミィ自身は昔から仲良しだと疑う事無く言い切りました。
しかし、セイレーンは一体どこへ行ったのでしょうか・・・?
マイナーランド陣営も同様、バスドラがメフィストに報告しています。
バスドラはセイレーンが人間に興味を示したり、命令に反抗的だったという事例を挙げて
セイレーンがキュアミューズとの疑念を固めていました。
決定的な証拠としてセイレーンが姿を消すと同時にミューズが現れた事、
そしてミューズ=音楽の女神という名前からも、
歌姫と称するセイレーンが考えそうな名前だと推測。
セイレーンが裏切ったと確信して報告しました。
セイレーンの後釜に不幸のメロディの歌い手就任を期待しているバスドラを、
メフィストは偉そうな口を叩くのはプリキュアを倒してからと一喝。
打倒プリキュアとセイレーンの捕縛を誓うバスドラとの会見を打ち切りました。
『女神、か・・・』
ペロペロキャンディをしゃぶりながら想いを巡らせるメフィストも、
アフロディテ同様、何かを知っていそうな雰囲気です。
響も奏も、ミューズの目に何となく見覚えがありました。
案外近くにいるのかもしれないと考える2人には、共に心当たりがあります。
それぞれ心当たりを当たってみようとした矢先、響を和音が迎えに来ました。
今日の2人はバレーボールの助っ人です。
バレーボールといえばブルマ!ブルマ!見事なスパイクを放つ和音の身のこなし、
そして野球の時の『響が困っている時はいつでも助けるからね』
という言葉から、響は和音がミューズではないかと考えていました。
考え事をしている響にスパイクのボールがぶつかりそうになるのを受け止める和音。
『キュアミューズって、もしかして・・・?』
響はまじまじと和音を見つめてそう考えるも、それ以上聞くことが出来ません。
奏が気になっている人とは、スイーツ部長の東山聖歌先輩です。
スポンジケーキ作りに失敗した事を互いのせいにして責め合う部員達の険悪な雰囲気を、
どちらの肩を持つでもなく、どちらも信じているとたちまち鎮める聖歌先輩。
その手腕だけでなく、『どちらの味方でも無いわ』という言葉に
奏は
先日のキュアミューズの発言を重ね合わせました。
『失敗した事を責めてもしょうがないわ。大切なのはそこから何が出来るかを考える事よ』
硬くなってしまったスポンジケーキを逆に利用して見事なスイーツを作り上げ、
優しい笑顔を浮かべる聖歌先輩に、奏もまたそれ以上聞くことが出来ません。
その頃ハミィは頼りがいのあるリーダーだと自称しながらも、
響と奏に誤解されているとため息をついていました。
それが客観的にどうなのかは、フェアリートーン達の反応が如実に物語っています。
改めてミューズが引き連れていた「ドドリー」とは誰なのか、
高い「ド」の事だと言われて改めてフェアリートーンの人数を数え、
一人足りないと焦るハミィに、最初から居ないと冷静に突っ込むフェアリートーン達。
頼りないと言われて落ち込むハミィですが、
カップケーキを食べるとすぐ立ち直るなどと、すっかり手玉に取られています。
とはいえ、フェアリートーン達は同じ姿をしているドドリーもきっと仲間だと確信していました。
紙人形のミューズを見上げるハミィ。結局、何も解らないままです。
トリオ・ザ・マイナー達もセイレーンを探しています。
しかしいつの間にかリーダーの権威を振りかざすバスドラに対して
リーダーなら率先すべきともっともな反論をするバリトン、
その間でオドオドするファルセットと、これまで対等だった彼らの間にも
微妙な隙間が生まれ始めていました。
『チームって難しいですねぇ・・・』
『結局、リーダーがしっかりしていないと纏まるものも纏まらないのさ・・・』
伸びをしたり、カニと戯れたりして息抜きしているファルセットとバリトン。
いつの間にかその隣でハミィもダメなリーダーだとため息を付いていました。
セイレーンがプリキュアになったかもしれないと口を滑らせてしまうファルセットを
注意するバリトン。その時、停まっていた車のミラーに音符を見つけます。
しかし手柄を横取りしようとするバスドラとモメる羽目になりました。
チームのものはリーダーのものなどとジャイアニズムを持ち出すバスドラ、
ケチケチしないで下さいと譲らないバリトン。
そんな事をやっている間に音符をハミィに奪い取られ、バスドラは車をネガトーン化します。
早速現れるキュアミューズ。おもむろに仮面を外すとその素顔は和音?
