あかねの父、日野大悟父ちゃんは、閉店作業中にキャベツ満載のダンボールを
不用意に持ち上げてしまいぎっくり腰を発症。
そのまま救急搬送&入院となってしまいました。
正子母ちゃんはお好み焼きを焼くのがあまり得意ではなく、
やむを得ずしばらく休業という判断に及びますが、
週末に町内会長を招いた食事会をどうするのかという問題がありました。
『よっしゃー!店の大ピンチ、ウチがなんとかしたるで!』そんな不安を一掃するように、あかねは気合十分、
大悟父ちゃんにの代役を務める事を宣言しました。
一方、バッドエンド王国。
この国には幹部を食わせる食糧も無いのでしょうか(笑)
腹を空かせたウルフルンが匂いに誘われて行くと、
マジョリーナが何やら怪しげな薬を生成していました。
その材料は「トカゲの尻尾」「ブタのよだれ」「カエルのおなら」など、
いくら空腹のウルフルンでも辟易する材料ばかり。
そしてマジョリーナに空腹を紛らわせるためにお好み焼き特集の本を読まされ、
それを呼んで余計腹が減ってしまったウルフルンは、
プリキュア退治と食糧調達、両方成し遂げるべく出撃して行きました。
『俺ってあったまいいぜー♪』
自賛しつつ満面の笑顔で赴きますが、きっとこれは
スマイルではなく悪だくみの顔なのでしょう。
店長代理のあかねにとって最大の難関は、美食家の町内会長が催す食事会でした。
大悟父ちゃんのお好み焼きは舌の肥えた町内会長も絶賛しており、
あかねはその期待に応えるべく、決意新たに心を決めます。
あかねの家のお好み焼きの美味しさはやよい達も知るところで、
そうと決まれば放課後、あかねの店に集合との運びとなりました。
ところで、あかねの家の店名も「あかね」です。
これはあかねが生まれた年に店を始めた両親が、
娘のように大事にしようとの想いを込めて命名した名前でした。
さて、あかねの手際は実に見事で、日野家奥義コテ返しスペシャルを駆使し、
上手にお好み焼きをひっくり返す様に、皆見とれています。
みゆき達は満足しながらお好み焼きを食べていたところ、あかねの弟げんきが帰って来ました。
そのげんきが、お好み焼きをつまみ食いして何気なく漏らした感想が
あかねの心に波紋を起こしました。
『まあまあ美味い。父ちゃんとは違うけど、まぁ姉ちゃんっぽい味やな』
そう言われたあかねも自分で食べてみて、父ちゃんとの味の違いに気づきました。
みゆき達にとっては美味しいお好み焼きでも、
父ちゃんの味を楽しみにしている町内会長さんには喜んでもらえないのではないか・・・
材料、焼き方も同じなのに、何が違うのか?
秘密の隠し味があるというげんきの証言を基に、
父ちゃんの味を再現しようと、あかねの奮闘が始まります。
あかね&なお&れいか組と、みゆき&やよい&キャンディ組に分かれて試作品作りがスタート。
スイカに塩を振る感覚だというれいかの意見を、みゆき達は甘い物には辛い物、
その逆もしかりと解釈して、辛いソースには甘い物だとプリンデコルを駆使しますが・・・
鉄板の上で揺れる巨大プリンを前に
『これが本当の焼きプリン?』誰が上手い事言えとともかくあかねのやる気にも火がつき、なお、れいかと共に励む一方、みゆき組はと言えば・・・
『生クリームはどうかなぁ』『みかんも美味しそう』『ハチミツ甘いクル』
『羊羹はどうかしら?』駄目だこいつら・・・早く何とかしないと・・・
さて、みんなで完成品を味見すると、十分美味しいものの、やっぱり何かが不足しています。
秘伝の隠し味は、そう簡単に見つかるものではありません。
しかしあかねは落ち込むのではなく、逆に父ちゃんの凄さを認識しました。
『照れくさくて言うたこと無いけど、ウチな、父ちゃんの事尊敬してんねん』何度となく見続けて来た、お好み焼きを焼く父の大きな背中。
暗い顔をしていた人でも笑顔にさせる力を持った、父ちゃんのお好み焼き。
ちょっとやそっとでその秘訣が解る筈がないと、
意地を張らずに直接聞きに行こうと、病院へ向かいました。
一方、華麗に舞い踊りながら高級カフェレストランに入ったウルフルンは、
その顔をお面と見まがわれて入店拒否に遭いました。
一般人の店員達につまみ出されるとは・・・(笑)
ウルフルンはなかなか人間界の食べ物にありつく事が出来ません。
何か目的が変わってきている気もしますが・・・
