中間テストの結果にため息をつく4人。
あかねは英語、やよいは数学、なおは歴史が芳しくなく、
みゆきに至っては全教科がダメダメです。
『きちんと勉強すれば、みなさんも次はいい成績が取れますよ』そう慰めるれいかは入学以来ずっと学年トップ。それが出来れば苦労はありません。
どうして勉強しなければならないのかという疑問に
れいかは将来困るからだと答えますが、続く問いかけに言葉を詰まらせました。
『れいかちゃんは、どうしてそんなに勉強するの?』その答えは思い当りません。
れいかの朝は早いです。
早朝から兄と一緒にランニング、次いで静子お母様と一緒に弁当を作り、
登校前にも予習復習を怠りません。しかしみゆきの問いが頭から離れず、
勉強の手を止めて悩んだ末、
ベルゼイ・ガートルードメビウス様祖父の部屋を訪ねました。
勉強は今まで義務として励んできたけれども、自分の意志ではなかった事。
さらに生徒会副会長になったのも推薦されたため、弓道部も勧誘されたため、
そしてプリキュアも・・・無論これは途中で口をつぐみますが、
先程祖父がしたためた「道」の書を前にして、
自分から進んで何かを始めた事が無いと思い悩んでいる事を打ち明けました。
『自分のやりたい事は何なのか。私の道はどこにあるのか。わからないのです』悩める孫娘に対する祖父の答えは、意外かつ簡潔です。
『ならばすべてを辞めてみればよい。辞めて見える事もあろう』
生徒会員、弓道部員、みゆき達を前に、
生徒会副会長も、弓道部も、勉強も、プリキュアも辞めるとれいかの電撃発表が行われました。
みゆき達は慌てて最後の一言の火消しをしますが、戸惑いを隠せません。
困惑しているのは生徒会員や弓道部員達も同じです。
辞める理由を問いただすと、本当にやりたい事が何かわからない中途半端な気持ちでは
皆に迷惑をかけると思い詰めていたためでした。
入江生徒会長は結論を急がずに辞めるのはいつでも出来ると諭し、
続けてなおもれいかに理解を示し、しばしの休養を提案しました。
『れいかは頑張り屋で責任感が強いってことは良く知ってるよね?
ちょっと頑張りすぎたのかも。どうかな。しばらくれいかに休んでもらわない?』なおの提案に、皆もひとまず納得します。
翌朝も、れいかの目覚めは早いです。
しかしランニングも、朝の手伝いも休んでやりたい事をやって良いと言われても、
それが何なのか、れいかには解りません。
授業中も考え込んでしまい、袋小路に迷い込んでしまったようです。
そのヒントを探るため、放課後みんながどのように過ごしているか知りたいと申し出ました。
まずはみゆきと一緒に図書室へ。ページをめくりながら、泣いたり怒ったり笑ったり、
喜怒哀楽のジェットコースターに乗っているようなみゆきを見て
れいかは初めて読む本なのかと疑問を抱きますが、みゆきはこの本を何度も読んでいました。
知っている話であっても、何度読んでも面白い。
そして該当箇所をれいかに指し示すみゆきの姿に、れいかは何かを学んだようです。
続けてあかねのバレー部の練習を見学。
『なぜ自分の出番でない時も声を出すのですか?』練習の際の掛け声に疑問を抱くれいかに、あかねはチームワークが大切だと答えます。
『だからいつも声を出して、お互いを応援し合って気持ちを一つにするんや』次はやよいと机を並べて絵を描きます。
納得の行く絵が描けずに、消したり描いたり四苦八苦、うまく行かないとぼやきながらも
絵を描いているやよいの横顔はとても楽しそうです。
そしてなおと一緒に河川敷へ行き、弟妹達の遊ぶ様子を見守ります。
転んで泣いてしまったなおの弟ゆうたに、思わず手を差し出そうとするれいか。
なおはそれを押し留め、ゆうたを自分の力で立たせました。
泣き止んで立つゆうた、その頭を撫でるなお。
それぞれ異なる4人の姿に、れいかは何かを学んだ様子ですが・・・
『皆さん凄いです。ちゃんとやりたい事があって
それを一生懸命やっています。それに比べて私は・・・』れいかはみんなと比較して、自分を過小評価していますが、
キャンディはれいかがいつも一生懸命だった事を知っています。
そして、一生懸命なれいかが楽しそうだった事も・・・
しかし「楽しそうだった」と言われても、未だれいかには実感がありません。
その頃、アカオーニもまたジョーカーにプリキュアの情報を収めた
大量の資料を叩きつけられて困惑していました。
プリキュアを倒すためにしっかり勉強するよう言われても、
オツムの弱い赤鬼さんは案の定、数ページめくっただけで舟をこぐ始末。
しかしプリキュアさえ倒してしまえば勉強せずとも良いと思いつき、
それを自賛しながら出撃して行きました。
れいかが未だ悩んでいるのは、自分達の質問のせいではないかと気に病む4人。
それだけでなく、プリキュアとしての復帰が叶うのかにも不安が募ります。
その頃、先週解けなかった算数の問題が解けた事を喜び合う子供達の前にアカオーニ登場。
