カラス天狗に追われて逃げる町娘。石につまづき転んで、あやうし!
そこに駆けつけたるは我らが星空みゆき嬢。いざスマイルチャージ!
ここでカットがかかりました。
只今映画の撮影中で、見学していたみゆきは思わず飛び出してしまい、
スタッフもカラス天狗の役者もみんな苦笑い。
みゆきも頭を下げて謝り、気を取り直して撮影が再開します。
『私も映画に出てみたいなぁ』もうすぐ出るじゃないですか。今日は時代劇映画村へ見学に来ています。なぜかポップも同行していますが、
そのココロは「侍映画と来て参加せずとあらば末代までの恥」という妙な理由です。
数々の映画ポスターが並ぶ前で、みゆきは蜘蛛妖怪、やよいはくの一になりきって
人前だと言うのにごっこ遊びを始めました。
あかねとなおも乱入し、4人のごっこ遊びに戸惑うれいか。
その光景が、ブンビーさんもとい監督の目に留まりました。
監督はビビッと来るものを感じて、5人に映画出演を打診します。
監督はみゆき達を見て新たなアイディアが浮かんだとの事ですが、果たしてどうなるやら・・・
そうと決まれば衣装合わせです。
みゆきの町娘、やおいのお団子屋さんの看板娘姿は共に可愛らしく、良く似合っています。
その2人もお姫様衣装に身を包んだれいかの美しさに、思わず息を呑みました。
『私がお姫様なんて、大役すぎるかと・・・』ああ!う・・・美しすぎますッ
背後に忍び寄る怪しい影は、女郎蜘蛛あかね。なぜか一人だけ悪役、でも妙にハマっています。
続けてくの一なおが登場。そのカッコ良さにみんなが見とれ、あかねは華麗にスルーです。
最後に、涼やかな若侍が登場しました。
『風の吹くまま気の向くまま、拙者の名は風来坊ポップ』
変身能力で人間にも化けられるようで、予想外のイケメンとなった姿をカッコいいと評され、
『いやあそれほどでも・・・あるでござるよ』
あの、何かキャラが変わってる気が・・・
ナルシストってお前はコブラージャさんか。時代劇を剣に生きる漢のドラマだと認識し、
「男の生き様!!」なる文句を背に剣を振ってやる気十分。
それはいいんですけど、何か勘違いしているような・・・
そもそも「妖怪オールスターズ」なる作品はそういう映画ではないと思いますけど。
テレビの前の私達の想いを、女郎蜘蛛あかねが代弁して突っ込んでくれました。
飛び入り参加の風来坊ポップも監督のお眼鏡に叶った様子。(アッー!なのか・・・?)
可愛い呼ばわりされて反発するのも相変わらず、その意気を買ってポップも採用されました。
映画に出たいと言い始めたキャンディも監督の目に留まり、
人間に味方する妖怪役で出演させようと即決。
ぬいぐるみが喋ろうが動こうが、ウラガノスもとい監督は細かい事は気にしないのでしょう。
『役者は揃ったァ!行ってみよぉおおお!』
監督の異常に熱いノリで、いよいよ撮影がスタートします。
まずは団子屋に逃げてきたお姫様が、女郎蜘蛛に襲われてくの一登場の場面です。
流石に本番ともなると緊張を隠せないのか、あかねは台本を手に不安そう。
この監督は練習なしのぶっつけ本番というやり方なのですが、
即採用の素人相手にいいのか、それで(笑)
とまれ、カチンコが鳴り撮影スタート。
店先でみゆき扮する町娘が団子を頬張るところから始まります。
『お客さん、お口に合いますか?』『おいしい!ウルトラハッピー!』あの、これ時代劇なのですが・・・英語が出ちゃってますよ。
まあ、某うっかり八兵衛なる方も「この旅籠サービス悪いですね」と発言したとかしないとか。
心配そうなスタッフを他所に、監督は面白いと撮影続行です。
芝居は進み、魑魅魍魎に追われたれいか姫が逃げ込んで来ました。
その後を追い、糸にぶら下がって逆さで登場する女郎蜘蛛あかね。
あの、あかねちゃんその身体能力凄すぎませんか・・・?