隠し味の秘密を尋ねに来たあかねは、大悟父ちゃんに突っぱねられました。
『何やお前、今まで何見とったんや。そんなんでよう、店はウチに任しとき!なんて言うたな』
店の名前が泣いてるとまで言われた事で、逆にあかねの闘志に火が付きました。
もちろん大悟父ちゃんも、あかねの性格を見越しての発言という事は明白です。
『ほんま単純やな・・・頼んだで』
あかねが病室を出た後、娘にエールを送るようにそっとつぶやくのでした。
食事会まであと三日。
みんなで食材を買い集めたり、夜遅くまで試作研究を重ねたり、
みんなが持ち寄った本を参考にしたり、奮闘しているものの、なかなか思い通りに出来ません。
行き詰ったあかねに、正子母ちゃんはあかねが初めてお好み焼きを焼いた日の事、
正子母ちゃんが風邪をひいた際、幼いあかねがお好み焼きを焼いてくれた時の事を語りました。
ほんまに美味しかったという正子母ちゃんの言葉に、あかねは耳を疑います。
それは不格好で焦げており、どう見ても美味しいとは思えないものですが、
あの時の正子母ちゃんにはとても美味しいものでした。
もう何が必要なのか、あかねも気づいた事でしょう。
しかし、未だ父ちゃんの味へのこだわりを捨てきれません。
『ウチは誰が食べても美味しい、父ちゃんみたいなお好み焼きが焼きたいねん』さて、商店街の各店舗は地域振興のための露店にも出店もしています。
げんきと共に露店運営を手伝うみゆき、やよいに、
あかねから試作品が出来たと連絡が入りました。
時を同じくして、ウルフルンが露店上空に現れますが、妙にげっそりしています。
気の毒に、おそらく入店拒否に遭い続けたのでしょう。
三日も何も食べていないというウルフルンのバッドエナジーだけでピエーロが復活しそうです。
その時、美味しそうな匂いが鼻を突きました。
それが夢にまで見たお好み焼きと知るや目を♥にして狂喜し、
食うためには手段を選ばず、白紙の未来を黒く塗りつぶして人々の食欲を失わせます。
『バッドエナジーとお好み焼き、両方いただきまーす♪』
尻尾を振って喜ぶウルフルンを前に、変身する5人。
ウルフルンも食事の邪魔はさせないとソース容器をアカンベェと化しました。
アカンベェのソースを撒き散らす攻撃に対しても、ついダメ出ししてしまうサニー。
ところがソースは粘性の強い接着剤のようで、絡みつかれたサニーは動きが取れません。
続けてハッピー、ピース目がけて撒き散らされたソース攻撃は、
マーチが俊敏さを活かし、パラソルを広げて防ぎました。
さてウルフルンはといえば、アカンベェに戦わせている合間に
あかねが持って来たお好み焼き試作品に目を留めて、全て平らげていました。
至福の満腹となって満面の笑顔を浮かべるウルフルン。
あくまで
これはスマイルではなく、悪だくみの顔なのでしょう。
その証拠?に、ウルフルンが満たされた事でアカンベェの攻撃が強化され、
マーチの傘ごと吹き飛ばして3人を壁に貼り付けました。
残るはビューティのみという窮地に陥ります。
ウルフルンは人間の食い物もなかなかだったと評しながらも、
『ま、こんなモン誰が作っても同じだけどな』
腹に入れば全部一緒だと切り捨て、さらに失敗作なんだろうと扱き下ろします。
頑張っても父ちゃんと同じ味にならずに悩んでいたサニーにとっては痛い言葉。しかし・・・
『失敗作なんかじゃない!絶対美味しいもん。
だってそのお好み焼きには、あかねちゃんの気持ちがいっぱい詰まってるんだから!』サニーは壁に貼り付けられたハッピーの叫びに息を呑むと共に、
父ちゃんと母ちゃんの言葉が思い出されました。
『食べた人に元気になってもらいたい。その気持ちをぎゅうぎゅう詰めに込める。
それが父ちゃんの、お好み焼きあかねの隠し味や!』サニーはビューティに、ビューティブリザードを自分に向けて放つよう要求。
同時に炎を巻き起こし、氷を炎で溶かしてソースを洗い落としました。
ここからサニーの反撃開始です。
炎と共に猛攻を畳み掛け、サニーファイヤーで見事アカンベェを仕留めました。
そして迎えた食事会の日。
あかねのお好み焼きは、美食家の町内会長にも好評です。
『なんて元気が出る味なんだ。さすがあかねちゃん。とってもおいしいよ』
そこに大悟父ちゃんも無事退院し、評判の良さにまんざらでもなさそうです。
