『ウチの名前は日野あかね。太陽さんさん、元気が取り柄の中学2年生や』バレーボールの試合に向けて、練習に励むあかねは、今日も絶好調!
応援に行くと呼びかけるみゆき達の期待に応えるべく、張り切っています。
翌朝、あかねに隠れてなにやら相談事をしているみゆき達。
絆創膏だらけの指をあかねに指摘されたみゆきは料理で失敗したと誤魔化しますが、
その場を取り繕うみんなにも妙なよそよそしさが漂っています。
さて本日のホームルームの議題は「私の宝物」。
校内芸術コンクール(それにしても催し物の多い学校だなぁ)の
テーマに決まった命題について、クラスのみんなは次々に宝物を挙げて行きます。
豊島君は当然ギター。他にも天体望遠鏡(君の好物は
牛乳じゃないよね?)
修学旅行で買ったおそろいのキーホルダー(こんなところにもカップリングが!)
柔道の黒帯(中二で黒帯って凄くね?)、ゲームのセーブデータ(駄目だこいつ・・・)
などなど、皆それぞれの宝物が挙がる中、
そういうものを考えた事が無かったあかねも、自分の宝物を探そうと張り切るのでした。
その頃、ジョーカーに呼び出されたウルフルンは、
当初こそ呼びつけられた事に腹を立てて怒鳴り込んで来ましたが、
振り返ったジョーカーの、隠しきれない怒りに満ちた目を見て絶句しました。
(目ェデカッ)いつも通り丁寧な言葉遣いながら、もう失敗は許さないという雰囲気を滲ませる
ジョーカーに気圧されながらも、逆に問い返すウルフルン。
一体いつになったらピエーロは復活するのか、そもそもピエーロとは何なのか。
『ウルフルンさん!あなたまた・・・昔に戻りたいんですか?』
問いを遮るジョーカーの言葉は、ウルフルンをたじろがせるのに十分でした。
そしてジョーカーは5色のカードを広げ、最後のチャンスだと念を押して
誰か一人くらいなら倒せる筈だと、対戦相手を選ばせます。
しばし迷ったウルフルンは、かつて
本気で戦って敗れた時の事を思い出し
オレンジ色のカードを手に取りました。
みゆきの宝物は小さい頃お婆ちゃんに貰ったシンデレラの絵本。
なおはスパイクシューズ、やよいは太陽マンとのツーショット写真(おいおい)
そしてれいかは青木家の家宝である掛け軸。(現物を見ずともどんな掛け軸か想像できます)
キャンディはロイヤルクロック。
みんな自分の宝物を持っているのに、あかねは中々思い当りません。
宝物とは果たして、大事なものなのか、自慢のものなのか、貴重なものなのか。
みゆきは「ワクワクして絶対に無くしたくないもの」ではないかと、
好きなものが沢山あるあかねならすぐ見つかると助け船を出しました。
あかねの好きなものと言えば、バレーボール。しかしボールが宝物というのは何か違います。
お好み焼きも当然外せませんが、お好み焼きのコテが宝物というのもやっぱり違います。
そこにみゆき達が訪ねて来ました。そして英語の手紙が届いていた事も明らかになります。
英語の手紙といえば・・・
ブラTマソ君からのものでしょう。早速みんなで封を開いてみました。
最初のDearから躓いてしまうものの、れいかの助言を受けながら読み進めて行きます。
文中の「like」に反応し、それを「好き」の意味だと受け止めてはしゃぐやよい達。
しかし前後の文面を見るに、あかねの笑顔を「太陽のような」と例える意味でのlikeです。
愛の告白が期待外れに終わったと残念そうなみゆき達ですが、
「太陽のような笑顔」という例えには納得です。
ところで、あかねは未だ自分の宝物とは何なのかがまだ良くわからず、
大事なものは沢山あるけれど、宝物と言われるとピンとこないと気にかかっていました。
お店の前でみんなを見送るあかねに、今日はこれを渡そうと思って来たと
みゆきはあかねを象った人形を差し出します。
バレーボールを手にした笑顔のあかねと、「ファイト」の文字。
みゆきの手が絆創膏だらけだった理由を察したあかねは、感極まってみんなに飛びつきました。
心の底から喜ぶあかねを見て、みんなも嬉しそうです。
みゆきが発案してやよいがデザインを描き、れいかが生地を選んでなおが裁縫を教え、
キャンディも一緒に縫って、みんなで作り上げた人形。
『宝物・・・見つかった。この人形、ウチの宝物にする!』試合を明日に控えたあかねにとって、この上無い宝物が出来ました。
自室のベッドで喜びを噛みしめながら良く見てみると、縫い目が不格好で均等ではありません。
ここはみゆきが縫ったのか、真っ直ぐなところはなおかれいかか、
バレーボールの作りの細かさはやよいがスケッチしていたからだと思いを馳せるあかね。
「ワクワクして絶対失くしたくない」宝物だけでなく、
そこからみなぎるパワーを貰ったあかねは、明日の試合を頑張ろうと改めて誓うのでした。
そして・・・今宵は満月。狼男が猛る夜。
『キュアサニー・・・お前の全てをブチ壊してやる・・・!』
翌日、カバンにあの人形をつけて試合へ向かうあかねの背後に、ウルフルンが現れました。
一対一で決着をつけるべく、絵の具を塗りつぶして周囲をバッドエンドに染めるウルフルン。
大切なものを全部ブチ壊すと言うウルフルンを前に、あかねは単身立ち向かいます。
バレーボールを媒体としたハイパーアカンベェを前に、
初変身の時と同じと見て、
最初は軽く見ていたサニーですが、ウルフルンはいつになく真剣そのもの。
『てめぇの大切にしているものでてめぇをブッ潰して、二度と笑えないようにしてやるぜ!』
いつも以上の気迫で挑んでくるハイパーアカンベェ&ウルフルンに
防戦一方に追い込まれるサニー。今回のウルフルンは容赦ありません。
『俺はてめぇが大っ嫌いなんだ!いつもヘラヘラ笑ってムードメーカー気取りやがって!
