明日は文化祭。めぐみ達のクラスは「ぴかり茶房」という喫茶店を運営します。飾り付けや衣装を作り等クラスみんなで準備に臨み、料理はもちろんゆうゆうが仕切ります。
文化祭が初めてのひめは野菜をガンガン刻んで大張り切り。明日の本番はもっと楽しいと聞かされ、さらに男子と出会うチャンスもあると、期待に胸躍らせました。ちなみにひめの理想の王子様とは
『顔良しスタイル良しファッションセンス良しの、白馬に乗ったパーフェクト王子!』・・・高身長高収入高学歴、とか言っていたバブル時代のOLじゃないんですから(笑)。まあ、近いうちに劇場版でこういう人?に会いますから・・・
続けてひめは、校門前でゲートを作っているめぐみ達の手伝いにやって来ました。男子に頼まれて角材を運ぼうとしますが、ひめの力ではびくともしません。誠司に気遣われながら踏ん張るも、現実は非情です。
続けて釘打ちしているめぐみを手伝います。なかなか上手いめぐみの手つきをお手本にやってみると、ひめもなかなか上手です。ところが案の定、ひめは調子に乗って、お約束通り指を打ちつけました。冷しタオルを持ってくるというめぐみを断り、自分で流し台へ向かいます。
ひめが教室作業の手伝いに戻った時、既に準備は終わっています。準備の楽しさに味を占めていたひめはガッカリして、いおなのクラスへ向かいました。占いの館を準備中のいおなに、ネギ刻んだり紅ショウガ刻んだりする手伝いを申し出ますが、もちろんそんなもの占いでは使いません。
『私、文化祭って初めてだから、活躍する気満々で頑張ってるのに、気がつけば私、ぜんぜん役に立ってないんだもん』 やる気が空回り気味のひめに、いおなは優しく言い含めます。
『文化祭はね、一人で張り切っても駄目なの。クラスみんなの気持ちを一つにして、初めて成功するものなのよ』『でも文化祭の時くらいはみんなに一目置かれたり、ちやほやされたりしたいじゃん!』 さすがにそれはジコチューだとリボンに諭されました。そんな悩めるひめをいおなが占ってあげると、結果はなんと大吉。この結果は果たして・・・?
めぐみは大工仕事、いおなは占い、ゆうゆうは料理。それでは自分には何が出来るのか。ひめは手持ち無沙汰で考え込みながら校内を彷徨っていると、眼鏡の男子にぶつかりました。彼はポスター貼りの最中で、ひめに曲がっていないかアドバイスを求めます。そして他のポスター貼りもお願いされて、ひめは快諾。一緒にポスターを貼って回ります。
実は彼はこの学校の生徒会長で、地味な風貌ながら女子生徒達の人気の的。それでも奢ることなく、ポスター貼りという地味な作業に徹しています。不思議そうにその理由を訊ねると、動き回るのが好きだというだけでなく、文化祭の準備を楽しむ生徒達を間近で見られる事に喜びを見出しているとの事。そして最後の一枚を貼り終えて、ひめにお礼を言います。
『白雪君のお蔭でスピーディにこなせたよ。ありがとう』
『こちらこそ、お役にたてて良かった』『学校内を回ってみたら、文化祭の面白さも少しは感じられた?』
『会長、もしかしてそのために私と一緒に?』 それだけでは無く、ポスターも貼り、会長本人も楽しめて一石三鳥だと爽やかな笑顔を返しました。
めぐみがひめにゲートの仕上げを頼みに来ます。確かに完成はしたものの、ゲートはベニヤの打ちっぱなしでイマイチな出来でした。ひめは早速ペンキを手に取り、生徒達には風船をたくさん膨らませるよう指示を出します。
『ゲートは文化祭の顔なんだから、人がワクワクするような素敵なゲートにしなきゃね』 結果、ゲートは見違えるようになりました。そこに文化祭の準備を労い、あしたの本番を楽しみましょうと言う会長のアナウンスが流れます。そろそろ閉門の時間。そして明日は楽しい文化祭。
ナマケルダさんもそのアナウンスを聞いていた事を、皆知る由もありません。
いよいよ文化祭当日。ゆうゆうは張り切ってコックさんにカワルンルンし、めぐみとひめはメイド姿で接客にあたります。しかしお客さんの入りはイマイチで、ひめは外へ呼び込みに行きました。ビラ配りをしていると、生徒会長に出会います。会長はゲートを彩ったひめの仕事を褒めますが、
『違うよ。あのゲートは仲間達みんなで作りました』『そうか。みんなの文化祭への想いが伝わってくる最高のゲートだね』
その時、ナマケルダさんが韻を踏む見事な前口上(笑)で現れます。
『文化祭、体育祭、音楽祭、全部まとめてめんどくさい。こんなことやるだけ無駄ですぞ』
会長を鏡へ閉じ込めてサイアークを生成。ひめは一人で立ち向かいます。
『私たちの文化祭を滅茶苦茶にするなんて、絶対に許さない!』『学生は勉強するのが本分。その勉強すらしないのも、私的にはモアベターな生き方ではありますが・・・』
『勉強は授業で教わる事だけじゃない!文化祭からも学ぶことは沢山あるんだから!』 所詮プリンセス一人では何もできないと高をくくっていたナマケルダさんの思惑に反し、プリンセスは一人で奮闘。重い攻撃を受け止めて反撃に転じ、キュアブラックもかくやという猛打を叩き込みます。
『出会った頃は負けては逃げてばかりのプリキュアでしたのに、一人でも立ち向かうとはずいぶん変わりましたね』
どこか感慨深そうなナマケルダさんですが、攻撃の手は緩めません。それでもプリンセスは折れません。
『私一人じゃ非力かもしれない。でもみんなのために一人でも頑張る!頑張りたいの!』 笑顔で答えながら、プリンセスボールを叩き込みました。
ラブリー、ハニー、フォーチュンも合流し、みんなでチョイアークを片付けます。しかしサイアークが校舎をカビで覆い、さらに体をコマのように回転させてゲートの方向へと突進して来ます。プリンセスは手を広げてゲートを守るように仁王立ち。
『このゲートに近づかないで。このゲートはみんなで頑張って作った大切な物なの!』 一人でサイアークを押し留めます。頑張りや仲間を面倒臭いと一蹴し、人のために身を挺する等もっての外と言い捨てるナマケルダさんに反論。
『そんな事ない!みんなの想いを大切にしたい!そのためなら私!どんなことでも頑張れる!』 力強く訴えた後、身体から光を発しながら、静かに口を開きました。
『私が持ってる勇気の力は少ないけれど、みんなの笑顔があれば無限大の力になるの』 その想いにドレッサーが反応し、プリンセスもイノセントフォームへと目覚めました。
サイアークのパンチを拳で押し返すッ!踏みつぶされたと思いきや、巨大な足を推し留め・・・叩き付けるッ!強いッ!
プリンセスウィンディーウィンクの光がサイアークの動きを止め、仕上げは4人のハピネスビックバーンで決めました。
『そういえば文化祭でヴィジュアル系バンドなんかやりましたな。今思えば若気の至り・・・』
衝撃の過去(笑)を口にしながら、ナマケルダさんも引き上げていきました。
プリンセスはイノセントフォームになれた事を無邪気に喜び、校舎を覆ったカビも消え、生徒会長も無事に開放。いおなの占いどおり「大吉」です。
めぐみ達が教室に戻ると、ぴかり茶房はいつの間にか大繁盛。めぐみ達が慌ただしく切り盛りしていると、会長やいおなが様子を見に来ました。ひめはラムネをサービスしながら幸せを噛みしめています。
『みんなも楽しい私も楽しい、嬉しい楽しい幸せいっぱいなのって、最高だよね』 改めてひめの成長ぶりを実感する、印象深い一編でした。
第一話をはじめとしたシリーズ前半のひめの姿を思い起こせば、今回のナマケルダさんのような感慨を抱かせます。
その成長ぶりは随所で伺え、まず冒頭の野菜を刻むシーン一つを取ってみても、
第6話で料理を作る事すら知らなかった事を想えば、ここまで大きくなったかと感慨深いものがあります。
他にも釘打ちに失敗した際に、めぐみに甘えず自分で冷やしに行く場面なども、傍から見れば些細なことですが、彼女が一人立ちした事が伺えるシーンだと感じました。
サイアーク登場からしばらくの間、彼女一人で持ちこたえたところは言わずもがな。ナマケルダさんが感慨深そうな発言をするのと同じ想いを、ひめの歩みを見て来た者としても感じます。
例えが適切かどうかはアレですが・・・ひめは「ダイの大冒険」におけるポップ(スマイルプリキュアのキャンディの兄貴ではありません)のような存在に思えて来ます。彼も最初は逃げ続け、情けない姿が目立ったものですが、その成長は目を見張るものがあり、ラストまで読み進めた頃には、彼の存在なくしてこの物語は無かったと言えるほどの成長を遂げました。
