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映画 ふたりはプリキュア Max Heart2 雪空のともだち [プリキュア劇場版]

シリーズ後半に劇場公開された作品だけに、初代からMH後半に至るまでの
総括ともいうべき内容がぎっしりと詰め込まれた劇場版第2作。
なぎさとほのかはこの2年間で、ひかりは1年間でどう成長し、どう助け合い、
どう衝突し、どう壁にぶつかり、どう乗り越えるのかを、
最終回とは異なる語り口で見事に描ききった秀作です。
そして一方では・・・あまりの衝撃の大きさ故に今後封印されてしまう、
プリキュア同士の本気の戦いが描かれてしまった作品でもありました。
 
月光に照らされた雲海の上を、卵を抱いた老人を乗せたムササビが飛んで行きます。
ムササビは老師に卵を落とさないよう釘を刺しますが、
老師は案の定船を漕ぎ始め、抱えていた卵を雲海へと落としてしまいました。
森の動物達が見上げる中、雲の下の雪山に光が差し、静かに落ちてくる卵。
そしてその気配を闇の深淵で感じ取る2つの影がありました。
ココとギリンマ君、もといフリーズンとフローズンが、吹雪と共に立ち上がります。

スキー場に臨時出店しているタコカフェの手伝いに精を出すひかり。
アカネさんに頼まれて車へソースを取りに向かう途中、
雪の上を楽しげに飛び回るポルンとルルンを微笑ましく見守っていると、
雪の一角が光っているのを見つけました。そこには大きな卵が落ちています。
ほのかに暖かい卵を拾い上げると、ひかりの手の中で卵にヒビが入り、
柔らかな光と共に卵が孵りました。見たことも無い雛鳥が、ひかりの手の上で産声を上げます。

木俣のおじさんの旅館に招待されたいつもの面子がスキー、スノボを楽しんでいます。
藤Pは見事なテクニックでハーフパイプを滑りこなし、
木俣も負けじとほのかにいい所を見せようとしたのか、得意げに滑降していきますが、
ほのかは木俣よりもスキーが上手く、華麗にシュプールを描いていきます。
志穂、莉奈もスノボを楽しみ、皆が思い思いに興じていますが、
スポーツ万能のなぎさはといえば・・・
水泳同様ウィンタースポーツもなぎさにとっては鬼門で、
初心者コースでおっかなびっくり、あえなく転倒して雪に埋もれました。
ほのかに救い出されたなぎさは、藤Pに気遣われて慌てて立ち上がり、
初心者で足手まといだと申し訳なさそうです。
藤Pはそんななぎさに、怖いと思って腰が引けているから転んでしまうとアドバイスし、
勇気を持って胸を起こすように助言して再び滑降して行きました。
『私、スノボのセンスないかも・・・』
自信を無くしかけているなぎさを励ますように、ほのかはその手を取ります。
『諦めるなんてなぎさらしくないわ。何度転んだっていいじゃない。
 なぎさなら絶対上手くなるわ。私が保証する』
なぎさも笑顔でうなずき、ほのかの手を握り返しました。
この時の2人からは、この後修羅場を迎えてしまうなどとは伺い知れません。

ひかりが連れ帰った雛鳥に、みんなから可愛いと歓声が上がります。
しかし博識なほのかでさえも、それが何と言う鳥なのかわかりません。
ペンギンではないかと言ったり、ポチという名前を付けようとするなぎさに
まるで言葉がわかるかのように反発する雛鳥の名前を、
ひかりは既に「ひなた」と名づけていました。
まるでぽかぽかした日なたにいるように暖かい体をしているのがその由来ですが、
ここでもまたなぎさのとんでもないネーミングセンスが・・・
『暖かいなら「ストーブ」とか「コタツ」とかのが良くない?』
そんな提案をした言葉が解っているかのように、なぎさの指に噛み付くひなた。
そしてその頃、旅館の裏手では卵を探し回るムササビと老師の姿がありました。

さて、なぎさはゲレンデに戻りスノボの練習を始めますが、一向に上手くなりません。
派手に転んで少々嫌気を覚え始めたなぎさに、周囲の客がほのかと藤Pに
見とれて歓声を上げるのが追い討ちを掛けます。
美男美女の組み合わせだけでなく、スキー・スノボの腕も見事な2人を
お似合いカップルだと評する声を聞いて、なぎさはすっかり投げやりです。
メップルに背中を押されても、練習を続ける気が起きません。

そしてタコカフェでは、ひかりは滑ってたこ焼きを落としてしまいました。
アカネさんは気にせずフォローしますが、片付けに裏へ回ったひかりは少し落ち込んでいます。
その頃店の裏では、ポルンとルルンに励まされながら
ひなたが必死に飛び立つ練習をしています。
何度飛ぼうとしても飛び立つことが出来ず、それでも懸命に羽ばたき続けるひなた、
それを応援するポルンとルルンの姿を見て、ひかりは少し前向きになります。
『そうだよね・・・落ち込んでても、何も良くならないよね』
自分に言い聞かせるように呟くひかり。
ところが林の奥からフリーズンとフローズンがひなたを発見し、
突如立ち上る闇の気配と共に雪だるまがザケンナーとして襲って来ました。

『なぎさ、どうしたの?滑らないの?』
『疲れちゃった。アカネさんとこ行ってるね・・・』
気遣うほのかを無下にあしらい、なぎさはボードを手に雪の上を歩き始めます。
ほのかはなぎさのやる気を出そうと励ましながらスキーで後を追いますが、
すっかり投げやりのなぎさにはのれんに腕押し状態です。
『でも、みんなと一緒に滑ると楽しいわよ』
その言葉で藤Pとお似合いだった先ほどのほのかを思い出し、なぎさの足が止まります。
『・・・楽しいだろうね』『ね、だからもう少し頑張りましょうよ』
なぎさとほのかの間には何ともいえない温度差がありますが、
それに気付いていないほのかは、あの時と同じように余計な一言を漏らしてしまいました。
『なぎさだって凄く楽しみにしてたじゃない。
 それって藤村君と二人で滑りたかったからじゃないの?』
直後、たまたまリフトに乗った藤Pが2人の頭上を越えて行きました。
『ほのか!私そんな事言ってない!』
一番他人に代弁して欲しくない事を言われ、更に藤Pに聞かれてしまったのではないかと
気が気ではなく、なぎさは激しく反発して林へ向かって雪の上を走り始めました。
なぎさの一番敏感な部分に触れてしまった事を察したほのかはすぐに謝り、
スキーでなぎさの後を追いますが・・・
『ほっといてよ!!』
なぎさには心の余裕がありません。しかしモメてる場合ではなく、
メップルとミップルは邪悪な気配を感じ取りました。

