深手を負い、未だ床についたままのメフィストを看病するアフロディテの元に、
ノイズが来襲しつつあるとの報告を携えて、けたたましくオウムが飛び込んできました。
(またお前かwww)ノイズは既にメイジャーランドを襲い、
人間界同様に逃げ惑う住人達を石と化し、
その脇でノイズの威を借りたファルセットがはしゃいでいます。
なんとか宮殿近くの国民は収容したものの、このままでは・・・
この事を早くプリキュアへ伝えようとするアフロディテの考えを打ち砕くように、
ノイズは宮殿のすぐそこまで来ています。
プリキュアはコテンパンにやられていると、まるで自分の手柄のように
嬉々として告げるファルセットを、黙っていろと一喝するノイズ。
アフロディテはオウムに急を告げる役を任せてこの場を引き受け、
ハープを手に防戦の構えを取ります。
ハープを奏でると宮殿にバリアが張られ、ノイズの攻撃を弾きますが、
果たしていつまで持ちこたえられるのか。
そしてオウムの急報を受け、4人のプリキュア達も調べの館から
虹色の鍵盤の上を飛び、宮殿へと急行します。
宮殿を守るバリアはノイズの攻撃に耐えきれず、あえなく破れました。
衝撃に倒れたアフロディテに、今まさにノイズの攻撃が迫ろうとした矢先、
虹色の鍵盤と共にプリキュア4人が降りたちます!
湧き立つ国民達。そしてミューズも母が無事と知り安堵しました。
もう変身できない筈だと訝るノイズに、4人は決意を新たに挑みかかります。
『私たちは何度だって変身する!』『ノイズ、この世界をあなたの好きにはさせない!』
『メイジャーランドは幸せな音の溢れる国!』『その音を消すなんて、私達が許さない!』
ノイズが翼を開いただけで巻き起こる衝撃に吹き飛ばされ、
宮殿のテラスから落とされる4人ですが、
すかさずハミィが虹色鍵盤を伸ばして巧みに護ります。
それを見たノイズは、プリキュア以上に厄介な者の存在を感じ取っていました。
『ずいぶん頼もしい用心棒を連れているようだな』
『仲間と呼んでください』
ノイズの言葉に反抗するように、相対するクレッシェンドトーン。
かつてノイズが世界中の音を消し去るべくメイジャーランドを滅ぼそうとした時に、
音吉さんと共に戦った日の事を語ります。
ノイズとクレッシェンドトーン、それぞれの力がぶつかり合って互いに深手を負い、
クレッシェンドトーンはヒーリングチェストと共にノイズによって魔境の森に封印され、
そのノイズもダメージが大きく、音吉さんによって封印されてしまった事。
しかし封印されながらも恨みを忘れる事は無く、
ヒーリングチェストを求めて魔境の森を訪れたメフィストを操り、
いつか世界中から全ての音を消し去るためにマイナーランドを作らせたのでした。
『そのためにパパとママを引き裂いたって言うの!?』
ノイズの話を聞くや否や、ミューズは怒りを露わにして真っ先に飛び掛かり、
ノイズの胸元に拳を叩き込みます。
『ママがどんなに辛い想いだったか、あなたにわかる?』
『・・・わからんな』
共に過ごしたピーちゃんにはアコの気持ちは全く届かず、
いとも簡単にミューズを跳ね飛ばしました。
『メフィスト様もトリオ・ザ・マイナーも、音楽を愛するメイジャーランドの住人だったのに!』
ビートもまた、メイジャーランドの住人です。
鋭いかかと落としに続き、幾度となく蹴りを叩き込みながら、怒りを露わにしました。
『彼らに罪は無いのに、大好きな音楽でみんなを苦しませるなんて、酷すぎる!』
『人の心など簡単に染まる。愚かな奴らだ』
今病床でうなされるメフィストも、かつてのエレンも心を染められた者でした。
そして、ノイズに能天気な声援を送るファルセットもまた・・・
『ファルセット、まだわからないの?あなたはノイズに利用されてるだけなのよ!』
しかしビートの呼びかけは未だファルセットには届きません。
ビートもまたノイズにあしらわれ、
追い打ちを掛けるように、ノイズの一撃が4人を襲います。
プリキュア達は倒れ、静寂が訪れました。
『許さない・・・!よくも今まで、罪もない沢山の人を悲しませてくれたわね!』
それでも4人は、静かに怒りを燃やすメロディに続き力を振り絞って立ち上がります。
『私たちはあなたを・・・』『絶対に許さない!!!!』
