登校前。ウルトラハッピーな日になりそうな予感を抱きながらみゆきが髪を整えていると、
キャンディもおしゃれしたいと、ウサギのデコルでおねだりします。
出てきたブラシでキャンディの耳を髪のように梳いて、
リクエスト通りウサギのように仕上げてあげるみゆき。
私はてっきりウサギが出てくるのかと思っていたのですが、そういう使い方だったのですね。
上手に出来てウルトラハッピー、と思いきや、時計を見ると既に8時15分です。
遅刻だと叫びながら、慌ただしく学校へ向かいました。
バッドエンド王国。アカオーニは干していたパンツを手に取って履き、
みなぎった気分で出撃して行きました。
『いい感じに湿ってるオニ。洗いたてのパンツで気分すっきりオニ!』
・・・人の嗜好にとやかく言う気はありませんが、気持ち悪ッ(笑)
その日の昼休み。みゆき達は中庭の東屋で弁当を広げ、
やよいが作ったキャンディのキャラ弁で盛り上がっていると、
上級生達がやって来てここは私達の場所だと主張し、譲るよう言い放ちました。
理不尽な要求に反抗するあかねに対し、上級生たちも譲らず、
さらに一学年上という事を持ち出して圧迫して来ます。
『何ですかそれ。そんなん二年も三年も関係ないんと違います?』正論で返すも、少々分が悪く困っていたところに、我らが番長緑川さんが颯爽と現れました。
『例え先輩でも、後から来て場所を横取りするのはおかしいと思います。
中庭はみんなの場所です。先輩たちの言う事は、少し筋が通っていないと思います』毅然としたなおの物言いを前に、先輩達も退くに退けない状況となりますが、
その場は生徒会長がにこやかに仲裁しました。
先輩達も言い過ぎを謝り、生徒会長と共に立ち去ります。
『私は当たり前の事を言っただけだよ』なおはお礼を言われても偉ぶることなく、そのまま部活の自主練へと向かいました。
爽やかな緑色の風が吹き抜けたようなこの一件で、みゆきはすっかりなおに惚れこみました。
なおは一年生の頃からサッカー部のレギュラーです。
俊足を活かしてゴール前に駆け込み、一気にシュート!
放課後の練習を見に来ているみゆき達の横で、女子の黄色い歓声が上がります。
『私、四人目のプリキュアは緑川さんが良いと思う。ううん!緑川さんしかいない』みゆきの意見に、あかねとやよいも賛成し、練習を終えたなおの所へ向かおうとした矢先、
なおの周りにできた女子生徒達の人垣に阻まれて、完全に出遅れました。
人垣の後ろからプリキュアやって欲しいとアピールしても当然届かず、
人垣が散った頃には、なおは既に帰宅していました。
みゆきは帰宅後、なおをプリキュアに誘えずに悶々としていましたが、
明日の休みを利用して、直接緑川家へ出向こうと考えました。
良く晴れた翌日。いざ、なおに会うために出発!・・・したまでは良かったのですが、
引っ越して間もないみゆきは緑川家の場所を知る筈も無く、早速迷子になり、涙目です。
そこにタイミングよく買い物帰りのなおが通りかかり、
みゆきにとっては地獄に仏、まさに救世主でした。
『これって運命!?ウルトラハッピーありがとう』なおにとっては、訳が分からず戸惑うばかり。
ともかくみゆきはなおの荷物持ちを手伝うものの、その重さに音を上げましたが、
緑川家はもうすぐそこです。家の前で、いざプリキュアの事を切り出そうとした矢先、
なおの弟・妹たち総勢五人が元気よく出迎えました。
上から順に、けいた、はる、ひな、ゆうた、こうたを紹介するなお。
続けてみゆきを弟妹たちに紹介し、一緒に昼食を誘いました。
ネギを切り、卵を割り、厨房に立つなおの手つきは手慣れたものです。
不在がちの両親に代わって日頃から家事をしているなおにとっては、
さほどの事ではなさそうですが、みゆきはその手際に感心しています。
なおの料理中、みゆきは弟妹達の面倒を引き受けるものの、
五人の弟妹たちはやんちゃ盛りの元気いっぱい。
五人全員が鬼となる鬼ごっこに追い回されたり、
キャンディをタヌキのぬいぐるみだと投げまわしたり・・・
キャンディは耐えきれず、あかねとやよいに助けを求めに行きました。
続けてみゆきを鬼の的当てにして座布団やら何やらを投げつけたり、これは大変です。
弟妹達を叱るなおに「こっちも鬼だ!」とはやし立てる賑やかな緑川姉弟たち。
そんな騒々しくも平和な休日の昼下がりに、本物の鬼が襲来しようとしています。
『緑川さん偉いなぁ。兄妹の面倒ちゃんと見て』『そんなの当り前だよ。一番上のお姉ちゃんだもん。
それに、弟たちと一緒にいると楽しいし、私家族が大好きなんだ』河川敷でサッカーに興じる弟妹達を見下ろしながら、
みゆきは改めてなおに一緒にやって欲しい事があると切り出します。
丁度そこに、キャンディに呼ばれたあかねとやよいが到着しました。
みんなで遊べばもっとウルトラハッピーだとみゆきが呼んだと知って、
早速2チームに分かれてサッカー対決が始まろうとしています。
固い絆を誇る、チーム緑川ブラザーズ&シスターズ。
対するはチームワークで勝負する、チームみゆき&あかね&やよい。
ところが・・・ゲーム開始直前、アカオーニが現れました。
絆を否定し、未来を塗りつぶすアカオーニによって、たちまち気力を失う緑川姉弟。
『家族。そんなのいつかはバラバラになる・・・』ピエーロ復活を告げる時計の針が「4」へ進みます。
『良い子はいねぇがー!?』
『それを言うなら泣く子はいねぇがー?や』アカオーニを前にしても突っ込みを忘れないあかね、
やっぱりちょっと怖いと怯えるやよいと共に、三人揃って変身します。
『大丈夫!私たちは一人じゃないもん』ちなみに
『今回のぴかりんじゃんけんはパーでした♥』アカオーニ同様、私もグーを出して負けてしまったが何か?