何が笑顔だ!てめぇ達のやる事全部ムカつくんだよ!何もかも、ぶっ壊してやるぜ!!』
サニーは反撃も反論もできず、一方的に打ちのめされて追い込まれてしまいました。
体育館の方向にバッドエンド空間が広がっているのを見て、
あかねが一人で戦っていると察するみゆき達。
その頃サニーはハイパーアカンベェのボディプレスに跳ね飛ばされていました。
その勢いでカバンから外れた人形が、ウルフルンの目に留まります。
それがサニーの宝物だと聞いたウルフルンは鼻で笑い、奪い返そうとするサニーを一蹴して・・・
『やめろぉおおおおおッ!!!』サニーの悲痛な叫びも空しく、人形は無残に握りつぶされました。
綿が飛び出した人形を前にして打ちひしがれるサニーを容赦の無い追撃が襲います。
綿の飛び出た人形に、応援に行くと言っていたみゆきの笑顔を重ね、
打ちひしがれたサニーは立ち上がる事が出来ません。
みんなで作ってくれた人形。無残に潰された人形。
しかし、次はキュアハッピーを狙うと言うウルフルンの言葉が、サニーの胸に響きました。
『あかん・・・絶対にあかん・・・それだけは、絶対に・・・』高鳴る鼓動を胸に、立ち上がるサニー。そして・・・
『待たんかい!!!!』立ち去ろうとしていたハイパーアカンベェを呼び止めました。
『行かせへん・・・』サニーの声も、口元も、腕も、震えています。
それは自らが痛めつけられる事への恐怖で震えているのではありません。
みんなを失う事への怖さからくる震えです。
雄叫びと共に、ハイパーアカンベェへ突進し、猛打の応酬!
ウルフルンに何を言われようとも、サニーは一歩も退きません。
本当の宝物とは、バレーもお好み焼きも全部みんなと繋がっていた事だと悟り、
溢れる涙と共に、みんなへの想いと共に、拳を繰り出し続けます。
『みんながおるからウチは、自分の好きなモンに、一生懸命になれたんや!』『一人じゃ何もできねぇ弱虫野郎が、偉そうに語ってんじゃねぇよ!』
『みんながおったらどんな時でも、百倍も千倍も力が沸いてくるんや!
それがウチの一番の、宝物や!!』強い想いが火柱となって立ち上り、ハイパーアカンベェを吹き飛ばします。
燃え上がる焔と共に、絶対に宝物を壊させないと立ち上がるサニー。
一方のウルフルンにも、後がありません。負けられません。
燃える焔と追いつめられた野獣の一騎打ち!