『ケケケケ、お姫様渡してもらうでぇ』何だかんだで結構ノリノリで悪役やってます。
それにしても女郎蜘蛛は関西弁を話しているところを見ると、関西出身なんでしょうか。
カオスな状況にスタッフも戸惑いますが、監督は相変わらず意に関せず。
『待ちな!くの一参上!』待ってました。カッコいい我らがくの一なお見参!
2階の屋根から生身で飛び降りてますけど、なおちゃんならそれくらいやってのけるのでしょう。
毬を取り出し、女郎蜘蛛あかねに直球勝負を挑みます。
毬を用いてのシュートとスパイクの応酬(また外来語が・・・(笑))は、
妖怪女郎蜘蛛が勝利しました。がっくり膝をつく、くの一なお。
『ほんなら姫さんもらってくで!』『あーれー(棒)』あの、あかねちゃん完全にセクハラ親父じゃないですか。
どうせなら帯を引っ張ってクルクル回して良いではないかと(以下自粛)
妄想はさておき、れいか姫危機一髪です。
『待たれい!風の吹くまま、気の向くまま、人呼んで・・・風来坊ポップ参上でござる』
姫の窮地を救うべく現れたるは風来坊ポップ。
もはや台本そっちのけ、本来の出番が無くなって戸惑う役者達を他所に、
監督一人が大喜びで盛り上がっています。
『数々の悪事、これ以上見過ごせぬ。いざ尋常に勝負でござる!』
ポップは鯉口を切った。刀は愛用のメルヘン左衛門正宗である。
正眼。女郎蜘蛛あかねと向き合った。たがいに、間合いを詰めた。
『負け・・・た・・・』女郎蜘蛛あかねの、体が、くずれた。
『またつまらぬものを斬ってしまったでござる』(お前は五右衛門か)
風来坊ポップは見事一刀で仕留めました。
『あの、せめてお名前だけでも・・・』去りゆく風来坊を引き留めるれいか姫。風来坊は一寸足を止めて振り向き、言い残しました。
『拙者、風来坊のポップ。名乗るほどのものではござらん』
って、名乗ってるし。やられた筈の女郎蜘蛛あかねのツッコミを背に、
風来坊ポップは夕陽に向かって去って行きました。
ここでカットの声がかかり、我に返るみんな。
監督が唸り声をあげているを見て、怒っているのかと思いきや評価はその逆、大絶賛。
そして味を占めた監督は次のシーンも出演して欲しいと持ちかけました。
その頃、アカオーニはまたまたテレビを見ています。
青鬼が人間を蹴散らす映画に大興奮。
青鬼の勇姿に憧れ、続く時代劇映画村のCMを見て、
ここに行けば青鬼に会えると考え、出かけて行きました。
映画村にやって来て早々に青鬼を見つけ、喜び勇んで飛びつくアカオーニ。
青鬼の(中の人)は、大ファンだと言われて戸惑うばかりです。
その時、長屋の向こうを行く五人の姿がアカオーニの目に留まりました。
いつもと衣装が異なるので良くわからなかったらしいですが・・・
映画は大勢のスタッフと役者達のこだわりによって生まれているのだと、
現場の様子を見て改めて感じるみゆき達。
その意気に感銘を受けたのか、ラストシーンの撮影にも力が入ります。
町に攻めて来た妖怪を、町人達みんなで協力して追い払う場面。
一人妖怪サイドに加わるあかねも相変わらずノリノリです。
『この町はうちら妖怪軍団がいただくでー』れいか姫を中心に、立ち上がる町の人たち。
と、そこにアカオーニが乱入しました。
妖怪軍団を見て、この世界にも悪い妖怪がいると感激し、
誤解したまま加勢を申し出てセットを本当に破壊し始めます。
逃げ惑う役者達。この状況でも監督は凄い迫力だと盛り上がっています。
ところが妖怪達(の役者)まで逃げ始めた事で、アカオーニは戸惑いました。
『おやめなさい!ここは映画を愛する人々の都。時代劇映画村です』ようやく映画の撮影だと理解するアカオーニ。
啖呵を切るれいかに続いて再び風来坊ポップも登場し、
アカオーニを映画をバッドエンドに変える悪者だとして、
