やよいは花壇で可愛いダンゴムシを見つけました。
みんな可愛らしいと朗らかに見つめます。約一名を除いて(笑)
やよいの手の平でダンゴムシが蠢く度に、その約一名、
なおの表情は凍り付き・・・悲鳴と共に凄い勢いで後ずさりしました。
その際、一寸法師に出てくる打ち出の小槌のようなものに足をとられて転倒しました。
一寸法師のお話と、打ち出の小槌について説明してもらったキャンディは興味を示し、
その小槌を振り回しました。小槌は見事、みゆきの顔面にジャストミート!
と同時に光が溢れ出して・・・みゆき達が気付いた時、
目の前には巨大なキャンディの姿がありました。
よく見るとキャンディが大きくなったのではなく、みゆき達が小さくなっています。
そして、小さくなったなおの背後を「何か」が這い回る音がしました・・・
マジョリーナは今日も何やら探し物。金棒で蝿を追いまわしているアカオーニに、
探し物チイサクナールの絵を見せて心当たりを尋ねるたところ、
先程アカオーニが蝿叩きの代わりに使った挙句、使いづらいと捨てていた事がわかりました。
・・・それにしてもマジョリーナ、大切なものをしっかり保管する事を覚えた方が良さそうです(笑)
キャンディはみんなの姿が急に見えなくなって不安そうです。
みゆき達はその足元で懸命に呼びかけますが、その声はキャンディまで届きません。
それどころか、みんなを探し回るキャンディに蹴散らされてしまいそうです。
キャンディから逃げ回っていると、なおの眼前にバッタが姿を現しました。
『嫌ぁああああああああああああああああああッ!!!』
なおは普段の毅然とした姿からは考えられない悲鳴を上げて、みゆきにしがみつきました。
その間にもキャンディはみんなを探して向こうへ行ってしまいます。
あの小槌に元に戻る鍵があるかもしれないと考え、キャンディを追いかけますが、
先程の取り乱した様を、咳払いをして取り繕うなおの腕の中で、
気の毒にみゆきは締め落とされていました。
キャンディが軽々と飛び越えた水たまりは、今の5人にとっては巨大な湖です。
それでも葉っぱの舟を作って水たまりを越える事に成功しました。
その際水たまりの上を這うアメンボになおが怯えていた事に、他の4人は気づいていません。
水たまりの次に待ち受けているのは、一段一段が高い壁となって立ちはだかる階段です。
まるで男塾の「万人橋」
(注)さながらの肩車大作戦で乗り越えようとするものの、悪戦苦闘。
追い打ちを掛けるように、横を野球部員が駆け抜けて、地響きが5人を襲います。
(注)万人橋・・・戦国時代武田信玄と松山勝善の合戦の折り、窮地に陥った主人松山勝義を助けるべく、侍大将楠清久は援軍を率いて向かった。しかし、松山勝義の立てこもる高楼山へ行く途中にある雛谷の橋は敵の手によって落とされていた。そこで楠清久は一計を案じ、中国の兵法書(武鑑)にヒントを得た人橋をかけ谷を渡った。このとき人橋となった者三十人は味方の兵を渡しきったあと、ことごとく力つきて谷に落ちたという。その後、松山勝義はこの三十人の勇者達を称えそこに高楼三十塚を建立した。現代でも橋を建設するときは工事関係者がこの塚に参拝し、工事の安全を祈願する習慣がある。
中津川大観著 時源出版刊 『戦場にかける橋』より
それでもキャンディを追ってなんとか教室までたどり着きました。
やよいはいつもの教室が違って見えると目を輝かせ、この状況を楽しんでいます。
しかし、今は早くキャンディのところへ行かなければなりません。
頑張って机をよじ登ったところ、キャンディがいるのは一つ隣の机です。
隣の机との間はまるで千尋の谷のように開いていました。
机の間に定規を渡してその上を渡りますが、意外と楽しそうなやよいと裏腹に、
実は高所恐怖症でもあったなお、そしてあかねはおっかなびっくりです。
『下見たらアカン・・・下見たらアカン』そう言い聞かせながら、定規を這って渡る2人。
そうはいっても、こういう時こそつい下を見てしまうものです。
先程の虫達から恐怖が蓄積されていたのでしょうか。
なおは腰を抜かしてしまい、なんとかあかねに助けられながら渡り切りました。
せっかく渡り切ったと思いきや、キャンディは既に教室の外、窓の下にいました。
れいかは動じずに傘デコルを使って5本の傘を出し、
みんなでメリー・ポピンズのように舞い降ります。高い所が苦手な約2名を除いて(笑)
しかし、微かにみゆきの声を聞きつけたキャンディが振り返った矢先、
僅かな空気の動きが突風となって襲いかかり、5人はそのまま吹き飛ばされてしまいました。