ひめからは、良くも悪くもそのポップらしさを感じさせます。かなり成長を遂げたと思わせた段階でも、思わず調子に乗って失敗してしまうところも共通点が伺えました。
前回のめぐみが、「イノセント」に人助けをしようとしたのにイノセントフォームに目覚められなかったのは、自分を見つめられていたかどうかが差異のように思えます。
今回の、特に会長と出会うまでのひめは、前回のめぐみのような後先考えない手伝いの申し出が目立ちます。その手伝いの理由についても「文化祭の時くらいはみんなに一目置かれたり、ちやほやされたりしたい」という、ブッ飛んだものです。しかし、その目立ちたいという「無邪気」で「素直」な気持ちをストレートに打ち明けられるのは、ある意味「イノセント」とも言えます。もちろん今回のプリンセスがイノセントフォームに目覚めたのは、これが直接の原因ではありません。しかし「イノセントな想い」であることに変わりは無いでしょう。
生徒会長と出会い、その手伝いをしてからは、「役に立てて良かった」「ゲートは仲間達みんなで作った」と、自分よりも周囲を立てる発言を自然に行っています。特に後者の発言は、自分が目立ちたいという、少し前での発言とは大きく変わっています。どちらも飾らぬ本心であり、時には調子に乗る事もある。良い部分も悪い部分も含めてひめという子の性格です。
もっとも、理想の王子様の高望みには苦笑させられましたが・・・。その王子様がまさか本編AパートとBパートの間のCMに登場するとは(笑)。劇場版CMのタイミングが実に絶妙でした。二代後に伝説の魔法つかいになる子の前世も映っていますし、今となっては少し懐かしいふなっしー等、今見返すと色々感慨深いものがあります。
この「人形の国のバレリーナ」を私は高く評価しているので、いつか機会があれば語ってみたいものですが、劇場版の感想はなかなか大変なので・・・
ところで「顔良しスタイル良しファッションセンス良しの、白馬に乗ったパーフェクト王子」って、もしカナタに会っていたらどんな反応を示した事でしょう。
そして生徒会長も中々味のあるキャラクターでした。
前作のマナはあまりに強烈な生徒会長でしたし、シリーズを紐解いても、かれん、いつき、れいか(後半から)、みなみと、いずれも優れた能力を持ち、率先して先頭に立つタイプです。そんな中、調整型で縁の下の力持ち、それでいて気配りが上手く人を見る目があるという生徒会長の異質性が際立ちます。その風貌も、一見地味ながら真面目で誠実な人柄がにじみ出ており、生徒達から一目置かれているのも理解できました。人の上に立ち、人を率いるのは必ずしも強力なリーダータイプだけではない、というお手本のようです。過去の例からすれば、いおなや誠司が生徒会長でもおかしくないのですが、この生徒会長のようなタイプだからこそ、尖った個性を上手にまとめられるのかもしれません。
ところで彼の「假屋崎」という彼の苗字、まるでどこぞの華道の人みたいです(笑)
今回が一連の挨拶シリーズの最後。それもキュアホワイトが締めということもあり、初代のオマージュ?らしきものが目を惹きました。
「ぴかり茶房」の看板メニューがタコ焼きだったり、キュアプリンセスの「ダダダダダッ」連呼の猛ラッシュなど、ひょっとして狙ったのでしょうか。オールドファンとして思わずニヤリとさせられました。
【今回のおめでとうメッセージ/キュアホワイト】
このメッセージが中盤に差し掛かったあたりから、トリは彼女ではないかと噂されていました。大河ドラマや大作映画では出演者クレジットの最後の「トメ」が注目されますが、これほど相応しい人選は無いでしょう。キュアブラックに始まり、キュアホワイトが締める。やはり彼女達があってこそのプリキュアシリーズです。
その挨拶は奇をてらわず、簡素そのものなのも、ほのからしさを感じさせます。そしてカーテンコールに応えるような身のこなしで退場。ここまで連綿と続いた挨拶をを締めくくる見事な内容でした。