キャンディはチョキだったらしいですが、どのへんがチョキなのか、
サニーは突っ込みを忘れませんが、一応これでも戦闘中です。
アカオーニはじゃんけんで負けた腹いせ?にゴールをアカンベェ化。
アカンベェは鳥のように空を飛び、上空から無数のボールを打ってきます。
その標的となった緑川姉弟を護るべく、ハッピーは気合を込めてハッピーシャワーを放ち、
とりあえず防ぐことには成功しますが、そのままアカンベェのネットに絡め取られました。
ハッピーを救うべくサニーが、ピースが跳びますが、あえなく返り討ちに遭いました。
『こんな奴放っといて、自分たちだけで逃げたらいいオニ』
アカオーニにそう言われても、当然サニーは退きません。
『そうはいかへん!うちらの絆は、まだそんなに固ないけど』『え?』思わず聞き返してしまうピース(笑)。サニーの信念はその先にありました。
『これから固い絆になるんや!だから絶対逃げへん!』「絆」という言葉を耳にしたなおは、無気力状態を脱しました。
周囲の異常な状況に戸惑い、そして毎度のお約束の
『星空さん?』『ごめん緑川さん。私が星空さんかは秘密なの』『て!それ言うたらバレバレやーん』そのツッコミも正体ばらしてるようなもの、サニーとピースも正体を察されました。
仲間や家族は最後バラバラになると、その絆を否定し、
アカオーニは今バラバラにするとアカンベェをけしかけます。
サニーとピースは弾に襲われ、続けて緑川弟妹達に狙いを定めるアカンベェ。
その身体に絡め取られたハッピーの、懇願するような叫びも空しく、
サニーとピースも間に合いません。その時、なおが立ち上がりました。
傍らのボールをアカンベェに蹴り、弟妹達を庇うように手を広げて、毅然と立ち向かいます。
『家族はバラバラになんかならない。私たち家族の絆は、永遠に切れない!』アカンベェが徐々に迫ろうとも、なおは一歩も退きません。
『あんた達がどこの誰かは知らないけれど、
もし私達家族の絆を断ち切ろうって言うのなら・・・私が戦う!』アカンベェの腕がなお目がけて振り下ろされますが・・・
その時、光が弾けました。
タヌキのぬいぐるみだと思っていたキャンディが喋った事や、
突然現れたスマイルパクトに戸惑いながらも、言われるままに変身します。
精悍、毅然、そんな形容が似合う中にも美しさを併せ持つ、
新たなプリキュアがまた一人誕生しました。
『勇気りんりん勇気り~ん!直球勝負!キュアマーチ!』変身した自分の姿に驚くマーチ、4人目が緑川さんと確信して感激するハッピー、
カッコ良さに惚れるピース、そしてじゃんけんと大違いだとからかうサニー(笑)
『じゃんけんだって可愛いもん!』口をとがらせて反論するピースですが、一応これでも戦闘中です(2回目)
『大切な家族の絆、守って見せる!』襲い来るアカンベェに向けて駆け出すマーチ。
ところがあまりに速すぎてアカンベェを追い越してしまい、
マーチ自身も脚力に驚いてブレーキをかけますも間に合わず、勢い余って橋桁に激突しました。
しかしコンクリートが凹む程激しくぶつかったのにもかかわらず、何ともありません。
スピードとタフさを併せ持ったマーチの本領が、早速発揮されます。
アカンベェが連発してくる弾を避け、橋桁を駆け登り、
上空から重い一撃を叩き込む!何とカッコいい戦いぶりでしょう。
続けてキャンディに促されるがまま、マーチシュートを放ちます。
力が抜けていく事に戸惑いつつも力を込め続け、
生成した球を蹴りつける技・マーチシュート。
アカンベェを無事に撃退したマーチにも、どっと疲れが襲って来ます。
アカオーニは先程マーチが橋桁に衝突した際の衝撃で転んだ折、
パンツが破れてしまったために撤退して行きました。
『あの、緑川さん』『なおでいいよ』夕焼けの河川敷で遊ぶ弟妹達を見下ろしながら、
みゆきとなおも互いを名前で呼び合う関係になりました。
『みゆきちゃん。私達、いいチームになりそうだね。
弟達を守ってくれてありがとう。私もみんなの力になりたい。
それに、みんなといると楽しいし、仲間に入れてくれる?』みゆきの先手を取るように、なおの方から手を差し出しました。
もちろんみゆきにも、あかねとやよいにとっても願っても無い事です。
こうしてまた一つ、新たな絆が生まれました。
もっともその直後、みゆきの顔面をサッカーボールが直撃するのですが・・・