ミュージックロンド、ハートフルビートロック、スパークリングシャワーを
1度にノイズへと叩き込みます。が・・・
ノイズには全く通用せず、直ちにノイズの反撃がプリキュア達を襲いました。
その攻撃はクレッシェンドトーンが防ぎ、
そしてパイプオルガンを内蔵した調べの館と共に音吉さんが上空へとやって来ました。
音吉さんが奏でる究極のパイプオルガンの音色が辺りに響き渡り、
途端に悶えて地に落ちるノイズ。この機を逃さず、
クレッシェンドトーンと共にスイートセッションアンサンブルを叩き込みます。
聖なる音の旋律、そしてスイートセッションアンサンブルによって、
ノイズを永遠に封じ込める!・・・と思いきや、
音符を吸収したノイズはかつてよりパワーアップしており、この攻撃に耐え抜きました。
『いまのはいたかった・・・いたかったぞーーーーーーっ!!』スイートセッションアンサンブルを押し返し、
調べの館の船首を穿つノイズの攻撃によって、
ここまで音吉さんが築き上げてきた切り札、パイプオルガンは無残に破壊されました。
バランスを失い墜落する調べの館。
さらにノイズは同じ目に遭わせてやると音吉さんを捕え、
封印しようと引きずり込み始めます。
祖父を救うべく、ミューズはダメージを押して跳び発ち、
懸命に伸ばした手が、引き込まれつつある音吉さんに届きました。
繋いだ祖父の手は、あの時と変わらず暖かかった事でしょう。
ミューズは思わずほっと安堵の表情を見せますが、
しかしその安堵は直後、残酷に破られました。
『後は頼む・・・』
『え・・・?』
安堵の表情を浮かべたまま、祖父の言葉に戸惑うミューズ。
そして、その手を突き返す音吉さん・・・
『おじいちゃあああん!!!』
目の前で封印されて行く音吉さんを成す術もなく見送るミューズの目から
とめどなく涙が溢れ、そのまま地に叩きつけられました。
父を封じられたアフロディテも相当の衝撃を受け、騒然となる国民達。
ノイズの高笑いが響き渡り、音吉さんはマイナーランドへ、
かつてのノイズ同様に石版へと封印されました。
音吉さんのパイプオルガンも通用せず、これからどうすれば・・・
『諦めないで。信じるのです、自分たちの力を。
プリキュアの力の源。それは誰かを守りたいという心。
その心がある限り、あなたたちは新たな音楽を奏でる事が出来る筈』
打ちひしがれる4人を、クレッシェンドトーンが叱咤します。
守りたい心・・・メロディたちには守るべき、守りたい人たちがいます。
北条夫妻、南野一家、王子先輩に聖歌先輩、和音・・・
クレッシェンドトーンをも封印しようともくろむノイズに、
ビートソニックの音符が畳み込まれました。
『ノイズ!あんたの思い通りにはさせない!』
『これ以上、悲しみを増やしたくない!』
ミューズも涙を浮かべたまま続き、リズムが、メロディが次々に立ち上がります。
『絶対に、守って見せる!』
『世界のみんなを!』
4人一丸となって鋭く蹴り込み、拳で、足で、肘で、ノイズを叩きのめしました。
そして音楽など必要ないとのたまうノイズに、
勇気をくれる大切な力、パッショナートハーモニーをぶつけます。
響き渡る4人のハーモニーパワーは今度こそノイズを圧倒すると思われますが、
ファルセットはただの腰巾着ではありませんでした。
ファルセットの攻撃が4人を襲い、打ち消されるパッショナートハーモニー。
しかしノイズもかなりのダメージを受け、倒れ伏しました。
『だが、最後に勝つのは私だ・・・』
音吉さん同様、4人を封印せしめんとするノイズ。
その窮地はクレッシェンドトーンが救い出しますが、
4人の代わりにクレッシェンドトーンが捕らわれの身に・・・
『プリキュア。この世界の未来をあなたたちに託します。
今の強くなったあなたたちならきっとやってくれる。そう信じています』
クレッシェンドトーンもまた石版へと封じられ、
身代わりになるとは馬鹿な奴だと嘲笑うノイズですが、
受けたダメージは相当のものだったのか、そのまま意識を失いました。
ひとまずノイズを連れて撤退するファルセット。
クレッシェンドトーンは封じられてしまい、
墜落した調べの館、石と化したヒーリングチェスト・・・
絶望的な状況が、4人を囲んでいます。
改めまして、再び明けましておめでとうございます。