人間と妖怪が手を取り合って立ち上がる時だと鼓舞しました。
妖怪役までも敵に回った事で、アカオーニはすっかり四面楚歌です。
そしてこのカオスな状況下で監督だけが変わらずノリノリで、
スタッフ達ももはやついて行けなさそうです(笑)
ところがそのテンションの高い監督も、バッドエンド空間に包まれると一転投げやりになりました。
『映画なんてつまらん』
撮影現場を守るべく、変身するみゆき達。
アカオーニもカメラをハイパーアカンベェと化し、一体化しました。
今回の相手はカメラだけに、一時停止や巻き戻しを使ってプリキュアを翻弄。
都度動きを止められたり、逆向きに走らされたり、
変身直後のポーズ決めた状態まで戻されて一時停止されたりと、思うように動けません。
動けないプリキュアに、ハイパーアカンベェの魔の手が迫ろうとしたその時、
風来坊ポップが馳せ参じました。
『お主たちの数々の狼藉、許せぬでござる』
抜けば玉散る氷の刃。構えは正眼。間合いを詰め、踏み込んだ。跳び上がった。
『メルヘン流奥義、妖精斬りでござる!』
上段から、電光のように黒っ鼻に向かって撃ちおろした。
戛っ
音と共に、刀身は粉々に砕け散った。
『メルヘン左衛門正宗が』
あの、そのネーミングセンスは一体・・・(笑) そもそも撮影用の道具ですから。
この窮地?にキャンディも負けじと助力を申し出、デコルでぞうさんを出しました。
キャンディが跨るぞうさんは、アカンベェ目がけてパオーンと鼻からお水をかけます。
あらかわいい。
たいした威力も無く、笑い飛ばすアカオーニ。
しかし水に濡れた事でカメラの回線がショートして火花を吹き、
慌てたアカオーニは間違えて早送りのボタンを押してしまいました。
一時停止から一転、目にも留まらぬ速さになった五人の攻撃を受け
ハイパーアカンベェのボタンが壊れ、元の速さに戻りました。
『映画は沢山の人の想いが詰まってるの。私達が絶対に守って見せる』プリンセスフォーム、そしてロイヤルクロックの力と共に、ロイヤルレインボーバーストで撃退。
アカオーニも映画なんてもうこりごりだと撤退して行きました。
監督は素晴らしい映画が撮れたとご満悦で、皆を試写会に誘います。
戦いの最中カメラがずっと回っていたため、プリキュアの事が撮られているのではとの懸念は
風来坊ポップが抜かりなくテープを抜き取っていました。
後はプリキュアのところのみ消して戻しておく等、流石頼りになります。
そして試写会の日。胸を躍らせて銀幕に見入るみゆき達。
風来坊ポップの活劇が、それはそれは格好良く映し出されています。
失敗したはずの妖精斬りもばっちりと決まっていたり、見守るポップも誇らしげ。
しかし待てど暮らせど、五人の出番は一向にやって来ません。
「プリキュアの所のみ消す」とは、5人が映る場面全てが消されてしまったという事でしょうか。
結局、お兄ちゃんのカッコ良い姿が見られて満足したキャンディを抱え、
『映画はもうこりごりかも・・・』アカオーニと同じ台詞でみゆきがオチを決めました。
・・・と思いきや、さらに上を行くオチがありました。
『いやー、映画って本当にいいものでござる』
いやあ今回はとにかく楽しかったです。
後述するみんなの衣装の可愛さもさることながら、
妖怪オールスターズDXというタイトルの遊び心、ネタ満載のポスターの数々、
その中の「ふたりはくの一」は多くのファンの方が注目された事でしょう。
何と言ってもブンビーさんでありウラガノスでもある高木渉さん演ずる監督が強烈で、
この方が喋るだけでもう世界観が変わって見える気がしました。
そういえば
ブンビーさんも時代劇撮影に乱入した事がありますし、MHに於いて時代村でなぎさとほのかが町娘の扮装をした時の敵もウラガノスでした。それを見越したファンサービスのキャスティングだったのかもしれません。
