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5GoGo 第8話『シロップと謎の手紙』 [Yes!プリキュア5GoGo!]

次の第9話のインパクトがあまりに強すぎるためか、
この第8話も推理が絡むものだという事を失念していました。
チラシの切れ端、トケイソウの蔓、ホットケーキのカケラ。これらが意味するものは何なのか。
謎の手紙の推理を主軸に据えながらも、
人知れぬ孤独と恐怖を抱くシロップに、闇に光が差すように手を差し伸べる
のぞみの姿が印象的で、再見で評価を改めた一編となりました。
  
一面の闇の中に、一人取り残されたシロップ。
ただ一つ、そこに明かりを差し込む扉が、徐々に閉まっていきます。
急ぎそちらへ向かおうとするシロップの足を何者かが掴み、その間に扉は閉じていきます。
『嫌ロプ!シロップを一人にしないでロプ!待ってロプーーーーーー!!!』
シロップは力いっぱいはげしく胸をうって叫びそれからもう咽頭いっぱいに泣き出しました。
もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。
シロップは眼をひらきました。もとの時計台の中にねむっていたのでした。
胸はなんだかおかしく熱り、頬にはつめたい涙がながれていました。
悪夢から目覚めた朝6時。時計台の鐘が鳴り響き、
驚いて飛び起きると同時にメルポからプリキュア宛の手紙が飛び出してきます。
そして同じ頃、朝っぱらからスコルプさんも町へ姿を現します。
立場が無くなる前に何か成果を上げるべく、その時計台へ目をつけました。

ホットケーキの山をがっつくのぞみとうらら、
呆れ顔のりんちゃんも実は食べる気満々で、本当に呆れているのは上級生組だけです。
食後に大量のホットケーキ、そして放課後に
新しくできたクレープ屋へ行こうと盛り上がるのぞみに絶句するこまちとかれん。
そこにシロップが、今朝届いた手紙を持ってきました。
ところが封を開いてみると、中か出てくるのは手紙ではなく
模様の付いた紙切れ、植物の蔓、そしてホットケーキのカケラ。
一見意味不明な代物ですが、メルポから出て来た以上、
何か意味がある筈で、皆で推理を巡らせます。
植物の蔓に関しては、さすが花屋のりんちゃんがトケイソウだと見抜きますが、
他の二点はわからずじまいです。
シロップは意見を求められ、運び屋だから中身の事はわからないと前置きしつつ、
手紙の送り主は何か伝えたい事がある筈だと考えました。
そして今から送り主を探しに行くと息巻くのぞみに、
結局シロップも付き合わされるハメになります。

舞台をナッツハウスに移し、皆で考え込んでも中々答えは出ません。
付き合っていられないといった感じで、一人バルコニー不貞腐れるシロップは、
追って来たココとナッツにのぞみ達は変だと漏らしました。
何故、知らない誰かのために一生懸命になれるのか、
特にのぞみは何を考えているのかわからないと言うシロップ。
ココはのぞみの事を、自分が必要とされているときにすぐに動いてしまうのだと評しますが、
シロップに言わせれば、それは「考えなし」です。
とはいえ、知らず知らずの内にシロップものぞみ達のペースに巻き込まれているようですが・・・

さて、例の3つのものには、よく見ると「V」と刻まれた跡があります。
『Victory?』 『Virtual?』 『Voice?』 『Video?』
『びっくりする?』
皆が口々に「V」で始まる単語を思い浮かべる中、さすがのぞみ、「V」ですらありません。
が、全然解らないと漏らしながらのぞみがテーブルに顔を乗せた際、
紙切れに染み付いたほんの僅かな匂いを嗅ぎ取りました。お前は犬か

のぞみが嗅ぎ取ったのはクレープの匂いです。
早速話題のクレープ屋へ足を運んでみると、店の名前は「クレープの時計塔」
桃園ラブちゃん店員さんから受け取ったチラシを合わせて見ると、
あの紙切れの一部分とぴったり一致します。
「時計塔」のチラシに、トケイソウの蔓。こうなると、町の時計塔に関連がありそうです。
次にみんなは時計塔へと足を運びました。
しかし、毎日ここに寝泊りしているシロップは、手紙を出しそうな者など見た事もありません。
時計塔に住んでいると知って、当然の如く驚くみんな。
たまたま夜はここで寝ているだけと平然と返すシロップに、
のぞみはナッツハウスに住む事を勧めてみますが、
何故ココ・ナッツと一緒にすまなければならないんだと即刻断られました。
『だって、一人じゃ寂しいし、夜中に目が覚めちゃったら怖いでしょ?』