年を跨ぎ、2週間ぶりとなるプリキュアは過去の作品同様、
なかなか緊迫感に満ちたものでした。
昨年や
一昨年のように固唾を呑んで見守る、という程ではないものの
加音町のみならずメイジャーランドをも巻き込むカタストロフィー、
そして音吉さんとクレッシェンドトーンという頼るべき者たちの退場と、
来るべきクライマックスを盛り上げるための幕間としては
十分なものが描かれたと思います。
さて、冒頭で触れた「これほどまでに悲しい顔」は
泣き叫ぶミューズではなく、その直前の「え・・・?」の時の顔です。
昨年のこの時期、
父を目前で喪った直後のゆりが見せた表情が比肩し得るものの、
今回は繋いだ手が直後に引き離される事の衝撃と、
ミューズが歴代最年少である事が相俟って、一層の悲愴感を感じさせます。
手を突き返した音吉さんの行動に、何が起こったのかわからない、
けれども何をしたのかは聡明なアコならば解った事でしょう。
その結果、どうなってしまうのかも・・・
この表情からはさまざまなものが伺え、
泣いている顔以上に悲しいものだと感じました。
音吉さん、そしてクレッシェンドトーンの退場は確かに衝撃的です。
しかしこれは、4人の力でこの事態を解決する伏線とも言えるでしょう。
パイプオルガンの援護も無く、スイートセッションアンサンブルも使えません。
それだけでなく、この2者の存在は精神面でも皆の支えとなって来ました。
その頼るべき存在はもうおらず、自分たちで何とかするしかありません。
再び原点に戻り、互いのハーモニーパワーで対処するのか、
はたまた新たな力で対処するのでしょうか・・・?
新たな力があれば頼もしいですが、私としてはやはりこれまでの積み重ねである
人との繋がり、互いを想う気持ち、そして調和を示すハーモニーパワーで
対処する事を期待したいです。
ところで音楽の総譜には、一見無駄に見える音符やフレーズがありますが、
実際には無駄ではなく、楽曲を構成する一部となり得るものです。
それは今回の登場人物達も同様でしょう。
例えば登場する度に厄介事を運んでくるオウム(笑)ですが、
宮殿近くの国民の収容や、プリキュア達に急を知らせて
メイジャーランドへと導く役割をしっかりと果たしています。
ただついてきただけのようなハミィもまた、
宮殿から落下したプリキュア達を見事に救い出していました。
そして敵側で見れば、ファルセットも同様です。
ノイズに黙るよう言われる等、彼の存在はノイズにとって大したものではなさそうです。
それでもパッショナートハーモニーを妨害したり、
ノイズのダメージが大きいと見るや即座に撤退したりと、的確な役割を果たしていました。
このことから、価値の無い者など無いというテーマも見出す事が出来ると思います。
そのファルセットは、今回ビートに呼びかけられた事が大きな意味を持ちそうです。
おそらく今後、洗脳が解ける事の伏線と思われますが、
呪縛から解き放たれた時、ファルセットがどのような行動をとるのかが気がかりです。
バスドラ、バリトンも含め、これまでの償いとしてプリキュアを庇い瀕死になる、
あるいは・・・などの展開がありそうでやや心配ですが、
ここに来てセイレーン時代からの3人と醸し出していた絆が
断ち切られていないと判明した事で、
トリオ・ザ・マイナーの描かれ方にも進展がありそうです。
それはノイズとミューズではなく、ピーちゃんとアコの関係に戻る事はあるのか、
というもう一点の興味にもつながります。
今回のやりとりでは互いに不倶戴天の敵同士、憎んでも憎み切れない相手ですが、
ピーちゃんとの一応の交流があった以上、このまま終わってしまうとは思えません。
憎むべき相手をアコが「赦す」事が出来るか、
そしてピーちゃんがその心を「知る」事が出来るか。
次回予告を見る以上、アコにはさらに辛い運命が待ち受けていそうで、
はたして互いを赦しあえるかどうかはわかりません。
それでも、クレッシェンドトーンの言葉にあった「新しい音楽」とは
ノイズを含めた皆が手を取り合える事ではないかと思います。
残り3話、この物語は果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか。