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魔法つかいプリキュア!第33話『すれ違う想い!父と娘のビミョ~?な1日』 [魔法つかいプリキュア!]

 プリキュアシリーズにおける複雑な父娘関係といえば、まず北条親子が思い出されます。
「音楽」を挟んで微妙なわだかまりが生じ、かつ家でも学校でも常に近くにいるため、愛憎入り乱れるとまでは行きませんが、響は当初複雑な感情を抱いていました。
 それ以外の父娘関係では、稀に年頃の少女らしい反発が見受けられることもありますが、初期の北条親子ほど微妙な関係を持つものはありませんでした。そんな父娘関係に一石を投じる、リアン・リコ父娘。
 北条家とは異なり、「ずっと離れて暮らしている」ゆえの、リコの繊細な心理。そして一緒に視聴している親御さん向けのメッセージと思われる内容が印象に残る一編でした。
  
 公園でイチゴメロンパンに舌鼓を打つみらい達。怪しい男が、その様子を伺っています。果たして精霊が発する甘いにおいに釣られたモフルンが、その男に捕まりました。モフルンの悲鳴を耳にしたみらいとことはは、すわ一大事とばかりに飛び掛かります。
『モフルンを』『放しなさい!』
 リコは二人が取り押さえた男を見て、言いにくそうに口を開きます。
『ごめん、二人とも。その人・・・私のお父様なの』
『今、お父様って言いました・・・?』
 組み伏せられたお父様ことリアンさんも、思わず苦笑い。みらいはバツが悪そうです。

 朝日奈一家に父を紹介するリコ。リアンさんの仕事は、世界を股にかけて活躍する考古学者です。尊敬の目を向けつつも、大吉さんは父としての境遇を案じました。
『でも、なかなか娘さん達に会えなくて寂しいでしょう?』
 苦笑するリアンさんに、リコが複雑な目を向けている事を、この場の誰も気づいていません。

 実はリアンさんは校長に頼まれてこの町へやって来たのでした。みらい達の部屋でレインボーキャリッジと、それが織りなす魔方陣を興味深く観察します。
 リアンさんは不思議な馬車の事、13個目のリンクルストーン、精霊の存在、ことはの事、そして三人が伝説の魔法つかいプリキュアだという事も校長から全て聞いていました。再びリコが父に複雑な表情を向けます。(ルビースタイルのガーターベルト姿をお父様に見られたくなかったから、だったりして・・・)
 リアンさんは、やがて訪れる災いとその対策についての探索を求められたものの、既に魔法界は校長が調べ尽くしていたため、ナシマホウ界を中心に手がかりを探していたのでした。

 一方、デウスマストの眷属達。シャーキンスは実際に手合せをして、ラブーを倒したのはまぐれでは無いとプリキュアの実力を認めています。その時ベニーギョ、いやベニーギョ様(笑)も目覚めました。土偶に封じられていたとは思えぬ、17歳くらいのギャルっぽくかわいらしい姿ながら、他の同志たちが目覚める気配が無いと見て出撃。容姿に似合わず好戦的です。

 みらいはリコとの出会いを、モフルンと共に再現してリアンさんに説明します。
『私、モフルンの事落としちゃって、そしたら「ねえ、落としたわよ」ってリコが教えてくれたんです』ここまでは、まあいいでしょう。
『そしたらリコはほうきで飛んでいて、私もう「魔法使いだ!」ってなっちゃって、(中略)ペンダントがピカッて、あっちにほうきでバーッて飛んで、キュアップラパパでピカッ!ババーン!』
 だんだんわけがわからなくなってきました(笑)。それでもリアンさんには気持ちは伝わっているようです。そしてリアンさんはリコのペンダントをまじまじと見つめて思案を始め、考古学者モードになりました。水晶を通じて校長とディスカッションを始める父の姿を前に、リコは複雑な表情でダイヤを握りしめ、背を向けて駆け出します。リコがその場を離れた事に、みらいもことはも、父も気づいていません。

 大吉さんがやって来て、慌てて校長が映る水晶や魔法にかかわるものを隠した時に、皆はようやくリコがいない事に気付きました。
 一人噴水の畔に佇むリコを見つけたのはみらいです。
『凄いね、リコのお父さん。いろんな事に詳しいし、一生懸命沢山調べてさ』
 それでもリコの顔は冴えません。

 同じ父親同士、シンパシーがあるのでしょう。リアンさんは大吉さんに打ち明けます。
『リコには長い間、親らしいことを何もしてあげられなかったんです。今日もつい仕事の話ばかりしてしまって。あの子は私をどう思っているのやら・・・』
 すると、一緒にいたことはが即答しました。
『そんなの好きに決まってるよ!』

 子供を想わない親はいない。みらいは春休みの魔法界短期留学で家を空けて、戻った際に大吉さんが不安でたまらなかったと打ち明けた事を思い出しました。
 子供を想わない親はいない。リコもまた、その言葉を今日子さんが言っていた事を思い出します。

 ことはは「はーちゃん」だった頃からリコが手塩にかけて育ててくれた事を想いながら、リアンさんに訴えます。
『私を暖かく育ててくれた。わかるの。それはきっとリコも同じように家族から優しさをいっぱい貰ったからだって。だからリコ、おじさまのこと大好きな筈だよ』
 その時、お父さんと一緒に自転車に乗る練習をしていた女の子が転びました。お父さんは助け起こそうとしますが、女の子は自分の力で立ち、練習を始めます。
『子供ってのは親が思っているほど、子どもじゃないですよ』
 その様子を見ていた大吉さんは、みらいもリコと出会い、ことはが来てから成長して行った事を重ね合わせ、自分に言い聞かせるように語ります。
『そんな子供を見て自分もしっかりしないとなって。親も子供に成長させてもらってるんですよね』
 さすが大吉さん。いいこと言います。・・・と思った矢先、突然大吉さんは春野いぶきさんバリの親バカに変貌。タブレットに保存しているみらいの写真の数々を、自慢げに見せ始めます。生まれたばかりの写真はともかく、1時間後、1時間半後、2時間40分、などなど・・・(笑)
 その前後から空に暗雲が立ち込めたのに気付いたことはとリアンさんはそれどころではなく、大吉さんを残してみらいとリコの元へ向かいました。大吉さんが我に返ると、周りに誰も居ません。

 みらいとリコも暗雲を気にしていると、果たして落雷と共にベニーギョ様が現れます。初対面の名乗りの後、枯葉と噴水の水を合わせてドンヨクバールを生成。この場にモフルンがいないため変身できず、二人ははほうきで逃げ回ります。
『戦う気ゼロ?私、ナメられてるって感じ?』
 そこにモフルンを連れたことはが、リアンさんと共に駆けつけます。そしてサファイアスタイルへと変身。初めて見る「伝説の魔法使い」、しかも「娘」を、リアンさんはある種の想いと共に見つめます。

 ドンヨクバールは水を乱れ撃ちにして襲って来ます。
 サファイアスタイルの素早い身のこなしでも避けきれず、水の一撃を喰らって地に叩きつけられるマジカル。追い打ちが迫るその時、娘を庇ってリアンさんが割って入りました。
 魔法で火を起こして水攻撃を受けとめますが、魔法界屈指の考古学者と言えど相手が悪く、防ぎきれずに押し切られました。
『あ~あ、もうダサすぎ。しょぼい力しかないくせに出しゃばるから』
 倒れたリアンさんに、ベニーギョ様の嘲笑が投げかけられます。いや、そういう発言は負けフラグですから・・・(笑)
『いいえ、おじさまは強い力で溢れています!』
『家族を想う優しい気持ち。それが何より強い力になる!力は、想いは、絶対伝わる!』
 ミラクルとフェリーチェがドンヨクバールに重い一撃を叩き込み、父を介抱したマジカルも顔を上げて、ドンヨクバールを睨み付けます。
『お父様になんて事を・・・お父様に、謝りなさい!』
 激しく蹴り飛ばし、怯んだところをエクストリームレインボーで撃退。
『なんかワケわかんないし。帰る』
 ベニーギョ様も引き上げていきました。

 戦い終わり、マジカルはリアンさんに手を差し出し笑顔を向けました。
 リアンさんも、伝説の魔法使いとなった娘に笑顔を返します。

 今宵は十六夜。
 月が夜空を照らす下で、父娘水入らずの僅かな時間が流れています。
 娘がプリキュアだと知った時、もちろんリアンさんも驚きました。しかし同時に自分のなすべき事も悟ってています。それは、災いを避ける方法の手がかりを探す事。
『こんな月の晩だったな。リコが生まれたのは・・・。本当に大きくなった』
 月を見上げ、リコが生まれた日の事に想いを馳せるリアンさん。記憶に蘇る生まれたばかりの娘は、もう13歳の少女になっています。近いうちに母と共に再訪する事を約束して、リアンさんは傘を広げて夜空へ飛び発っていきました。
『待ってるから!お父様、ありがとう』
 父が去った月夜を、リコは笑顔で見送ります。


 これまで校長と話している姿だけは登場していたリコの父、リアンさんがようやく本格的に登場。
 まず、冒頭から「事案発生」状態になってしまったのが気の毒ですが、いくら見た目が紳士でも声のかけ方と登場の仕方を誤ると問答無用でボコられてしまうということがよくわかりました(笑)。私も気を付けなければ・・・(おい)
 それにしても手土産に石を持ってくるとは・・・。美翔可南子ママンといい、考古学者はどこかセンスがズレているようですね。このように親のズレたところに恥ずかしさと苛立ちを覚えてしまうようなリコの表情が何とも言えません。
 そして、以降リコに多くを語らせず、表情だけで複雑な想いを描いて行く手法は心に残りました。大吉さんに『中々娘さんに会えなくて寂しいでしょう』と問われて苦笑いするリアンさんに向ける眼差し、校長の密命を受けてナシマホウ界で調査活動を続けており、さらに娘がプリキュアだという事も知っていたと聞いた時の表情。それぞれ「私も寂しかったのにそれはないんじゃないの?」「私達がプリキュアとしてこんなに大変だったのに、それを知ってて今まで黙ってたの?」とでも言いたげで、それを口に出さないところ、リコが今まで我慢を強いられてきたことが伺えます。
 一方でリコが不満を口にしないのは、父の仕事についてある程度理解があるからとも言えそうです。私が泣き言を言ったらお父様が安心して仕事できない、というような感情を押し殺しつつ、それでも寂しいというような感情も伝わって来ました。

 さてリコの心理描写だけでなくもう一つ印象に残ったのは「親としての経験値」でした。
 リズ先生の年齢から察すると、リアンさんは若くても40代半ば。対して大吉さんはまだ30代に見えます。子と離れていると、子が親との距離感がつかめずに戸惑うだけでなく、その逆もまた同様ということです。
 リアンさんは世界を駆けまわる考古学者というだけに、本来は大吉さんより円熟していてもおかしくはありません。しかし実際はリアンさんが大吉さんから学んでいる描写が多々ありました。
 仕事に追われる日々で子供との時間が取れず、リアンさんのように「子からどう思われているのか」と不安を覚える親御さんは実際に多い筈です。
『親も子供に成長させてもらってるんですよね』
 この言葉は、プリキュアをお子様と一緒に視聴している親御さんへ向けた励ましのメッセージのようです。そして大吉さんはリアンさんに同意を求めるようにも見受けられます。大吉さん自身も、みらいだけでなく、リコやことはといった「子供」達に成長させてもらっていると、自問自答したのかもしれません。

 親子の別れの場面の月が、十六夜というのも印象的です。
 もともとこの苗字、ナシマホウ界で学校に通う際にとっさにつけたもので、みらいと出会った時に観た月が印象的だったからというものでした。それが今回の別れの場面、ひいてはリコが生まれた日の月もそうだったという事に、偶然にして必然な運命が感じられます。
 命の誕生、運命的な出会い、そして別れの感慨を「月」を交えた描写は心に残りました。
 母を連れての再会を約束し、月夜に消える別れの場面も、寂しいだけでは無い美しさが印象的です。もっとも、その「再会」があのド派手な誕生パーティになろうとは、当時思いもしませんでした(笑)。

 繊細な内面描写が光る一方、リコと出会った時の様子を再現するみらいには笑わせてもらいました。まるで長嶋茂雄の解説を聴いているような内容で、言いたい事を伝えようとする熱気は伝わってくるのですが、確かにアレでは1話を観ていない人にはわからないですよね(笑)
 あとは、突如として春野いぶきさんバリの強烈な親バカぶりを披露する大吉さん。どこの職場にも一人や二人いるんですよね、お子さんの写真を熱心に見せて下さる方々って(笑)

 さて、ここまで触れて来ませんでしたが・・・
 かつてビートたけしは小渕首相のことを「海の家のラーメン」と評しました。大して期待しないで食べてみれば意外とうまかったという例えです。
 ベニーギョさん、いやベニーギョ様!!!!!あなたはまさに海の家のラーメンでした。まさかこんなにもエロ麗しい敵幹部だったとは・・・
 確かに土偶は女体を誇張したものですし、縄文時代のフィギュアみたいなものと言われることがありますが、土偶からこんなに可愛らしい敵さんが出てくるなんて・・・
 これまで私を虜にした「イース様」や「トワイライト様」とはまた違った方向性で、ラブーとシャーキンスがビジュアル的に今一つな事もあり、ここから後半戦が楽しみになった事を思い出します。(え?オルーバ?野郎でしょ?)

 そして次回はまゆみの初恋エピソード。ハピネスチャージと並行視聴していますので、比較しながら視聴できるかもしれません。
 もっとも年頃の娘を持つ大吉さんとリアンさんは「恋」と聞いて気が気では無いようで・・・「コイ(鯉)」の像の影から娘たちの様子を伺っているエンドカードがシュールでした。
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悩める父メフィスト

順調そうな腰著・ご投稿 何よりです。
父親エピソードは ビミョーなもの・微笑ましいもの・感動的なものと 色色で面白いですね。
電化製品マニアな人も珍しいですが^^

しかし、魔法つかいの話の展開は、歴代と比べて独特に感じます、私だけでしょうか。
by 悩める父メフィスト (2017-06-15 12:52) 

スティクス

>悩める父メフィストさん
>父親エピソード
年頃の少女が父親に対して抱く複雑な気持ちが、いずれも伝わって来ますね。大吉さんのキャラも個性的で楽しいです。
・・・というよりも表に出てくる父親はみんな個性的な気が(笑)

>歴代と比べて独特
やはり二つの世界を行き来する事が、現実とファンタジーが入り混じった展開になっていると思います。
by スティクス (2017-06-16 05:50) 

悩める父メフィスト

> ・・・というよりも表に出てくる父親はみんな個性的な気が(笑)

アコの父親は 特に^^
by 悩める父メフィスト (2017-06-16 18:18) 

スティクス

>悩める父メフィストさん
>アコの父親
ええ、特に(笑)

はっきりと登場する父親はみんな濃いキャラしてますね。逆に5シリーズやハピネスチャージなど、殆ど登場しないシリーズもありますが・・・
現プリキュアアラモードでも、いちかの個性的なお父様が際立ちますね。
by スティクス (2017-06-16 23:19) 

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