草むらの中に落ちた5人。
幸い大事には至らず、ほっとしたのも束の間、草をかき分けてバッタが姿を現します。
『嫌ぁああああああああああああああああああッ!!!』なおはけたたましい悲鳴と共に逃げ回り、何かにぶつかって顔を上げると・・・
それは大人の男でもちょっと引いてしまうアゲハの幼虫でした。
再び悲鳴と共に逃げ回るなおの行く手に出くわす虫の数々。
アリだー!美しい羽根のアゲハも恐怖の対象であり、クモに至ってはいわずもがな。
ここはさながら虫の王国です。
すっかり取り乱してれいかにしがみつくなお。そこに今度はテントウムシが現れました。
『なおは虫が大の苦手なんです』なおとは幼馴染であるれいかが打ち明ける事実に、意外そうな声を漏らすあかね達。
『こんなに可愛いのに』『可愛くなんかないよ!』それがテントウムシの逆鱗に触れたのか、なおを目がけて向かって来ました。
追われたなおは一心不乱に茎を登りますが、足を滑らせてしまいました。
このたかさからおちたのでは、なおちゃんは・・・
この危機は下にあった「何か」がクッションとなって九死に一生を得ますが、
着地したのはダンゴムシの背中と知って、なおの血の気が一気に引きました。
『〇※▲◆Д÷〒$ーーーーーー!!!!!』声にならない悲鳴と共に、なおはとうとう落ちてしまいました。
一方、マジョリーナ。チイサクナールを探して、再び
あの交番を訪れます。
平然と対応するお巡りさんに、素敵な名前だと言われて照れるなど、
相変わらずこのおばあちゃんと来たら(笑)
その矢先、交番の前をチイサクナールを手にしたキャンディが走り去り、
マジョリーナもすかさずその後を追いました。
気が付いたなおを、心配そうに見つめるみんな。
高い所から落ちた際、ダンゴムシたちがクッションになって助かったと言われても、
虫が苦手ななおにとってはダンゴムシは恐怖の対象でしかありません。
『来ないで、お願いだから』しかし、なおのところへ這って来た子どものダンゴムシが、
なおのために葉っぱを持ってきてくれたと知って、虫を見る目が少し変わりました。
ダンゴムシにも子供とお母さんがいたり、協力して飴を運ぶアリがいたり、
ここには虫たちの社会が存在しています。
花の蜜を吸い、葉を食べ、小さな命の営みが行われている、昆虫たちの町。
虫が居そうなところには近づかなかったというなおが、初めて知った世界です。
そこにマジョリーナに追われたキャンディが逃げて来ました。
キャンディを追うはずみで転んだマジョリーナは、目の前で小さくなっている5人を見つけました。
チイサクナールの効果で小さくなったと知り、
願っても無い好機に白紙の未来を塗りつぶすマジョリーナ。
力なく地に落ちた虫たちから、バッドエナジーが立ち上りました。
虫たちを守るべく、変身する5人。
しかし変身したものの、身体は小さいままです。
マジョリーナが足を踏み鳴らす度に起きる地響きに翻弄され、
さらにタンポポを媒体にしたアカンベェも襲って来ますが・・・
なぜかアカンベェも普通サイズではなくミニサイズ。
マジョリーナが気遣ってくれたのではなく、単に気づいていないようですが、
これなら小さな5人でも戦えます。
マジョリーナが、キャンディがそれぞれに声援を送る中、応戦する5人。
アカンベェの花のミサイルを撒き散らす攻撃は、虫たちにも被害が及びそうです。
普通サイズから見ると豆鉄砲のように貧弱なミサイルであっても、
小さな世界から見ると侮れない威力を持っています。
虫たちの上に降り注ぐ、ちぎれた葉っぱ。
マーチには虫たちの世界の光景が、そして先程のダンゴムシ一家の姿が思い起こされました。
『虫けらと一緒にみんなくたばるだわさ!』
マジョリーナに逆らうように、単身アカンベェを蹴り飛ばし、マーチは強く反論します。
『虫けらって言うな!』『あ~ 聞こえんな!!』(台詞は一部異なります)
マーチは確かに虫が苦手です。それでも虫たちは一生懸命生きている事を知りました。
それを踏みにじる行為を、彼女は許しません。
ミサイルをかわし、蹴り飛ばし、茎を掴んで回転して蹴り返し、
ビューティとピースの援護と共に、ミサイルを巧みにあしらいます。
続けてサニーが高く投げた空き缶をハッピーが蹴ってアカンベェに命中させ、
反撃の機会を作りました。すかさずマーチシュートを放ち、アカンベェを撃退します。
地団太を踏むマジョリーナ。
しかし5人の身体は未だに小さいままで、地響きが5人を襲いました。