『仲間が増えて、ウルトラハッピー・・・』直球、のタイトルや口上どおり、素直な一編だったと思います。
これまでの
第1話~第3話でのなおの出番は非常に少ないだけに、
緑川なおという子がどんな子なのか、家庭環境や校内での評価を含めて
今回を見ただけではっきりと伝わって来る作りは丁寧で分かりやすいものでした。
ところで、緑川姉弟の中で髪が緑色なのはなおだけだったのですね(笑)
揃って緑色の髪だった秋元姉妹との相違点は、こんなところにもありました。
頼れる姉御肌、さっぱりとした気質、そしてカッコ良さなど
秋元姉妹といえば、なおの性格や雰囲気はこまちよりもまどか姉さんを思わせます。
とはいえ、芯の部分ではこまちもなおと通じる点があります。
上級生組に異議を申し立てる状況では、
おそらくこまちも同様に振舞った事でしょう。それにしても、なお=マーチは何とカッコいいんでしょう。
あかね=サニーとはまた異なるベクトルで、変身バンクや技バンクは当然の事、
俊足を活かした戦いっぷりだけでなく、
サッカー部の練習といった日常の風景でも、そのカッコ良さには惚れ惚れします。
おそらく女子からラブレターやバレンタインのチョコとか貰っていそうで、
男子生徒のように振舞っていたいつきを除くと、これはなぎさ以来です。
それでいてボーイッシュな要素は全くと言っていい程無く、あくまで「長姉」としての、
そして女性としての魅力が強く感じられる点が珍しいです。
ED導入部における、風にのってふわっと舞う様などは実に女性的で、
凛々しく毅然とした姿との差が際立って、私も一気に惚れ込みました(笑)
さらに、なおの時も含め、これまで常にキリッと描かれていただけに
マーチシュートを放った後のバテ顔が新鮮でした。
次回以降、ビューティがバテ顔を出す様が想像つかないのですが、果たして・・・?
「3月」そして「行進曲」を意味するマーチの名の通り、
彼女からは春の風のような爽やかさと、行進曲のような力強さが感じられます。
また「なお」と平仮名で書かれている名前は、おそらく「素直」のなおという意味合いでしょう。
今回の描写では、なおの脆さ、弱さといったマイナス面を殆ど見出す事が出来ません。
家事や弟妹達の面倒をそつなくこなすなおの事を、
みゆきは今回偉いと評していますが、それが当然の人にとっては偉い事でもありません。
長姉としての責任感を背負いすぎ、
無理をしているのではないかと心配させるような事もありませんでしたが、
果たして、いずれなおの悩みとして浮上してくるのでしょうか・・・?
あえて弱みがあるとすれば、アカオーニに無気力状態にされた時に漏らした
「家族はいつかバラバラになる」でしょうか。
手がかかるものの、なおは弟妹との生活を心から楽しんでいるようです。
そして将来、いつかはそれぞれ自立し、離れて暮らす事もしっかりと受け止めています。
しかし、本当の心の奥底にはごく僅かでも寂しい気持ちがあったのでしょう。
それでも実際に離れて暮らす=バラバラになる事ではなく、
絆は断ち切れないとはっきり言えるところに、なおの芯の強さが感じられます。
家族の絆というものが問われるこのご時世、
なおの出した答えは、逆に問いかけにもなっているような気がしました。
誰が相手でもズバッとものを言う気持ちの良さは確かに魅力的ですが、
時に直球すぎるかもしれません。
上級生達とのやり取りの際では、明らかになおが正論です。
しかし、あの状況で仮に生徒会長が現れなかったとすれば、
面子を潰された形になった上級生達はその後どうなったか、
捨て台詞を吐いてその場を立ち去る等、互いに後味の悪いものが残りそうです。
その場合、おそらく一部始終を見守っていたれいかが仲裁に入ったと思われますが、
彼女からは全体を纏め上げる包容力がありそうな気がしてきました。
ところでこの上級生2人組、難癖をつけると言う損な役回りなのに、結構美人でしたよね・・・?
生徒会長の仲裁があったとはいえ、素直に謝れる点は好感が持てました。
それにしてもアカオーニ、湿ったパンツって・・・しょっぱなからこれには笑わせて貰いました。
鬼のパンツは5年10年履いても破れないものだと思っていましたが、脆いんですね(笑)
そして緑川家の庭には洗濯物が干してあったということは、なおの湿った(以下自粛)