激しい拳の応酬の果てに、果てなく燃えるサニーの心そのもののような猛炎、
サニーファイヤーバーニングが、ハイパーアカンベェとウルフルンを叩きのめしました。
と同時に力が抜けるサニーを、手負いの野獣の反撃が襲いました。
そこに駆けつける4つの光。サニーは一人ではありません。
『私たちの大切な友達を、これ以上傷つけさせない!』
『上等だ!てめぇら全員ブッ壊してやる!』
襲い来るハイパーアカンベェをロイヤルレインボーバーストの奔流が呑み込みます。
ウルフルンは今後の事を本気で案じながら、からくも引き上げて行きました。
壊れてしまったマスコットはまた作り直せますが、
あかねはこのままでいいと言います。世界でたった一つのこの人形がいいと。
『ホンマに大事な物が何かわかったから』失くす前に気付けて良かった、その宝物。それはあかねの心の中だけの秘密です。
『ウチの名前は日野あかね。太陽さんさん元気が取り柄で、友達が宝物の、中学二年生や!』ここ数回のユルい雰囲気から一気に目を覚まされたような、燃焼度の高い一編でした。
いや決して私はユルい展開が苦手だった訳ではないのですが(笑)
前回や
前々回とのあまりの温度差に少し戸惑ってしまったのも事実です。
しかし、この戸惑いこそ最初期のプリキュアが持っていた熱さのように思います。
いわゆる魔法少女ものの常識を覆す、肉弾戦を繰り広げる少女達、
キュアブラックとキュアホワイトの活躍を始めて観た時、私は戸惑いました。
同時に血が騒ぐような胸の高鳴りも感じ、以後この世界に魅せられて今に至っています。
プリキュアがこれほど人を惹き付けるのは実にシンプルで、
いわゆるジャンプの三本柱「友情」「努力」「勝利」を髣髴とさせるものが
根底に流れているからこそ、観る者を惹き付けてやまないのでしょう。
それはもちろんここ最近の楽しいエピソードでも、基本は変わりません。
しかしこのように、友情こそがかけがえのない宝物だという王道路線を、
正面切って文字通り「熱血」で纏めあげて紡ぎ上げた一編は、率直に心に響いてきます。
王道だからこそ、見る前から展開が読めてしまうという弱点もあります。
冒頭で絆創膏だらけの指を見せるみゆきと、
何やら隠し事をしているようなやよい、なお、れいかからは
あかねの試合に向けて内緒で何かを作っているのだろうと容易に想像がつきますし、
そのプレゼントがあかねの宝物になるだろう事も連想しやすいです。
それでも、真っ直ぐな物語がもたらす感動は揺るぎません。
むしろ斜に構えて観てしまった自分に、少し恥じ入るような気持ちさえ沸いて来ました。
初代を代表する傑作である第42話や、
プリキュア5でのりんちゃんの初変身、
フレッシュの「美希とせつなのこわいもの」等、
過去にも友達や仲間を失う事が一番怖いと語られる話があります。
スマイルプリキュアのシリーズに於いても、
中盤の山場では
キャンディを失う怖さと向き合わさせられ、
ロイヤルクロック入手関連でも同質の怖さと向き合いました。
失って初めて大切さに気付くのでは、それは宝物とは呼べません。
失う前に、その大切さを噛みしめられるものこそが宝物なのでしょう。
無惨に綿が飛び出た人形を見て、みゆきはまた直せると言います。
それは人間同士の関係も、仮に壊れてしまっても同じ事だと信じたいです。
さて毎回サニーメイン回はアクションも充実しているのがお約束ですが、
今回のサニーファイヤーバーニングを繰り出す一連の流れにはシビれました。
まさに燃える焔そのままの、あの熱さ!
もちろんそのカッコ良さには大満足ですが、
この立ち上がるシーンが「完全なお約束」では無かった事が素晴らしいです。
普通なら人形を握りつぶされた際にブチ切れて立ち上がるところですが、
今回サニーはその時点で立つ事が出来ませんでした。
立ち上がるきっかけは、みゆきを、みんなを失いたくないという強い気持ちがきっかけです。
プリキュアは充実したアクションが魅力ですが、それは攻撃のための手段ではなく
あくまで大切なものを守るための強い力です。守るための力という点があるからこそ
こと炎という、ひときわ攻撃性が高く見える属性であっても過剰攻撃にならないのだと思います。
冒頭とラストで入るあかねの自己紹介風モノローグが、より一層印象深くしていました。
最初のモノローグで、なんで今頃?という意外性で話に引き込み、
ラストのモノローグでそれが解決されて循環して戻って来るという構成が見事でした。
他にもブライアン君がしっかりと進行形で描かれていたり、
久々に実家の「お好み焼きあかね」が舞台の一部になったりと、
あかねを取り巻く関係を改めて浮き彫りにした上で、
ここまでの物語と全て繋がっていると感じられます。
それにしても
ブライアン君の手紙の中に「剣道」「茶道」「バレーボール」「お好み焼き」
とありましたが、れいかさんの「弓道」は・・・?(笑)
そして中学二年でも十分に読めるような平易な英文を書いてくれたところ、
彼の心遣いが伺えますが、あかね達はもっと真剣に英語を勉強する必要がありそうです。
一方、ウルフルンをはじめとした三幹部の今後が気になります。
ここ最近の彼らの戦い?っぷりを見れば、ジョーカーでなくとも怒りそうですが(笑)
何より意外なのは、ウルフルンもピエーロが何者なのか理解していないという事実です。
「昔に戻りたいんですか?」発言もあり、
彼らはジョーカーに踊らされている存在ではないかと思われます。
やはりメルヘンランドで悪役としての扱いに絶望し、おそらくそこを付け込まれたのでしょうか。
ただ、そのままでは昨年のメフィスト&トリオ・ザ・マイナーと少々被ってしまいますので、
何らかの捻りがあるのではないかと期待しています。
それにしても一切のギャグ性を排したウルフルンの恐ろしさと強さには惚れ直しました。
最近の無邪気に楽しんでいた姿と、果たしてどっちが彼の「素」なんでしょうか・・・
ともあれ、今回彼が吐き出す過激な言葉の数々は、
自分には無いものを持っているサニーを羨んでいるが故の妬みや、
寂しさの裏返しのようにも取れるような気がします。
同じことは次回のアカオーニ、おそらくその次のマジョリーナも、
このような境遇を見せるのか、それとも・・・?
次回やよいとアカオーニがどう向き合うのか、期待が高まります。