ひかりはひなた、ポルン、ルルンを抱えてザケンナーから逃げ回るも、
木々をなぎ倒して追ってくるザケンナーに次第に追い詰められて行きます。
へし折られた木がひかりの背後から迫り、絶体絶命のその時、
間一髪で飛び込んで来たなぎさとほのかがひかりを助け、
ザケンナーがスキー場にいる事に疑問を抱きながらも
なぎさとほのかはプリキュアに、ひかりはルミナスへと変身しました。
ムササビと老師が、フリーズンとフローズンが見つめる前で、
ザケンナーとの戦いが繰り広げられます。

鬱憤を晴らすように早速パンチを叩き込むブラックに続き、ホワイトも蹴りを叩き込みます。
しかし起き上がったザケンナーはプリキュアに反撃するのではなく、
ひなたを執拗に狙っています。ブラックはひなたに迫る拳を受け止めますが、
ザケンナーの背後からホワイトが蹴りを叩き込んだため、拳に押される形になりました。
拳を掴んで投げ飛ばすブラックですが、ザケンナーが振り回す腕が
今度はホワイトに直撃してしまう格好で、2人の息はどうも合っていません。
その間にもザケンナーはひなたを追い続けます。
ルミナスは息の合わない二人に戸惑いながらもひなたを、プリキュアを助けるべく
ハーティエルアンクションでザケンナーの動きを止めました。
そしてザケンナーをマーブルスクリューMAXで無事仕留めますが、
ルミナスが指摘する2人のぎこちなさは、戦いが終わった後も変わりません。
気まずい雰囲気を残したままのブラックとホワイトを、林の影からフリーズンとフローズンが
世界で一番のコンビは自分達だと自賛しながら、密かに伺っていました。

その夜、ほのかはさなえさんに電話を掛けています。
何気ない会話なのですが、流石はさなえさん。ほのかが少し元気が無い事を見抜き、
誰かとケンカでもしたのかとそれと無く訊ねました。
図星を付かれたほのかは誤魔化すも、目が泳いだり電話のコードを丸めたりと落ち着きません。
平静を装って受話器を置いた後、寂しさが込み上げてきたように俯きます。

一方のなぎさも客室の広縁でほのかに八つ当たりした事を一人後悔していました。
風呂上りの志穂と莉奈は、反省しているなら謝れば良いとアドバイスするも、
なぎあは簡単に謝れたら悩まないと踏ん切りがつきません。
『ふーん。じゃあ、なぎさと雪城さんは偽者だったんだ』
そんななぎさに、莉奈は髪を拭いながら語りかけます。
『友達って本物と偽者があると思うんだよね。楽しい時に一緒に笑っていられるのは簡単だよ。
 でも、いつも楽しいことばかりじゃない。
 辛い事があった時とか、何かトラブルがあった時とか、ケンカした時とか、
 そういう時に解ると思うんだ。お互いが本物の友達かどうか。
 ちょっとケンカしたくらいで別れるなら、偽者の友達だったって事だよ』
『偽者じゃないよ!』
タオルを手に部屋を出るなぎさを気遣う志穂に、あんなのケンカの内に入らないと莉奈。
『本当にケンカすれば、相手を嫌いになったり怒ったりするでしょ?
 でもなぎさは雪城さんの事全然嫌いになってないし、ほっといても平気だよ』
いったい莉奈に何があったのか(笑)。大人の対応でなぎさを見送ります。

『どうして私、こうなんだろう・・・』
ほのかは温泉へ向かう渡り廊下で、踏ん切りがつかず自分を責め、自己嫌悪に陥っていました。
それでもミップルにすぐ仲直りできると励まされ、謝ろうと考えて温泉へ向かいます。
同じ頃、温泉へと向かっていたひかりと共にいるポルンが、何者かの気配を感じていました。
廊下で鉢合わせるなぎさとほのか。あまりに唐突過ぎて互いに上手く言葉にならず、
意を決して口を開いたとき、ひなたの鳴き声が聞こえ、急いで声のほうへと駆けつけます。

ひなたと共にいるのは闇の者ではなく、ひなたに頬ずりしている老師とムササビのムタ。
何者かと聞かれた老師は、説明もそこそこに懐から種のようなものを取り出すと、
たちまち長く伸びる植物によってなぎさ、ほのか、ひかりは天高く連れ去られていきました。
そしてその植物を不敵に眺めるフリーズンとフローズンの姿も・・・

気が付くとそこは雲の上の世界、雲の園です。
3人は改めてムタと老師に、鳳凰を守った事の礼を言われるもピンと来ませんが・・・
『僕の事』
突如ひなたが口を開き、人間の言葉で喋り出しました。
ひかり、ポルン、ルルンを友達だと歓迎する一方、
ポチやストーブなど変な名前をつけようとしたなぎさとは相性が悪いようです。
『許してあげてください。なぎさに悪気はなかったんです』
『ほのかいい子。なぎさほのかの友達。だから、許す』
ほのかの取り成しで事なきを得るものの、「なぎさほのかの友達」と
ひなたに評された当人同士は未だ気まずさを隠せません。

ムササビの国民達に歓迎され、綿菓子のような食事でもてなされる3人。
老師とムタは雲の園や鳳凰について事情を説明します。
鳳凰の住まいである雲の園は、全体を厚い雲に覆われて常に空を漂っており、
ラピュタよろしく簡単には見つけられない事。
鳳凰は世界や人の心を暖める存在で、寿命を追える前に卵を一つだけ産む、
すなわち鳳凰は常に世界に一羽しかいない事。
もし鳳凰の身に何かがあれば世界は闇と寒さに包まれてしまいますが、
ひかりとポルンはその事よりも、ひなたが一人ぼっちだという事が気がかりです。
ポルンにはルルンとひかりが、メップルにはミップルが、なぎさにはほのかがいるけど、
ひなたにはいつも一緒にいる友達が誰もいないと特に心配するポルン。
その言葉を聞いても、なぎさとほのかは相変わらず気まずいまま顔を見合わせます。