と思いきや、これは響の想像の光景です。
同様に奏も仮面の下の素顔で東山先輩を想像し、やっぱり聞けないと
2人してため息を付いていたところ、町のほうから悲鳴が聞こえてきました。
車のネガトーンが町に不幸の音を撒き散らかして走り回る様を見て、変身。
ネガトーンに指示を出すバスドラ。てっきり車の運転席にいるのかと思いきや、
必死に自転車を漕いで併走しながら指示していました。
そしてモノレールの軌道上を走って登場するメロディとリズム。
追い、追われ、併走し、走りながらの斬新なバトルが始まります。
速度の速いネガトーンの動きに、何も言わずとも互いの考えを察する2人。
リズムが先行し、その間にメロディはネガトーンを引き付けて走りました。
モノレールの桁に引き付けて駆け上り、メロディを追って宙に飛んだネガトーンを、
下から華麗に蹴り上げるリズム。
どんなに速くタイヤを回しても、地面から離してしまえば空転するだけです。
見事作戦が的中し、そのまま2人のミュージックロンドでフィナーレ、と思いきや・・・
ミュージックロンドは車のバックミラーに跳ね返され、
反撃を受けて地に叩きつけられる2人。
バスドラは同じ技は何度も通じないと強気で、セイレーンのように甘くないと豪語し、
2人に容赦なく車を突進させます。危機に見舞われる2人。
その時、再び絶妙のタイミングでミューズが割って入りました。
工事現場でおなじみのトラバリケードを立てて車を止め(笑)
華麗な戦いぶりでネガトーンを圧倒します。
ベルティエが効かなかったというリズムに、
どんな技でもいつも同じでは破られてしまい、
ベルティエの形の意味を考えるようアドバイスするドドリー。
無言のままですが、それはミューズのアドバイスでもあるのでしょう。
『どっちからでも持ちやすいとか?』
的外れのメロディにだめだこりゃ、とばかりに呆れ顔を見せるミューズ。
正解は、ベルティエの反対側にもフェアリートーンが入る事です。
メロディは早速ラリーを招き入れ、真ん中から2つに割れるベルティエを
マラカスのように振って新たな技を繰り出しました。
『溢れるメロディのミラクルセッション。プリキュア・ミラクルハート・アルペジオ!』
ハート型のエネルギーがネガトーンを包み込みます。
リズムもレリーを招き入れて続き、2つのハープを駆使して新たな技を披露します。
『弾けるリズムのファンタスティックセッション。プリキュア・ファンタスティック・ピアチェーレ!』
2人のハート型のエネルギーがネガトーンを包み、いつものように3拍子。
そしてフィナーレ。見事ネガトーンを仕留めました。
ハミィもかなり音符が集まってきた事を喜びます。
立去ろうとするミューズに礼を言い、そして一体誰なのか訊ねる2人。
『私はまだ仲間にはなれないドド』
それ以上は答えず、背を向けるミューズに、バスドラの声が響きます。
『待て!セイレーン!』
寝耳に水の事態に驚くメロディとリズム、戸惑いを隠せないファルセットとバリトン、
そして確信しているバスドラ。三者三様の反応を示す中、無言で立去るミューズ。
果たして本当にセイレーンがプリキュアになったのか。
それとも別の誰かなのか・・・謎は深まるばかりです。
冒頭で触れたように、今回は
フレッシュ第14話の展開を懐かしく思い出しました。
この時はアカルンと新たなプリキュアの存在が明らかになり、
動物の声を聞いたりネコと戦ったりと楽しげな雰囲気の中で捜索が繰り広げられました。
今回も同様、どことなく楽しげな雰囲気の中でミューズの正体についての推察や、
「チーム戦」についての懸念を人形を用いて説明したウエスターさんを思わせる
フェアリートーンによる紙人形劇も独特の絵柄と相俟って楽しめました。
他にも手柄を横取りされた格好になったウエスターさんとバリトンが重なったり、
懸命に後を追い続けるウエスターさんと自転車を必死に漕ぐバスドラが重なったり、
カオルちゃんとミユキさん、和音と東山先輩がミスリード要員として重なったりと、
あの時のエピソードが懐かしく、そして楽しく思い起こされます。
そして後半部のアクションパートは、フレッシュでは最初で最後の3対3のバトルが、
今回はFF6の魔列車戦のような走りながらのバトルがそれぞれ斬新で、
この面でも楽しめたエピソードだと思います。
さて、和音と聖歌先輩はミスリード要員としてはやや唐突感が否めませんが、
サブキャラクターとしての立ち居地が際立っていました。
特に聖歌先輩の今回の振舞いは、部長=上に立つ者=リーダーとして、
バスドラやメフィスト、さらにアフロディテ以上の器の大きさを見せています。
ミューズの謎、ベルティエの新機能や新たな必殺技も見どころですが、
今回のメインテーマは「リーダーの素質」という事だと思います。
ただ怒鳴り散らすだけのメフィスト、リーダーになると同時に傲慢さを現すバスドラ、
知ったかぶりや隠し事(のような素振り)など、善玉のトップにしては異質なアフロディテ。
彼らと比べて、聖歌先輩の互いの顔を立てることも潰す事もせず、
失敗したものから新たな発想を生み出す手腕は実に鮮やかでした。
こういう人をトップに抱くスイーツ部員達は幸せ者です。
響との信頼関係が心地良い和音ともども、個性豊かなサブキャラクターとして
プリキュアではなくとも更にストーリーを彩る事を大いに期待します。
それに反し、本来味方側のトップに立つ存在でありながら、知ったかぶりで誤魔化し、
色々と隠し事をしているようにも見えるアフロディテのキャラクターは異質です。
第1話以来久々の登場となる彼女ですが、やっている事はメフィストと大差なく、
本当にこの人は善玉なのかと、ミューズの正体とは別に新たな謎を抱きました。
そしてメフィストともども、何となくミューズの正体に心当たりがありそうな素振りから、
共通の知り合い=セイレーンという風に結びつく気がしないでもありません。
しかしあまりにもあからさまにセイレーン説が作中で提唱されているので、
予測が難しくなり、それ故に先の展開が読めなくなるのは大いに歓迎したいです。
それにしてもハミィがリーダーのつもりだったとは意外でした。
その性格ゆえに嫌な気は起きませんが、こんな天然で大丈夫なのでしょうか(笑)
ともかく楽観的で裏表が無いというハミィの性格自体もリーダーとしては相応しいものでしょう。
特にセイレーンの事を疑いもせずに友達だと信じ、
敵である筈のファルセット、バリトンに対しても
一切の邪念を持たずに接する事が出来るのは、特筆すべき点だと思います。
人を見たら悪人と思うのではなく、
善人と思って接するというのは誰にでも出来る事ではありません。
今回は悩む素振りもありますが、基本的に脳天気なハミィのこの特性が、
もしかしたらマイナーランドとメイジャーランドの橋渡しになるのかもしれません。
第12話にして既に2度目のパワーアップを果たす2人。
やや販促と強化のペースが速い気がしますが(苦笑)
相変わらず屈託の無い笑顔が眩しいメロディ、
たおやかな中にも凛々しさを感じさせるリズム、
互いの技のバンクは見ていて楽しく、次は何をやってくれるのかと期待しています。
パッショナートハーモニーが見られなくなったのは少々残念ではありますが・・・
私は「まだ」仲間になれないという発言が意味深なミューズ(ドドリー)、
そもそも最初から派遣されていなかったドドリー自体の存在、
そして
大の孫煩悩だった筈の音吉さんが「孫」の話題に反応しない等、謎は深まるばかりです。
セイレーンのみならずアコも全く出て来なかったり、
あのセイレーンがネコの寄り合いに出席していたなどと言う楽しい想像力を
抱かせる描写もあり、深まる謎と共に連休前に気軽に楽しめる一編でした。