あかねが見つけた隠し味とは何なのか、それは父ちゃんにも内緒です。
これでお相子だと、あかねが父に向ける屈託の無い笑顔は、
太陽のようにさんさんと輝いていました。
今回のメインであるあかね=サニーについては後で触れるとして・・・
ウルフルンのはっちゃけ具合には楽しませて頂きました。
空腹が理由で出撃するなど、あなたが
ウエスターさんの系譜を継いだ事がわかりました。
どうせなら
ウエスターさんのように、襲撃した屋台の鉄板で調理して頂きたかったものです。
何度も満面の笑みを浮かべたり、尻尾を振ったりと、
こわもてのオオカミさんの筈なのにこの愛らしさは一体何なのでしょうか(笑)
また、腹に入れば同じなどと言っていながら、
実に美味しそうにお好み焼きを平らげていました。
美味しいものを食べている時の表情や態度は、嘘はつけないものです。
味に満足していながらも、立場上憎まれ口を叩いているとすれば、
また彼の内面がややこしい事になるのですが・・・多分単純なのでしょう、彼は。
それだけあかねのお好み焼きの出来が良かったと考えるべきですね。
しかし、愛着が沸けば沸くほど、どんな最期を迎えるのかを懸念せずにはいられません。
さて、あかねが父の代役を務めるという時点で、大体今回のテーマが読めてしまったものの、
奇をてらわずにストレートに描くからこそ、観終えた後の爽やかな余韻が感じられました。
最初にげんきが「姉ちゃんっぽい味」と評している時点で、
既にあかねにしか出せない味がある事が示唆されていました。
変に意識せずとも、あかねはあかねに出来る事をするだけで
充分美味しいお好み焼きを焼く事が出来ていましたし、
現にみゆき達も美味しいと言っています。
最終的に父ちゃんの想いを込めた隠し味に気づいたものの、
あかねはさらに自分ならではの何かを見つけて加えたと思われます。
現に町内会長さんはあかねのお好み焼きを評して、
「お父さんと同じ味」とは言っておらず、純粋にあかねの味を褒めています。
父ちゃんと同じ味を目指す努力は認めるべきですが、
それよりも更に先を目指して、模倣ではなく自分の味を作り上げた事こそが、
あかねの努力の賜物と言えそうです。
お好み焼きに例を取っていますが、
プリキュアシリーズに対する考えも同じようなものがあると思います。
元祖である初代と常に比較を余儀なくされ、
同じ事をしては模倣と、違う事をしては異端と言われかねない中、
ぶれない基本姿勢を一貫し、そこに各シリーズ毎の味付けがあるこそ、
各シリーズならではの魅力があります。
特にスマイルシリーズでは比較対象にされやすい5シリーズを踏まえた上で、
5シリーズの面白さを追求するのではなく、
スマイルプリキュアとしての面白さを追求している点に共感を覚えます。
前回はピースがまともに戦ったように、今回もサニーのアクションのカッコ良さが光りました。
炎を撒き散らしながらの戦いぶりの数々、
ブレーキをかけた際に足元から立ち上る炎もカッコ良く、
ブリザードを炎で溶かして洗い流すといった頭脳プレーにも長けている事も分かりました。
それでいて戦闘の最中にもかかわらず、ソースの使い方に駄目だししたり
ウルフルンにお好み焼きを褒められて反射的にお礼を言ってしまったりと、
ノリツッコミ加減も絶妙で、ルージュ先輩とは違った魅力が見受けられます。
前回、氷上さんの母親役2回目に驚いた矢先、
日野正子母ちゃん役の
雪野さんの2年連続母親役にはまたまた度肝を抜かれました。
こうなると残る3人の両親が気になります。
個人的には荘さんを希望したいところですが、果たして・・・?
ところで今回は一緒に見ていたお父さん方にとって、
父を尊敬しているというあかねの台詞は嬉しかった事でしょう。
あかねを通してテレビの前の小さなお友達も、
改めて父の偉大さを知るきっかけになるかもしれません。
欲を言えば、この内容であれば父の日の放送でも良かったかもしれませんが・・・
父と娘の信頼関係、優しく娘に助け船を出す母、
そして憎まれ口を叩いているようでも身内思いな弟と、
日野一家はなかなか魅力的に描かれていたので今後の再登場にも期待したいです。
もっとも、みゆき達を初めて前にした際のげんきが、
妙にしおらしかったのが気になりますが(苦笑)