突如、猛吹雪が吹き荒れました。
フリーズンとフローズンによって、ひなたはたちまち氷の檻へ閉じ込められ、
このままひなたを喪えば世界から安らぎと暖かさが消えてしまいます。
全世界を闇と氷で閉ざし、ジャアクキング復活の手土産にするつもりのフリーズンとフローズン。
彼らにとっても雲の園を見つけ出す事は至難の業でしたが、
先ほど老師が伸ばした植物が皮肉にも彼らの道しるべとなってしまいました。
彼らの野望を阻むべく、3人は2度目の変身で立ち向かいます。

氷の魔人達に向かっていく2人は、勢いはあっても優勢には戦えていません。
そしてルミナスはひなたを拘束する氷の檻を引き抜こうとしますが、全く動きません。
ブラックの拳を受け止めるフリーズン。ブラックの腕はまるで気化冷凍法を受けたように
急速に凍り付き、とっさにホワイトがフリーズンの腕を蹴り上げて難を脱します。
凍える手をさするブラックに頷くホワイト。
ブレスを招き入れ、マーブルスクリューMAXの体勢に入りますが、
タイミング的に唐突感が否めず、息が合っていないように思えます。
『フン、その程度か。お前達では勝てん。俺達は世界最強のコンビだからな』
『俺達の闇の力は、お前達を遙かに上回る!』
ブレスのスパークをも物ともせず、彼らの必殺技
フリージングブリザードによってマーブルスクリューはかき消され、
その余波は雲の園や国民達を一瞬で周囲の大気ごと氷結させました。相手は死ぬ。
そして、虹の園にも雪が降り始めます。

氷漬けになってしまった雲の園と国民達。
ひなたと共に氷の塔の中へと飛び去ったフリーズンとフローズンの後を追う3人ですが、
ブラックとホワイトが入ると同時に入り口を氷塊が塞ぎ、ルミナスと分断されました。
必ず後で追うと約束するルミナスを信じ、先を急ぐ2人。
そして入り口を塞ぐ氷塊がザケンナーと化し、ルミナス、ムタ、長老を襲います。

中を進むブラックとホワイトは、広い闘技場のようなスペースへ出ました。
2人を待ち受けていたフリーズンは、鳳凰を助けたければ戦いに勝つ事だと言い放ち、
言われるまでも無くフリーズンへと挑みかかるブラックですが・・・
『お前達の戦う相手は、お前達だ』
フローズンに背後から不意打ちされ、倒れ付すホワイト。
ブラックは急ぎ引き返して抱き起こすも、
ホワイトは虚ろに眼を開いたまま、まるで反応がありません。
そしてホワイトの瞳の奥で氷が弾ける音が響き・・・

『キュアホワイト。聞こえるか?』『・・・はい』
『キュアブラックを倒せ!』『・・・はい』
ブラックだけでなく、ミップル、メップルの声も届かないのに、
フリーズン、フローズンの声だけに反応するホワイト。
その声は感情がこもっていない寒々しいものです。
突然立ち上がり、ブラックに襲い掛かるホワイト。
そんな生易しいものではなく、確実に急所を突くような攻撃の数々を畳み掛けます。
なんとかホワイトの腕を捕まえ、関節を決めて動きを止めようとするブラックですが、
ホワイトの顔が苦痛に歪むのを見てそれ以上力を入れられません。
『卑怯よあんた達!ホワイトの体を操るなんて!』
ホワイトは操られているのではなく、ブラックを憎む冷たい氷の心を植え付けられていました。
ブラックの膝を逆から蹴り、投げ飛ばし、倒れたブラックに迫るホワイトの姿は
淡々とした口調、感情の欠片も無い眼を向け、さながら殺人マシンです。
『キュアブラック。あなたを倒す・・・』

志穂は呑気にアタック25を観て、莉奈とクッキーの奪い合いをしながらも、
それとなく帰りが遅い2人を案じていました。
その頃、なぎさとほのかは・・・とてつもない修羅場を迎えていました。

『やめてホワイト!ホワイト、目を覚まして!』
ホワイト相手に手を出すこともできず、懸命に呼びかけるブラックの声も届きません。
壁ごと外へと殴り飛ばされ、倒れたブラックを見下ろすホワイトの目は冷酷そのもの。
しかし、立ち上がるブラックに、微かな何かを感じたようにも思えます。
『ホワイトは、私のパートナーでしょ』
手を広げ、微笑むブラック。しかし・・・
ホワイトは無抵抗のブラックに駆け寄り、容赦なく殴り続け、殴り倒し、
さらに追い討ちを掛けようと言うのでしょうか、倒れたブラックを掴んで強引に引き起こしました。
『ホワイト・・・目を覚まして・・・』
徐々に、何かが思い出されそうな素振りを見せるホワイトですが、
それでも迷いを振り切るように、ブラックを容赦なく投げ飛ばします。
ホワイトとは戦えないと願うブラックの気持ちも空しく、
一方的な展開に飽き始めたフリーズンが背後に迫り、
ブラックにもホワイトを憎む氷の心が植え付けられ・・・
『嫌だ・・・そんなの・・・ホワイトは私の・・・私の・・・ッ』

ブラックを投げ飛ばした手を、何か違和感を覚えるように見つめるホワイト。
しかし殺気に満ちた目を向けるブラックに気付き、臨戦体勢に入りました。
互いを憎しみながら突っ込んで行く2人。
もはや正視出来ない程、凄惨さを極めるプリキュア同士の戦い振りを、
高みの見物と洒落込むフリーズン、フローズン達。
しかし、ホワイトには徐々に表情が生まれ始めています。
ホワイトの脳裏に、笑顔でたこ焼きを頬張るなぎさの姿が浮かび上がりますが、
それでも戦いの手は止まりません。
ブラックの足を掴み、膝の裏を蹴って倒し、とどめとばかりに頭に手を乗せるホワイト。
ところがその手の力が突然緩みました。ブラックを見下ろす目は、もう冷酷な目ではありません。