ここに来てようやくマジョリーナも小さいままの5人を簡単に倒せる事に気が付いて、
キャンディからチイサクナールを奪い取りました。
そのまま叩き潰そうと、勢いよく振り下ろすマジョリーナ。
ところが小槌を叩き付けたところから光が溢れて、その光の中で5人は元の大きさに戻りました。
この状況では、マジョリーナも引き上げるしかありません。
虫たちはみんなにお礼を言っているようです。
キャンディはその声を聞き、虫たちもおしゃべりをするのだと、その言葉を伝えました。
虫たちも、人間も、その点同じです。
その時、なおの鼻先にテントウムシがとまりました。
再びけたたましい悲鳴と共に駆けまわり、逃げ回り始めるなお。
彼女の虫嫌いは、そう簡単には直るものでは無いようです。
突然小さくなってしまうという展開は、
以前にも5GoGoで見受けられました。この時も普段の見ている世界がまるで違ったものとなって、
小さくなってしまったが故に何気ない事が脅威として描かれています。
今回も同様、小さな世界を通じて見る水たまりや教室の描写などが
ちょっとした冒険のような描写となって楽しめました。
この状況を楽しんでいるやよい、恐がってしまうなおとあかねという、
普段と少し違った一面が見られるのも、登場人物の個性を掘り下げています。
また、
5GoGoで小さくなった時にはアリがホシイナーとして、
更に群れを成して襲ってくるという脅威として描かれていましたが、
今回はその逆の、虫たちの小さな社会を描き、それを守るために戦うという点が良かったです。
虫たちがバッドエナジーを抽出される被害者になるのは予想外でしたが、
虫たちの社会を描いた後で、虫がアカンベェとして襲ってくる展開では違和感がありそうなので、
それをしなかった点にも好感が持てます。
さて、なおといえばこれまで毅然とした振る舞い、
多少の事では動じない肝の据わりっぷりで、最も弱点が考えにくい子でした。
それだけに今回のギャップには、彼女には気の毒ですが大いに楽しませてもらい、
そして逃げ回る様の可愛さといったらもう(笑)
これまでも勝気なりんちゃんが大のお化け嫌いであったり、マイナーランドの歌姫という元敵だったエレンもまた大のお化け嫌いであったり、完璧でクールな美希が腰を抜かす程のタコ嫌いであったり、いずれも普段とは異なる姿を見せてくれました。
多少なりとも苦手な物を克服した彼女達と比較して、なおは最後まで虫嫌いは直りません。
しかし、苦手な物は無理に直さずとも良いというメッセージも、一つの答えだと思います。
これまで虫が嫌いで、居そうなところに近づくのも嫌だったというなおは、
見方を変えれば虫に限らず、嫌なものからは目を背けるという行為の象徴のようです。
完全に克服するとまでは行かずとも、少なくとも苦手な相手にも生活があり、
生きている事やそれぞれの事情があると言う事を知っただけでも、
少しだけ彼女が成長した証と言えそうな気がします。
ダンゴムシの家族を見た時、なおは明らかに何かを感じ取っていました。
彼女自身が大家族ゆえに、誰よりも家族の絆というものを重んじています。虫に心があるのかは別として、生きとし生ける存在であり、
そこには生命の営みがあるのだと気づいたのでしょう。
ともすれば私も嫌いなものや苦手なものには近づかないようにしてしまいがちなのですが、
ほんの少しでも歩み寄る事が出来ればと感じた次第です。
それにしても、あのお巡りさんが再び登場する事になろうとは・・・
この先ひょっとして、マジョリーナ出撃回のレギュラーになったりして(笑)
そのマジョリーナも、いい名前だと言われて照れて見せたり、
転ばないでと言われた矢先に転ぶなど、ネタキャラぶりが楽しめます。
更には小さい状態の5人を元に戻してしまうなど、
少し考えれば分かりそうなのですが、オツムの方は果たして大丈夫でしょうか。
また、「大きなキャンディ」の声がデザトリアンに聞こえたのは私だけではないと思います。
子供達にとっても「一寸法師」の紹介に始まり、
小さな大冒険で胸を躍らせ、虫の世界の縮図を知りながら、
アクション面でも比較的充実していた今回、分かりやすく楽しめた一編だった事でしょう。
虫に触れる機会が少なそうな今の子供達にとって、
虫たちが少しでも身近な存在になるかもしれません。
もっとも、私もアゲハの幼虫に触れと言われたら無理ですし、
王蟲のようなサイズのダンゴムシはちょっと勘弁ですが・・・(苦笑)
そしてこれから先も、我が家で黒光りする奴を見かけない事を祈っております。