ぶっつけ本番でやる主義という監督の方針も、
アドリブ満載だったブンビーさんを思うとニヤリとさせられます。
そしてポップ。基本的な姿勢である
「可愛いと言われると反発し、カッコいいと言われると照れる」
を踏襲しつつも、自画自賛するなど少しキャラが変わっている点がやや気になりますが
ギャグ中心という事を考えれば許容範囲で、
むしろ普段見せない姿を見られた事で楽しめました。
ちゃっかり自分の活躍だけを編集して残している抜け目のなさ等、
案外黒い一面も持っているところも、これまでが完璧超人に近い人物だっただけに
人間臭い一面が見られたように思えます。
それにしてもココやナッツのように人間としての姿ではなく、
あくまで「化けて」いると考えると、イケメンになったりそれを自賛するあたり
案外コブラージャさんみたいなナルシストだったりして・・・(笑)
プリキュア5ではみんな町娘(約一名大奥御年寄がゲフンゲフン)で
のぞみの扮装が見られなかっただけに、今回の多様な扮装は楽しめました。
一見スタンダードなみゆきの町娘も、スタンダードだからこそ愛らしさが際立ち
やよいの看板娘はもう言う事なし、というよりあざと(以下略)
れいかのお姫様は、その衣装で謙遜する様の美しさがとにかく際立っており、
姫役がこれほど似合う方もそうはいないでしょう。
なおのくの一、カッコ良さに痺れました。欲を言えば某かげろうお銀のように入(以下自粛)
そしてあかね、ネタに走りながらもノリの良さ、ツッコミ加減や
本番前の不安そうな一面など、彼女の個性が良く出ていたと思います。
それにしても本文中でも突っ込んでしまった通り、
糸に逆さにつかまって登場するあかね、2階の屋根から飛び降りるなおの身体能力の高さは
突っ込むのが野暮というべきでしょうか(笑)
ただ、変身バンクが従来通りで
プリキュア5の時のように
扮装したままから変身スタートとならなかったのが、少し残念でした。
基本的には考えなしに楽しむべき一編だと思います。
そんな中で2点、気になった事がありました。
まずは青鬼を英雄視するアカオーニ。
これは「ないたあかおに」と繋がる可能性があるのではないかと考えました。
映画の一場面を観ただけで青鬼への思い入れを強く表していますが、
記憶・心のどこかに青鬼という存在と、その尊い友情を意識しているとしたら・・・?
もう一つは、悪役をノリノリで勤め上げたあかねです。
悪役不在では成立しえない物語があるにもかかわらず、
メルヘンランドにはその役を果たす存在が見受けられませんでした。
物語には悪役の存在が不可欠だと言う事を、演ずる事であかねが理解したとすれば、
いわゆる悪役という存在の三幹部やバッドエンド陣営に対する
見方が変わるきっかけになり得る気がしました。
三幹部達が仮にメルヘンランドを出奔した悪役だったとすれば、
その動機・心情を知る事が出来るのではないでしょうか。
いずれも考えすぎかもしれませんが・・・
ともかく、本文中でかなり突っ込んでしまった通り
基本的にはネタ要素が多く、楽しめる一編だった事に変わりはありません。
冒頭の「映画に出てみたいなぁ」発言は、
間もなく上映が始まるスマイルプリキュアの劇場版に対する台詞のようで楽しめました。
ラストに至るまで気が抜けず、みゆきの台詞でオチがつくかと思いきや
まさかの水野晴郎ネタで落とすとは・・・侮れませんでした。
朝日系列という事を考えると淀川さんの方が良いような気もしましたが、
水野晴郎でもお子様がついて行けないと思いますし、
淀川さんでは下手したら親御さんでも解らない方がいると配慮されたのかもしれません。
せめて今回は、僭越ながら私が借用して締めさせていただきます。
「プリキュアは楽しいですね、面白いですね。次週も御期待下さい。サイナラ、サイナラ、サイナラ」