『なぎさ・・・』
涙を浮かべて見下ろすホワイトを、怪訝そうに見上げるブラック。
しかし憎しみの心は未だ消えず、立ち上がり様に思い切りホワイトを蹴り飛ばします。
先ほどのブラック同様、手を広げて静かに立ち上がるホワイト。
そしてブラックも先ほどのホワイト同様、迷いを振り切って思い切り殴りかかりました。
途中で科学部でのほのかの姿を脳裏に浮かべながら・・・

殴り飛ばされ、奈落の底へと落ちていくホワイト。
その手をブラックの手が掴み、互いの名で呼び合う2人。
『ほのか!』『なぎさ・・・』
2人を支配している憎しみの氷は溶けました。
そして、ホワイトを支えるブラックの周りの氷も同様に溶け、共に奈落の底へと落ちてゆく2人。
フリーズンとフローズンはプリキュアを葬り去ったと確信し、
残るは鳳凰だと改めて捕らえたひなたに迫ります。

旅館の外は雪国とは言え、既に尋常ではない降りっぷりです。
そして雪城家にも雪が降ってきました。
さなえさんは雪が落ちてくる空を見上げ、冷え込んできた事よりも
旅先のほのか、なぎさ、ひかりを気に掛けています。

氷の檻の中で、ひなたはどんどん凍り付いていきます。
そこに長老とムタが、あの植物を伸ばしてルミナスと共に駆けつけました。
ルミナスはもともと非力です。しかし諦めず、懸命に氷の檻を引き抜こうと力を込め続け、
そして遂に氷の檻を抜き取って脱出します。
それでもフリーズンとフローズンは余裕の態度を崩しません。

ホワイトの呼びかけで気がつくブラック。
柔らかい雲がクッションとなり、大事には至りませんでした。
『私、ホワイトに言いたい事があるんだ』
『私もあるの。言いたい事』
そして互いに涙を浮かべ、2人の口を同時に同じ言葉が突いて出ました。
『ごめんなさい!』
互いに手を取り、涙する2人。
『どうしようかと思ってた。ずっと・・・』『私も・・・』
『ホワイトが、どこか遠くへ行っちゃった気がして・・・』『私も・・・!』
『そう思ったら悲しくて、寂しくて、辛くて・・・』『私も・・・!!』
でも、もうこれで大丈夫。これからも、ずっと。
2人は互いに手を携えながら、木の幹の中を登って行きます。
『私達、偽者じゃないよね?』
ブラックは先ほど莉奈に言われた、ケンカして別れる友達は偽者だという事を持ち出し、
ホワイトに問います。ホワイトの答えは当然、決まっていました。
『私達、本物だよね』
ホワイトの手を握るブラックの手に、力が込もります。
『もちろん、本物だよ。本物の友達!』

その頃、ひなたを抱えて逃げるルミナスの行く手にフリーズンが先回りし、
背後にはフローズンが迫っています。
ルミナスの前後から冷気が襲い掛かり、この場はムタ達のお陰で切り抜けますが、
その場しのぎでしかありません。這い上がってきたブラックとホワイトは
ルミナスを追うフリーズン、フローズンの姿を見つけますが、
その間には距離があり、さらに途中クレバスで隔たれています。
ホワイトは近くの氷柱を蹴り倒し、これをスノーボード代わりにして一気に滑り降りようと提案。
ずっと転び続けてきたなぎさ=ブラックですが、その目はもう負けていません。
当初不安そうだったメップル、ミップルも今までどんな困難も乗り越えて来た2人を信じ、
ブラックを先頭にいざ急斜面を滑降し始めました。
足元ではなく先を見てコースを読むようホワイトのアドバイスを受け、
そして怖いと思って腰が引けているから転ぶという藤Pのアドバイスも思い出しながら、
ブラックは手をしっかりとホワイトと繋いだまま、勇気を持って滑りつづけます。
『私は一人じゃない。だから、全然怖くない!全然!』

ひなたを包む氷を割ろうと、ルミナスは懸命に手刀を振るいますが、
非力なルミナスの力ではヒビも入りません。
しかし、ルミナスは決して諦めることはありません。
『私達は友達でしょ?友達は、友達を決して見捨てたりしないのよ』
そこに追い付き、追い討ちを掛けようとするフリーズンとフローズン。
今まさに冷気が振るわれようとしたその時、氷のスノーボードが飛び込んできました。

『あなた達の冷たい氷は溶かしたわ。二人の心で、全部!』
『私達の熱い心を壊すなんて、出来る筈がないのよ。誰であろうと!』
改めてフリーズン、フローズンに挑むブラックとホワイト。
しかし、先ほどの同士討ちのダメージは大きく、思うように戦う事が出来ません。
それでもひなたと、ひなたを守るルミナスの前に立ちはだかって、
ここは絶対に通さないと手を広げます。
『なぜ鳳凰を守ろうとする。世界を救う英雄にでもなるつもりか?』
『友達を守って何がいけないの!世界がどうとか、伝説がどうとか、今はそんなの関係ない!
 私達はひなたを守りたい!ただそれだけよ!友達だから!』
ブラックの熱い想いに、檻の中で涙を浮かべるひなた。
『友達を失う悲しさなんて、もう味わいたくないの。ひなたは私達が!』
『絶対に守る!』
手をしっかりと繋ぎ、ひなたの前に仁王立ちのブラックとホワイトを、
フリージングブリザードの強烈な冷気が襲いました。
そして・・・ルミナスの目の前で、固く手を繋いだまま凍りついてしまう2人。
フリーズン、フローズンの嘲笑が、周囲に響き渡ります。

鳳凰にとどめを刺すべく、静かに歩み寄る氷の魔人達。
体を張って守ろうとするルミナス、ムタ、老師の姿を、
手を繋いだまま凍りついたブラック、ホワイトの姿を、
檻の中から涙を浮かべて見つめるうちに、ひなたの体から熱気が溢れ始めました。
『プリキュアは、僕が、僕が・・・!』
フリーズン、フローズン目掛けて火柱が立ち上りますが、
炎はあっさりと2人に避けられ、その後ろの凍ったプリキュアに直撃しました。
味方を攻撃したことを嘲笑うフリーズンとフローズン。
しかし、これこそが狙いどおりでした。
プリキュアを包む氷が溶け、炎と共にスーパープリキュアとして復活を遂げます。

フリーズン、フローズンの首根っこを掴まえて軽々と投げ飛ばすブラックとホワイト。
氷の魔人達は凄まじい戦闘力に、まるで太刀打ち出来ません。
ホワイトは目を閉じたまま軽々と攻撃をいなし、
ブラックとアイコンタクトを取り、氷の戦士達を互いにぶつけ合いました。

『何をやってやがるフローズン!』
『お前がよけないからだろフリーズン!役立たず!』
形成不利になるや否や、突然仲たがいを始める氷の魔人達。
レベルの低い言い争いを繰り広げる2人に、マーブルスクリューの奔流が迫りました。
先ほどとは異なり、今度はフリージングブリザードで受けて立つ
フリーズン、フローズンの息が合っておらず、
この期に及んでも互いに手を抜くな等といがみ合う2人。
『あんた達は偽者ね。世界最強のコンビとか行ってたけど、全然なってない。
 ちょっと形成が悪くなったからってそれを相手のせいにするなんて、
 そんなの本物の友達じゃないわ!』
『お互いに信じあい助け合う。ピンチのときこそ力を合わせて立ち向かうのが本物の友達よ!』
「本物」のブラックとホワイトが手を携えた力によって、
「偽者」の馬脚をあらわしたフリーズンとフローズンは遂に押し切られ、闇へと還されました。
ところが・・・彼らを倒しても地上の雪は止むどころか、一層激しく降りつづけます。

氷の魔人達を倒し、ルミナスの元へ戻った2人は、
命の炎を燃やし尽くしてしまったひなたを目の当たりにしました。
肩を落とす老師とムタ、しゃくりあげるルミナス。そして・・・
『嫌ぁああああああ・・・っ!』
ひなたの亡骸を抱いたルミナスの慟哭が響き渡ります。
鳳凰は斃れ、世界から暖かさが失われ、このままでは全てが凍り付いてしまいます。
鳳凰をクィーンに会わせていればと悔やむ老師。
そもそも冒頭で、彼らはクィーンの祝福を鳳凰に与えるべく、
光の園を目指していたのでした。しかしもう、手遅れだと肩を落とす老師とムタ。
しかし鳳凰、いやひなたを今抱いているのは・・・

『私には、まだ良く解らない。本当にクィーンの命なのかなんて・・・
 でも、私の力でほんの少しでも出来ることがあるのなら、諦めちゃいけない』
まさしくクィーンの命であるルミナス=ひかりが、一人の友達としてひなたに呼びかけます。
『ひなた・・・私ね、あなたに励まされたの。ひなた、飛ぶ練習を凄くがんばってたでしょ?
 小さな翼を動かして、何度も何度も、失敗しても挫ける事無く飛ぼうとするあなたを見て、
 私も頑張ろうって思ったの。あなたは強い子だわ。こんな事で、あきらめる筈がない。
 あなたを必要としている人たちのためにも、絶対に諦めちゃいけないの』
溢れる涙と共に、ひなたに語りかけるひかりの口調は、
徐々に威厳と慈しみを併せ持つクィーンのものへと変わっていきます。
『あなたを守る為に、大勢の人たちが頑張って来た。一生懸命に、あなたに希望を託して。
 あなたを守ってくれた人達を、今度はあなたが助けるのです。
 あなたなら出来ます。あなたなら、みんなを助けられる。助ける力がある。
 私の力を、あなたに上げます。だから、がんばって・・・』

ひなたの瞼が微かに動き、うっすらと眼を開くひなたに
ブラックが、ホワイトが、ムタと老師が、ポルン、ルルンが、メップル、ミップルが、
みんなが手を差し出しました。ルミナスを光が包み込むと共に、
ルミナスもプリキュアと同じく、輝く力を纏います。
『さあ、目覚めなさい』
眩い光と転生の炎があたりを包み、ルミナスの上にはクィーンの姿が浮かび上がりました。
鳳凰として目覚めたひなたの雄叫びが響き渡る中、雲の園を覆う厚い氷は溶けて行きます。
元に戻った国民達は、神々しい光の中に雄雄しく立つ鳳凰の姿を目にしました。
それは奇跡ではなく、まさしくクィーンの力です。

『ほのか達の方もきっとやんだことでしょう。もう大丈夫。あの子達は、もう・・・』
旅館でも、雪城家でも雪はやみ、庭先駆け回る忠太郎を見守りながら、
さなえさんは孫娘達の問題も解決した事を悟っているようです。

動物達が見上げる中、鳳凰の背に乗って虹の園へ凱旋します。
しかし虹の園へと降り立つ時は、同時に別れの時でもありました。
『皆さんのお陰で雲の園を守ることが出来ました。ありがとう・・・』
既にひなたの面影は無く、口調も鳳凰としての威厳を漂わせているものの、
特にポルンにとっては辛い別れです。
ルルンが来てからというもの「お兄ちゃん」の自覚を持ち始め、
ダダをこねなくなったポルンですが、ずっとひなたと一緒にいると喚きちらしました。
本当はポルンも一緒に居られない事はとっくに解っています。解っているからこそ、辛い。
鳳凰は改めてポルンに、そしてポルンを抱き上げるひかりにお礼を言いますが、
それはひなたがひかりに向けた言葉ではなく、鳳凰がクィーンに向けた言葉のようです。
『ひなた。友達は、友達にそんな言い方しないわ。私達はずっと友達よ。
 何があっても信じあえる友達。どんなに離れていても、会えなくても、心で繋がっている。
 そんな友達。私達は、ずっと・・・』
クィーンとしてではなくひかりとしての言葉に、鳳凰、いやひなたも笑顔で頷き、
その背にムタと老師を乗せて、雲の園へと飛び立ちました。
小さくなっていくひなたに手を振りつづけるなぎさとほのか、
いつまでもひなたの後を追いつづけるポルン、そしてポルンの気持ちを想い涙するひかり。
皆それぞれ、別れを惜しみひなた達を見送りました。
そして・・・

なぎさはすっかりスノボが上手くなっており、
この一晩で何があったのか、志穂達は目を見張りました。
昨晩居なかったのは、ほのかと特訓していたのではないかと勘繰る志穂の
賑やかな声がゲレンデにこだまします。
そしてひかりは、空を見上げて雪に寝転がるポルンとルルンに気付きました。
『ひなたぼっこポポ』『ぼっこルル』
今日はひなたぼっこ日よりのいい天気です。
ひなたは一体どの雲にいるのか、それはわかりませんが、
この空のどこかできっと元気にしている事でしょう。
ひかりもポルンもそう確信しています。なぜなら・・・
『ひなたは、友達ポポ・・・』


マックスハートの最終回と、シリーズを締めくくるラスト数回の素晴らしさは既に知っています。
知っている目でこの作品を見ると、もう一つの最終回と言える程、
充実した内容の今作品の素晴らしさが際立ちます。
が、何と言っても「プリキュア同士の本気の戦い」のインパクトが良くも悪くも強烈でした。

その戦いぶりに公開当時、観ている子供達が泣き出したと言われますが、
シリーズの序盤、中盤ならともかく(それでも衝撃は大きいと思われますが)
大人のファンから見てもこれまで2年間、手を携えてきた2人が本気でやりあう、
それも「殺りあう」と言っても過言では無い程の戦いは、観ていて辛いものがありました。
殺気が漲るブラックの鋭い目も怖いのですが、
それに輪を掛けて一切の感情が伺えない目を向けるホワイトが怖すぎます。
特に殺人マシンと形容したくなるような、ホワイトの容赦ない戦いぶりが、
(急所を狙い撃ちにする突き、膝を表から蹴る、的確に体勢を崩して関節を決めて倒す等)
アクションパートが丁寧に描かれている事と相俟って、非常に衝撃的です。
無抵抗のブラックを殴りつづける場面なども、2人の足元しか映っていない事もあり、
その上でどれだけの事が行われているのかと、嫌な想像力が働いてしまいます。
『嫌だ・・・そんなの・・・ホワイトは私の・・・私の・・・ッ』
先に憎しみの感情を植え付けられたホワイトを目にしているためか、
憎しみの感情を植え付けられた時、自分もホワイトを憎んでしまうと怖れ、
ブラックが漏らす悲痛な声も実に恐ろしいものでした。
本当にブラック役の本名さんがホワイトと戦うのを嫌がっているようで、
この台詞は聞いていて戦慄を禁じえません。
今後プリキュア同士の戦いが、鏡の国やハートキャッチのダークプリキュア、
フレッシュ第43話などごく一部を除いて描かれなくなるのも当然の流れに思えてきます。

しかし、2人の同士討ちが主眼では当然無く、
戦いの中にも徐々に憎しみの心が氷解していく様は実に見事です。
無抵抗の意思を示すように笑顔で両手を広げるブラックは、
ほのかと気まずい関係に陥っていたとしても、
直後ホワイトに無残に殴り続けられても、自分から憎む心を抱く事はありません。
そして徐々に憎しみの心から解き放たれたホワイトが、
先ほどのブラック同様、無抵抗の意思を示すように静かに両手を広げる姿は、
何をされてもブラックを受け入れるという意思が伺えるようで、
神々しさを覚えるほど美しく穏やかに見えます。
無抵抗のブラックを殴ったのと同様、ホワイトもブラックに殴り飛ばされる事となりますが、
その直後に2人とも憎しみの心が氷解するのも当然の帰結と言える程、
この場面の描写に感動を覚えました。

さて、2人の同士討ちシーンから先に語りはじめてしまいましたが、
この作品はなぎさとほのか、志穂と莉奈、
そして反面教師のフリーズンとフローズンを通して2人の「友情」を描いている事、
そしてひかりとひなたを通して「成長」を描いている事が素晴らしいです。
なぎさとほのかを語る上では、2年間で培ってきた友情をメインに据えるのは当然ですし、
ひかりはクィーンの命という使命に戸惑いながら、
本編でも人間としての成長を描いてきました。
だからこそ、「友情」と「成長」の総括というべき展開が随所に散りばめられています。

初代第8話で二人が初めてケンカしたきっかけも藤P絡みでした。
そして今回の仲たがいも、第8話とほとんど変わらない状況で起きています。
まださほど親しくなかった時から様々な事を乗り越え、
2人が親友以上の絆で繋がれたとはいえ、異性に対する気持ちを
あのような形で口にされてしまうのは、なぎさにとって耐えがたい事でしょう。
そしてほのかの口の滑らせ方も同様、あの時と全く変わっていません。
おそらくこれからも、藤Pがらみで2人はケンカすることがあるかもしれません。
それでも、この2人は何度ケンカしてもまた仲直りできると確信させられるものがあります。
ケンカして、傷ついて、手を取り合う。それこそが「本物の友達」です。

なぎさに「本物の友達」について語る莉奈に少々唐突な印象もありますが、
莉奈自身の経験を観ているからこそ説得力があります。
志穂がラクロスを辞める程悩んだ時に、衝突しながらも手を差し伸べた莉奈
莉奈がぽんたの助の扱いに悩んだ時に、何があっても味方だと宣言した志穂
この2人もなぎさとほのか同様、これからの人生で衝突する事もあれば、
手を取り合って行く事もあると感じさせられます。

この映画の作品世界では、変身後のルミナスを囲むハーティエルの光が9個と言う事もあり、
ハピネンがチェアレクトに入った後、さらに藤Pとの兼ね合いから
マックスハート本編第42話より前の段階だと推測されます。
この時点の本編では、ひかりは未だクィーンの生命というのが自分に何をもたらすのか
怯えと不安が伺えますが、それでも最初期の頃からの人間的成長を遂げてきました。
己の存在に戸惑いながらも、命果てようとしているひなたのために
自分の出来る事を見事に成し遂げるひかりの姿は、
最終回で見せたあの尊い決意とは異なる使命感が伺え、
途中から変わって行く口調とも相俟って深い感動を与えてくれます。
劇場版前作のブラック=なぎさ同様、全ルミナス=ひかりの台詞の中でも
最長と思われる台詞と共に、忘れえぬ一場面となりました。

更にもう一人のキーパーソンはポルンです。
ラスト、ひなたとの別れを惜しんでダダをこねる場面は、
そのままなぎさ、ほのか、ひかりが主人公の物語が、
本編でも間もなく終わってしまう事を惜しむ声にも聞こえます。
そんな事は解っている。解っているからこそ、辛い。
まさに作中のポルンの心境が、そのまま観ている側の気持ちとリンクし、
ひいては製作に携わる皆様の気持ちでもあったように思えました。
それでも、咲と舞に主人公をバトンタッチし、その後もプリキュアの精神は
都度主人公を変えながらも、今に至るまで脈々と受け継がれてきました。
ポルンが見上げる空のどこにひなたがいるのかは解りませんが、
きっと同じ時を過ごしている筈だというラストシーンからは、
なぎさ達の物語が終わっても、作中世界で生き続けていると言う事が感じられます。

フリーズンとフローズンは確かに強く、コンビネーションも強力で、
本編中のサーキュラス、ビブリス、ウラガノスより強いのではないかと思われます。
しかし、劣勢に転じてからの描写はまるで異なりました。
普段ケンカしたり、些細な事でかみ合わなかったりしていたサーキュラス達ですが、
最期の戦いの折には誰も退かず、互いに力を合わせて
プリキュアに一矢報いて闇に還りました

立場はどうあれ、サーキュラス達はその意味でも「本物」だったと思います。
一方のフリーズン、フローズンは言わずもがな、既に本編で語ったとおり
レベルの低い言い争いで足を引っ張り合った挙句に倒されてしまい、
その際の描写が妙にコミカルで、「偽者」の関係という
反面教師ぶりとも相俟ってインパクトのある敵役になったと思います。
後にココとギリンマ君として敵同士に転生するのも何かの縁でしょうか(笑)

ココとギリンマ君、すなわち草尾さんと檜山さんが演じるフリーズンとフローズン、
老師を演じる青野さん、そして何と言ってもムタの野沢さんと、ひなたの千々松さんという
「ド根性ガエル」と言うオールドファンにはたまらないゲスト声優陣の豪華さも目立ちます。
(ひろしとピョン吉の関係を思うと、これも「本物」と言えそうです)
反面老師とムタのキャラクターが少々弱いのが難点ですが、
それを補うように志穂、莉奈、藤P、木俣、アカネさん、さなえさんといった
レギュラー陣のキャラクターが立っているのが劇場版ではあまり観られない特色と言えます。
中でも莉奈は風呂上りの髪を下ろした姿、髪を拭う仕草からは色気が感じられ、
そしてなぎさを諭す語り口とも相俟って、
本編では見られなかった大人っぽさが実に魅力的でした。
「アタック25」を観ていたり、例の3回繰り返す独特の口調が楽しい志穂、
なぜか入浴シーンというサービスカット?のある藤P、
出番は少ないながら、ほのかにいい所を見せようと下心が見え見えの木俣、
ひかりの良き保護者としての姿と、しっかり浴衣姿を見せてくれるアカネさん、
そして例の如く、すべてを見透かしているようなさなえさん。
残念ながら本編最終盤では出番が少なくなってしまうレギュラー陣の、
最後の活躍の舞台が設けられたような気がします。
そしてレギュラー陣に負けず劣らず、
変なネーミングセンスや、大雑把なひなたの扱いが楽しいなぎさ、
ペンギンの生態や鳳凰について久々に「うんちく女王」を披露するほのか、
本編に直接関わらないところでの主人公2人の個性もしっかりと描かれ、
本編中でじっくりと描かれるひかり=ルミナスの姿と共に
個々のキャラクターの魅力を見事に描き出している点も優れています。

さまざまなテーマがあり、見どころがあり、キャラクターの魅力ありと
概ね素晴らしい映画なのですが、あえて注文をつけるとすれば、
個人的にはEDテーマは「ワンダー☆ウィンター☆ヤッター!」が望ましい気がします。
冬山が舞台でもありますし、余韻を残す意味で歌詞の内容も合致していると思うのですが・・・
こればかりはいわゆる「大人の事情」で、
アニメもビジネスである事を考えるとやむを得ません。
もっとも、それが些末な事に思える程、プリキュア映画を語る上で
欠かす事の出来ない優れた一編だと思います。
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まるっさ

本日三回目の連レス恐縮です(汗)。

僕も同じく本作や『お菓子の国』はそれぞれ『なぎほの・ひかり』そして『のぞみ達』の2年に渡る物語の集大成そして『もう一つの最終回』としての意味合いが強く、他の作品以上にTV本編から切り離した単独作品としての評価はリアルタイムで見てきた分余計にし辛かったりします。

特に本作は上映が12月(残念ながら他の強力作品との競合で5からは現在の上映期間に移行したわけですが)と、最終回とほぼ同時期な分、2年間に渡る付き合いの、なぎほのひかり、しほりーな、なほみーうとこれでお別れなのか!!とますます寂しい気持ちで耐えられないものがありました・・・。

なぎほの二人のドラマとしてももちろん素晴らしかったのですが、どちらかと言えば冒頭とラストを飾ったひかりが主人公の物語ともとれ、特に『最後までルミナスを戦闘キャラにしなかったこだわり』とTV本編ではそこまで描かれなかった『クイーンの化身としての人智をはるかに超越した物凄い神々しさ』とに魅入られて、

『ああ、まさにルミナスというキャラはこの作品のために生まれてきたのだなl』

と70~80年代前半あたりのスケールのでかいアニメを知る人間としてしみじみと感慨にふけったものです。個人的にはこのスーパーシャイニールミナスとシャイニングドリームがシリーズの神々しいキャラツートップだったりします。
(いやスーパープリキュア(鳳凰Ver.)の戦闘終了まで完全に観戦キャラと化していたルミちゃんに初見では一抹の不安を感じたものですが・・・もっともそういう可愛らしさも彼女の魅力ではありますが(笑))

フリーズン&フローズン。中のヒトが90年代の戦闘アニメの主役・メインキャラを勤めてきただけに、『必殺技の名前を言う!』など(他の劇場版ボスは言わない・・・)どこか所謂『厨二』臭さがあったり、最後の(お子様に気を遣っての!?)仲良しっぷりが感じられる(笑)ケンカなど結構好きなキャラではありますが・・・まあ確かに『プリキュアが洗脳される』というのは前知識ゼロでみたこともあって、何か胸をえぐるようなショックというのがありますね。なんのかんので。

あとは5シリーズと違い、『TV版BGMの劇場用のアレンジっぷり』がはっきりと判るのもMH1&2の良いところかな、と思います。
例えば同じ『わき上がる闘志』(1ではあのブラックの名台詞が流れるシーンで流れた)でもTV版・1・2ではイントロからして違いますし、マーブルスクリュー・マックス・スパークル!のBGMでも本作では女性のコーラスが入ったりするなど、そういうところもゾクゾクしたものです。

以上です。長文恐縮です。
by まるっさ (2011-09-14 17:14) 

スティクス

>まるっささん
1日に3度ものコメント、大いに励みになります。ありがとうございます!