未明に見た悪夢の事を思い出したのか、一瞬息を呑むシロップ。
しかし気を取り直し、手紙の送り主を探すために時計塔へ向かおうとしたところ、
スコルプさんの声が響き渡りました。
『今日からそこは、立ち入り禁止だよ』『・・・スコルプ!』
『スコルプさんだろ。さんをつけろよデコ助野郎』
(注:台詞は一部実際と異なります)
この時計塔の鐘はそれなりの値打ち物のため、時計塔ごと没収すべく
消火栓をホシイナーへと変えるスコルプさん。
時計塔と同じくらいの大きさになったホシイナーから町のシンボルを守るべく、
5人は変身して立ち向かいます。

ホシイナーのテッポウを受け、軋む時計塔。
挑みかかる5人ですが、その体格差に圧倒されて思うように戦えません。
鐘とローズパクト、二兎を得られそうでご満悦のスコルプさんの周りを、
突如抗議するように小鳥が飛びまわりました。
小鳥はあえなくスコルプさんに指先一つでダウンされてしまい、
シロップは小鳥を抱きかかえた際、なぜこんな危険な事をしたのか理解しました。
時計塔には鳥の巣が、そして巣には親鳥を待つヒナの姿が見えます。
そして手紙の送り主は、この鳥ではないかと推測しました。
「V」の字は嘴でくわえた際についたものです。
『お前、あの巣を守ろうとしたロプ?』
巣の危機を知らせるために送ったものだと察し、鳥に語りかけるシロップ。
しかしその間にも、ホシイナーの巨体が容赦なく時計塔に迫ります。

『わからんね。この時計塔、そんなに必死で守るほどの物かい?
 価値があるといっても、タカが知れてる』
そう扱き下ろすスコルプさんに口々に反論する5人。
一つの価値観では推し量れずとも、私達には意味があり、
小さな命が必死に助けを求めていた事、その想いに応えるべく、
みんなで手分けしてホシイナーに挑みかかりますが、
やはり体格差は歴然。苦戦を余儀なくされます。
そしてスコルプさんは、キュアローズガーデンに行きたいのなら連れて行ってやろうと、
シロップの弱みを巧みに突いて迫ってきます。
そしてシロップの探しものにも触れ、
『ああ、もしかして、お前が探しているのは・・・』
スコルプさんが言いかけた時、ドリームが割って入ってシロップを守りました。
『シロップが何を探したっていいじゃない。シロップは、大切な物は手放すなって、教えてくれた。
 そんなシロップを私は信じる。シロップは私達と一緒にキュアローズガーデンに行くんだから!』


時計塔はホシイナーにゆすぶられて今にも倒れそうで、
親鳥が巣とヒナを守るように覆いかぶさる中、激しい揺れが襲います。
5人は手分けしてホシイナーに3箇所から、そして膝の裏から蹴りを入れ、体勢を崩しました。
その余波で落ちてしまった巣を、ドリームは間一髪拾い上げてシロップに託します。
『シロップ・・・キュアローズガーデン、一緒に行こうね』
そしてホシイナーに向き直り、シューティングスターで撃退しました。

戦い終わり、巣の周りを柵で囲ってあげるみんな。
ところでまだ解けない謎が一つ残っています。ホットケーキのカケラは何だったのか?
『ホット、トケイ・・・時計だよ!』
のぞみの推理は正しいかは解りませんが、鳥たちは巣が無事で喜んでいるようです。
みんなで巣を微笑ましく見上げている中、シロップだけは寂しい目を浮かべていました。
『夢を、見るんだ。真っ暗闇で一人、光を追いかけて。
 でも、追いかけても追いかけても、届かない。とても、怖い夢を・・・』
思わず悪夢の事を漏らしてしまい、慌てて何でもないと誤魔化すシロップに、
のぞみは今度悪夢を見たら、手紙を出すよう促しました。
『私、シロップの夢の中に言って、こっちだよって手を引っ張ってあげる。
 そしたら暗闇から出られるでしょ?』

夢の中にまで来られる訳はありません。しかし、のぞみはシロップが手紙に書いてくれたら、
その想いには絶対に応えると約束して微笑み返しました。
そして、ミルクからの大量の手紙の山がメルポから飛び出し、
これからみんなでココとナッツへと届けに行く事になりました。
その中には写真も混ざっており、青い花を付けた芽に水をあげるミルクの姿が・・・?


今回はパッと見にシンプルで、私も初見以来の印象が薄く、
3つのキーワードから手紙の送り主を探す一編だと思い込んでいました。
しかしシロップの抱える孤独感の深さ、徐々にのぞみに影響されてほぐれていく心、
そして深く考えなしに自然体でシロップに手を差し伸べるのぞみの姿を見て
中々深いエピソードだったと目から鱗が落ちる想いです。

テラスでのホットケーキの山を平らげる様や、謎の手紙の中身の推理、
犬並みの嗅覚の鋭さを披露するのぞみ、
次回に繋がるように真っ先に「暗号ではないか」と推察するこまち等、
基本的に楽しげな雰囲気に包まれています。
楽しそうな雰囲気だからこそ、シロップが時折見せる寂しげな目が一層際立ち、
冒頭の悪夢や、スコルプさんに誘い掛けられた際の振舞い、
そしてラスト近くのそっと呟くような悪夢の告白の描写が引き立っていました。
強がっていても、一匹狼を気取っていても、シロップはまだまだ子供です。
子供にとって、夜悪夢にうなされた際に一人ぼっちというのはどれ程の恐怖でしょうか。
しかも今のシロップにはメルポ以外に心を許した相手がおらず、
そのメルポにしても「メー」しか言いませんので、
本当にシロップの相談相手になっているのか疑問です。
そんなシロップを、のぞみは今回積極的に手助け「してあげよう」とは考えていません。
途中でココとナッツが指摘するように、あくまでこれがのぞみの自然体で、
そこには飾らぬ人柄ゆえの安心感が強く感じられます。

一つだけ解決しなかった謎である「ホットケーキのかけら」を、
どう解釈するべきか、少々悩みました。
テラスで手紙の中身を見た時、「ホットケーキのカケラ」という言葉を聞いて
それまで無反応だったシロップが話に乗ってくるような描写が見られますので、
シロップを手紙の送り主探しに引き込むための小道具としてではないかと思います。
単に好物に惹かれただけかもしれませんが、
それによって今回5人と行動を共にするきっかけが生まれています。
製作側が話を作る際の小道具、と見る事も出来るのですが、話の中の出来事としては
手紙の送り主である小鳥がシロップを引き込むために入れたモノのように思えます。
小鳥には、つがいの鳥とヒナたちという「家族」がいました。
対して同じ時計塔に住むシロップは孤独です。
小鳥達はただ危機を知らせるだけではなく、
この手紙の謎解きを通してシロップの孤独感と寂しさを解消しようとしたような気がします。
小鳥が巣の危機を伝えるための手紙ではなく、小鳥がシロップのために出した手紙。
考えすぎかもしれませんが、そんな解釈が浮かんで来ました。

他にもシロップの探しものについて、
スコルプさんは何を言おうとしたのか等の思わせぶりな描写があり、
この時点で明らかにならない謎を提示するなど、伏線を張る上でも欠かせない一編と言えます。
答えが明らかになっていないからこそ、
様々な解釈ができるというのは、個人的には優れたものだと思っています。
もちろん全てを明らかにした方がすっきりする事もありますが、
いろいろな物の見方があってしかるべきとも思いますので、
今回のように色々と考えさせてくれる一編は思いのほか楽しむ事が出来ました。
これこそが再見の醍醐味と言えるような、奥の深い一本だと思います。

もっとも、次回にはプリキュア史上屈指のトンデモエピソードが待ち受けていますが(笑)
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