勉強が出来て喜んでいる事が気に入らず、白紙の未来を黒く塗りつぶしました。
異変に気付いた4人はれいかを欠いた状態で変身。
れいかも一緒にいたキャンディが異変を察して駆けて行くのを追おうとしますが・・・
『しばらく休んで自分のやりたい事をゆっくり考えなよ』なおの言葉が脳裏をよぎり、未だ答えが出せません。
先週に続き、赤っ鼻によって子どもたちが持っていた教科書がアカンベェと化しました。
サニーを名指しするアカンベェ。その戦法とは・・・
『問題!「英語で私の名前はキュアサニーです」は何と言う?』
いくら英語が苦手でも、これが答えられない筈が無いと思いきや、サニーの答えは
『ワタァシ、キュアサァニィ』だめだこりゃ。
誤答したサニーは、クイズドレミファドン!よろしく×の字に拘束されました。
次いでピースに出される問題は「1+2+3+4」
いくら数学が苦手でも、1桁の足し算が答えられない筈が無いと思いきや、
計算に手間取ってタイムアップ。
お前はチャオズかピースもまた×の字に拘束されてしまい、次の回答者はマーチです。
「徳川幕府三代目の将軍は誰?」
いくら歴史が苦手でも、これは常識だろうと思いきや、「家ナントカ」としか答えられません。
二代とか五代将軍じゃなくて良かったですね。最低でも1文字合ってましたから。
そして全教科を苦手としているハッピーが残りました。
思わず逃げ腰になるものの、アカオーニに腰抜けと呼ばれて奮起し、
当たって砕けるつもりで問題に挑みます。その問題とは・・・
「犬も歩けば・・・続きは何?」
それなら知っていると自信たっぷりのハッピー。絵本や童話とはいえ、読書好きなだけあります。
『犬も歩けば、ここ掘れワンワン!』・・・「ハモりだす」じゃないだけ良いのかもしれませんが(笑)
これによって全員が動きを封じられ、迫りくるアカンベェ。その時・・・
『お待ちなさい!』駆け付けたれいかを、道にでも迷っていたのかとからかうアカオーニ。
確かにれいかは迷っていましたが、今の彼女は違います。
『私は、私の意志でここに来ました。人々を嘆き悲しませる悪事、私には見過ごせません!』変身を遂げたビューティにも、皆と同じ問題が出されますが
学年トップの彼女にとっては全く問題ではなく、いずれも即答。
逆にアカンベェを〇の字が襲います。
愕然とするアカオーニに、ビューティは私にも解らない事は沢山あると前置きした上で
今日の放課後、みんなとの時間で学んだ事を思い起こしました。
あかねからは、仲間と気持ちを伝え合うのが大事だという事を、
やよいからは、一本一本の線にこだわりや情熱がこもっている事を、
なおからは、時に厳しく接する事も優しさなのだと、
そしてみゆきからは、知っている物語も何度も読み返す事によって違う味わいが出てくる事を。
『自分のやりたい事が何なのか、まだわかりません。でも皆さんを見ていて思ったのです』アカンベェに反撃しながら、学ぶ事への思いのたけをぶつけるビューティ。
『もっと色んな事を見たい、聞きたい、知りたいと!そしていつか自分のやりたい事を見つけたい』ビューティの反撃にアカオーニは地団太を踏み、ものすごく難しい問題を出すよう指示しました。
「高村光太郎の詩『道程』のはじまりを述べよ」
目を閉じて考えるビューティの姿に爆笑するアカオーニ。しかし、ビューティは一味違います。
『僕の前に道は無い 僕の後ろに道は出来る』見事正解。かつ、その詩文どおりに「道」を刻む事を宣言しつつ、
ビューティブリザードでアカンベェを撃退しました。
『やりたい事を見つけるために、私はこれからも色々な事を学び続けます。それが私の道です!』戦い終わり、れいかは皆に苦手教科を学ぶ事の利点を教えました。
あかねには、将来バレーボールで世界大会に出場した際、
英語を学んでおけば各国の選手と話が出来る事。
数学が苦手な人の気持ちがわかるやよいならば、
数学が楽しく学べるイラスト入りの本が作れると。
なおにはサッカーの歴史を弟妹達に教えてあげれば喜ぶと。
そしてみゆきには、色々な事を知っていれば物語をもっと楽しく読めると。
再び5人に戻った彼女達を、柔らかな夕陽が照らしていました。
何のために勉強するのか、これは学生の間には決して答えが出せないものだと思います。
勉強を好き好んでする人など稀なのに、
なぜ義務教育より上の高校・大学へ、わざわざ勉強するために入学するのか。
進学するのが当然だから、というのが最も多い答えになりそうですが、
それではなぜ勉強するのかという答えにはなりません。
実際、私も理系に進んだ理由は当時苦手だった文系科目から離れたかった事と、
文系→理系の転向は難しくても、理系→文系は比較的容易だろうという安易な理由でした。
ところがいざ学生を終わってみると、これまで以上に本を読む事が多くなったり、
歴史・地理に興味が沸いて来たりするもので、
また科学面での知的好奇心も、幸い衰えずに今に至っています。
本編中でれいかが導き出した答えは、色々な事を見聞する事で己の道を見出すというものです。
すなわち人間の成長には好奇心と向上心が必要不可欠である事。
それはアカオーニに目の敵にされてしまった子供達もしっかりと持っていました。
先日解けなかった問題が解けた事を喜ぶ気持ちは、
学ぶ楽しさと必要性の一つを見事に言い表していると言えそうです。
ところで、ビューティが答えをぶつける「もっと色んな事を見たい、聞きたい、知りたい」のくだりで
同じ声ということもありダークドリームの事が思い起こされてしまいました。
「どうして笑っていたの?」と好奇心を持ち、「まだ習ってない」事に涙したダークドリーム。作られた存在でありながら、その短い生涯の中で少しでも成長を遂げ、
道を見出して散った事が、彼女の生きた証として胸に焼き付いています。
何のために学ぶのかという答えは、事によると人生の最後まで出せないものかもしれません。
昨日より今日の方が1日長い経験と知識を積み、1時間前より1分前より今の方が、
その時間分の積み上げがあってしかるものです。これまたドリームの台詞が重なりますが、
そうして積み上げていく事は、人生の最後まで続く筈です。
その時が来た際、己はどう生きて来たかと自答するために、学び続けるのかもしれません。
まさかあの
富士山頂の一件がここまで尾を引き、かつ綺麗にまとめるとは・・・(笑)
ネタとして用いられていた「道」を効果的に用いていたのも興味深いです。
迷いを打ち明けるれいかの前に、祖父曾太郎氏がしたためた
「道」の書がちらつく描写もさることながら、
アカンベェの出題である高村光太郎の詩が一つの答えを導くきっかけになるとは
良い意味で想像の斜め上を行っていました。
枕草子しかり、
一握の砂しかり、かねてより作中で引用される古典や詩文には、
何らかの意味を持たせている風に見受けられます。
例えば学年トップを撮り続けるためだけに勉強を続けるというのも、
一つの目的としてはあり得るかもしれません。
その結果、己を机に向ける自律の心や集中力が培われたり、
積み重ねた知識は決して無駄になる事は無いでしょう。
高村光太郎の詩文のとおり、振り返った後ろに道が出来ていれば、
それは自分が歩いた証といえますし、積み重ねた成果と褒められるものです。
中途半端な気持ちでは迷惑がかかると思い詰めてしまったれいかの姿に、
ここ最近の自分自身を重ねてしまいました。
れいかを見ていると真面目に固く考えすぎているんだと思えるのですが、
少し最近の私もここを運営する方針・指針に囚われすぎて、
かなり固くなっていたように思えます。
人は自分が考えている程、周りに迷惑などかけていないと言う(当然その逆もありますが)
当たり前の事を客観的に観る事が出来、これから少し肩の力を抜いて続けて行けそうです。
ここまで書いて来て異様に堅苦しい内容になっているので、少し砕きます(苦笑)
まず青木一家について。淳之介お兄様、あんな妹に「お兄様」と呼ばれるなど何て羨ましい・・・
先週少しだけ登場した静子お母様も、てっきり極妻のような方かと思いきや
物腰柔らかな中にも気品が滲み出る素敵な和風美人さんでした。
篠原恵美さんという、オールスターズでのゆり、ハミィ、翔子さんとの
顔合わせを考えたくなるキャスティングで、あとお一人残られた方には
シタターレ姐さんのような高飛車な敵役での登場を期待したいものです。
そして曾太郎おじい様の、まさかのメビウス様!
プリキュアの歴史上、ラスボスを務められた方の再登場は初めてで
そのうち他の皆様が登場する可能性にも含みがあるという事にもなりました。
れいかがみんなと過ごす放課後描写のうち、
なおとの場面の冒頭でキャンディがバッタを追い回していました。
これで
なおが取り乱す姿があるかと思いきや、
そんな事は全くなく少しだけ肩透かしを喰った気がしたのですが、
この場面に必要なのは厳しくても優しい姉としての毅然とした姿です。
この点不要なものを加えるよりも、無駄を省いて話を引き締めているようで好感が持てました。
単身アカンベェに攻撃を畳み掛けるビューティのアクションも見応えがありました。
問題を出題するというアカンベェの攻撃方法も面白いのですが、
反面スイートで同じものを観たばかりと感じてしまうのが少し残念です。
まだ1年も経っていないためにことさらその印象がありますが、
そうはいっても面白かったのは確かです。
出題内容が簡単すぎるというのも、子供向けという事を考慮すれば十分納得が行きます。
難しいテーマを扱いながらも、わかりやすさが伝わる今回もまた楽しく視聴する事ができました。
ただ次回はお笑い方面に全く関心の無い私にとって、少々不安がよぎります。
もっとも、見ないうちからそんな事を考えても仕方が無いので、
また来週何が得られるのかを楽しみたいと思います。