「もう一つの最終回」
どうしても晩秋の劇場公開となる関係上、時期的に仕方ないとはいえ
だからこそ思いのたけが詰まった作品たちが生まれるのかもしれませんね。
私としてはこの「雪空」と「チクタク危機一髪」に
もう一つの最終回という感慨が特に感じられましたが
近々「お菓子の国」を見返す予定なので、
その時に新たな視点で見る事が出来そうです。
お菓子の国に関しては、どうしてものぞみファンが血の涙を流した(笑)
あのシーンのインパクトが強かったので・・・

さてこの作品に話を戻すと、ブラックとホワイトのガチバトルが先行しますが、
ご指摘の通りルミナスの神々しさも凄まじいものがあります。
ひなたの呼びかけシーンだけを切り取っても、
その威厳と荘厳さに思わず震えが来ますが、
これも普段のやや引っ込み思案で謙虚なひかりを見ているからこそ、
そのギャップであったり、はたまた変わらぬ優しさや芯の強さを
感じ取れるものだと思います。
もちろん、最終回の言葉に詰まる涙のシーンも忘れられませんが、
ルミナス=ひかりの存在価値が強く感じられた名シーンでした。
(そんなルミナスの姿が脳裏に焼き付いているからこそ、
 DX3の屈託のない笑顔が印象的です)
もちろん、観戦キャラというのもルミナスの大事な個性ですし(笑)
決める時にビシっと鉄壁の防御を決めてくれれば
それで万事OKというような気もしますが・・・

>厨二
調子に乗って本文中に「相手は死ぬ」などと書いてしまいました(汗)
技の名前で、かのエターナルフォースブリザードを連想してしまったので・・・
それにしてもこの時点で草尾さんと檜山さんがまさか2年後の
珍獣と敵になろうとは予想もしませんでした。
私も桜木花道や飛影が身近な存在だったこともあり、
このお二方がこうして存在感を発揮していらっしゃる事に感慨を覚えます。

>BGMのアレンジ
「わき上がる闘志」の盛り上がりっぷりは物凄いですよね。
本編でもMH45話でのクライマックスで使われている時などで
ゾクゾクした素晴らしい曲だけに、文字通り闘志が静かにわきあがるような
高揚感がたまりません。
「三人の絆」なんかがアレンジされて流れようものならもう、
涙腺決壊していたかもしれませんね(笑)
by スティクス (2011-09-14 23:55) 

横浜学園都市部

この作品で最初に驚いたのは、なぎさがウインタースポーツが苦手で、逆にほのかはウインタースポーツが上手いという部分から始まって、驚きの連続ですね。

思えばMHに突入してからは、なぎさとほのかの仲は最早成熟している事も有ったので、こういう衝突や絆の再確認的なやり取りには、無印から見始めた人からしたら、うなずけられますね。

尤も…自分はあんまり声を荒げてぎくしゃくしている話が、大嫌いな自分には、かなり頭痛を感じますけど…

一方でフリーズン&フローズンも、結構憎めない悪役でもあったりしますね。

特に旗色が悪くなるや否や仲間割れを起こして、やられる間抜けな感じが憎めませんね。

一方でポルンがひなたとの別れを惜しむ場面には、最近だとスマイル6話で、メルヘンランドに帰るポップに駄々をこねるキャンディと、重ねる感じがしますね。(wikipediaではキャンディはブラザーコンプレックス扱いされましたけど…)

さてこの作品では、モーニング娘を生み出したハロー!プロジェクトの矢口さんとBerryz工房の面々が、本人役で登場していましたね。

当時の人気アイドルをこの場に投入した意味では、少しは喜ばしく思うでしょうね。

Berryz工房が歌う主題歌「ギャグ100回分愛してください」は、多分あの子供が泣いてしまった例のシーンなど、重々しかったストーリーを和らげたかったんじゃなかったのかと、思いましたね。

現在のアイドルは、最早AKB48時代。

ハロー!プロジェクトのめ活躍が無くて寂しく感じる今日この頃ですね。

そしてAKB48も、紅白歌合戦でつぼみ役の水樹さんと一緒に、ハートキャッチの主題歌を歌ったのですから、このシリーズの魅力の凄さを感じられますね。

追伸:ハートキャッチ3話の返信で「水木さん」と書かれているのが目立ちますが、正しくは「水樹さん」です。
by 横浜学園都市部 (2012-03-24 15:19) 

スティクス

>横浜学園都市部さん
なぎさは決してスポーツ万能ではないというところが面白い設定でした。
また、ほのかは「運動が苦手」と言えるような描写がある訳でもないので
本編でのスケート等、ウィンタースポーツが上手という点は
何でもそつなくこなす優等生タイプだと思わせるものがありました。

そして、円熟した関係と思われても巻き起こる衝突。
もちろんこれから先の人生に於いても、
なぎさとほのかは何度となくケンカする事はある筈です。
しかしこの映画で語られている「本物」だからこそという説得力があり、
あたりさわりのない関係ではなく、本物の絆を見た気がします。

>フリーズン&フローズン
この2人、どことなく小物っぽく見えるところが独特です。
また再見組としてはやっぱりココとギリンマ君のチーム(中の人的に)
というのが目を惹きます。DX3でも5組との対決が、妙に楽しめました。

>ポルン
この場面、私はひなたとの別れだけではないものを感じ取ってしまい、
感想でも切々と綴ってしまったのですが(笑)
ポルンに限らずミップル、メップルも本編での別れの描写が
実に切なく感じられました。
それにしてもキャンディ、ブラコン扱いされていたとは・・・(笑)

ところで実は私、最近の日本の芸能事情には極めて疎く、
AKBはおろかそれ以前のハロプロ系列など本当に存じ上げず・・・
EDテーマは「ワンダー☆ウィンター☆ヤッター!」が望ましいと書いた事で
ファンの方には申し訳なかったかもしれません。

そして、同一の理由による「水木」表記・・・
おじさんに悪気はございません。まちがいをするだけなのです。
by スティクス (2012-03-24 21:39) 

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